毎年五月に恒例の東大本郷キャンパスで開催の東大五月祭は、昨日と今日の2日間開催される予定だったが、昨日の第1日目は途中で中止となった。今日は予定通り開催されると主催者の「東京大学第99期五月祭常任委員会」は公表した。
なぜ五月祭の第1日目が途中で中止になったかというと、右翼系の神谷宗幣・参政党代表が午後から講演する予定で、発表時点から反発の声が聴かれていた。どうして東大がこのような極右政治家を講師として招くような気になったのか、どうもよく分からない。それでも神谷代表は予定通り五月祭りに参加すると答えていたが、今日になって主催者側へ爆破予告があり、主催者は中止を決めた。神谷代表は今までも各地の講演会で批判や妨害、時には殺害予告を受けることはあったが、通常通り対応してきたと語っている。東大の中止は納得がいかないのだろう。
しかし、このような極右的な政治家に講演を依頼するとは、これまで左翼系学生の本家と見られていた東大としては、奇妙なことである。主催者である五月祭常任委員会に保守系の学生サークル「右合(うごう)の衆」(正しい表現は「烏合の衆」であるが、右寄りが合流するとの意であろう)が入っているせいもある。しかし、60年安保闘争や、68年東大闘争の際には、左翼系学生が中心となり、運動を引っ張って知名度と存在感を強くアピールしていたものであるが、今や世間で言われるように若者が体制寄りの言動に変わった。この傾向も34年前(平成4年)に東大駒場キャンパスの駒場祭にオウム真理教の麻原彰晃元死刑囚を講師に招いたころ辺りから、学生らの空気が変わったように思える。尤もこの時は、約束に反して麻原が宗教の宣伝を行ったために講演は途中で中止になった。
現在国会で議論され、検討を加えられている課題に、1)政治資金規正法関連法案、2)刑事訴訟法の再審制度の見直し、3)物価対策としてガソリン税の引き下げ、4)選択的夫婦別姓法案、5)皇室典範改正案、等々がある。また、自衛隊の増強、海外派遣、及び防衛費増額などが大きな問題であるが、戦争を知らない政治家らは、戦争へ一直線の議論を進め、東アジア海域の危険度が増している。だが、政治家と同じく戦争を知らない今どきの若者、特に大学生らはあまりこれら保守的な問題をそのままにして、政治的活動には関与しようともしない。君たちは将来をどう思っているのか?と聞いてみたい。
かつては、ベトナム反戦運動や、社会の矛盾や、理不尽に対して労働団体とともに抗議の声をあげた全学連のような学生団体が見られなくなってしまった。労働者の賃上げの声についても、以前は国鉄や私鉄総連のストによる強力な反対闘争により、彼らの主張を受け入れてもらっていた。それらの動きが今やほとんど見られなくなった。これは若者たちの生活が昔に比べて裕福になったことも一因である。しかし、若者たちに社会に対する甘えの気持ちがあることも大きく影響している。
東大五月祭だけに限らず、各大学の学生たちがお互いに横の連絡を取り、社会に対して埋もれてしまった社会問題を解決するような行動を起こして欲しいと、かつての安保世代の若者のひとりとしてアピールしたいと思う。