5263.2021年10月10日(日) アメリカ優位の「日米地位協定」改定を

 どうも穏やかならぬ話が沖縄から聞こえて来る。沖縄の米軍基地普天間飛行場で発がん性の疑いのある汚水が下水に流されているというのだ。流されたのは、有機フッ素化合物でPFOSと呼ばれる化学物質である。これを米軍は、日本政府や沖縄県に無断で約6万4千㌧も流していた。アメリカで発がん性の疑いが指摘されてから、日本では2010年に製造、使用が中止された代物である。なぜそんな危険な物質を日本に黙って日本領内の下水に流したのかという点については、米軍はこれまで焼却処理をしてきたが、費用がかさむから濃度を低くして流したと身勝手な説明をして勝手に放水していたらしい。米軍は普天間基地周辺では日頃から騒音などで住民に迷惑をかけているのに、住民の健康にとって有害な物質を理不尽にも流していたわけである。これまでにも米軍は無断で度々放水していた。昨年4月に泡消火剤約14万3千㍑を、今年6月にもうるま市の基地からPFOSを含む排水約2,400㍑が流されている。2016年には、嘉手納基地近くの河川から高濃度のPFOSが検出されている。一連の化学物質放流水は、恐ろしい水俣病の再演を想像させる。

 どうにも理解出来ないのは、日本に無断で一方的に汚水を流しておきながら、国や沖縄県が基地内へ立ち入り調査しよとすると米軍から拒まれることである。基地内に滞留していたPFOSの処理も処分する金がないからと、日本政府が1億円も支払って処理させられていたことである。

 日米間で決められた「日米地位協定」ではあるが、不平等であることは明確である。基地内の管理権は絶対的にアメリカにあ、アメリカは日本のいかなる権力に対しても基地への出入を認めず、基地外へ出かけたアメリカ兵が刑事事件を起こしても基地内へ逃げ込めば、日本の警察基地内へ踏み込めず、犯人を取り調べることが出来ない不条理が罷り通っていることである。更に「おもいやり予算」の名の下に、在日米軍に対して経費の相当額を日本政府が負担していることも理不尽である。「金出せども口出せず」の有様なのである。こんな現状をそのまま放っておいて良いのか。現状は米軍のやりたい放題ではないか。

 少なくとも日本人が米軍基地に立ち入ることが出来ない以上、基地駐留の米軍関係者も日本領の土地への出入りを認めるべきではないと思う。その点で、キューバのグアンタナモ基地のように、双方の往来を一切止めることが、少なくとも日米両国にとって平等と言えるのではないか。この不平等な「日米地位協定」の改定については、日本側がいくら要求してもアメリカは認めようとしない。「日米地位協定」改定に対する声が高まった現在、これをもう少し本当の意味で双務的な協定にしなければ、信頼出来る両国間の協定と見るわけには行かない。

 さて、今日は57年前に東京オリンピック開会式が行われた日である。かつては祭日「体育の日」だったが、2000年に「体育の日」は「スポーツの日」となり、10月第2月曜日に変わった。今年は7月にオリンピックが開催されたのに合せて「スポーツの日」が、7月に移動したため今年は10月の祭日がなくなった。従って今日は普通の日曜日である。当時の東京オリンピックを思いながら、当時各種の競技が行われた、近くの駒澤オリンピック公園へウォーキングしてみた。普段より大勢小さな子連れの家族が遊んでいた。いつもならスポーツ・フェスティバルが開かれ各競技場でスポーツと、仮設のレストランがたくさん設営され人出が見られるのだが、今日は散歩がてらの人だけだった。

2021年10月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5262.2021年10月9日(土) 2人のジャーナリストにノーベル平和賞

 2019年エチオピアのアビー首相がノーベル平和賞を受賞したが、翌20年そのアビー首相が、同国の東部ティグライ州の反政府軍を武装攻撃してノーベル平和賞の意義、価値に疑問を投げかけた。そんな矢先に、昨日今年のノーベル平和賞が、329もの候補の中から2人のジャーナリストに授与されることが決まった。受賞者が政治家でなくて安堵しているところである。2人はいずれも時の権力者の厳しい規制と圧力の下で、権力に抵抗して報道と表現の自由を守ったフィリピンのマリア・レッサ氏とロシアのドミトリー・ムラトフ氏である。

 レッサ氏は、来年任期が終わるフィリピンのドゥテルテ大統領が、2016年就任以来民主化と人権を蔑ろにして麻薬犯罪取り締まりのためなら、容疑者の殺害も容認されると主張して、強権的で非民主的な行為に対して批判的な報道をしてきた。このためレッサ氏は、大統領から嘘つき呼ばわりされ2度までも逮捕された。

 ムラトフ氏は、筋金入りのジャーナリストとしてロシア政府の強圧的な弾圧に挫けることなく、27年前にノーバヤ・ガゼータ誌を創設して以後一貫してプーチン政権に批判的な姿勢を貫いてきた。恒常的に脅迫や暴力を受け、同誌記者6人が殺害された中でも信念を曲げなかった。氏は授かった平和賞は自らにではなく、犠牲になった同僚たち6人への賞だと語っている。

 これら報道の自由への貢献が受賞の対象になったのは、今や世界中でジャーナリストが迫害を受けている実情をノーベル委員会が見逃さなかったということに意義がある。グテーレス国連事務総長は「虚偽が事実に勝るようになってはならない。自由で独立したジャーナリズムは、虚偽と闘うための最強の仲間だ」と祝辞を述べた。バイデン大統領や、EUのミシェル議長も祝意を評した。岸田首相は物理学賞受賞者の真鍋淑郎博士には祝意を伝えたが、果たして2人のジャーナリストにはどういう感想を抱くだろうか。残念ながら、レッサ氏とムラトフ氏に対しては、自国のドゥテルテ大統領とプーチン大統領から祝意は未だ伝えられていない。他に花田達朗・早大名誉教授が、「あらゆる権力は必ず不正を行い、腐敗する。政権の維持や延命のために戦争さえも起こす。その動きを掘り起こして人々に伝え、ブレーキをかけるのがジャーナリストの役割だ。国家や政権が隠したい事実に迫るという行為は危険なことだ。最悪の場合、命を奪われる。それでも権力と闘うジャーナリストこそが評価されるべきなのだ。そんなメッセージが読み取れる」と納得のいくコメントを発して

 それでは、日本のジャーナリストは現在どうだろうか。わが身の可愛さと権力の怖さから思い切って行動出来ないジャーナリストが多いのではないだろうか。つい最近も本多勝一氏が「ジャーナリストは現場に出よ」と言ったが、危険地帯ではわが身可愛さに勇気がなくて取材しようとしないことと、時の政権から睨まれることを恐れて思い切って厳しい質問を手控えることなどの点で、ノーベル賞受賞者2人のような強い信念や行動力に比べて物足りない印象がある。

 実際テレビで連日出演している政治評論家・田崎史郎氏、昨今政府の政策を受動的に語り、擁護するような発言が目立っている。しばしば自民党関係者と会食を行っているとのもっぱらの噂で、権力批判ではなく、彼らの主張を受け入れる姿勢が見られるとの指摘がある。その一方で、政府に対して厳しい質問を重ねた中日新聞記者の望月衣塑子氏の場合は、官邸から締め出されてしまった。これを記者仲間が助けようとの行動に出ないことが、権力に押しつぶされていることになる。現状を見る限りでは、日本のジャーナリズムは少々心許ない。

2021年10月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5261.2021年10月8日(金) 学園経営者とも思えぬ日大理事の行為と逮捕

 日大理事と医療法人前理事長が逮捕され、メディアに興味深い話題を提供している。2人の逮捕は板橋区にある日大医学部付属病院の建て替え工事をめぐり、大学から2億2千万円の資金を不正に流出させ日大に損害を与えた背任容疑である。日大は日本の私立大学の中でも、付属施設を含めて全国的に最大規模を誇る学校法人で、学生、生徒数も9万人を超える日本一のマンモス大学でもある。

 このニュースを最初に耳にした時、2つの疑問が生まれた。ひとつは、3年前に発生した日大アメフト部が対関学戦で1部員の冒した悪質タックルの責任を取り、理事とコーチを辞めた当人がその2年後に再び理事職に復帰していたことである。もうひとつの疑問は、文科省などから助成金を受け取っている学校法人でありながら、全額出資の「日本大学事業部」を経営し、大学の物品調達などを事業として行っていたが、近年は冠婚葬祭業、保険代理店業、広告業などにも投資して日大の外にまでその商業圏を広げて広範に営業活動に勤しんでいることである。プロ野球が行われる球場に、最近大きな日大の広告が目立つようになった。当該の理事はそこでも取締役を務めている。

 日大には最高の意思決定機関である理事会において、当然なされるべきコンプライアンスがきちんど守られていないことである。その原因としてこれまで長年に亘って田中英寿理事長の独裁的言動にブレーキをかけられなかったことがある。当の理事も理事長の懐刀だと噂され、理事復活は理事長の一存で実現したと言われている。

 昨日田中理事長宅へ再び東京地検の家宅捜索が入った。不正な3千万円の金が理事長のに入ったと見られ、今や理事長の逮捕も時間の問題と見られている。

 それにしても、アマチュア相撲のチャンピオンだった田中氏が、日大の理事長にまで成り上がった立志伝には興味をそそられる。王者となった最盛期の理事長をテレビで観たことがある。必ずしも図抜けた体格ではなかったが、トーナメントでは危なげなく優勝した。そのアマ相撲界の英雄が日大の理事長にまで上り詰めたのには、それなりの努力と苦難があったことは想像に難くない。しかし残念ではあるが、欲に溺れた結果として晩節を汚すことになりそうである。

 日大は古橋広之進選手ら数々の名選手を生んで、かつては華々しく桜泳会として活躍した水泳部も今では往年の勢いはそれほどい。

 政界でも日大出身議員が活躍した時期があったが、菅前政権では梶山弘志・経産大臣ひとりになり、岸田政権では日大出身大臣はひとりもいなくなってしまった。その反面、岸田政権では、東大出身者が6人(内ハーバード大2人を含む)、早大、慶大が各4人、上智大が2人となり、これがどうにも現今の受験生の志望大学ランキングと似たような傾向がある。

 OBが出身大学を舞台に個人的欲望のあまり母校の名を貶める。これでは、日大に憧れて入学してきた在学生があまりにも気の毒である。日大は、徹底的に現状を見直して組織にメスを入れ、学校法人らしくコンプライアンスを順守し学生のために知性と教養を身に着ける教育を行うよう努めて心機一転出直すべきであろう。

2021年10月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5260.2021年10月7日(木) メディアはなぜ質問に応えないのか。

 ノーベル物理学賞受賞者の真鍋淑郎博士の話が面白い。長年理系で研究に勤しんできた科学者には、失礼ながら気難しい方が多いのだが、真鍋博士は根が楽天家なのか、難しい話をユーモア交じりで話すので、聞いていてほっこりして肩も凝らない。

 例えば、ノーベル賞受賞が決まった後の勤務先プリンストン大学の報告会席上で、アメリカ国籍を取得し、アメリカに居住していることから「どうして日本へ帰らないのか」と質問されて「アメリカでは思いのまま自由に研究出来るが、日本では仲間との協調性が大切だが、自分にはの能力がないからアメリカの方が向いている」という主旨の話を壇上でさらっと応えていた。聞いてい学生たちも笑みを浮かべながら頷いていた。その空気感が何とも言えず、真鍋博士の人間性を表しているように感じた。

 真鍋博士がアメリカへ研究の拠点を移したことが、頭脳流出と心配されているが、現在90歳にもなってもなお博士が好きなように研究に打ち込める、アメリカの研究機関の環境は素晴らしいと思う。博士は、日本では政策決定者と科学者との対話が欠けており、お互いにもっとコミュニケーションを図るべきであるとアドバイスもされている。優秀な科学者が、日本の研究機関で予算不足から充分な研究施設が整備されず、それを科学者が利用出来ないことは、長い目で見れば、科学者のみならず、国家にとってもマイナスである。これまでにもいくつかあるノーベル賞受賞者の海外流出については、この機会に真剣に取り上げても良い問題だと思う。

 先日NHKのニュース番組がイスラエルについて報道した時に、ナレーターがイスラエルの首都がエルサレムであると伝えた。首都のテルアビブについては、確か商都と言ったように記憶している。現在エルサレムを首都と容認しているのは、イスラエル自身とトランプ前大統領が言い出したアメリカだけであり、国連もテルアビブと認定している。そんな重要な話をゴールデンアワーに間違えて放送するのは、よほどトランプ前大統領に毒されたアメリカに肩入れしたのではないかと思ったくらいである。

 実際イスラエルの首都がエルサレムだと思い違いする人も現れかねないと危惧して、メールでNHKに訂正するよう要望した。すると直ぐに「ご意見は問い合わせ番号〇〇〇でお受けしました」と連絡があった。それから5か月が経過したが、NHKから何の音さたもない。ただ、受け付けたというだけの話だ。そこで今日再び、受付番号〇〇〇を添えて回答を求めるメールを送った。するとまた同じように「お問い合わせ番号XXXでお受けしました」と返信があった。間違ったアナウンスを何とも感じていないのか、機械的に問い合わせを受け付け、それを連絡しただけである。

 メディアでは視聴者や読者からの質問に応じる気持ちがあるのかないのか分からない。好意で問い合わせた人にとっては、一時しのぎの回答に誠実さが感じられず、憤懣やるかたない。鬱憤が溜まるだけである。どうして疑問を抱いた人がわざわざ問い合わせているのに、素直に応えようとせず、けものみちに追い込むようなことをするのだろうか。

 今やかつての花形だったメディアの新聞、テレビ業界が、読者及び視聴率の減少に悩み、ある大新聞社の如きは、印刷枚数の減少で輪転機が遊んだために、一般の印刷物の御用聞きに駆け回っていると聞く。これらの遠因には、社内に顧客を軽視する風潮が蔓延っていることも影響しているのではないか。NHKへの問い合わせと追及は、引き続き続けて行きたい。それは「イスラエルの首都がエルサレム」に移るまでの話であるが・・・。

 夜10時41分、突然大きく揺れた。地震発生である。最近東北地方の太平洋岸から茨城県海岸にかけて、地震が頻発していたが、10年前の東日本大震災以来久しぶりの大きな地震だった。各テレビ局はどこも番組を地震速報に切り替えて放映していた。千葉県北西部を震源とする震度5強の地震で、東京は震度5弱だった。これから床に就くが、夜中に余震がないことを祈る。

2021年10月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5259.2021年10月6日(水) ノーベル賞真鍋説、地球温暖化影響の数値化

 昨日の夜からメディアで真鍋淑郎・プリンストン大学上級研究員のノーベル物理学賞受賞のニュースがトップ・ニュースとして取り上げられ、ワイドショーや新聞で学説の詳細な解説がなされて中々興味深い。受賞対象とされた「地球の気候をコンピューターで再現する方法を開発し、気候変動予測についての研究」という気象学のようなテーマが、物理学賞の対象になったのは初めてである。具体的には現在国際的に大きな問題となっている地球温暖化は、二酸化炭酸ガス排出が原因であることを科学的に証明した形になった。

 これでトランプ前大統領が、二酸化炭酸ガス排出が地球温暖化の原因であることは科学的証明がなされていないと持論を押し通し、2019年アメリカは地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱したが、その言い分に根拠がないことが証明されたことになる。これから各国は地球温暖化について更に踏み込んだ具体的な話し合いを行うことだろう。今までの物理学賞が素人にはやや難解で理解しにくかったが、この気象学についての解説はそれらに比べれば、地球を平面的に図解して空気の流れから温暖化を説明するので分かり易いように思える。

 さて、一昨日スタートしたばかりの岸田「新時代共創内閣」は、朝日新聞の世論調査によると意外にも支持率は45%で予想以上に低く2001年の小泉内閣以降では麻生内閣の48%を下回って過去最低だった。通常政権を獲得後の最初の内閣支持率というのは、ご祝儀相場で想定以上に高いものである。実際退任直前の菅前内閣が28%だったが、それでも就任時には65%もあった。そ菅前首相に比較して岸田首相のイメージ、言動などは良いように思えるので、岸田首相の支持率は、今後の政策や、実行力次第ではむしろ上がることも考えられると思う

 それにしても国民の人気が高かった小泉純一郎元首相の就任時の高い支持率78%には、今更ながら驚かされる。その反面、史上最低の首相だった鳩山由紀夫元首相が、小泉氏に次ぐ高い支持率71%を獲得したのにもびっくりした。見かけやイメージ、言葉だけでは支持率は分からないことを示したのも、鳩山氏の功績?と言えようか。

 ところで、岸田政権は「売り」か、「買い」か、注目されていたが、政権誕生以来株価は下げ止まらない。すでに政権発足以来営業日連続して株価は下落し、この間日経平均株価の下げ幅は、2,700円を超えた。昨日の日経平均株価も対前日比622円、今日も293円下落した。

 但し、これは岸田政権に対する評価というわけではなく、海外に世界的な大きな株安要因があることが効いている。中国の不動産大手・恒大集団経営危機問題、アメリカ政府の債務問題、そして原油価格の高騰などの3大要因である。直接的に日本国内から派生した問題ではないことから、株価が今後も下り坂なら心配すべきであるが、岸田政権にとっては政権誕生による影響だけではないと思えるので、冷静に受け止め、岸田流の経済政策を浸透させて経済を活発化させることが大切である。

2021年10月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5258.2021年10月5日(火) 岸田首相の核廃絶姿勢とノーベル物理学賞受賞

 昨日第100代総理大臣に就任した岸田文雄首相は、第1次岸田内閣(首相曰く「新時代共創内閣」)の組閣を行い、その後宮内庁宮殿「松の間」で天皇による親任式が行われ、正式に首相の座に就いた。同時に新閣僚20名に対する認証式も行われた。

 夜9時から記者会見が行われて新型コロナウィルス対策をはじめ、経済政策、外交について新政権の方針を述べた。その中で自身は被爆地の広島市出身であり、人一倍核について拘りがあるような発言を行っていたが、実際に首相になって核問題についてどういう対応をするのか、広島市民ならずとも岸田首相の考え方に強い関心を寄せている。

 ところが、首相就任前に岸田氏は「核軍縮は私の政治家としてのライフワーク」と唱えていながら、昨夜は積極的に核廃絶への行動を起こす姿勢を見せなかった。実際ネット上に見る岸田氏と地元記者とのインタビューでは、屁理屈をこじつけて日本政府は核禁止条約批准をぐずぐず言いながら否定しており、岸田首相も同じ考えである。これから広島県民のみならず、全国民が岸田首相の核に対する考え方について関心を抱き、注視するだろうが、逃げることなく広島県民だけではなく、全国民に対して本音を率直に語ってもらいたい。いつまでも核禁止条約を批准しないと言い続けてお茶を濁すようなら、全国民から背中を向けられるだろう。

 さて、そろそろ恒例のノーベル賞受賞者が発表される時期になった。昨日医学生理学賞は、2人のアメリカ人研究者に授与されることが発表された。例年この時期になると話題になる村上春樹氏の文学賞受賞の注目度が今年は随分低いのだ。もう話題としては古いのだろうか。ノーベル賞については、ほとんどの分野でそれなりの世界的業績が認められて受賞の栄誉を与えられるのだが、一番難しく後々まで疑問を残すのが平和賞である。この平和賞は具体的な数値や業績が目に見えないから余計難しい。賞を授与された後になって、受賞者が反平和的な行動をしたり、多くの人びとを犠牲にするような行為を行ったケースが散見される。実際与えなければ良かったと選考者はもちろん、世界中から思われる受賞がこれまでに何度かあった。

 直近の例を挙げれば、2019年に平和賞を授与されたエチオピアのアビー首相である。アビー首相は隣国エリトリアとの関係改善などが評価されて平和賞を授与された。ところが、昨年エチオピア東部ティグライ州を拠点とする政党ティグライ人民解放戦線(TPLF)が、エチオピア政府軍の基地を攻撃したとして、ノーベル平和賞受賞者がティグライ州へ反撃を命じたのだ。これによりこの周辺地域では紛争が拡がり今や泥沼化している。平和主義者?アビー首相の頭の中はどうなっているのだろうか。自分が平和主義者であることを世界的に認めてもらったので、少しは行動を差し控えようと考えるのが普通であろうが、この御仁にはそういう考えはなさそうだ。

 ノーベル賞財団の規定には、死去した人には授与しないと決められているので、今では資格は失せてしまったが、もう少し目を広く開ければ、ギリギリで間に合った画期的な事例があったかも知れない。それは2019年10月にアビー首相に賞を授与するくらいなら、アフガニスタンで献身的にボランティア活動をしてその年の12月に殺害された中村哲医師にいち早く授与しておけば、よほどノーベル賞の価値が上がったのではないだろうか。

 そんなことを考えていた折も折、今夕になって今年度のノーベル物理学賞が他の2人の研究員とともに、日本人の真鍋淑郎プリンストン大学上級研究員に授与されるとのニュースが入って来た。90歳であるが、東大理学部、及び大学院を卒業されてから1958年にアメリカへ渡り、アメリカ国籍も取得されて現在もアメリカに在住されている。真鍋博士の研究は、「大気海洋結合モデル」という地球温暖化予測の礎となっているというが、極めて地道な研究である。しかし、今世界的に最も注目されている地球温暖化に関する研究である。こういう地道な研究を続ける人は、あまり多くないと思うが、若い研究者にとっては良い目標と励みになったことは間違いない。

2021年10月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5257.2021年10月4日(月) 岸田文雄・第100代首相、新内閣発足へ

 午後衆参両院本会議で総理大臣の指名投票が行われ、先月29日に自民党総裁に選出された岸田文雄氏が選ばれ、第100代首相に決定した。1885年に伊藤博文が日本の初代首相に就任してから136年間に節目となる100人目とはお目出たい数字であるが、これも来る14日衆議院解散により100代目の岸田首相は退任となる。従って、100代首相としてはほとんど業績を残せず、今後101代目首相としての業績を問われることになる。衆議院解散後の選挙は、今月19日に公示、31日に投開票と決まった。

 菅前首相は自民党の人気低落を加速させたと言われている。就任直後は65%という高い支持率を得たが、その後新型コロナウィルス対応などが批判されて支持率は徐々に落ち、8月には28%にまで落ち込んだ。自民党総裁選で問題があぶり出され、岸田氏が新総裁に就いたことで人気を盛り返し、それが菅氏にとっては厳しい批判となった。菅氏は安倍路線を踏襲すると言って行き詰まってしまった。これに対して岸田氏は今後どういう路線でいかなる行政を進めていくのかお手並み拝見である。経済が停滞して労働者の賃金は、期待されたほど伸びていない。菅前政権がしきりに2%の物価上昇を期待していたが、そこまで届かず、コロナ禍以上に経済停滞が菅前政権の傷口を広げてしまったような印象が強い。

 岸田内閣の20名の閣僚の中に、農林水産相に就任する金子原二郎・元長崎県知事の名前があるが、私が旅行会社へ勤めていた20年以上も前に、金子元知事とはふとした縁でこんなことがあった。

 それはある社団法人から長年請け負っていた大型団体旅行をその年に長崎、壱岐・対馬方面へ企画した時、作成したパンフレットに当時の金子原二郎長崎県知事から旅行推薦文をいただいた。だが、実を明かせばこの推薦文の文言は私が代筆して書いたものだった。お会いしたことはないが、偶々金子氏は大学の後輩に当たるので何となく親近感を抱いていたところ、この度岸田内閣で初入閣することになった。77歳と内閣でも最年長であるが、父親も農水相を歴任したこともあり、これまでの政治経験を活かして世襲議員なりに活躍を期待したいと思う。

 さて、日本のプロ野球も今シーズンが終盤に近づいているが、プロ野球ニュースより最近は今日レギュラー・シーズン終了となったアメリカン・リーグのロスアンゼルス・エンジェルス大谷翔平選手にスポットライトが当てられている。今季の大谷選手は、シーズン当初から投打の二刀流として大活躍した。今日も今季最終戦の対マリナーズ戦で先頭打者として46号ホームランを打ち、有終の美を飾った。個人タイトルこそ獲得出来なかったが、100安打、100打点、100得点、100投球回数、100奪三振の「QUINTUPLE100」(五重の100)を達成した。惜しまれるのは、あと1勝を挙げれば、2桁勝利に2桁本塁打となり、103年ぶりにベーブルースの記録に追いつくところだった。それでも26盗塁をして投攻走3拍子揃った活躍ぶりには、全米の野球ファンも驚いているようで、今季のリーグMVP候補に挙がっている。今年は期待を込めてやきもきさせられたが、更に来季シーズンには一層飛躍、活躍することを期待したいと思う。

2021年10月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5256.2021年10月3日(日) 問われる国家首脳の責任と実行力

 アメリカ軍のアフガニスタンからの撤退を巡り、アフガン国内はもちろん西側諸国からもその時期、撤退のやり方について批判が出ているが、アメリカ本国でもバイデン政権が行った撤退について民主党内からも厳しい指摘が成されている。

 先月末2日間に亘り、アメリカ下院軍事委員会で公聴会が開かれ、制服組のトップであるミリー統合参謀本部議長は、マッケンジー司令官ともども米軍のアフガン撤退には反対したことを証言した。軍の高官が大統領の判断に対して異論を明かすのは異例である。軍幹部が政権中枢に責任を押し付けるような発言をしたのは、今回のアフガン撤退は政権側が主導し、軍の意向が無視されたからだと考えられているからだ。政権のエラーを印象付けたい共和党議員からは、「軍の助言を無視したバイデン大統領は、辞任すべきだ」との厳しい声も出ている。

 国家の首脳の判断によって、当事国のみならず、その同盟国にも影響が及びかねない事態となった例はこれまでにもしばしばあった。トップにいる人間は、常に冷静で多くの人びとから受け入れられる判断を常に求められている。

 ついては、先月26日にドイツで連邦議会選挙の投開票が行われた。16年間首相の座にいたメルケル首相が引退することになり、その後任を決める総選挙でもある。現在の連立与党、キリスト教民主・社会同盟が敗北し、中道左派の社会民主党が僅かながら第1党となった。環境を訴える政党「緑の党」を含めて各党はどう連立を構成し、政権を奪取するのか、まだ当分の間結果は不透明である。例え政権を取れても少数政党では政権運営は中々難しかろう。メルケル首相の手腕が評価される所以でもある。

 アメリカは2大政党が対峙して、選挙で相手党を破り、平素は比較的安定した政権運営を行えるが、時として重大な失政を冒しかねない。ドイツのメルケル政権のように安定した長期政権を維持出来たのは、政治家としての能力があったメルケル氏だからこそ出来たことではないだろうか。

 その一方で、名乗りを上げた立候補者は本当なのかと疑問を抱いていたフィリピンの大統領選挙が2022年5月に行われるが、今種々話題に溢れている。

 真っ先に立候補を表明したのは、何とプロ・ボクシングで世界6階級を制した国民的英雄で、現在上院議員のマニー・バッキャオ氏である。次いで、マニラ市長にして元俳優のマルコス元大統領の長男、イスコ・モレノ氏である。過去に長期政権により腐敗が生じたことから憲法が改正され、大統領は1期6年となり、現職のドゥテルテ大統領は立候補出来ない。そこで、副大統領への立候補が噂されていたが、昨日その噂を遮り、副大統領への出馬を取り止め、政界から引退すると表明した。これによって、一時父が副大統領、本人が大統領候補として出馬するとの噂が流れたが、ドゥテルテ大統領父娘で揃って立候補することはないと否定的だった娘のサラ・ダバオ市長が大統領選へ出馬するのではないかとの憶測が流れている。

 随分ややこしくなったフィリピン大統領選だが、世襲、有名スポーツマン入り乱れて選出された候補者が大統領になれば、近年覇権国家中国に自国領海を脅かされている問題などにきちんと対処出来るだろうか、一抹の不安もある。

 その点で明日にも決まる日本の次期総理大臣は、内外ともに難題の多い中でしっかり国を引っ張って行けるだろうか。

2021年10月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5255.2021年10月2日(土) メソポタミヤの干ばつは、世紀末の兆候

 昨日は関東地方を台風16号が襲った。最近の台風の中では、幸い伊豆諸島を除いてそれほど大きな被害は被らなかったが、近年日本国内が風水害、地震などの自然災害に襲われることが多くなった。台風に備えて河川氾濫防止対策や、風水害に備えた治水対策もしきりに啓蒙されている。押し並べてほとんどが洪水、豪雨など水害への危険防止対策である。日本には、ほとんど砂漠がないが、その反面降水量が豊富でその過剰な水害対策に備える警戒ばかりが目に付く。

 ところが、最近しきりに言われているように地球温暖化による気候変動で雨量が減り、湖や河川の水量が減少して枯渇するところもあることが、人類生存のために致命傷になりかねないと世界的に警鐘が鳴らされている。

 世界4大古代文明発祥の地のひとつとされる、「肥沃な三日月地帯」メソポタミヤ地方のティグリス川とユーテラス川一帯の水量が、枯渇気味で一部では干上がっているという。文明をもたらした河川が、河川でなくなり文明が廃れるということになる。これら河川の恩恵を被っているイラン、イラク、シリア、トルコなど周辺諸国では、水不足から水争いが生じ、加えて農業が行えず、避難民が増えている。その数、実に1千2百万人もいると危機感を以て報じられている。河川の下流に位置する国にとっては、上流国で水を規制、コントロールされては手の施しようがない。紛争になりかねない。数年前にはアラル海が干上がってしまったが、これはロシアのダム建設の影響を真面に受けてしまったものだった。

 この問題はとても一国だけで解決出来るような生易しい問題ではなく、ともに影響を受ける国々がお互いに話し合い、納得出来るルールを決めることが先ず以て求められる。しかし、いずれはこの話し合いの枠を大きく広げて世界的に検討するためには、今問題になっている地球温暖化を促進する温室効果ガスを規制しなければならない。

 今では南アフリカのヴィクトリア湖も減水傾向が見られるという。これが高じてカスピ海やバイカル湖まで水位が下がるようだと世界中で飲料水が足りなくなることも考えられる。洪水にお手上げの我々日本人にとっても他人事ではない。

 さて、昨日宮内庁は秋篠宮家の長女真子さまと小室圭さんの結婚を正式に発表した。26日に結婚届を提出し、その後お2人で記者会見に臨む。真子さまは結婚を機に皇籍を離脱され、通例の結婚式や、それに伴うお祝いの儀式を行わず、お2人はニューヨークへ旅立ち、同地で生活されるという。真子さまは皇籍離脱する際皇族へ支給される一時金も辞退するという。付き添った医師によって、真子さまはこの結婚を巡る噂や誹謗中傷に心を痛められ、複雑性PTSDと診断されていたことが明かされた。お気の毒としか言いようがない。祝福されるべき結婚式が行われず、日本から逃れるように外国へ行くということは、本人はもちろんご両親の秋篠宮ご夫妻にとっても不憫で堪らないことだろう。

 今後真子さまは一般人になることでもあり、もうこれ以上そっとしてあげて、メディアも過剰な報道は差し控えてあげるべきだと思う。

2021年10月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5254.2021年10月1日(金) 台風襲来の最中に妻退院

 台風16号が太平洋上を北上し伊豆諸島から関東沖合を通過した。この激しい台風の中を妻が10日間の入院の末東京医療センターを退院した。新型コロナウィルス感染防止のため面会が出来なかったので、しばらくぶりに顔を合わせた時、彼女の顔色があまり冴えなかった。聞けば食事をあまりいただいていないという。加えて、何度も検査をした挙句に下腹部から膿が消えて手術をしないことになった経緯に疲労を覚えたようだ。当分食事療法と薬で過ごし、来る19日に診てもらうことになった。

 さて、今日新聞で2つほど気になる記事を目にした。

 ひとつは、訃報である。元朝日新聞カメラマンの藤木高嶺氏が95歳で亡くなられた。一瞬どこかで見た名前だなと思ったが、すぐ思い出した。朝日時代に本多勝一氏とともにエスキモー(イヌイット)を取材し、その後ニューギニア高地、ベトナム戦争を赤裸々に撮影し朝日新聞に連載され、話題となった。このシリーズを読んで多くのことを教えられた。ジャーナリスト本多氏に蔭のように従い、本多氏が素晴らしいドキュメントをルポし、それらの取材記が好評で単行本として出版されたのも藤木氏のリアルな写真が効果的だったからだと思う。その当時このようなドキュメンタリーは、他にはなく、引き込まれるように読み漁ったことが懐かしい。

 偶々本多氏は、「しんぶん赤旗」日曜版に今日まで5回に亘って「『この人に』聞きたい」シリーズで取材される立場にいるが、最終回で「ジャーナリストは現場に出よ」と強くアドバイスしている。彼自身が平時の安定した国ばかりでなく、戦時の危険な場所で生死の境を潜り抜けた経験がある実感が篭った言葉である。「赤旗」では、アメリカ南部で黒人カメラマンと車で取材中、突然白人に銃撃された経験を述べている。黒人社会の中に入らなければ、当時あたり前のようになっていた黒人差別の実態が分からなかったとも話している。私自身の取材経験から推しても、訪れた戦時下の土地では日本人ジャーナリストの姿は見たことがない。近年2度ばかり会合でやつれた本多氏の姿を見ている。話しかけることはしなかったが、年齢的なせいもあるためか、外見からは生気と活力があまり窺えなかった。それでも「赤旗」では、明快な持論を述べておられるので、安心した。藤木氏の他界は、盟友だった本多氏にとってもショックだろう。藤木氏は、朝日退社後は大阪国際女子大教授として活動されておられたようだ。懐かしいカメラマンがまたひとり冥界へ旅立った。

 2つ目の気になった記事とは、パソコンのインクジェット・プリンターの互換インク排除を独禁法違反とした東京地裁の判決である。そもそもこの事案は消費者を騙すようなビジネスモデルである。プリンターにいつも使っていたインクが、ある時期から突然使用出来なくなり、新しいタイプの自社製純正品と称するインクしか使えなくなった。これに対して消費者ではなく互換インク・メーカーが、プリンター業者を訴えた裁判の結果である。純正品は古いタイプの互換インクより価格的に高価である。消費者にとっては狡いビジネスだと考えていたところ、プリンター業者がインクも自社で製造販売してインク分も儲けようと企んだえげつない商いである。付属品を少しずつ改良し、古いタイプを使用出来ないようにするとは、モラルにも欠けるのではないか。似たような例は私が所有するヒューレット・パッカードのパワーポイント用プロジェクターにもあった。一般の消費者が買い求める商品を儲かれば由しとして、新しい付属品しか使えないビジネスモデルをモラル的に何とも思わない風潮が蔓延っていることに寒気を覚える。

2021年10月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com