国、地方を問わず、政治の世界に携わる者は、どうしてウソを公然とつき、暴露されて迷惑をかけても悪かったと反省の言葉も語らないのだろうか。歴代の首相の中にも公然とウソをついた首相がいるが、自分自身にその反動が跳ね返ってくるならともかくとして、国民にその責任をかぶせるような言動をとるのは、よほど人間性に問題があるとしか思えない。そういう人物にはその地位に留まって欲しくないものだ。首相就任前の高市首相は、当時石破首相が消費税減税に慎重な姿勢を示したことに対して、「賃上げのメリットを享受出来ない人々には減税し、食の消費税率0%にすべきだ」と厳しく反論していたものだ。ところが、首相の職に就くや、一転して衆議院本会議で否定的な見解を示した。これには、立憲民主党の実力者、小澤一郎議員も「総理になった途端、この始末だ」と噛みついた。自民党内に消費税0%とすることに反対が多かったようだが、そういう空気も感じないで、国民に受けの好い発言をしていて首相の地位に就くやその逆の発言をするとは何たることだ!
この高市ウソ発言は、鳩山由紀夫元首相の前科と同じようなものだ。首相在任中に米軍普天間基地が現在着々と進んでいる辺野古への飛行場移設について、2009年の衆議院総選挙中に、移設先は最低でも(沖縄県内ではなく)県外と発言したが、当時からあまり信用されていなかった元首相は、自らの発言が空疎なものとなり、さっさと首相を辞めて、以後これに関する発言を一切していない。選挙中に沖縄県民に受ける発言をして、その責任を取らない無能首相の無責任な発言だった。
次元はまったく異なるが、地方自治体の政治、選挙にも無責任な言動が多い。昨日NHK党の立花孝志党首が兵庫県警に逮捕された。昨年来の斎藤元彦兵庫県知事の辞職、再選挙の過程で自死した兵庫元県議に対する誹謗中傷が名誉棄損に当たるとして逮捕されたものである。市町村レベルに下げると、昨日行われた沖縄南城市市議会で、セクハラの不信任案を提出された古謝景春市長は、圧倒的な賛成により失職の公算が大きくなった。南城市は、先月末に学歴詐称などの一連の不祥事で失職が決まった静岡県伊東市と同じように市長不在の状態となる。他にも群馬県前橋市長の市の幹部とのラブホテル密会が問題となっている。現時点では宙ぶらりんの状態である。どうして身を律することが出来ないのだろうか。
昨日の自治体首長選挙で意外な結果と、驚いたことがある。それは、現職、新人の2人が立候補した茨城県神栖市長選で投開票の結果、何と同数だったのである。3期目を目指した現職市長と新人の一騎打ちになったが、開票の結果、いずれも16,724票を獲得し、公職選挙法に基づきくじ引きを行った結果、新人が勝った。こんなことは、国内のいかなる選挙でも初めての事例であり、くじ引きで敗れた前市長は納得出来ず、開票結果の再集計を求めたいと述べている。そもそも2005年に合併して誕生した市であるが、7万6千人の有権者にはそれほど関心がなかったようで、44.22%の投票率は過去最低だった。他にも昨日はすでに4期務めていた広島県知事選では、農水省役人から富山県副知事、そして今年4月に広島県副知事を務めた横田美香氏が、現女性知事としては全国で3人の知事のひとりとなった。これもよそ者の横田氏が副知事就任後半年で、自民、立憲、国民、公明党により推薦を得たことには、首を傾げるところである。地元民が知らない知事を選んだことになる。これも政界の駆け引きだろう。
とにかく政治的な権限を揮える国や自治体の長になれば、かなり自由に思い切ったことが出来る。だが、順風満帆といくかどうかは、あくまで本人のやる気と力量次第である。