今年のアメリカ大統領選挙に関して、予想や各候補者のプライバシーなどが報道されているが、これまでどこのメディアも伝えない情報がある。それはジンクスとも言えるものだ。
それは何か? 実は、アメリカ大統領には離婚歴のある人物はなれないという言い伝えがある。1952年行われた大統領選で共和党は元軍人のアイゼンハウアー元帥を推薦したのに対して、民主党はイリノイ州知事のアドレー・スティーブンソン候補を立てた。その時スティーブンソン氏について有能ではあるが、離婚歴があるのが障害になって大統領にはなれないだろうと一部メディアから悲観的に予想され、当時かなり大きく報道された。事実スティーブンソン氏はその数年前に21年も連れ添った夫人と離婚していたのである。結果的にスティーブンソン氏は元帥に敗れた。
そしてその4年後再びアイゼンハウアー大統領と対決したスティーブンソン氏はまたもジンクスに憑りつかれたかのように敗れたのである。
アメリカのように比較的離婚率が高く、国民が離婚に鷹揚な国でも国家・国民をリードする大統領ともなると私生活まで干渉されるものかと両候補再戦の折高校生だった私は考えさせられたものである。
このジンクスが現在も生きていれば、今年の選挙戦で毒舌ぶりを発揮して圧倒的な人気を得ている共和党候補者トランプ氏は、当然勝てないということになる。そもそもこの迷信を信じたならトランプ氏は果たして立候補しただろうか。実際トランプ氏は離婚を2度も経験して今では3人目の夫人と家庭を築いており、選挙運動では3人の元・前・現夫人ばかりか、彼女たちとの間の子どもまでトランプ家3代を挙げて演出、スピーチ、PRなど選挙戦で家族を巧みに利用しているしたたかさである。今回はメディアが候補者の個人的な家族構成について報道するだけで、離婚と立候補の関連にはまったく触れていないように思う。あまり誇らしくないプライバシーを敢えて暴くこともないが、かつては事前に離婚歴は大統領選にはマイナスの勲章だとPRしていた半世紀前に比べると、昔日の感がする。アメリカ人の国民感情は変容したのだろうか?
さて、序にもうひとつユニークな話題を紹介したい。旅行家として知られる兼高かおるさんは知る人ぞ知る今日「閏日」生まれで4年に1度しか誕生日を祝えない。偶々昔の上司のひとりが、彼女の兄上と慶応で同級生だった縁で、彼女について度々聞かされたことがある。兼高さんは、私も会員になっている「日本旅行作家協会」名誉会長であるが、拙著「南太平洋の剛腕投手」執筆の際、主人公ススム・アイザワ大酋長について兼高さんから生前お会いした故アイザワ大酋長に関するお話を伺い、拙著のさわりでも触れた。
兼高さんはいつもまだ20歳代としきりに仰る。1928年生まれなので、今日で88歳の米寿になられるが、誕生日の回数でいけば、確かに22歳のうら若き乙女ということになる。あまり女性の年齢についてあれこれ言うのは憚れるので、これにて失礼。