昨日今年のノーベル賞が受賞者10人のうち9人に授与された。日本からも化学賞に北川進・京都大学副学長、生理学・医学賞に坂口志文・大阪大学特任教授に授与され、それぞれスウェーデンの首都・ストックホルムで栄誉を受け、スピーチを行った。その後晩餐会が行われ出席した。
1949年私の小学5年生時に、湯川秀樹博士が日本人として初めてノーベル物理学賞を授賞し、戦後打ちひしがれていた日本国民を大いに力づけたと言われた。爾来日本出身で日本国籍の人、及び団体は28人、その他に日本・日本関連地出身で外国籍6人を合わせると、これまでに日本人関係の受章者は、34人になる。
各賞の中で、平和賞だけは、恒例によりスウェーデンではなく、ノルウェイの首都オスロ市庁舎で行われた授賞式には、今年の受賞者であるベネズエラのマリア・マチャド氏が出席する希望を持ちながら叶わず、代理として娘さんが出席する異例な式典となってしまった。マチャド氏は、20年以上に亘り民主化のために尽力したことが評価されたものである。その後1日遅れでオスロに到着したが、残念ながら授賞式には出席できなかった。
マチャド氏が出席できなかったのは、2014年以来ベネズエラを統一している反米左派のベネズエラ統一社会党を率いるマドゥラ大統領に反対し、国会議員職を剥奪され強権政治による拘束から逃れるために国内に身を隠していて出国出来なかったからである。マチャド氏の例を見るまでもなく、今や世界には理不尽なことが多すぎる。
ついては、去る7日の本ブログにも取り上げたことだが、このほど国際サッカー連盟(FIFA)が、新たに創設した「FIFA平和賞」をインファンティーノFIFA会長が、アメリカのトランプ大統領に授与したことに対して、ロンドンの人権団体フエア・スクエアが、FIFA会長が政治的中立に関する内規に違反した疑いがあるとして、FIFA倫理委員会に調査を要請したと明かした。
FIFAも露骨に政治へ介入するようになった。しかも、お土産付きである。ノーベル平和賞が、喉から手が出るほど欲しかったトランプ大統領としては、実績作りの第1段階を超えたくらいに思っているのだろう。そして次の第2段階として、本物のノーベル平和賞を狙っているようだ。FIFAがトランプ氏に平和賞を贈った理由として、パレスチナ自治区ガザにおける和平合意に仲介した功績を称えているが、同じように仲介に乗り出しながら、その和平案は、コロコロ変わって一向に合意の気配は見えない。ベネズエラ沖合に米海軍艇を派遣し、今日は石油タンカーを拿捕した。いつもながら脅しをかけている構図などは、平和とはまったく縁遠いものである。これがトランプ流儀である。