30年前の今日、開港直前だった成田空港管制塔が、空港建設反対派グループに不意を突かれて侵入され、計器、設備類が完全に破壊され、ついに新空港開港が延期された歴史上の汚点がある。航空会社はもちろん、旅行会社も当然空港開港を前提にすべての作業を進めていたので、その当座はどう対処すべきか、案内書もすべて成田空港出発との文言を挿入していたので、本当に弱り当惑したことを昨日のことのように思い出す。
しかし、現在もまだ成田空港問題は円満に解決しているわけではない。いまも土地売却に応じない地主もいて、滑走路への補助通路上に民家が建ち航空機は迂回するような障害が残っている。運輸省は、当時国家事業だから国民が協力するのは当然と腹を括り、反対するなら土地収用法を適用すると威嚇的に住民の権利をないがしろにした。そのような話し合い無視の対応が底流にあったことが、そもそも問題を深刻化させた素である。ただ、NHKテレビによれば、高橋寿夫・元運輸省航空局長が、当時開港一辺倒でまったく問題なしと考えていた運輸省保守派官僚の中では、このような過激なテロが起こるとは誰も考えていなかったが、逆にこの破壊的行動に直面して初めて反省や、再検証をしたと語っていたことが救いだった。
それにしても、あの当時国の腰の定まらないような航空行政の煽りを受け、結果的に右往左往させられたことが、ちょっと癪に障るが何となく懐かしい。
ところで、2日前にJR常磐線・荒川沖駅構内で24歳の若者が誰でもよいから殺したかったなどとナイフを持って暴れ周り、結果的に行き掛かりの8人に切りつけ、1人が亡くなった。昨晩は、JR岡山駅構内で進入してくる電車にホームで待っていた人を、突然後から線路内へ突き落とし、突き落とされた人は死亡するという事件が発生した。この犯人は高校を卒業したばかりの若者で、殺せば刑務所へ行けると言っているという。これだけに留まらず、最近はすぐ切れる若者が増えて、われわれの周囲にも狂気が漲っているような危ない雰囲気が表れるようになった。少子化を受けて子どもを甘やかす、無責任と無秩序は社会への影響が極めて大きいと思う。今日の日本は、教育、特にモラル教育が荒廃している。やるべきことを親も学校も、社会もしっかり教えていないのだ。
自宅近くのある私立女子学院の傍を通ると、時折テニスボールが道路へ飛び出てくることがある。今日は2つのボールが飛んできたので、拾って校庭へ投げ返してやっても何の言葉も返ってこない。他人に対する礼儀を忘れ、自分たちの大切な財産も大切にしない、「小悪習慣」が肌身に染み付いてしまっている。小悪の根源は一体何だろう。根は深いかも知れない。