6792.2025年12月17日(水) 高市首相へ反戦を訴える沖縄の高校生

 アメリカに気を遣っているせいか、アメリカに関係したニュースがあればメディアは挙って報道する。しかし、普段はあまり報道しない日米間の不平等を表す日米地位協定が、米軍基地が大きな地位を占める沖縄では殊更大きな問題となっている。分かり易く言えば、裁判権が日本になく、米軍人が基地の外で事件を起こしても日本の警察権が基地内までは及ばず、仮に犯人が基地内へ逃げ込めば日本の警察はお手上げとなる理不尽さにある。

 米軍基地については、現在3点ほどクローズアップされている問題がある。ひとつは、都内立川基地内で発生した環境汚染とされた有機フッ素化合物(PFAS)が、基地周辺に漏れて環境汚染をもたらしているが、自治体が立ち入って調査することができないことである。2つ目は、ドイツやイタリアでは国内法を駐留米軍にも適用させているが、日本ではそれが出来ず、これこそ不平等、不公平な地位協定である。3番目は米兵が基地の外で凶悪犯罪を冒しても、身柄引き渡しを求められないことである。

 上記の諸問題に加えて、昨今の高市首相に対する不満を現地沖縄の高校生がアピールした。先月23日に「高市首相発言に対する意見文」として、「沖縄高校生平和ゼミナール」が首相宛てに書状を提示した。

 その意見文によると、まず今問題となっている台湾有事発言の結果、中国との外交が対立し始めたことについて、率直に、かつ厳しく「自分の立場をわきまえずに軽率な発言をしたが、日本という国を代表する立場だということを認識すべきである」、「非核3原則を見直してはいけない。沖縄が再び戦場となること、核の島となることを拒否する」、「アメリカの言いなりの政治を続け、国民を犠牲にするつもりか。私たちが欲しいのは、武力や戦争ではなく、人権と平和である」、「子どもが核反対、戦争反対と言えるのに、政府はなぜ戦争をそそのかすような発言をするのか。理解できない」、「もしも戦争が起きた時に、一番被害を受けるのは市民です。武力でなく、話し合いで平和を保とうと努力すべきです。もっと言葉に責任を持ち、国の代表なら私たちの人権や平和を守る外交をして下さい」と厳しいながらも真面な要旨をほぼ上記のように書き込まれたA4用紙1枚にびっしり書き込まれた意見文を提示した。

 沖縄の人びとは、高校生でも戦争の危険、怖さというものがよく分かっている。これに対して首相サイドがどう対応したのか分からないが、首相もこの意見文に目を通して、それなりに不安を感じている沖縄の高校生たちに、真摯に返事を書くべきだと思う。今の首相の心境としては、このような批判的な声にいちいち応えている余裕はないとしても、これほど現実の危機を肌で感じ、戦争だけは避けて欲しいという純粋な若者の気持ちに応えるべきだと思う。

 しかし、我々戦争に反対する立場から、こういう声を無視して戦争へ前進するが如き行動は絶対にやってはならないと思う。基地の街、沖縄の住民だからこそ危機感が身に染みているのだろうから、これからもどんどん発言して、内地の高校生から大学生にまで戦争危険論をアピールして欲しいと思うし、首相以下政府要人も真剣にこういう若者の純粋な気持ちを受け止めるべきである。

2025年12月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com