昨日習近平・国家主席は2泊3日の短い滞米の合間にホワイトハウスで、トランプ大統領と首脳会談を行った。直前にアメリカのメディアが取材に不参加となり、伝えられる会談の様子はすべて中国メディアからのものである。そのこと自体異常であったが、妙にトランプ大統領が気を遣った会談には、ともに腹に一物なだけに最初からキナ臭い感じがしていた。
今や世界の2大大国を自称する両国首脳は、相手を忖度しながらも本音を隠した言動を行い勝ちだった。急激な発展で乱用のリスクが指摘されるAIの管理について、米中両国で協力を進める考えを確認し、両国の連携をアピールして「米中2大国」が協調して国際社会の諸問題に対応していく姿勢を打ち出した。公表された会談内容は、他の国のことはほとんど気にしないものだった。日本に対しても然りだったが、気になる表現が気になった。会談前の歓迎式典でトランプ大統領が、第2次世界大戦中には中国はアメリカの同盟国だったとの言葉を使い、それを受けて習主席は、「80年以上前に中国とアメリカ人民は協力して日本軍国主義の侵略者と戦った」と主張し、「血と火の中で築かれた友情は、世代を超えて受け継がれる」と訴えた。だが、習主席は、第2次世界大戦中日本と戦った中国を大きく誤解している。当時の中国は、蒋介石がイニシアチブを握っていた「中華民国」で、習主席の主張する現在の真の共産主義国家ではない「中国型共産主義国家」の中国とは社会制度など全く別物だった。
いずれにせよトランプ大統領は、中国に必要以上に気を遣い、その反面日本に対してはいつも同盟国だと強調しながらも、真の気持ちとしては、日本はどうにでもなると思っているのか、出まかせでも気にしないぐらいの気持ちではないだろうか。第2次世界大戦の口火を切ったのは、日本の真珠湾攻撃であると言い続け、広島、長崎への原爆投下については、原爆を投下しなければ戦争は続き、更に多くの戦死者が出たであろうから結果的に原爆投下をYESと考えている。そのために、毎年の原爆慰霊祭にも出席しようとの気持ちはもとより、犠牲者や遺族への慰めの気持ちをかけることはない。今でも沖縄の米軍基地の存在をしきりに日本の安全のために置いてやっているとの言い方である。いかにアメリカの安保政策上必要であろうとも、日本のために駐留し続けているとの見解を押し付けているのである。
今回の米中首脳会談で、習主席がしきりに台湾独立反対を言い続けたことは、今後ともトランプ氏にとっては重荷だと思う。今後習主席がこの言葉を言う都度、トランプ氏が弱気になるのははっきりしている。トランプ政権は習近平主席を大歓迎したが、反ってこれによりアメリカは思い切った行動に出られなくなるのではないだろうか。
それにしてもトランプ大統領の言動から分かったことは、彼らは日本を同盟国とみているのではなく、都合の良い支配国とみているようで、心から信頼出来ず、失望するばかりである。