949.2009年12月18日(金) 今年度駒沢大学公開講座終了

 駒沢大学の最終2時限の講座があり、特にいつも考えさせられる清田義昭講師の「出版周辺」の授業ではビデオ放映はなく、過去30年の出版物の販売傾向と今年度の出版界10大ニュースについて話をされた。

 前者については、1976年から2008年までの出版点数と出版実売総金額、返品率について表を示して説明されたが、76年には販売金額が1兆円だったのが、ピーク時の96年には2兆7千億円にまで達した。それが08年には2兆円をやっと超えるところまで落ち、恐らく今年度は2兆円を割り込むだろうと悲観的な予測をされた。特に雑誌類の落ち込みが激しい。

 その原因のひとつとして、週刊誌等の取材に個人情報保護法施行、プライバシー侵害に対する訴訟問題等があると指摘されていた。個人的な事件やスキャンダルについて、取材側が突っ込んで記事に出来ないことが、興味を薄れさせ週刊誌等の売れ行き不振につながっている。かつての「チャタレイ夫人の恋人」「愛のコリーダ」の猥褻裁判騒ぎも時間が経つと、実際には容認されたかのように世間であまり騒がれなくなる。どこまで取材して書くか、この辺りのせめぎあいが勝負になると話された。

 後者については時間がなくあまり詳しく説明されなかったが、どんなニュースが話題になったのかと気になった。いただいた「出版ニュース」12月下旬号にその10項目が載っている。

 上位3つは、①「1Q84」224万部、発売前の予約でベストセラーに、②出版業界の再編加速、大日本印刷の主導で、③グーグル検索和解問題で論議、日本は対象外に、となっている。やはり、村上春樹は圧倒的である。ゼミの池田くんの務めている大日本印刷の出版業界における存在感も迫力がある。

 終ってから前回の授業で話があった懇親会ということになった。お世話役の女性が下見まで済ませて近くの居酒屋に予約をしておいてくれた。事務局の宮本女史にまで声をかけて参加させてくれた。彼女は調布市の自宅から毎日50分かけて自転車で通っているという。現役学生はひとりしか参加しなかったが、9人が参加して出版業界の内情や、清田講師の経歴なども聞かせてもらって懇親の実を深めることができた。清田講師は出版業界では、著名の方でマス・メディアにもしばしば登場される。元々宗教家だったが、「出版ニュース社」社長に就任して、16年目だそうだ。現在66歳だが、今の職業をやってきてまったく悔いはないと自信を込めて仰っていた。

 清田講師は後期から担当したので、前期担当の柴野京子講師と話し合いしながら、授業を進めてきたと話しておられた。これまで社会的な問題のビデオを放映してきたが、それが受講生に良かったのかどうかという点について、しきりに気にされていた。それほど気にされることはないと思うのだが・・・。個人的に私も尋ねられたが、私にとっては貴重なビデオを観ることが出来たし、改めて社会的な問題について関心を新たにしたので、授業としては良かったと思っている。カリキュラムの内容については、担当講師が検討されてご自分なりに思うようにやられればそれで良いのではないかと思う。

 千葉県職員の不正経理事件が明るみに出てからかなりの時間が経つが、総額30億円という巨額の不正事件に、在任中の責任を追及されかかっていた堂本暁子・前知事はいずれ自分の態度もはっきりさせねばいけないだろうと直後の記者会見で他人事のように語っていたが、その後何ら明確な対応もしなかった。どうなったのか、最も責任を負うべき立場の人間が逃げ回っているのではないかと疑っていたが、今日処分が発表され、新たに見つかった不正分を含めて、何と2,245人もの職員に処分を行った。その中に前知事に対する返還金も公表され、千葉県は前知事に対して1千万円を請求することになった。

 杜撰というかお粗末な経理処理である。最高責任者の知事が知らん顔でやり過ごそうとしていたところ、運悪く?見つかってしまった。当然の報いであるが、堂本氏の同義的責任は重い。こういうみっともない事件はなくしてもらわないと納税者は溜まったものではない。

2009年12月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

948.2009年12月17日(木) 「知の現場」見本を手に感激

 日本列島は寒気が押し寄せ、とりわけ日本海側は大雪が降っている。妻が新潟市内に住んでいる次男にメールしたところ、雪国・新潟でも近年にない大雪に驚いていると返信があった。更に普段は車なら20分ほどで会社へ到着するのに今日は2時間もかかったそうだ。地球温暖化とは直接関連していないが、そのためCOP15へ出席のため今日鳩山首相はコペンハーゲンへ出発した。

 そのCOP15もぐじゃぐじゃになって、先進国と途上国の対立が解けず、そこへ中国の存在が要らぬ対立を煽ることとなり、会議は暗礁に乗り上げ決裂寸前である。日本の突出した排気ガス削減と途上国への支援額供出が、圧倒的な数値であるにも関わらず、全面的に必ずしも好意的に捉えられているわけではない。これまでの交渉過程があまり評価されていない印象を受ける。いつもながらわが国は損な役回りをさせられている。

 最大の二酸化炭素排出国であるアメリカと中国が前向きの提案を出そうとしないことが、出席国の不信感を呼んでいる。ここで鳩山首相がどういう提案をするのか。9月に国連総会で二酸化炭素ガス25%削減を公表して喝采を浴びたが、各国は改めて首相の説得力のある提案を待ち望んでいる。果たして首相はそれに応えることが出来るか。

 今日東洋経済新報社の中村さんから、出来上がった「知の現場」を送ってこられた。ぱらぱらっとめくっただけだが、中々良いのではないかと感じた。表紙のデザインも洒落た感じがするし、内容も充実しているので、獲らぬ狸だったが結構売れそうな気がする。プロジェクト・メンバーとしてはやっと肩の荷が下りたような気持ちである。出版社としても宣伝・広告に積極的に取り組んでもらえるようだ。早速広告を発売日の翌25日に朝日に、来年1月4日には日経に載せてくれると聞いた。

 共著というのは初めてのことだったが、率直に言ってやはり難しいと感じることがある。その最大の原因はメンバーの年齢差が大き過ぎることだろう。お互いに遠慮している感じだし、年齢に最大で40歳近い差があると時代感覚が異なるので、考え方も違うし、合意するのが難しいと感じた。

 来年は先日打ち合わせしたばかりの共著を完成させなければいけないが、これは年齢差があまりないし、元々観光に関わってきた人ばかりで編集し、執筆するので、それほど違和感はないと思う。

 しかし、出来上がった新刊書を前にして、苦労が報われたと感じる。やっぱりやってみて良かったとしみじみ思う。成果を形として見ることが出来るのは、張り合いのあることだ。これからも出版については前向きに取り組んで行きたいと思う。

2009年12月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

947.2009年12月16日(水) 普天間基地移設の結論を早く

 案の定昨日鳩山政権が沖縄普天間米軍基地移設問題の結論を先送りしたことが、各方面に波紋を呼んでいる。最も困惑しているのが、当の沖縄県である。問題が先送りされ、そのうえこの先の結論がどうなるのか宙ぶらりんの状態でどこへ不満をぶちまけたら良いのか分からない。いずれ結論が出された時に、もしアメリカが望む現状維持、つまり普天間移設せず、とでもなったら普天間基地周辺では暴動が起きるかも知れない。

 一方、アメリカ政府や軍では、先送りの結論がどうしても納得できない。11月に首相がオバマ大統領と会見の際、首相が‘PLEASE TRUST ME’と大統領に約束したことが、アメリカの望む通りやるから任せてくれと理解されている。ところがアメリカが最も憂慮していた結論の先送りとなった。約束が違うのではないかという風に受け取られている。早速コンウェイ海兵隊総司令官が、米軍再編計画が遅れると懸念を示した。

 ひとり悦に入っているのは、社民党委員長で少子化担当相である福島瑞穂氏である。福島大臣は、県外移設を目指すと沖縄県仲井真知事と話し合っていたが、これも少し軽いのではないかと心配である。今の様子では県外移設、或いは海外移設の可能性はどのくらいあるのか。福島談話が県外移設のムードだけ盛り上げて、実際に可能性が消えた場合、自分は力を尽くしたが、民主党がアメリカに押し切られたという都合の良い論理にすり替えるのではないか。ちょっと気になる。

 とにかく先送りで山は越えたのではなく、益々追い詰められているという厳しい現状を民主党は直視して、充分心して真剣に取り組んでもらいたい。

 さて、今年も残すところあと半月となった。少し遅れたが、海外の知人・友人にクリスマス・カードを11通送った。以前現役のころは、毎年30通ほど送っていたが、仕事を離れると縁も徐々に切れて今連絡を取っているのは、親しい友人ばかりである。郵送先国がばらばらで郵便局員が目をぱちくりしていた。因みにアメリカ、ブラジル、ビルマ、スイス、ベルギー、イタリア、セルビアの7ヶ国へ宛てたものである。

 恒例の年賀状もぼちぼち書き出した。今年は年賀欠礼のハガキを30通以上もいただいている。親しかった人の家族からいただいたハガキを見ていると寂しい気持ちに捉われる。これも世の習いであるが、虚しい。年賀状は700枚購入したが、これから毎日少しずつ気持ちを込めて宛名書きをしようと思っている。

2009年12月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

946.2009年12月15日(火) 鳩山内閣の危なっかしい綱渡り

 このところ連日報道されている沖縄の普天間米軍基地移設問題が、とりあえず結論先延ばしということになった。アメリカという日米同盟の相手国との外交交渉がその先にあるだけに、日本だけの都合で落着というわけにはいかない。加えて基地のある沖縄県の事情もある。

 最大の問題は、スタートから関係筋それぞれの思惑にずれがあったことである。当初は現在の普天間基地を名護市の辺野古沖キャンプ・シュワーブへ移設することは日米間で合意していた。同時に、沖縄の米軍海兵隊員8,000人のグアム移転も決まっていた。にも拘らず、民主党は先の総選挙のマニフェストに、普天間は海外移設、少なくとも県外移設すると約束した。この約束実行について、鳩山民主党は事前にどの程度の自信があったのだろうか。それほどの成算はなかったのではないか。新政権発足後慌てて実行策を立てたような気がする。それは、海外・県外移設を前提に、あれもこれもとアイディアを練った。連立を組んだ国民新党と社民党からも、マニフェストの実行を責められ、結局可能性はどんどん狭められ行き詰ってしまった。それが今日の結論先延ばしではないか。

 しかし、この先延ばしだって極力早い結論を求められている。アメリカにしても辺野古への移設を前提に海兵隊を移動させる計画が狂うことで、来年度の連邦政府予算に移転費用を組み込めるかどうかの判断を迫られているらしい。アメリカから不信感を持たれ、現行の移設案以外は考えられないとまで言われ、挙句の果てには日米同盟にひびが入りかねないとまで言われている。

 この無様な国内対応と対外折衝は、鳩山政権のあやふやな政治哲学と決断力の欠如と言われても仕方あるまい。この行き着く先はどうなるのか。まさに鳩山首相と民主党にとって正念場である。

 鳩山政権が抱える新たな問題も浮上した。来日した中国の習近平・国家副主席が今日天皇陛下と会見したが、その決定に至る不透明な経緯が物議を醸している。天皇との接見には、少なくとも会見の1ヶ月前までに宮内庁に伺いを立てるしきたりになっているが、習副主席のケースはその後の申し出だった。それが、会見可能となった背景に、鳩山首相からぜひにとの希望が平野官房長官を通して宮内庁へ伝えられた。一旦は無理と見られた話がこれによって復活し、この経緯を不満に感じた羽毛田宮内庁長官が記者会見で不快感を表明した。

 この後がぐにゃぐにゃである。皇室の政治利用ではないかとメディアは喧しい。背後に小沢幹事長の強引なねじ込みがあったと噂されたが、小沢氏はむしろ羽毛田長官を憲法論まで持ち出し、内閣が決めたことを一役人が批判したと烈火の如く怒った。

 しかし、小沢氏の憲法論は根拠が薄いし、国民を納得させない。本人は復活に圧力をかけたことは否定しているが、直前に650人を引き連れ中国へ乗り込んで胡錦寿国家主席ら中国首脳陣と会談していた状況を考えると、小沢氏が会見を請け負った可能性は充分考えられる。真実は分からないが、天皇会見は政治主導でとか、宮内庁の専権事項などという問題ではなく、公平に考えても民主党のやり方に小沢氏の力が影響していると考えるのが普通ではないか。もし仮にそうだとするなら小沢氏は少々思いあがっていないだろうか。

 鳩山首相もこういう問題で躓いていると、内閣も倒産してしまう恐れがある。

2009年12月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

945.2009年12月14日(月) 経済学者ポール・サミュエルソン教授亡くなる。

 今日12月14日と言えば、元禄年間「忠臣蔵」吉良邸討ち入りの日である。当時は旧暦だったから今とは季節もずれていたが、それでも昔は映画でも、芝居でも12月と言えば「忠臣蔵」、或いは「赤穂浪士」の話題でもちきりだったものだ。ところが、今では古いものはどんどん忘れ去られる傾向にある。

 古いと言えば、MIT(マサチューセッツ工科大学)のポール・サミュエルソン名誉教授が亡くなられた。享年94歳である。「知の巨人」とも呼ばれたが、最近は高齢でもあり、あまり表舞台に立つことは少なかった。しかし、何と言っても20世紀を代表する経済学者であり、ノーベル経済学賞受賞者である。私自身大学経済学部に入った時、経済原論はこのサミュエルソン教授の「ECONOMICS」(経済学)を通して学ぶと聞いて、こんな難しい原書を教養課程の必修科目で使用するのかと最初はぞっとしたことを思い出す。朝日夕刊には「1948年に初版が発行された著書『経済学』は半世紀近くに亘って、経済を学ぶ学生の教科書の定番だった。日本語をはじめ約40の言語に翻訳され、これまでに約400万部が売れる世界的なベストセラーとなっている」と紹介されている。

 久しぶりに本棚から「経済学」を取り出して見てみると行間にかなり鉛筆で書き込みがしてある。しかし、古くはなっているが、印刷の色も当時のままだし、装丁も崩れていない。810頁のハードカバーが懐かしい。アジアの学生向き編集としてあって、マグロウーヒル社から向学社がパテントを獲得してアジア地域の学生のために日本で印刷したものである。私が所有しているのは、1958年発行第5版で裏表紙にアジアで販売されるすべての国名が書いてある、と同時に北米、中欧、イギリス、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドには再輸入禁止としてあることが面白い。

 教養課程の頃は、まだ経済学の本質が良く分からず、原書で読むことに苦戦した。翻訳本がなく、岩波書店から都留重人・一橋大教授の日本語訳が出版されたのが、すでに会社へ務めていた1966年で、早速購入した。因みに当時上巻は512頁の箱入りハードカバーで900円だった。翌年下巻が出版されたが、これは1212頁で1,100円だった。いずれもずしりとくる重量感のある書物だった。

 原書と日本語翻訳書のサイズが同じで、頁数は日本語がちょうど2倍もあるというのは日本語にはムダが多く、説明が多すぎるということなのか。

 しかし、原論とは言え、結構難しかった。私自身経済学部の学生としては、どちらかと言えばサミュエルソン教授の近代経済学というより、マルクス経済学へ関心が行き、あまりサミュエルソン教授さまさまとは行かなかったが、いずれにしても思い出は尽きない。そのサミュエルソン教授も逝った。学生時代は遠くなりにけりである。

 先日JN協会白澤照雄事務局長から電話があり、今日JN協会が発行する新刊書の最初の打ち合わせをするというので、海事センター会長室へお邪魔する。JN協会松尾道彦理事長、副理事長のJR東海相談役・須田寛氏、白澤事務局長と私の4人で、編集方針や目標などについて話し合った。何となく漠然としているが、私の担当する「観光」については、具体的な目次、或いは見出しをつけてもらうということで納得した。そうでないとあまりにもフィールドが広過ぎて、まとめようがない。まだまだ何度も打ち合わせをしないといけないと考えている。 その後松尾理事長に麹町の洒落たお店で食事をご馳走になる。4人でフリートーキングをしたが、須田さんの話題の豊富なこと、特に役人と政治家の経歴に詳しいのには驚いた。もうひとつの驚きは、今をときめく?亀井静香・郵政金融担当相が運輸大臣だった、当時の運輸事務次官が松尾理事長だったとは2度びっくりである。

2009年12月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

944.2009年12月13日(日) 現代人は本を読まなくなったのか。

 最近出版に関する話題に事欠かない。

 そのひとつが、朝の朝日1面に今年1年間の書籍・雑誌の推定販売金額が2兆円を割り込むことが確実になったとの出版科学研究所の分析が紹介されていた。1996年のピーク時から年々下がりっぱなしである。4日(金)のNHK「ニュース7」で駒沢大・清田昭義講師が「出版ニュース社」の編集者として今年の出版界の傾向についてインタビューに応えておられたが、どうも出版界はぱっとしない。村上春樹の「1Q84」だけが突出して売れ、全体として雑誌の売れ行きが減少傾向にあるようだ。雑誌で名前だけでも知っている「就職ジャーナル」「英語青年」「諸君!」「マリ・クレール」等を含めて10月発刊までで170誌が休刊だというからその数の多さには驚いた。

 同時に、朝日には専門的な三島由紀夫の研究文献総覧も紹介されていた。「三島由紀夫研究文献総覧」で、実はこれは清田講師の会社が刊行したもので、貴重な三島に関する研究を続けている神田の古書店主・山口基氏の資料をまとめたもので、分厚い790頁の大作で価格も1万500円で、限定500部だそうである。三島研究に事欠かない資料が網羅されているようなので、実は先日友人の呉忠士くんが生前三島から父親・呉茂一先生へ宛てた直筆文をメールで送ってくれたので、一昨日の講義の後、そのコピーを清田講師へ差し上げた。じっくり目を通されて、この文字は三島のものですと言って喜んでおられたので、研究家にとっては涙の出るような貴重な資料になるだろうと思う。来週は講義の後、清田講師を囲んで忘年会を行うので、この話題についてゆっくり話してみたいと思う。

 日経朝刊「文化」欄を読んでいて、作家で翻訳家でもある常盤新平氏のエッセイに島崎藤村の「破戒」を中学2年生の冬に読んだとの件がある。私は2年生の秋だった。やはり同じころに読んでいたのだと思うと、失礼ながら同志や同級生のような気になる。あの当時読んでいて「エタ」という部落民の存在が理解できず、意味が分からないまま何か特殊な人たちではないかなどと思いをめぐらせていた。あまりにも印象が強烈で社会性を含んでいたせいか、子ども心には些か刺激が強かったのではないかと思っている。しかし、そのお陰で「破戒」は、今でも愛読書のひとつとなっている。

 不思議な連鎖と言おうか、常盤氏のエッセイの下段に歌人・小池光氏が「蜘蛛」というエッセイを書いておられるが、蜘蛛というあまり好かれない奇怪な生き物に関した短文のエッセイで、これが中々面白い。芥川の短編「蜘蛛の糸」にまつわるもので、「カンダタ」がお釈迦さまに糸を切られ地獄へ落ちていく象徴的なシーンが有名だが、小学校6年生の頃担任の湯浅和先生がよく読んでくれ、そのお陰でクラスのほとんどがストーリーを覚えてしまったことが懐かしく思い出される。その時は、主人公は「カンガタ」ではなく、「蜘蛛の甚十郎」と呼ばれていたような記憶がある。

 やはり名作を若い頃に脳裏に刻むことは、後々想い出になったり何かの折に役立つがある。

 朝日「声」欄にこんな記事もあった。77歳の都内に住む方の投書「忘れてはいけない12月8日」である。「もはや12月8日は忘れられ、大きな意味を持たない日になって来たのか。それだけ平和になったわけなのだろうか。それが本当の平和を希求する日本国民の平和認識と見て良いだろうか。何かさびしい1日だった」とある。

 言わないこっちゃない。戦争を知っている世代の人たちにとっては、最近のマス・メディアが開戦記念日について何も報道しないことが不満なのだ。

2009年12月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

943.2009年12月12日(土) ライトアップされた原宿・表参道の賑わい

 原宿の表参道にある元同潤会アパートが「オモテサンドウ・ヒルズ」となって、東京の新名所のひとつになった。その表参道が最近夜になると並木をライトアップして注目を集めている。以前にもライトアップしていたが、11年前に電気のムダ、環境問題から中止した。それがどういう主旨でどんな要望があったのか、今年再びライトアップされ夜になると賑わっているとメディアが騒いでいたので、お上りさんよろしく妻と夜景見物に出かけた。

 土曜の夕べということもあり、JR原宿駅はプラットフォームから混雑していて入場者を制限して、下車客をさばいていた。話題の通りは黒山の人で前へ進むのも一苦労である。これが、公衆道路だからこの辺りの生活者にとっては随分ハタ迷惑なことだろう。表参道の両サイドのライトアップされた夜景は楽しむことが出来たが、ほとんどが若い人たちだった。話題の「オモテサンドウ・ヒルズ」の内部に入って洒落たショップをウィンドウ・ショッピングして見たが、この内部もすごい人混みだった。高級ブティックが並んでいて、これではリッチでないと楽しめないのではないかと感じた。

 路地に入り込んだら道が分からなくなり、タクシーに乗ったところドライバーが、ライトアップして道路が混んで、ゴミが散らかり良いことはまったくないとこぼしていた。どうしてこんなものを復活したのかと大分ご不満の様子だった。聞けば、商店会もそれほど売り上げが上がるわけではなく、町内は汚され、なぜライトアップ復活に賛同したのか分からないと、車を降りるまでぶつぶつ言っていた。車の渋滞の様子を見ていると何となく分かるような気がした。まあ私には話のタネにはなった。

 それよりシャクに触ったのは、東横線に乗った時、幌を被った車両の連結部分で小さい女の子が2人遊んでいて危ないので、そこから離れるように注意したら、何と傍に父親が黙って立っていた。一旦その場を離れた子どもが、再び同じ危険箇所に入り込んでも父親は頑として黙っている。呆れ果ててもう注意するのを止めたが、こどもが危険に晒されても無関心で、他人から注意されても知らん顔をしているのに出くわして、いよいよ世も末だと思った。周りを見たら周囲のシルバー・シートはみんな私より若そうな乗客に占領されていた。もう思いやりとか、親切心、常識とかを持たない連中が大きな顔をする世の中になってしまったのだ。こういう連中は年老いた時、自分たちは誰からも助けを必要としないとでも思っているのだろうか。

 昔に比べて嫌な奴がふえてきたなぁ。まったく不愉快である。

2009年12月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

942.2009年12月11日(金) 三井三池闘争を想う。

 今日の駒沢大清田義昭講師の講座は、映画「三池-終らない‘炭鉱’の物語」DVDで鑑賞しながら話し合うことだった。2007年日本ジャーナリスト大賞を獲った作品である。女性監督の熊谷博子が三井三池で7年間に亘って克明に取材したドキュメントで、中々の力作だと感じた。

 三井三池闘争と言えば、ちょうど60年安保闘争と同じ年に日本を東と西に分けて闘われた大きな社会事件だった。われわれ学生は、安保闘争に夢中で繰り返しデモを行っていたが、三井三池にも関心がなかったわけではなかった。「総資本と総労働の対決」と言われて三池を支援する労働団体が全国から駆けつけたので、デモは大きく広がり連日メディアで報道された。指名解雇を打ち出した会社側とこれに反対する三池労組が対立し、乱闘騒ぎになり、その渦中で死者も出た。労組の精神的支柱だった向坂逸郎・九大教授が、思想面で組合を支えた。その当時法政大学で向坂教授の講義を聴きに行き、冴えているなあと感銘を受けた覚えがある。

 問題は2つあった。ひとつは、会社側が第二組合と呼ばれる新労組の結成を画策して組合の分裂を図ったことである。2つ目は、1963年に炭鉱内で爆発事故が発生して、458人もの死者を出し、助かった人の中にも炭塵災害による2次災害が発生したことである。

 この2つが後々まで尾を引いた。三井鉱山会社は手に負えなくなり、国が介入するようになった。同じ炭住街に住む隣人を仲たがいさせるような結果と、後遺症に悩まされる人たちが家族を含めて相当数発生して、被害家族が長きに亘って苦しみ、結果的にCO特別立法の成立にまで突き進んだことである。

 それにしても闘争を支えた原動力は、驚くべきことに主婦連合の忍耐力とネットワークにあった。特に、炭住街に三池労組の主婦連が結成され、炭鉱婦人協議会なるものが成立した。1960年2月には、三池主婦会総決起大会を開催し、国会へ特別立法を働きかけるまでになった。最終的に、不十分ながらも国から炭鉱事故被害者への補償金を勝ち取った。

 この一連の動きを見てみると、明らかに時代の差を感じる。同業者が一体感を持って目的へ向け意思統一を図りながら邁進していく。この運動の進め方は最近では見られないものだ。また、総資本と総労働の対決のように、労働側は必死になって一丸となって情熱を抱いて闘っていた。

 いずれも現代では残念ながらもう見られないものだ。これが今日「醒めている」「自分に関係ないものには関与しない」「ひとつのことに情熱をかけることはない」「夢を描かない」等々と云われる現代の若者とは大きく異なる。

 久しぶりに1960年代の国民的な社会運動を懐かしく感じることが出来た。

2009年12月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

941.2009年12月10日(木) 国会議員なら脱税しても軽く済まされるのか。

 「知の現場」の宣伝チラシがプロジェクト・マネージャーを経由して送られてきたので、私なりのPR文を付けて早速知人や友人にメールで送信したところ、間髪を入れず本命のチラシではなく、私が最近の鳩山政権の迷走ぶりを非難したブログについて、フロリダ州マイアミ市在住の鹿住一夫さんと仰る方から「アメリカから見ていても、どうもリーダーシップに欠けるように思われます。連立政権の弱みかも知れませんが、社会党、国民新党の言い分を重視し過ぎていて、議員数では圧倒的に勝る民主党としての主張が希薄のように見えてなりません。また偽装献金問題にしても、かつての野党の党首時代に『秘書の犯罪は議員も同罪』と繰り返していたのが、今では『母親から送金を受けていたことを自分は知らなかった』で逃げている。こんな大金が動いていて本人が知らないはずはありません」とのメールをいただいた。まったくその通りである。長い間アメリカでご苦労されておられる市井人だけに、反って日本の混乱ぶりがニュートラルに見えるのだろう。

 ゼミの後輩のひとりからもメールをもらった。彼は幾分民主党に理解があって、政権を取って間もない民主党は充分体制が整っていないので、明治維新時に明治政府が体制作りに時間がかかったことを例に挙げ、もう少し時間をかけて見てみたいとのメールをもらった。まあそれも分からないわけではないが、今回の迷走ぶりは、そういう安定基盤に時間がかかるという問題ではなく、信念の問題である。まして外交問題、特に対米同盟、それも火急的な基地移設という重要課題が絡んでいるので、そうのんびり待っているわけにも行くまい。鳩山政権の腰が定まらない迷走の最大の原因は、一にかかって鳩山首相自身に政権運営の哲学と信念が欠けているからに他ならない。

 大体母親から9億円にものぼる巨額の贈与を受けていながら、知らぬ存ぜぬで罪を秘書に押し付けて、挙句の果ては母親からの資金であることが判明するや、検察の解明を待って法律に則り対処したいなどと誰も信用しないような言い草で時間稼ぎをしている。法律を犯した本人が、一旦ばれるや法律に則って適正に対応するなどという図々しい発想はどこから出てくるのだ。まるで盗人猛々しい鉄面皮ではないか。同じように母親から9億円の資金供与を受けていたことが判明した弟の鳩山邦夫・元総務相のごときは、得意気に(脱税していた)贈与税を納めると言い出し、兄の首相へ白状した方が良いようなニュアンスの発言をしている。反って潔いなどと見当違いで次元の低い持ち上げ方をするメディアまで出る始末である。

 どっちにしろ、兄弟ふたりして巨額脱税行為をやっておいて、ばれたから納税しますとの論理は、一般市民の感覚ではとても理解出来ない。もう少し自分の身を潔白にして議員活動が出来ないものか。

 民主党が民主党なら、邦夫議員のほかにも自民党は脱税議員が多士済々?である。負けずに脱税行為をやっていた二階・前国交相の悪質な政治資金規正法違反も秘書を略式起訴かなんかでお茶を濁し、議員本人は逃げ切るつもりのようだ。部下に罪を被せて放ったらかしにする「先生」ばかりだ。少しは軍神廣瀬武夫・海軍中佐の部下・杉野孫七兵曹長を思う気持ちを見習ったらどうか。国会議員というのは、悪事をするために議員になったのではないかと皮肉のひとつも言いたくなる。

2009年12月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

940.2009 年12月9日(水) 日米両政府は普天間基地問題を解決する気があるのか。

 このところ政治が動いていないように思える。沖縄普天間基地移設問題は袋小路に入り込んだかの感がある。政権内部でも、鳩山首相は持論を述べず、リーダーシップを発揮せずの他人任せであり、岡田外相、北沢防衛相、福島少子化担当相らはばらばらに持論を述べている。沖縄の仲井真知事は当然地元の考え方を主張している。

 アメリカが痺れを切らして、日米同盟が危ういような発言をしていたが、日米高官の発言が沖縄住民の気持ちをすっぽりと見落としていることが問題だ。これまでの日本側の準備や手順も悪かったが、アメリカにも沖縄、日本を軽視する考えがあることは事実だ。アメリカは大体安保条約がある以上基地使用は当然という言い方をしているが、一体どこの国の土地の使用問題かという点にまったく配慮が足りない。日本もその点を強調するのではなく、説明して分からせる努力が必要なのではないか。

 今日アメリカから伝えられた一高官の「このままCOP15で両国首脳が会うことは、オバマ大統領の時間の浪費だ」の傲岸不遜な発言に至っては、相手の気持ちを慮る姿勢がまったく感じられない。まるでこちらの言い分を認めなかったらもう相手にしないとでも言っているようなものだ。もし、こういう傲慢な意見がアメリカ政府内部に他にもあるとするなら、相当覚悟して日米関係を基礎から構築し直すことが必要である。

  そもそもどうしてこんな相互不信の状態になってしまったのか。岡田外相の言動を見ていても、虚虚実実のかけひきをあまりやった経験がないと分かる。外交下手なのだ。いつも義務のように巨額の拠出金ばかり負わされる日本の外交下手は、日本人の消極性、へりくだりや、謙虚さに負うところもあるが、外交官が現場レベルで丁々発止と渡り合う訓練と度量が足りないからだ。これから普天間基地問題はどうなるか。このままで良いわけはないので、どういう動きをするのか、当分目を離せない。

 昨日からコペンハーゲンで気候温暖化に伴う地球環境について、2012年に失効する京都議定書後の取り決めを話し合うCOP15なる会議が始まった。世界中から190ヶ国、15,000人が集まった。110ヶ国から首脳もやって来るそうだ。オバマ大統領も出席するという。最近の情勢では途上国が強気で意見がまとまりそうもない。そのカギを握るのは、やはり中国だろう。8日間の間に結論は出そうもない。政治声明を発表して、今後解決へ向けて話し合いを進めていこうとのスタンスを見せるだけのものだろう。国際交渉の舞台でもメリハリの利いた論理的な欧米流儀から段々日本的曖昧さが表に出るようになってきた。この傾向は世界を益々停滞させることにつながるのではないか。

 余計な話だが、このCOPというのは何を意味しているのだろうかと考えたら、COPENHAGENの略字ではなく、‘The Conference of the Parties’を略したもので、日本語では「第15回国連機構変動枠組み条約締約国会議」というのだそうだ。英語は簡単過ぎてよく分からない。一方で、この日本語は分かることは分かるが、少々長過ぎないか。これなら大幅に詰めて今流行の簡略語にしてみたらどうか。「カラマーゾフの兄弟」を不見識にも「カラキョー」とやったように。

 9月から受講していた多摩美術大学の生涯学習講座「世界の都市を歩く」も今日が最終日で、ターゲットはチュニジアだった。これまでヨーロッパとメキシコだったが、ちょっと珍しいテーマだと思う。しかし、建築と音楽を紹介してくれて結構面白かった。終って修了証書をいただいた。

2009年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com