6577.2025年5月16日(金) 不審だらけの世界政治と大学志願者数の異変

 懸念していたウクライナ停戦交渉は、最近まで当事国のウクライナ、ロシアに仲介者のアメリカが乗り気だった。そして、交渉の地であるトルコ近辺の中東へ向けトランプ大統領は出発し、ゼレンスキー・ウクライナ大統領はロシアのプーチン大統領と差しで話し合うと交渉の地トルコへ向け出発し、ロシアも交渉団をトルコへ派遣した。だが、案じていた通りプーチン大統領には、ゼレンスキー大統領ではなく、トランプ大統領と話し合いしたいせいで、ゼレンスキー氏との交渉の場が設営されることはなく、ロシア交渉団の中にはプーチン大統領はいなかった。ゼレンスキー氏だけが、懸命に交渉に当たろうと努めていたが、トランプ氏、プーチン氏2人はともに直接交渉しなければ停戦問題は難しいと言いながら、理由をこじつけてゼレンスキー氏を交えて停戦交渉の席へ就くことに積極的ではない。ロシア交渉団のメンバーは大臣級ではなく、次官級だった。これでは停戦交渉なんてまとまるわけがない。アメリカやロシアの対応からは、ウクライナ停戦は他人事だと思っているような印象を受ける。

 アジアでは、フィリピンの中間選挙が注目を集めている。これもひともめありそうである。マルコス大統領とサラ・ドゥテルテ副大統領の対立がエスカレートしているが、中間選挙の結果は大統領派が優勢のようだ。かつて長期に亘り権力を欲しいままにしていた独裁者マルコス元大統領の息子と、ドゥテルテ前大統領の長女サラ・ドゥテルテ副大統領の2人が政権内の№1と№2に座り、今ではお互いに非難し合って対立するようでは、政治が順調に遂行される筈がない。元々2人は対立しがちであったにも拘らず、政権の中心となった。そこには分かり難い原因があったと思うが、つい最近になって突然激しい非難合戦が始まったのは、去る3月に麻薬撲滅における人道上の罪で国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出されていたドゥテルテ元大統領が上海で逮捕されたからである。フィリピンはICCから脱退しており、ICCの意に従う理由はない。しかし、大統領としては理屈を付けて利用したことになる。理由と動機は大統領派と元大統領が否定し合って不明確であるが、次回の総選挙にかつて強大な権力を発揮していた元大統領が出馬を匂わせていたことを考えると、現政権内の大統領、副大統領の対立からマルコス大統領が早めに副大統領派を抑え込むことを計画していたものと推測される。

 さて、国内の大学では恒例の入学試験、入学式を終えて漸く一息ついている時であろう。その入学試験の受験者に今年は異変があったようだ。それは、志願者数に今まで予想もされていなかった大学が最多となったからである。これまでは志願者数が多い大学は、近畿大学、日本大学、明治大学などだった。特に近大は、過去11年間トップだった。これまでの最多志願者数は、1989年に早大が記録した16万150人で、次いで近大の157,563人だった。それが今年は、その早大の記録をも破った。それは千葉工業大学という東京郊外千葉県習志野市にある理工系大学が最多だった。どういう風の吹き回しなのだろうか、あまり知名度は高い方ではない。歴史的には、戦前工学部を有していたのは、旧帝大と早大理工学部、慶大工学部だけだったので、他の大学工学部の先陣を切った感がある。近年就職率が高いことが評価されたようだが、あまり芳しくない噂が聞かれるのは、2023年に就任した学長が、名門マサチューセッツ工科大学(MIT)から金銭面のスキャンダルにより放逐された人物ということであり、別の意味で問題になるかも知れない。

 これからも紆余曲折はあるだろうが、大学の真の評価を決めるのは当然ながら志願者数ではない。各大学ともレベルの向上には力を注いでもらいたいものである。

2025年5月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6576.2025年5月15日(木) 5.15事件93年・沖縄復帰53年・ブログ18年

 1932年の今日5月15日は、政党政治に終わりをつげ、軍部が政治に介入する大きなきっかけとなったあの5.15事件が起きた日である。白昼海軍青年将校らが首相官邸を襲撃し、現役の犬養毅首相を銃撃して暗殺した。4年後に起きた2.26事件と並んで日本憲政史上未曾有のクーデターである。ところが、これほどの大事件であるにも拘わらず、なぜか分からないが、近年これがメディアで取り上げられることがほとんどなくなった。実際今日の朝夕刊紙を見てもどこにもこの事件については触れられていない。テレビでも知るところ放映されてはいなかった。政治家にとってもメディアにとっても都合が悪いのか、話題にされたくない事件なのだろう。しかし、学校でも習い日本歴史上においてこれほど衝撃的な事件は、そんなにあるものではない。この現状、つまりこのような大事件に世間が関心を持たないような環境造りは、いつの日にか同じような事件が起きる可能性があると思う。

 一方で、日本にとって今日がめでたい日と言えば、戦後27年間もの長きに亘って米軍の占領下にあった沖縄が今から53年前に漸く日本に復帰した日だということである。だが、沖縄は1952年サンフランシスコ講和条約によって主権を回復したとは言え、実態はアメリカ軍の統治下におかれ、思うように沖縄県民の主権を発揮することは出来ないままだった。アメリカ占領下から脱出したとは言え、相変わらず沖縄は日米安全保障条約に縛られ多くの制約を受け、真の独立とは言えない状態が続いている。特に今最も問題視されているのは、米軍人の基地外の行動に対して時には超法規的な扱いで彼らを擁護しているからである。しばしば発生する米軍兵による日本人女性への性暴力事件が一向に減らないことでもよく分かる。台湾問題が身近になって来たとは申せ、このまま米軍優位の状態を放置することは出来ない。同じ同胞である沖縄県人が、今もアメリカ軍に遠慮、躊躇しているようでは、本当の日米関係を構築するのは難しいし、政府も米軍基地をいつまでも終戦直後のままでは、沖縄を見捨てていると思われても仕方がない。

 さて、今日5月15日は、私自身にとっても画期的な日である。何と2007年の今日公開したホームページ上に書き始めたこのブログをスタートさせた第1日目でもある。あの日から18年間に亘り延々1日も欠かさず書き続けて、今日19年目の第1日目は6576日目となった。我ながらよくぞここまでやってきたものだと思う。この間チベット、中国、韓国、インド、キューバ、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、バルト3国、ポーランドなど海外へも度々訪れたが、何とか毎日書き続けることが出来た。特にチベットで毎日書いてPCにアップしたのを観た友人が、驚いてよく書けるし、アップ出来るなぁと旅先へメールを送ってくれたほどである。幸いにも今ではブログを書くのも日常業務のようになり、机に向かってPCを叩かないとその日のルーティン・ワークを済ませた気がしない。拙いブログを読んでくれた人たちからのコメントも有難いし、何より3年ほど前から毎月Googleが定期的に私のブログへ外からのアクセス数を計数的に教えてくれるのが、大いに参考になる。拙稿のアクセス数が分かるし、いかなる内容について書いたブログが良く読まれるのかということも分かり、納得したり、意外な感に打たれたり、毎月の評価を楽しみにしている。これからも書き続けられる間は毎日書いていきたい。当面の目標は、連続7千回である。出来れば、更に書き続けることが95歳くらいまで出来れば、1万回になる。どうなることやらそればかりは分からない。

2025年5月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6575.2025年5月14日(水) 世界の政治、経済はどうなるのか?

 一昨日財務省は、2024年度の国際収支の経常収支が30兆4千億円の黒字となったことを発表した。これは前年度より4兆円以上増えて過去最大の黒字となった。海外投資による儲けが膨らんだが、これは歴史的な円安が大きく貢献したことが大きい。但し、どうにも不可解なのは、折角外国人観光客の増加によってこれも過去最大の黒字額6兆7千億円を稼いだインバウンド業収入が、他のサービスと一緒にされ収支全体として2兆6千億円の赤字に計上されていることである。これは海外のデジタルサービスを使うことによって生じる「デジタル赤字」が急拡大していることから生じたものだそうだが、名称こそサービスと同じであるが、別物の旅行収支と一緒にされることが、どうにも納得行かない。今後デジタル化が進むにつれて海外のIT企業への支払いが増える可能性があるため、折角インバウンド業で旅行業者が努力して稼いだ収入を帳消しにされたのでは、インバウンド業者も張り合いを失うのではないだろうか。デジタル赤字は別にして、24年度の国際収支と旅行収支が過去最多になることは喜ばしいことではある。

 ついては、今世界中から注目されている戦争、内乱であるが、ウクライナについては停戦交渉についてアメリカ、ロシアとウクライナの間で交渉が行われるようだが、あまり楽観は許されない。当事国のロシアとウクライナの間にトランプ大統領が顔を見せるか、或いは近くで別のパレスチナ・ガザ地区問題の停戦に口を出すのか、はたまたプーチン大統領は出席するのか、いつもながら分かり難い行動をしている。いずれにせよトランプ大統領はアラブへ向け飛び立った。そのトランプ大統領は昨日米中交渉で関税問題に関して今までは強気一辺倒だったが、対中国関税率を145%から一気に115%引き下げ30%にするように態度を急変させたことにより、中国側も対米関税をこれに応じて125%から10%とする姿勢を示した。

 このように常に世界中に衝撃と不安をまき散らしているトランプ大統領の行動が、また新たな人種差別問題を提起している。それは、すでにアメリカから中米エルサルバドルへ強制移送され、巨大な刑務所に収容されたベネズエラ人不法移民を、エルサルバドルはベネズエラとの交渉の材料に使っている。実はアメリカは不法移民である彼らを放逐した「人種差別的行為」の一方で、散々アパルトヘイトで現地人を圧迫していた南アフリカ国籍の白人を、トランプ大統領は南アフリカにおける「人種差別」の被害者「白人ジェノサイド」として難民認定し、アメリカに受け入れたことである。これこそトランプ大統領が「人種差別主義者」であることを露骨に証明した行為ではないか。言うことと行うことが極端に異なり、はっきり言えばウソばかり言っているトランプ大統領のような人物が、世界の争いの現場に顔を見せ主役として行動することは世界中の人びとを愚弄し続けていることであり、信じられないことである。

 日本国内でもトランプ関税を予測して、企業の経営が歪められているようだ。日産自動車が2025年3月期決算で6千7百億円の過去3番目の大きな赤字額を計上し、国内外7工場を削減し、2度に亘り約2万人の従業員を解雇すると発表した。破談したが、その日産と経営統合を話していたホンダもトランプ関税の影響を受け、7割の減益、6千5百億円もの収益減により、26年度3月期決算は、純利益前年比70%減の2千5百億円になると予想している。

 世界中が政治、社会、経済面で大きな打撲を受けているのは、トランプ大統領という悪役が世界中を荒らしまわっているからである。こういう人物は、早く姿を消してもらいたいものである。

 トランプ大統領とは異なり、世界の歴代大統領の中でも、最も質素な生活を送っていたと言われていた南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領が昨13日に89歳で亡くなった。2年前に来日し、示唆に富むスピーチを行った。貧しい家庭に生まれ反政府ゲリラに参加して捉えられ、10年以上も刑務所に収監されたこともあり、5年間の大統領職を終えた後も、資産は寄付して本人はそのまま農場でつつましい生活を送り、質素な生活ぶりから「世界一貧しい大統領」との称号?を受けていた。派手な生活を送っている世界の首脳も少しは参考にされると良い。ムヒカ氏のご冥福をお祈りしている。

2025年5月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6574.2025年5月13日(火) 高校時代の友人と旧交を温める。

 今日は久しぶりに鎌倉で高校時代の親友とランチをともにし、あれこれ懐かしい昔話をして楽しんだ。彼を含めて普段から仲の良かった高校の親友は6~7人いたが、全員大学進学では1年か、2年浪人生活を送る破目になってしまった。その後も時折会ってはいた。コロナ前までは1年に1度は会って会食をしていたが、家族の不幸や、コロナもありしばらく会うことはなかった。

 そこで久しぶりに彼らに会いたいと思い、皆に連絡してみたが、どうも都合がうまくつかない。結局鎌倉の友人だけに会うことになった。その友人とは互いの浪人時代にも情報を交換し合っていた。大学を出て保険会社に勤めていたが、その間に奥さんに先立たれ、家庭のことは傍にいたお姉さんがお世話をしてくれていた。父親が元々鎌倉人で地元でも有力者だった。神社やお寺の総代なども引き受けておられたので、彼も父親が亡くなられてから業務を引き継いでいたが、大分苦労していたようだ。

 実は、彼も健康状態があまり芳しくなく、毎週3度も点滴を行っているようで、歩く際にも杖を突きながらよろめいていたので、身体を支えてやると何とか歩けるようだ。食事を終えてから彼の自宅へ歩いて行ったが、途中に「八雲神社」というそれほど大きい神社ではなかったが、周囲を森林で囲まれた雰囲気の良い神社があり、そこへ彼の案内で立ち寄った。常勤の神主さんはおられないようだが、伝統のある神社らしく、格納庫に外から見えるように4つも立派なお神輿が収納されていた。お賽銭をしてくす玉を手にした時、フッと板を見たら彼のお父さんの名前が書かれていた。それだけではなく鉄製の第2鳥居に、ご両親のお名前が刻印されていた。鳥居はご両親が奉納されたものだった。近くには北条政子のお墓がある安養院というお寺もあった。JR鎌倉駅のほど近くとあれば、神社仏閣に事欠かないが、こういう目立たないところにもそれなりに由緒のある神社仏閣があるものである。帰りに彼のお宅へ伺って彼を世話していたお姉さんに何十年ぶりかでご挨拶した。食事は彼にご馳走になる形になったので、お言葉に甘えてすっかり世話になってしまった。

 今日は他にも嬉しいことがあった。他愛のないことだが、鎌倉への往路の電車内で座席を譲られたことである。しかも東横線車内と横須賀線車内の2度である。今までこんなことはなかった。最近では車内へ乗り込んできた私を見て高齢者ということが乗客にもすぐ分かるのか、座席を譲ってくれるケースが増えた。欧米の乗客に比べて日本人はあまり他人に席を譲るようなことはないと思っていた。実際最近でもシルバーシートに黙って座り込みスマホに熱中し、高齢者を無視している若者をしばしば見る。私も最近は若いころと異なり、電車内でゆっくり座りたくなることが多いが、若者はあまり席を譲ってくれなかった。それが、今日は乗り込むや直ぐ座席から立ち上がってどうぞと譲ってくれた中年の女性や、若い女性には、お礼を言うくらいしか嬉しい気持ちを返せない。それでも気分は好い。段々私の年寄りぶりが板についたというか、目立ってきたのだろうが、若い人の間にも少しは互譲精神が身に付いてきたのだろう。

 ともかく今日は行きがけにこういう気分スッキリにさせてもらい、久しぶりに親友と会って旧交を温めることが出来たのは、幸せな1日だったと思う。

2025年5月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6573.2025年5月12日(月) プロ野球界が独禁法違反で公取委から警告

 先日東京都内のホテルが宿泊料金を談合で決定したとして、それはカルテルに繋がると公正取引委員会がホテル業者らに独占禁止法違反になると警告していたと新聞に出ていた。そして、去る8日公取委は都内大手ホテル15社が客室単価などの内部情報を交換し合うのは、不正に価格を引き上げるカルテルにつながり、独禁法違反にあたるとして再発防止を求める警告を出した。このニュースを最初に知った時、ホテルが他ホテルの宿泊料を知って価格を合わせることが、果たして独禁法に違反することなのか疑問に思い、ホテルマンだった友人に尋ねてみた。彼はそう受け取られかねない点もあると全面的には否定しなかった。

 そして、今度は別の独禁法違反でプロ野球界が公取委に疑われている。それは、昨年の日本シリーズ中継に当たり、フジテレビが日本シリーズ中継と同時刻に大リーグのワールドシリーズ(WS)のダイジェスト版を放映したことに日本野球機構(NPB)が立腹し、フジTVから日本シリーズの取材パスを没収したことが、不公正な取引方法として独禁法違反の疑いがあると公取委が調査をしているという。ただ、公取委はそればかりではなく、取材パス没収はフジTVの取材機会を一時的に奪うだけでなく、放送各局のコンテンツ選択や番組編成の成約につながる恐れがあると考えているようだ。

 確かに大谷翔平選手が活躍したドジャースの試合、特にシーズン最終シリーズであるWSは高い視聴率が期待できると思われる。フジTVが他社の日本シリーズに対抗してWSに走ったのは理解できる。

 これまで上記2件のように当事者は公取委の介入などは考えてもいなかったと思う。SNSの活用などが拡がり、本業の発展、PRなどでも少し勉強が足りないと思われている節がある。例えば、日本野球機構は取材パス没収の理由を「日本シリーズはテレビ各局、スポンサー、12球団の協力で成り立つ。この協力態勢を危うくされる状況だった」と少々未熟な理由を述べているが、あるジャーナリストはNPBの身内意識の「身内だから仲良くやっていくのが筋という考えで、その掟が破られた時に制裁を課す」スタイルをこれまで続けてきたという。その原因に、身内意識ゆえの閉鎖性が生んだインターネットへの対応の遅れがあるという。例えば、大リーグでは動画コンテンツを充実させ、SNSに投稿して広告収入を得ているが、NPBは試合中の動画をSNSへ投稿することを禁止するなど時代に逆行するばかりで、長期的には未来の市場を逃がしていると言われている。

 改めて「スピードを意識している」日本のプロ野球界が時代に遅れていることを知ることになった。これからも広い分野で公正取引委員会が、公平に問題点を探し当て更に世の中へ開示してくれることを期待したいものである。

2025年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6572.2025年5月11日(日) 西田参院議員の虚言撤回とカシミール紛争

 自民党西田昌司・参議院議員が先日沖縄の「ひめゆりの塔」に関して誤認発言をした。西田氏は批判されても発言を撤回しないと語っていたが、一昨日になって自身の発言について不適切だったと謝罪し、発言を撤回すると述べた。

 ここには憂慮すべきことがある。西田氏は当初反論に対して強く抗弁し、絶対に撤回しないと言っていたが、結局自論を引っ込めた。自民党内や、与党を組む公明党からも批判があり、あまりにも抗議と反対が強かったために抗しきれなくなったもので、西田氏の本心は分からない。ただ、警戒しなければならないのは、「ひめゆり平和祈念資料館」館長が、「80年前の過酷な体験を生身で語れる体験者がいなくなる時代に入り、あのような発言が出て来たのではないか」と危惧していたように、実態を知らずして生半可な知識と、持論を都合よく積み上げる知恵によって事実とは異なる発言を行うような風潮である。西田氏が、戦争を知らない世代であるだけに余程危険である。今回は西田論が間違っているとして理解されず、非難されることになったが、同じようなことが今後も保守的、右翼的な人々の間で発言されることがあり得ることを警戒しなければならない。

 さて、数々あるもめごとの中でも、最近突発したインドとパキスタンによるカシミール地方の衝突が、急遽停戦合意に至ったと昨日のニュースで伝えられた。例によってアメリカのトランプ大統領が、停戦合意のために仲介に当たったとSNSに投稿して強調していた。明らかに停戦を自らの手柄、成果としてアピールしているのだ。今朝のサンデーモーニングでは、寺島実郎氏が成果云々については否定していた。ところが、停戦合意後数時間にしてアメリカの仲介を逆なでするようにインド領内で爆発が起きた。インドが実効支配するカシミール地方の主要都市スリナガルとジャンムーの住民は、爆発音が聞こえ、空に閃光が走ったと証言した。インドの外務次官は「ここ数時間、我々が今晩早くに到達した合意に違反する事態が繰り返された」と述べた。同次官は、インド軍は「適切な対応を取っている」と述べ、パキスタンに対し「これらの違反に対処するよう要請する」と呼びかけた。これに対し、パキスタンの外務省報道官は「パキスタンは、本日発表されたパキスタンとインド間の停戦の忠実な履行に引き続き尽力する」と述べ、「インドがいくつかの地域で違反行為を行っているにもかかわらず、我々の部隊は責任と自制心を持って事態に対処している」とも語った。何ともお互いのさや当てのように思える。

 カシミール地方のインド支配地域では、数十年にわたる対立で何千人もの命が奪われている。それだけに両国の対立はそう簡単には収まるまい。ただ、世界中に紛争が蔓延っている今日これ以上民族間で争いが起きるのは止めるよう、世界中が真剣に行動しなければだめだと思う。

2025年5月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6571.2025年5月10日(土) 大学山岳クラブ同窓会に出席

 ほぼ20年近く、日程の都合が付かず欠席続きだった大学の山岳クラブ「アルペンクラブ」の同窓会が今日開かれ、久しぶりに出席した。これも何かの縁であろうか、偶々今日は結婚56年目の記念すべき日でもある。同窓会の会場は慶應義塾の社交場とも言える銀座4丁目の一等地にある立派な「交詢社」ビルの9階である。以前ゼミの飯田教授にここで夕食をご馳走になったこともあり、またここで開かれた会合では「旅行三田会」に1度出席したこともある。中々建物には重厚さと趣があり、指定文化財にでもなりそうな内部の雰囲気である。

 今日集まったのは35名だったが、皆学生時代に山登りに夢中になった山仲間ばかりで、ほとんどが後輩である。結婚式では司会進行役を務めていただいた永田会長だけが1年先輩で、欠席が続いたせいか後輩の中にも顔見知りが少ない。それでも同じ釜の飯を食った仲間の集まりでもあり、すぐ打ち解けて久しぶりに山の会話で楽しいひとときを過ごすことが出来た。

 私の同期生ももうかなり他界してしまって、残念ながら今日は同期生の誰も来なかった。挨拶では、身勝手にも私の海外武者修行について話し、拙著3冊を提供し、その中の1冊「八十冒険爺の言いたい放題」が近日英語版電子書籍が発売されることをPRしておいた。年齢的にも我々世代はかなり来世へ旅立ってしまって、同期生14名の内すでに8名がこの世にいない。同窓会への出席者が減るわけである。寂しい限りであるが、こればかりは運命であるのでどうしようもない。

 解散後、永田会長から一杯やろうと二次会に誘われたが、そもそも会長自身の体調があまり良くないようにお見受けしたし、アルコールは医師から厳禁とされていると言われていたので、酒の席はどうだろうかと気になっていたが、どんどん予定の二次会場へ向けて歩き出された。近日今年2度目の入院をすると言われるし、同窓会の席ではまったくアルコールを嗜まなかった会長とともに辿り着いた場所が、何と「ライオン・ビアホール」だった。目の前の銀座通りは歩行者天国でものすごい混みようで、空きテーブルはなかった。ここで驚いたのは、外国人観光客が多いことだった。店内もぎっしり満員だったが、その中に外人グループもかなりいた。よほどネットなどで、彼らにPRが行き届いているのだろう。アルコールを禁じられている会長は、そこでノンアルコールだと言いながらビールを飲んだ。ここでまた2時間近くおしゃべりを楽しんだ。

 会長は建設会社に勤務して時折海外へ出張したようだったので、それほど意外とは思わなかったが、それでも東西対立時代にベルリンを訪れた話をされたのには、興味を抱いた。私も何度か訪れたが、今ではあまり経験された人がいなくなってしまったであろう西ベルリンからチャーリー・ポイントを通過して東ベルリンへ入国するルートは、検査の際東側が車の下部に大きな鏡を挿し込んで、違法の品物の防止に努めていた話は、お互いに興味を持った。久しぶりに会長、はじめ一緒に山登りした後輩たちと気負うことなく山の話をして楽しい時間を過ごすことが出来た。幹事役は大変だったと思うが、来年以後もぜひ続けて欲しいと思う。

2025年5月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6570.2025年5月9日(金) 新しいローマ教皇に、レオ14世

 一昨日「コンクラーベ」第1日目の2度の投票で新ローマ教皇は決まらなかった。昨日も1回目では決まらなかったが、2度目のコンクラーベの結果、システィーナ礼拝堂の煙突から白い煙が上がり、新しい教皇が決まったことが報告された。アメリカ人のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿が、133人もの枢機卿の中から第267代ローマ教皇に選出されたのである。新教皇は「レオ14世」と名乗られる。ローマ・カトリック教会の枢機卿たちの間では、どういうわけかアメリカ人を教皇に選ぶことについては警戒感があるとされて来た。アメリカにはカトリック教徒よりプロテスタント教徒の方が2倍も多いせいか、或いはトランプ大統領のようなアクの強いアメリカ人が嫌われたせいだろうか。しかしながら、69歳の新教皇レオ14世は、シカゴ生まれではあるが、約20年間南米ペルーで布教活動に当たり、アメリカ合衆国というより、アメリカ大陸出身者と受け取られ国際的な経験のある人物として、教皇の有力な候補者のひとりと見られていた。

 例によってお調子もののトランプ大統領は、アメリカ人教皇が選ばれたことに単純に光栄だ、感激だ、栄誉だと喜びを隠せないようで、早速SNSに投稿していたが、新教皇はかねてより地球温暖化現象に警戒感を抱いており、トランプ大統領とは考えが異なる。また、トランプ大統領がエルサルバドルのブケレ大統領と話し合い、アメリカ国内の刑務所に収容されていた犯罪組織囚人をエルサルバドルの刑務所に移送させた件について、新教皇はトランプ大統領に批判的だった。

 レオ14世教皇が決まったことにより、最近落ち着かなかったヨーロッパを中心とするキリスト教社会でも平穏な空気が生まれることだろう。この新教皇決定のニュースについて、ウクライナの一時停戦とともにメディアの報道の在り方について一言苦言を呈したいと思う。

 それは、この決定がバチカン大聖堂から教皇レオ14世自身によって最初のメッセージとともに伝えられたのは、日本時間今朝午前1時過ぎだったが、今朝の各テレビ局の朝のニュースではまったく伝えられず、私自身知ったのは、朝10時にネット・ニュースからだった。すでに得た情報がこんなに遅れて伝えられるようでは、メディアとしてニュースの価値があるとは言えないのではないだろうか。

 もうひとつ、ウクライナ戦争について、ロシアはロシアの戦勝記念日に合わせて8日午前0時から3日間停戦に入ったと一方的に伝えていたが、ウクライナの発表によると8日午前3時ころからウクライナ北東部でロシア軍が誘導爆弾による攻撃を行い、死傷者を出した。その後8日正午までにロシア側の停戦違反が734件もあったとウクライナ外相がSNSで公表し、「予想通りロシアの一方的停戦は茶番だということが明かである」と非難した。これについても、ロシアの身勝手な停戦提案とそれを裏切る行為があったにも拘わらず、ウクライナの首脳が公表した以外に、日本のメディアではほとんどこのニュースを伝えなかったのである。

 以上2件について、どうもメディアの報道というのは、元々私自身頭から100%信じてはいないが、これほどのニュースをよくぞ伝えないものだと思うことが結構ある。私が海外を歩き回っていた時に、日本のメディアへ不信感を抱くようになったが、普段の報道でも注意深く見ないと信用出来ない点が多い。

2025年5月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6569.2025年5月8日(木) 沖縄戦を知らず軽薄な発言をする世襲議員

 ロシアが今日から身勝手にも一方的な3日停戦に入った。一方のウクライナは直前にロシアが首都キーフに大規模攻撃を仕掛け、3日間の間に次の戦略の準備を進めるということから、ロシアの芝居がかったパフォーマンスであると反発し、以前から求めている無条件で30日間の停戦に応じるよう要求している。

 こうしてウクライナ戦争は一向に止む気配がなく、アラブではイスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区攻撃も継続的に行われ、戦火が絶えることがない。

 そんな時に、不意にカシミール地方で新たな戦火が口火を切った。インド軍がカシミール地方のパキスタン側が実行支配するパキスタン・イスラム過激派組織の拠点9カ所にミサイル攻撃を仕掛け、26人が死亡し、46人が負傷した。パキスタン軍は、直ちに報復すると表明した。

 元々このカシミール地区というのはややこしくて、インドとパキスタンのいずれもが領有権を主張し、インド実効支配地とパキスタン実効支配地、更に中国までも北東部の領有権を主張している有様である。インド人とパキスタン人は同じ民族でありながら、お互いの信仰する宗教がインドのヒンドゥ教とパキスタンのイスラム教で、主導権争いの様相を呈している。世界中が懸念しているのは、インド、パキスタン両国ともに核保有国であり、どちらかが核を使用するようなことになれば、核戦争が起き、それは世界中を恐怖の坩堝に追い込む恐れがある。このイ・パの衝突に懸念を示し、旧宗主国イギリスのスターマー首相、中国政府、トランプ大統領らが両国間の話し合いを求めているが、どうも片手間でそれほど真剣な要望には思えず、そんなに効果のあるようには思えない。

 一方国内では政治的なもめごとは最近あまり聞かないが、こんな理不尽なことがあった。3日に沖縄県那覇市内で開かれた「ひめゆりの塔」に関するシンポジウムの後に登壇した自民党西田昌司・参議院議員が、展示内容が「日本軍が入って来て、ひめゆりの隊員が死ぬことになった。そしてアメリカ軍が入ってきて沖縄が解放されたという文脈で書いている。歴史を書き換えるとこういうことになる」と不謹慎な発言をしたことについて、玉城デニー知事をはじめ、自民党県連幹事長ら県民から事実誤認も甚だしいと反発を招いている。このシンポジウムは沖縄県神社庁、神道政治連盟県本部、日本会議県本部に、自民党県連が共催したものである。

 「ひめゆりの塔」については、映画も制作され評判になった。津島恵子、香川京子、藤田進、岡田英次ら名優が出演し、1953年度売上1位になったヒット作品である。広く国民に同情と哀愁の気持ちを抱かせた名作で私も鑑賞した。沖縄女子師範らの女子学生たちが犠牲になった沖縄の悲劇を具体的に描写したもので、これを今更西田議員ひとりだけの思い込みで、証拠もなく「事実が曲げられた」とか、「歴史の書き換え」とか言いがかりを言うのは、戦後生まれでまったく戦争体験のない世襲議員だからだと思う。西田議員は浅はかにも裏金問題疑惑のマイナスを補って、今夏の参議院選で極右選挙民の支持により自民党候補者の立場を有利にしようとの目算でもあるのだろうか。

 厳しい批判を受けた西田議員は、発言を撤回する気持ちはないと強気に語ったが、沖縄振興調査会長を務める小渕優子・自民党組織運動本部長は大変残念な発言だと述べた。だが、発言の撤回についてまでは言及しなかった。しかし、各党の幹事長クラスからは、尊厳を踏みにじるもので断じて容認できないと厳しい非難の声が上がっている。それにしてもどうして戦争を知らない愚かな国会議員は、「ひめゆりの塔」の悲劇的な犠牲者を揶揄するようなことを軽々に口走るのだろうか。

2025年5月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6568.2025年5月7日(水) ドイツ首相とローマ教皇の異質な選出方法

 今のアメリカを見ても分かるように保守・右翼化思想及び現象が世界的に広がりつつある。昨日ドイツの連邦議会で首相選出のための議会投票が行われた。些か意外だったのは、当然選出されるだろうと予想していた中道右派「キリスト教民主・社会同盟」党首のフリードリヒ・メルツ氏が、過半数に届かず首相に選出されなかったことである。こんなことはドイツ議会にとって初めてのことである。そして、5時間半の中断の後に実施された2度目の投票でメルツ氏は何とか過半数を獲得し、首相に選出されることになった。メルツ氏が所属する「キリスト教民主・社会同盟」だけでは、過半数に達せず、極右政党「ドイツのための選択肢」とタイアップして選挙に臨んだ。しかし、両党内に不満分子がいて過半数に6票だけ不足した。2度目の投票で何とか1回目で棄権票を行使した議員が賛成票に転じ、一応新政権が発足することになった。メルツ氏もやゝ求心力が低下して今後の政権運営は、中々厳しいものになることだろう。特に、難しいのは、移民・難民政策である。フランスやイギリスなどに比べて、これまで穏やかな移民政策を取り移民を受け入れて来たドイツでは、近年移民問題が大きなネックとなっている。メルケル元首相、シュルツ前首相はともに移民の受け入れに前向きだった。今ドイツのデモ風景などを観ていると、右翼というより最早ナチ化の空気が感じられるほど右翼傾向が見える。ヒットラーのネオ・ナチが復活しなければ好いがと願う。

 今ヨーロッパでも右翼化の勢いが強く、フランスのマクロン大統領もかなり警戒している。トランプ大統領に引っ張られるように保守的ムードが蔓延るのだけは、勘弁してもらいたいものである。

 さて、政治とは全く別の事象であるが、今世界中、特にカトリック教徒の間で強い関心を呼んでいる問題がある。世界で14億人もの信者がいるカトリック教徒の頂点に立つローマ・カトリック教会の教皇を選ぶ、「コンクラーベ」である。今日からミケランジェロのフレスコ画「最後の審判」で知られるバチカンのシスティーナ礼拝堂で始まる。何度も訪れて見惚れていた素晴らしい礼拝堂内部である。何とも舞台仕掛けは、歴史的にも文化的にも最高の場で行われる。どうも政治の世界とは異なり、一部の人びとが秘密裏に最高権威者を選ぼうとする、他に例がない選挙であり、報道陣はもとより外部の人との接触も一切拒絶して密室で行われる。教皇に次ぐ聖職者である枢機卿の内、80歳未満の枢機卿による互選で決まる。この「コンクラーベ」と言う言葉が、日本語の「根競べ」を想像させて日本人にとっては、まさに「根競べ」のように競って教皇を選出するシステムが興味深い。原語は「鍵をかけて」と言うラテン語に由来するという。13世紀には権力闘争も絡み、教皇が3年間も決まらなかった時に、枢機卿らを会議場に鍵をかけて閉じ込め、早く決めるよう促したことから生まれた言葉である。選挙とはいえカトリックのトップである教皇を選出する儀式のようなものである。

 今回の「コンクラーベ」では、133人の枢機卿が投票する予定であるが、教皇に選出されるためには、2/3以上の89票が必要とされ、早くても3日はかかるようだ。教皇が決まり選出されると礼拝堂の煙突から白い煙が出ると同時に、サンピエトロ大聖堂の鐘も鳴ることになっている。

 かのトランプ大統領も教皇になりたいのか、教皇の衣装を纏った自らの肖像画をSNSに投じたが、こればかりは世界中から非難の声が上がり物議を醸している。果たしていつ、どんな枢機卿が新教皇に選ばれるのだろうか。

2025年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com