昨日インドのアーメダバード空港を離陸したばかりのエア・インディアB-787機が市街地へ墜落した。乗員乗客242名の内、1名の生存者以外全員死亡した。市街住宅地へ墜落したために、乗員の他に一般市民が巻き添えでかなり死者が出たようだ。最近10年間で最大の航空事故である。幸い日本人の犠牲者はいなかった。同機は、前日羽田空港からニューデリー空港へ到着した後に、アーメダバードへ飛びロンドンへ向かうところだった。
奇しくも1972年6月14日には、日本航空機がニューデリーで墜落した。乗客90人が亡くなったが、3名が生存していた。残念ながら亡くなられた日本人の中に医師・宮崎松記博士がおられた。拙いエッセイに書いたことがあるが、博士は長年世界遺産「タージ・マハール」の近くアグラに住み、インド人のためのライ病院を建てインドのハンセン病撲滅とインド人のためのハンセン病治療に献身的に取り組んだ。インドでハンセン病患者を減らすことに貢献し、インドの人びとから幅広く尊敬を集めていた。タージ・マハールへ向かう道路は「マツキ・ミヤザキ博士通り」と名付けられ、道路に面して縦横2m大の石造りの案内板があるほどで、インド国民をも悲しませた事故だった。今も博士を慕うインド人は多い。宮崎博士が亡くなった1972年は、不思議なことに航空事故が多発した年である。今年がエア・インディアに続く航空機事故が起きない年であるよう祈っている。
インドの航空機墜落に驚いていたところ、夕刻になって何とイスラエルがイランの核施設を空爆したとのショッキングなニュースに驚愕した。イスラエルのネタニヤフ首相は、「イスラエルの生存を脅かす明白な危機があり、脅威が取り除かれるまで続ける。標的はウラン濃縮施設や核兵器の製造や弾道ミサイルに関する拠点だ」と強気一辺倒に述べた。イラン国内では相当数の犠牲者が出たようである。このまま収まる筈がない。すぐさまイランはイスラエルに対して100機以上の無人機を発射したという。今後中東での軍事衝突の拡大が憂慮される。当事者以外に恐怖感を抱くのは、両国がともに核兵器を所有しているからであり、どちらかが核戦争を引き起こすことになれば、それは第3次世界大戦へと拡大し、世界が壊滅する恐れもある。
イスラエルの支援国アメリカは、この唐突の攻撃にアメリカは攻撃に関与しておらずこのイスラエルの動きを指示していないと語ったが、昨日イランの隣国イラクのアメリカ大使館職員を退避させた行動を考えれば、事前にイスラエルの攻撃を知っていたのではないかとのキナ臭い疑念が残る。イスラエルは、ガザ地区に続き、また愚かな行為を冒したものである。こんな攻撃をして世界はどう思うかを考えなかったのだろうか。
このイスラエルの空爆により世界にまた新たな紛争の種を撒いてしまった。ネットには早速こんなコメントが載っていた。「やり過ぎるとナチスが間違ってなかったことになるぞ」。然りだと思う。「ホロコースト」の被害者ユダヤ人への世界の同情が消えてしまうのではないだろうか。
どうも世界が慌ただしく落ち着かなくなってきた。