6793.2025年12月18日(木) 自治体首長の国政指図は是か非か?

 高市自民党総裁が首相になって初めて開かれた臨時国会が、昨日閉会した。2025年度の巨額の防衛費を盛り込んだ18兆3千億円の補正予算を維新、国民民主、公明の賛同を得て成立させたことを、首相自身自画自賛している。ただ、この膨大な補正予算額は、コロナ期を除いて最多で、その財源の6割超を国債発行によって賄う。借金財政については幾分無頓着な高市政権によって、国家の累積赤字が益々増大することが懸念される。

 ところで、当初連立相手の「日本維新の会」とともに公約した衆議院定数削減については、与党内の意見がまとまらず、先延ばしとなった。同時に野党から強く要求されていた団体献金問題の結論も先送りとなった。少数与党だった自民党単独政権も、その後日本維新の会との連立、更に一部の無所属議員が自民党会派に加わったことで衆議院議席の過半数を越え、その勢いで予算を通過させたものである。だが、多くの問題が積み残されており、年を越した来年1月開催の通常国会に持ち越されることになる。先延ばしとなった衆議院定数削減問題は、自民、維新の連立に絡む問題であり、申し出た維新としては何としても次期国会で実現しなければならないだろう。

 ただ、最近テレビにしばしば顔を見せるようになった維新の共同代表、吉村洋文・大阪府知事が、高市首相と両党の国政共同運営について話し合っている。法的に許されてはいるが、国会議員でもない吉村氏が国の重要な政策を首相と話し合い、結論を出すことは、おかしいのではないかと思っている。国会で議決すべき問題を国会議員でもない吉村氏が強く関わることは、むしろ問題だと思う。もうひとりの共同代表である藤田文武衆議院議員に任せて、どうしても直接交渉したいなら、次回の衆議院選を経て国会議員になってから高市首相と対等の立場で議論し、結論を出すのが責務ではないかと思う。

 さて、3年前に奈良市内の駅前で、安倍晋三元首相を銃撃し殺害したとして殺人罪の罪に問われていた山上徹也被告の最終審理である公判で、今日検察側は被告に無期懲役を求刑した。母親が旧統一教会の信者で、多額の資産を教会へ献金して家族が生活に困窮し、その恨みを被告は旧統一教会へ向けたが、機会が訪れず、安倍元首相が旧統一教会と関係が深いことから、安倍元首相に恨みはないが、選挙応援に駆け付けた安倍氏の応援演説中に安倍氏を狙撃したものである。安倍氏を狙うことは本筋ではなかったと安倍夫人にも詫びて、検察の言う通りに間違いはないと正直に告白していた。

 極めて不幸な事件になってしまったが、旧統一教会日本支部はすでに解散を命じられ、本家のある韓国でも旧統一教会(世界平和統一家庭連合)が、国会議員らに不正な金品を手渡していたと、警察の家宅捜索を受け、韓鶴子総裁も取り調べを受けている現状である。

 被告は複数の身内が自死するほど家庭的に不幸な事情に同情が寄せられているが、検察は事件と家庭の事情とはこの際無関係であるとしている。これから、最終的な処分が決まるまで、かなり時間がかかることだろうが、元総理大臣が白昼堂々大勢の国民が注目する中で殺害されるとは、法治国家の日本としては珍しい事件である。この先どうなるか分からないが、ともかく司法に則って被告の処分は最終的に決められるであろう。

2025年12月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com