5750.2023年5月19日(金) いよいよG7広島サミット開幕

 今日主要7か国首脳会議(G7広島サミット)が3日間の予定で始まった。数日前から会場周辺の警戒が厳重となり、一部の道路が封鎖されたり、一時店舗は閉店せざるを得なくなったり、広島市民にはそれなりの影響が及んでいる。

 今日首脳らは会議前に岸田首相夫妻の出迎えを受けて平和記念資料館を40分間視察訪問した。広島出身の岸田首相の思い入れが強く、資料館見学も首相の気持ちの反映であるが、元々原爆投下国であるアメリカ国民の気持ちに罪の意識があるのかどうか、資料館内部でのメディアの取材は許されず非公開となった。首脳らはどの程度内部の展示資料を真剣に見ることが出来たのか不明である。バイデン大統領はアメリカの歴代大統領として広島を訪れるのは、オバマ大統領以来2人目である。バイデン氏は、広島へ来ること自体にあまり前向きではなかった。債務の上限問題で出発直前までもめていたこともあり、場合によってはG7サミットに出席せず、オンラインで参加するとも伝えられていたほどである。

 資料館視察後G7首脳、そしてパートナーがそれぞれ原爆慰霊碑へ献花した。そして新たなニュースが入った。ウクライナのゼレンスキー首相が明日来日することが決まったのである。

 今回のG7サミットでは、広島市内において開催されるだけに「核なき世界」へどう話を進めることが出来るか、米英仏の核保有国が参加しているだけに即効的な効果はあまり期待出来そうもない。昨日日米首脳会談を行った後、岸田首相は「核兵器のない世界に向けた力強いメッセージを発することについて緊密に連携していくことで一致した」と明らかにしたが、ロシアがウクライナへ侵攻を続け核の使用をちらつかせる中でどれほどの実効性があるのか、かなり疑問である。

 被爆者のひとりとして、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメンバーである広島生まれのサーロー節子さんが、縁戚でもある岸田首相の言葉が不可解であると批判している。首相就任時に「『核兵器のない世界』と言っていたが、軍事費を増大し、核抑止論に基づいた核政策を続けている」と指摘している。彼女は「広島、長崎で起きたことを再現するそんなことが人間として出来るのか」と手厳しい。果たしてG7は反核、禁核への姿勢をどれほど打ち出すことが出来るだろうか。

 さて、去る11日「怪童」と言われた元プロ野球西鉄ライオンズの中西太選手が亡くなっていたことが昨日公表された。高松一高時代から甲子園でも活躍し、母校湘南高校が甲子園初出場・初優勝を成し遂げた昭和24年夏の大会準決勝戦で、延長10回湘南のサヨナラ勝ちで決勝進出を阻まれた。その時の湘南には、1年生佐々木信也氏と2年生に脇村春夫・元高野連会長がおられたが、佐々木さんの活躍を記した拙著「南太平洋の剛腕投手」出版記念会で佐々木先輩から中西さんと準決勝で戦ったと伺った。享年90歳だった。合掌。

2023年5月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5749.2023年5月18日(木) 市川猿之助意識不明、父段四郎死亡

 お昼のニュースにはぎょっとした。歌舞伎役者の市川猿之助が自宅で意識のないまま病院へ緊急搬送されたという。そればかりではない。母親はすでに亡くなっていて、意識がない状態だった父親の4代目市川段四郎も病院へ搬送後死亡した。これは自宅内でガス漏れでもあったのではないかと思っていたところ、ガスは出回っておらず猿之助が書いた遺書らしきものが見つかったと伝えられて2度びっくりである。今日も明治座で公演の予定だったが、急遽公演はキャンセルされた。猿之助はこれまでにも歌舞伎役者の他にも映画俳優として名を成し、今や押しも押されもせぬ役者だった。それがどうして一家心中のような事件を引き起こすことになったのか、その原因と詳細はこれから分かることであろうが、猿之助は結構理屈っぽく上から目線で話す傾向があるので、恨みを買うことはあるかもしれないが、自ら自死の道を選ぶとは誰もが予想も出来ない複雑な事情があったのかも知れない。あまりにもドラマチックで度肝を抜くようなスリラー演劇もどきに愕然としている。

 さて、昨日中学時代の同級生が夫人ともどもクィーン・エリザベス号で台湾へクルージングに出かけていた旅先の台北から手紙を送ってくれた。クィーン・エリザベス号とは随分贅沢な船旅だと羨ましく思っていたところである。以前に送ってもらった航海スケジュールによると今月6日に横浜港を出て最初に台湾の基隆、花蓮へ寄った後、宮古島、那覇を経て15日に10日間の予定を終えて横浜港へ帰って来た筈である。9泊はすべて船内泊で、寄港地では観光を楽しんだようだ。今時間と金銭的余裕がある人の間では、船旅に人気があって、クルージングで旅を楽しむ人が増えている。私も今までに妻とエーゲ海のクルージングと神戸・横浜間の1泊2日の船旅を楽しみ、仕事上はストックホルムからヘルシンキまで豪華客船シリア・ラインに乗船したことがある。船上から眺める街々の風景は、車で訪れて眺める景色とは大分違う。心の底からゆったりした気分に浸れるのもクルージングの魅力だろう。

 実は、長らく海外旅行業務に関わっていたせいもあり、半世紀前は随分台湾にも出かけた。1970年前後に箱根湯本温泉組合が台北北投温泉組合との間で姉妹温泉協定が結ばれた時、湯本温泉組合の人たちとともに北投温泉へ同行して両温泉組合の協定に立ち会ったことがある。他にも東西横貫公路上では思いがけず目前で土砂崩壊に遭遇して花蓮へ舞い戻ったこともある。また、台中市郊外では偶々晩年の蒋介石元総統一行が休憩していた丘で出会ったこともある。あの富士山よりも高い新高山が望める阿里山にも列車で何度も訪れたことがある。いずれも台湾における懐かしい思い出である。今度彼と会った時には、話題がいっぱいである。

 コロナ渦が少し収まってインバウンド客が大分戻って来たそうだが、外国人の中で先月訪日客として一番多かったのは韓国人で、次いで台湾人観光客である。台湾の人たちは極めて親日的で、滞在して心温まることが多い。その点では、中国や韓国とは一味異なる。3月には、連れ合いを8年前に亡くした兄を気遣ってかつてエア・ホステスを務めていたことがある姪が、家族とともに兄を台湾へ案内したようだが、きっと台湾の人々の優しい心に触れて兄の心も和んだことだろう。

2023年5月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5748.2023年5月17日(水) 明治神宮外苑地区の再開発計画

 大分前から話題になり、一部でかなり強い反対意見が出ている明治神宮外苑地区の再開発事業が初期計画を若干修正したうえで、走り出している。実態が知られるにつれ反対意見が強まってきた。批判の声は、「景観が破壊される」と「公園が商業ビルに変わる」の反発からである。再開発の対象面積は東京ドームの3個分だというからかなりのスペースである。これは、土地所有者の明治神宮と開発業者三井不動産が進めるプロジェクトで、この計画により地主の明治神宮は賃貸料が手に入る。東京都はエリアを風致地区に指定しているが、実質的には口は挟むが、制限までは出来ないらしい。

 周辺の緑が少なくなることが懸念されているが、開発業者に依れば、高さ3m以上の樹木1904本の内、743本を伐採し837本を植樹するので緑地面積は、25%から30%に増えると説明している。問題は、これまで周辺にはなかった構想建造物が建築され、緑の空間が高層ビルに視界を遮られることだろう。

 学生時代に早慶戦の都度神宮球場に出かけては母校を応援していた。JR信濃町駅から緑の中を潜り抜け辿り着く球場へのアプローチは、一服の清涼剤だった。また、ラグビー観戦のために秩父宮ラグビー場へ通った散歩道も懐かしいものである。2020年オリンピック開催のために改築された国立競技場が完成するまでは、都条例によって建物の高さは15m以内とされていたが、特例的に高さ制限を80mに緩めた。一旦規則を突破すれば、次の手は簡単に出来る。最終的に再開発が出来上がるのは、2036年であるが、すでにいくつかの制限は撤廃されている。再開発エリアには、その隅に190m、185m、80m、60mの高層ビルが建ち、球場とラグビー場は場所を移転する。ラグビー場は高さ46mの屋根付きになる。今まであったスポーツ施設を極力中央部に集め、空いた敷地周辺に高層ビルを建設して、地代を稼ごうとの思惑であることは明白である。

 そもそも明治天皇と昭憲皇后を祀った神宮が、今では明治神宮の逞しい商魂により当時の姿が変わろうとしている。我々ラグビーに関わってきた者としては、雨、風の中でもプレイすることを求められていたが、人工芝のフィールドに屋根付きのグランドで風に左右されない試合は出来るが、肌に風を感じないラグビーなんてラグビーとは言えない。噂によると屋根を付けて近所に騒音被害をもたらすライブ・ショーなどを開催し易くして、極力会場使用料により安定した財政運営をしたいとの腹づもりのようだ。工事期間中の東京六大学野球や、ラグビーは別のグランドで行われるようだが、「仏造って魂入れず」にならなければ好いと願っている。

 今日は今年最高の暑さだった。岐阜県揖斐川市で全国最高の35.1℃を記録し、東京都内の最高気温は、31.6℃だった。この暑さでは、熱中症の恐れもあるので、恒例のウォーキングは大相撲中継が終わってやや涼しくなった時間にトライした。

 暑い最中にこのところ株価の上昇が続いていたが、今日日経平均株価の終値は、前日比250円高の30,093円だった。5日連続で値上がりし1年8か月ぶりに3万円台に乗せた。NYダウをはじめヨーロッパ、上海の市況は軒並み値を下げている中で、日本の証券市場の独り勝ちである。いつまで続くことやら心配でもある。

2023年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5747.2023年5月16日(火) HPとブログ、開設以来17年目に突入

 早いもので、このHPを開設してブログを書き始めてから今日で17年目に入った。あのころ生まれた子どもたちはすでに高校生になっている。自分自身でもよくやって来られたと思うのは、中学生時代に毎日日記を書いていたせいもありブログだけは1日も欠かさず書き続けようとの強い気持ちがあったからである。それは海外へ出かけていても同じだった。チベットで書いたブログを読んだ友人が、帰国後にその時チベットを旅している私を思い浮かべたと言ってくれた。臨場感を伝えられたのかなと思っている。昨日までで通算5746回になった。今後の目標としては夢のような1万回であるが、これはその時点で95歳になっているし、まだ11年以上も残っているので無理だろうから、当面は来年初めには達成できそうな6千回である。その後はまた考えたい。幸い書き始めてから新聞、雑誌、テレビの国際、社会面にそれまで以上に深くニュースを読み取るようになった。文章作成の勉強にもなっている。どこまでやれるか分からないが、好奇心を以て書ける内は書き続けていきたいと考えている。

 さて、一昨日行われたトルコ大統領選とタイの下院総選挙の最終結果が判明した。トルコでは戦前は反エルドアン大統領派が優勢と見られていたが、僅差でエルドアン大統領が1位を占め、予想では1位とされていた野党連合のクルチダルオール氏が2位に留まった。この結果、来る28日に両者で決選投票が行われるが、3位候補者の得票がどちらに流れるかによって勝負は決まるものと思われる。

 他方、タイの下院総選挙では、現職プラユット首相の票が伸びず、タクシン元首相の娘・ペートンタン氏がタイ貢献党党首として予想通り善戦したが、意外にもそれ以上に得票したのが42歳の前進党党首ピタ・リムジャラーンフット氏で500議席の内151議席を獲得し、141議席を獲得したペートンタン氏を上回った。2人合わせて292議席である。首相として選任されるには、上院250人の支援を得て、全体の過半数375議席以上を確保しなければならない。首相選出の焦点と条件は、ピタ氏とペートンタン氏が連立に合意できるかどうかという点と、軍の意気がかかっている上院議員の賛意をどの程度得られるかにかかっている。

 ところで、このところ物価の値上げが激しいが、今日政府は大手電力7社が申請している電気料金の値上げを了承し、6月分から電気料金が値上げされる。他の消費者物価は高くても10%前後であるが、この電力料金の値上げは7社まちまちで、一番低い東京電力の15.3%から最も高い北陸電力の39.7%まである。どうしてこれほど一気に値上げするのか、そしてこうも各社の格差があるのだろうか。家庭における電力消費量は馬鹿にならない。それがこれほどの値上げをされたのでは各家庭へしわ寄せされる電力料金はきついと思う。実は、これが決定される前に各社が提出した値上げ率はこれより大分高かった。あまりにも高額の値上げに政府も再検討を求めて再提出された値上げ案である。北陸電力は、43.4%から39.7%に下げた。しかし、東京電力の如きは、当初29.2%の値上げを申請したが、ほぼ半減され15.3%になった。些か真剣味に欠ける値上げ申請ではないかと思う。尤も電力各社はかなり長い間料金値上げを抑えてきた。そこへエネルギー価格の高騰により、とても耐えきれなくなった。例えば東京電力は前回値上げしたのは2012年で、その時の値上げ率は8.46%だった。その点を考えれば、ある程度やむを得ないとも言える。それにしても一般家庭における水道光熱費の負担は、何よりも家計に響くので、今回はやむを得ないにせよ、次回値上げは、せめて10年は我慢してもらいたいと思う。

2023年5月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5746.2023年5月15日(月) 5.15事件は近年なぜ報道されないのか?

 51年前の今日沖縄が日本に復帰した。大きなニュースとして全国的に報じられている。サッカーJリーグがスタートしたのも30年前の今日である。その一方で戦前の今日発生した大事件だった5.15事件については、メディアは例年通り一言の報道もしない。事件は世界恐慌の中で社会に不安が横溢し軍国化が進みつつあった1932年の今日発生したものである。海軍青年将校らが時の首相犬養毅を襲い殺害するという前代未聞の事件を、暴力否定の見地から、また保守政治の一つの転換点を迎えた事件としても当然報道して、国民に反右翼化志向をアピールする良い機会である。さもなくば、右翼的暴力志向が強まり、その挙句に時の首相を暗殺したことが、現在防衛費を増やし、右翼化傾向の自民党政権にとっては、この事件がクローズアップされることは好ましくないとの考えがあるのだろうか。それ故政府が何らかの方法でメディアが事件を取り上げないよう工作しているのではないかとつい勘繰りたくなる。

 事の是非はともかく、あれだけ大きな事件で、歴史の教科書でも教える事件について一言の報道もないというのは、メディアの怠慢ではないかと思う。

 さて、昨日トルコとタイで国のトップを決める選挙が行われた。トルコでは大統領選で20年間国を率いてきたエルドアン大統領と野党の統一候補クルチダルオール氏ほかの争いとなり、今日時点でいずれも全員過半数には届かず、来る28日に両氏の決選投票が行われる見通しである。戦前の支持率予想では、エルドアン大統領が45.4%、クルチダルオール氏50.9%と現職がやや不利だったが、開票の結果途中経過では大統領49.36%、クルチダルオール氏45%と予想を覆しているようだ。トルコは今経済停滞による物価の上昇が激しく、与党がやや不利であるが、そこへ2月の大地震の対応の稚拙さが批判を浴びて20年間の長期政権を維持してきた大統領も鼎の軽重を問われている。

 タイの選挙は、中々複雑で分かり難い。2014年に軍事クーデターにより政権の座に就いた軍出身のプラユット首相に対して、挑むのはタクシン元首相の娘ペートンタン氏である。4つの政党がそれぞれ候補者を擁立し、上下両院の合計750人の過半数を得た候補者が首相に推薦される。複雑なのは、前回2019年の選挙で最も多くの票を獲得したのは、タクシン派だった。過半数に達しなかったので、プラウィット派が他の中小政党と組んで連立政権を作った。

 問題は、下院500名、上院250名の議員が選出されるが、上院は軍が任命する形になり、全般的に元陸軍司令官のプラユット氏が有利である。

 いずれも親日的な国で、タイに至っては進出している日系企業が5800社もあり、19年にタイを訪れた日本人観光客は約180万人で、日本を訪れたタイ人観光客は130万人といわれるほど日本とタイの交流関係は深い。

 両国には、何度か訪れて印象的な思い出が多い。トルコでは20世紀最後のイズミット大地震に遭い、その惨状に次に大地震が襲ったら大惨事になるだろうと懸念していたが、去る2月の大地震でその恐れは現実となった。タイは1966年最初に訪れた外国であり、新婚旅行でも家族旅行でも訪れ、楽しい思い出がたくさんある。

 トルコの選挙では年長とは言え新人のクルチダルオール氏、タイでは同じく新人のペートンタン氏の動向に注目している。

2023年5月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5745.2023年5月14日(日) 沖縄復帰なって自衛隊沖縄基地拡大へ

 半世紀以上も昔何度か沖縄返還闘争デモに参加したことがある。1972年5月15日、念願だった沖縄の日本本土復帰が実現した。1951年サンフランシスコ平和条約が協定され、日本は戦後漸く被占領国から独立国となったが、沖縄はその後もアメリカの施政権下にあり、日本とは切り離されていた。沖縄県民は国籍不詳の無国籍状態だった。51年前の明日漸く日本へ復帰することになり、沖縄県民と日本国民の長年の希望が実現した。沖縄の状況は、道路は日本と同じように車は右側から左側通行に変更され、通貨も米$から円に替わり生活面は日本と変わらなくなり、沖縄県としても日本の三権が認められ、1つの自治体としての行動、機能が容認されるようになった。

 問題は、引き続き駐留しているアメリカ軍の沖縄県民へ与える影響が相変わらず強く残っていることであり、県民の生活は大きな影響を受けていた。本土から観光客も訪れるようになり、沖縄経済も少しずつ成長し県民の生活も豊かになったが、駐留米軍による航空機騒音や環境問題をはじめ、米軍兵士らの犯罪などで県民の生活が脅かされることが目立ってきた。そのうえ、今も生きている日米地位協定のような不平等条約を押し付けられ、沖縄県として米軍及び米軍兵士に従属させられるような事態に追い込まれていた。

 沖縄県における米軍専用施設の総面積は、県面積の約8%、沖縄本島では約15%を占めている。全国の米軍専用施設面積の内、沖縄県のそれが70%余も集中しているほど、今以て沖縄は米軍施政下にあると言える。

 そんな折近年中国へ対抗するためと言い、自衛隊が沖縄諸島に進出し急速にその存在感を高めている。沖縄を含む南西諸島は、長い間防衛面での空白地帯とされてきた。72年の復帰とともに自衛隊は沖縄へ駐屯地を設置して80年代には自衛隊員数は6千人台だったが、2020年代になって8,200人になった。自衛隊基地面積も増え、昨年3月時点で復帰時の4.7倍にまで増えた。

 いかに中国への対抗手段であるにせよ、沖縄県の歴史や県民感情を蔑ろにして自衛隊の増強を図るのは問題であろう。太平洋戦争中に沖縄では県民の4人にひとりが犠牲になっている。数値的な問題ばかりでなく、沖縄には戦時中県民が恐怖に追い込まれた屈辱的なメモリーがいくつもある。終戦直前の米軍上陸、島民への集団自決強制、日本軍による島民虐殺などもあり、約10万人がその犠牲となった。中でも終戦の前年に疎開する子どもたちを含む約1,700人を乗せた対馬丸が那覇港から長崎へ向かう途上で米潜水艦の攻撃を受けて沈没し、約1,500人が犠牲になった生々しい悲劇がある。

 今では、県民の間に少しは自衛隊を受け入れる気持ちもあるようだ。2016年に与那国島、19年に宮古島、そして今年3月には石垣島へミサイル運用部隊などの駐屯地が開設された。だが、決して「自衛隊⇒軍人⇒戦争」のイメージが消えたわけではない。配備が進む島々では複雑な思いの人がかなりいる。「自衛隊は我々を守るためだけのものか。いつの間にかアメリカと中国の対立の最前線に立たされている気がする」とある沖縄県人が語っていた。とにかく防衛予算の大幅増額により、軍事力を強大化させることに拘泥する岸田政権は、もっと国民の声、とりわけ沖縄県民の声に耳を傾ける必要がある。

2023年5月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5744.2023年5月13日(土) 防衛費増額が高齢者医療費負担増に

 昨日の本ブログにアメリカの週刊誌「TIME」が、「岸田首相は日本が長い間の平和主義を放棄し、真の軍事大国にしたいと望んでいる」と取り上げたことに対して、政府が「表題と中身に乖離がある」と「TIME」誌に掛け合ったと書いた。今日の朝刊によると同誌の記事中身は、「かつて平和主義だった日本に、世界の舞台でさらに積極的な役割を与えようとしている」に変更されたという。いくら軍事国家へまっしぐらでも、軍事大国でなくてまず関係者はホッとしているのではないだろうか。それにしても岸田首相と「TIME」は、両者ともに発言内容を確認することに甘かったような気がする。

 さて、高齢者にとってはまた厳しい仕打ちである。昨日一定額以上の収入がある75歳以上の高齢者の医療保険料を引き上げる健康保険料などの改正案が国会で可決された。これにより75歳以上の高齢者の約4割が医療費の負担増となる。改正案の内容は、75歳以上の高齢者が新たに出産育児一時金の財源の一部を負担し、現役世代の負担軽減のため、高齢者の保険料の伸び率と若い世代が高齢者医療に出す支援金の伸び率を同程度にすることが目標のようである。この法改正により高齢者の負担は段階的に増える。しかし、実はこれはこじつけのような理屈で、当てもない唐突な防衛費の大幅増額により財源が枯渇して、どうにもならず、少子化を口実に高齢者の医療費負担を減らそうとしていることは明白である。ミサイル購入のしわ寄せがお年寄りに来ただけのことである。

 例えば、現在年収が200万円の高齢者は、今年度の保険料は82,100円だったが、今回の改正で年間3,900円増え、更に2025年度の保険料は90,700円となる。また、年収400万円の高齢者は現在の保険料205,600円に今回の改正により14,000円増え、25年度には231,300円になる。これはほんの一例であるが、年収200万円というのは、月額16万7千円程度の収入で、とても余裕のある生活ではない。更にこの下には年収80万円の高齢者の保険料も引き上げられる。この法改正は少子化対策と言いつつ、高齢者全員に負担を押し付けたものだ。高齢者だってただ医療費を安くしてもらっているわけではない。そこには、これまで社会人として働き続け、働かなくなってからそのお返しとして病気になったら社会から医療費の一部を負担してもらうということから生まれた社会福祉制度の根幹である。それを若者の負担になるから一部を高齢者からいただくというのは、社会福祉の精神に悖ることにならないだろうか。

 世襲議員が多くなった政治家らの頭の中には、苦しい生活を余儀なくされている高齢者の胸の内を考える気持ちなぞさらさらない。貧しい高齢者から保険料をむしり取ろうとする前に、どうして憲法違反の軍事行動に加担する防衛費を大幅に支出する必要があるのか。もっと国民の立場に立って優先順位を考えるべきではないか。国民の声を聞き入れようともせず、世間知らずのまま防衛費だけは大量に支出しようという発想はどこから生まれてくるのだろうか。アメリカから兵器類を購入するために、苦しい生活を送っている高齢者から僅かな生活費を召し上げようとする今の保守政治家の阿漕なやり方を、このまま放置しておいても良いものだろうか。

2023年5月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5743.2023年5月12日(金) 岸田首相、日本を平和国家より軍事大国へ

 先月アメリカの週刊誌「TIME」が今年の「世界で最も影響力のある100人」のリーダー部門に日本の岸田文雄首相を選んだ。その「TIME」の5月22日・29日号の表紙と特集記事に「日本の選択」として岸田首相が取り上げられている。「岸田首相は何十年も続く平和主義を放棄し、自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」と紹介されたようだ。岸田首相が最近熱心に憲法改正と自衛隊を憲法上に明記することに躍起となっている様子がしばしば伝えられている。そのうえで、防衛費の大幅増額やアメリカから戦闘機「F35A」、新型輸送機「V22」オスプレイ、最新の迎撃ミサイル「SM3ブロックⅡA」など兵器購入を増やし、その前のめりの軍事姿勢を懸念していたところである。その姿勢を首相へのインタビューを通して「TIME」誌に掴まれてしまったのだ。

 「TIME」は、本誌の発行前にこのニュースをウエブサイトで去る9日に公開した。その特集記事を知った政府・自民党は慌てふためいて、今日午前林外務大臣が記者会見で詳しくは語らなかったが、「表題と中身に乖離がある」と真意とは異なることを説明した。外相の語るところでは、まったくウソでもないような言い方である。「首相は我が国の置かれた厳しく複雑な安全保障環境や防衛力強化、経済政策など幅広い事項について政府の立場を説明した。結論部分では世界の分断を防ぐ歴史的な役割を担う指導者という論調になっており、記事全体として見れば説明が反映されたものと受け止めている」と述べたようだが、これでは首相が日本を軍事大国に変えると語ったことを否定していることにはならない。「TIME」が訂正文でも掲載しない限り、「TIME」を読んだ人は、岸田首相の言葉を鵜呑みにすることだろう。つまり首相は日本を軍事大国にしようと考えているということである。憲法改正が行われたわけでもなく、憲法上日本は軍備を放棄したことになっているにも関わらず、歴代首相の中で唯一岸田首相だけが日本を軍事大国にしようと期しているというわけである。

 この発言がすんなり収まるとは思えない。明らかに現行憲法を無視して海外へ軍事大国として乗り出すということを宣言していることではないか。首相の真意を正しく知りたいものである。

 さて、昨日雨の中を天皇・皇后両陛下主催の春の園遊会がコロナ禍の影響で令和になって初めて5年ぶりに開催された。出席者は例年の半数の約千人ほどだったが、雨が途中から激しく降り出し、女性皇族方は和服を召されてご挨拶周りをするのは、さぞや大変だったのではないかとご苦労をお察しする。これまであまりなかったことだと思うが、今年は天皇がお相手と会話をする内容が良く聞き取れた。その中で若干気になったのは、天皇がお話したお相手の言葉に若干違和感を覚え、近頃の若者らしいなぁと感じた。それは普通の会話体で行われていたが、スピードスケートの高木美帆、卓球の伊藤美誠、男子車いすテニスの国枝慎吾選手ら若いスポーツ選手たちとの会話で、「思いますので~」という表現ではなく、彼らが普段話しているのと同じように「思うので~」と言ったり、天皇が国枝選手に「フェデラー選手に見てもらったことがあります」と仰ったのに対して即座に「そうですか。ヘェー」と応えていたのが少々気になった。他にもいくつも気になる言葉が使われていたが、格別丁寧な言葉を使わなければいけないということではないにせよ、お相手が天皇でもあるし、もう少し目上の人と話す時に正しく、丁寧に話すべきではないかと感じた次第である。

2023年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5742.2023年5月11日(木) 厳しい両手指の回復

 約1か月半ぶりに国立東京医療センターの膠原病内科で変形性関節症の定期診断を受けた。両手指が思い通りに動かない。そのため指先の作業思うように出来ない。もう1年以上もこの状態であるが、今日の検診では、毎日続けている手指のリハビリについてお伺いしてみた。採血検査の結果、数値的には症状としては前回に比べて悪くなってはいない。例えば、糖尿病の目安と見られるヘモグロビン値(HbA1c)は、前回の6から5.8に下がったし、CRP(炎症や細胞破壊が起きると増加する血の中のたんぱく質)は前回やや高くて0.72だったが、これは0.48に下がった。問題は、毎日手指を何度も屈折してリハビリ効果を上げようとトライしているのだが、医師によると関節の骨が固まっているので現状では好転する見込みはないと厳しい指摘である。確かに指の関節は、大分硬化して曲がり難い。しかし、リハビリをやらないと指が益々固まりそうな気がするので、無駄であろうとトライしている。そうするとその時点では大分硬さは緩まる。しかし、そのままにしておくと一層硬くなるような気がする。気持ちの上でもやはり前向きにやるように努めないと精神的にも辛い。例え無駄であろうとも毎日リハビリは続けていきたいと思っている。

 さて、来る19日から広島市で先進7か国首脳会議(G7サミット)に7か国の首脳が全員訪れるが、会議の後広島を去った首脳はもう一つの爆心地・長崎市内を訪れる予定で準備を進めていたところ、アメリカのバイデン大統領は日程上の都合で長崎訪問をしないということが分かった。バイデン氏は日本を出た直後にパプア・ニューギニアを訪問する予定があり、日程上の都合がつかないというありふれた言い訳である。G7は早くから決まっており、今更日程上無理ということこそ理解するのが難しい。勘ぐるなら、長崎へは行きたくないというのが本音である。否長崎どころか、広島で行われること自体が敬遠したくて本来なら蹴っ飛ばしたいところだろう。取り敢えず広島だけは行くことを了解したが、このうえもうひとつの爆心地長崎までは、原爆を投下したアメリカ人の気持ちとしてはどうしても行く気持ちにはなれないのだろう。

 しかし、この辺りがアメリカ人の利己的な点で、世界で初めて原爆を使用したのはアメリカであるとの認識が薄い。その結果は、2つの都市で50万人を超える死者を出した。影響を受けた罹災者は更に多い。結果的に太平洋戦争は原爆投下により終戦となった。その効果は予想以上のものであり、日本への原爆投下を機に軍備の重要な手段との固定観念が生まれ、原爆保有が各国で検討されて、それが新しい原爆、新たな核開発へ進展させている。

 今もウクライナ戦争では、ロシアが核の使用をちらつかせることによって、戦争の拡大を警戒して戦争拡大、防止に大きな抑止力となっている。だからこそ、バイデン大統領は、G7広島開催と長崎訪問の機会に核拡散防止を世界に訴え、世界から戦争をなくすことに力を注いで欲しかった。世界でアメリカただ一国だけが原爆を投下した責任、反省と抑止のためのアピールをしっかりと演じてもらいたかった。ひとり逃げるようなアメリカだけの我がままは、核開発禁止と世界平和の国際社会への発信の視点からも許せない。

2023年5月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5741.2023年5月10日(水) 恙なく結婚54周年記念日を迎える。

 今日は我々夫婦にとって結婚記念日に当たる。あれからもう満54年が経った。幸いにして今日まで健康面で大きな支障はなかった。だが、最近はお互いに若干健康上の症状を抱えることがあり、年齢を重ねるとこれも止むを得ないかなと思いながら、リハビリに励んだり、通院したりしている。我々夫婦は今では少なくなったようであるが、互いの両家を良く知るお仲人さんのご紹介により、お見合いにより結婚式を挙げることになった。妻は23歳、私は30歳だったが、今では幸いにも2人の息子と5人の孫に恵まれ、皆健康に過ごしているのは、幸せであり嬉しく思っている。

 我々の結婚自体とは別に不思議な縁と呼んでも良いようなことがある。実は今日明治記念館でアジア・大洋州26か国の大使夫人が会員である一般社団法人「アジア婦人友好会」の支援による「第45回アジアの祭典・チャリティーバザー」が開催され、ミクロネシア大使夫人からご案内をいただき、妻ともども参加した。場内は各国のブースが出店され、珍しいお国自慢の特産品などが展示、販売されていた。このところコロナ禍で中止されていたが、今年は恒例の全日空ホテルから明治記念館に会場を変更して催された。多くの人々が来場して展示場内は大分混みあっていた。その中へ常陸宮妃が車いすで会場内を巡回され、直ぐ退場された。以前に来られた時には、ステージ壇上にずっと座っておられた。しかし、今日はにこやかにしておられたが、健康面で万全ではないように見受けられた。

 ミクロネシア連邦とは、20年以上に亘り厚生省主宰太平洋戦争戦没者遺骨収集事業に関わったことと、2014年に上梓したドキュメント作品「南太平洋の剛腕投手」でジョン・フリッツ大使や、そのご親戚についてかなり突っ込んだ取材をしてからのお付き合いで、それ以来交流を続けている。特にこの国が独立したのは、1986年11月3日で偶然にも私の誕生日というめぐり合わせもある。更にホテルニューオータニでは毎年日本との国交締結記念の式典が開かれ、いつも招待されているが、そこは我々が結婚式を挙げたホテルでもある。何かと縁のあるミクロネシアとの交流をこれからも続けていきたいと思っている。

 さて、今朝の新聞記事を見て些か驚いた。というのは、大阪府では2026年度内に大阪公立大学を含むすべての学校の完全無償化を目指すというのだ。これには多額の予算を必要とするだろうし、全国の自治体でも全く初めてのことである。

 大阪府は吉村洋文知事が今春の知事選でこの完全無償化を公約として掲げた以上、何が何でも実施す腹づもりであろう。そして授業料が無償ということに対しては、就学生を抱える家庭にとっては大助かりである。しかも世帯年収などに制限を加えてきたが、それも取り外すという。

 少子対策や、教育費補助などは大いに歓迎される政策ではあるが、多くの問題点がある。子どものための教育費の補助とは言え、一切を自治体が面倒をみる反面、子どもがいない家庭には何の補助もないということになる。何より気がかりなのは、子どもの多い家庭には多大な恩恵がある一方で、子のいない家庭には、何らの補助もないというアンバランスではないか。差別化に繋がらないだろうか。また、私立学校生も全額無償対象にするようだが、彼らは多少経済的に余裕がある筈で、そこまで補助する必要があるのだろうか。むしろもっと子供に関係なく貧しい家庭を支援することが必要だと思う。

 補助金は出せばすべてが良いというものではない。同じ自治体に生活する人々に教育費云々ではなくすべての面で公平に支援することが大切だと思う。このプロジェクトのために、大阪府では年間427億円の手当をするようだが、これは今年度当初一般会計予算36,421億円の1.17%であるが、大阪府は評判の良くないカジノでそれくらい儲けられるとでも考えているのだろうか。

2023年5月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com