今日は「父の日」である。毎年6月第3日曜日と決められているが、5月の「母の日」に比べて目立たない。私自身まったく気づかなかった。それでも朝日「天声人語」を読んでいて「おとうさんの木」という少学1年生が書いた詩が、父親を想う気持ちが溢れていると「父の日」と結びつけて思い出させてくれた。
そんな幼児の気持ちとはかけ離れて、世界ではこのところ戦争が頻発し、安心出来ない状態である。特に悪質なのは、パレスチナ・ガザ地区を壊滅させようと休むことなく攻撃し続けているイスラエルである。そのイスラエルが一昨日イランの核施設を電撃空爆した。これに報復するイランの攻撃を知ると悲しい気持ちになる。更にイスラエルは、イラン南部の世界最大のガス田に攻撃を加え、イランが反撃した。今後イランがペルシャ湾の入り口ホルムズ海峡を閉鎖するようなことになったら、石油の輸送が滞り、石油価格の高騰が懸念される。両国を訪れたことがあり、それぞれに楽しかった思い出があるだけに、残念で仕方がない。
イスラエルに輪をかけて悪質なのは、そのイスラエルの後ろ盾となっているアメリカである。事前にイスラエルからイラン空爆を耳打ちされ、それを止めようともしなかった。実に陰湿である。このまま戦火が拡大したら、アメリカの責任は重いと思う。
そのアメリカのトランプ大統領の移民排除対策が、ロスアンゼルスを中心に各地でデモ騒ぎを起こし、鎮圧のために州兵を派遣して州知事との間に一悶着起こしている。その渦中に首都ワシントンで自らの誕生日である今日14日に大掛かりな軍事パレードを行った。軍事パレードは国家にとって何らかの祝典として行われるべきもので、自分個人の誕生祝に国家行事を行うなぞ常識外の公私混同である。しかも、これには65億円もの巨額の国費を必要とした。小池都政が、夜の東京の観光のためと称して都庁ビルの壁にプロジェクション・マッピングを照映して、電気代を含めて3年間に実に64億円も支出することになるが、これもトランプと小池の同じ思考力からであろう。
さて、馬鹿々々しい話序に、大学の不祥事についても触れておきたい。
それは、日本大学でまた学内の不祥事が明らかになったのである。8年前に日大アメリカン・フットボール部員が対関学戦中に、違法タックルで相手選手にケガをさせ、部は栄光ある伝統の部活動を一時解散させられ世間を騒がせた事件があった。その後2021年「日大のドン」と呼ばれた相撲部の監督でもあった故田中栄壽・前理事長の収賄・脱税事件などが発覚し、所得税法違反で逮捕されて前理事長は退任し、3年前作家で母校OGの直木賞受賞者である林真理子氏が「面白そうだから」と軽い気持ちで理事長に就任して改革を期待された。しかし、鳴り物入りで就任した林理事長に統治力なぞ期待できる筈もなく、その足元で、間もなく副学長との間にパワハラがあったと裁判沙汰まで起こされるようなぶざまな有様だった。就任3年目に入った林理事長だが、依然として改革は実行されず、日大入学受験者は減るばかりである。日大には、他の体育会運動部の間でも学費を不正に受け取り処理をしたとして、陸上競技部や、スケート部もやり玉に挙がっている。文部科学省の評価も悪く、田中元理事長の脱税事件以降、繰り返し表面化した不正事件により、2020年度約90億円を受領していた私学助成金の全額交付が21年度から停止され、大学運営にも影響を及ぼしている。
そこへまたもや体育会の重量挙げ部の難波謙二・元監督による詐欺事件が明るみに出た。入部予定の高校生の保護者から現金をだまし取って逮捕されたものである。過去10年間に亘りおよそ3,800万円を不正に受け取ったとみられている。
日大には、このような不正を冒すような土壌があり、見逃したり、少額なら騒ぎ立てない悪を容認する悪しき伝統が染みついているのではないだろうか。興味本位で理事長を引き受けるような真剣さに欠ける軽薄な理事長の姿勢では、とてもこのたるんだ学内の空気を排除することが出来ないのではないかと心配している。