5262.2021年10月8日(金) 学園経営者とも思えぬ日大理事の行為と逮捕

 日大理事と医療法人前理事長が逮捕され、メディアに興味深い話題を提供している。2人の逮捕は板橋区にある日大医学部付属病院の建て替え工事をめぐり、大学から2億2千万円の資金を不正に流出させ日大に損害を与えた背任容疑である。日大は日本の私立大学の中でも、付属施設を含めて全国的に最大規模を誇る学校法人で、学生、生徒数も9万人を超える日本一のマンモス大学でもある。

 このニュースを最初に耳にした時、2つの疑問が生まれた。ひとつは、3年前に発生した日大アメフト部が対関学戦で1部員の冒した悪質タックルの責任を取り、理事とコーチを辞めた当人がその2年後に再び理事職に復帰していたことである。もうひとつの疑問は、文科省などから助成金を受け取っている学校法人でありながら、全額出資の「日本大学事業部」を経営し、大学の物品調達などを事業として行っていたが、近年は冠婚葬祭業、保険代理店業、広告業などにも投資して日大の外にまでその商業圏を広げて広範に営業活動に勤しんでいることである。プロ野球が行われる球場に、最近大きな日大の広告が目立つようになった。当該の理事はそこでも取締役を務めている。

 日大には最高の意思決定機関である理事会において、当然なされるべきコンプライアンスがきちんど守られていないことである。その原因としてこれまで長年に亘って田中英寿理事長の独裁的言動にブレーキをかけられなかったことがある。当の理事も理事長の懐刀だと噂され、理事復活は理事長の一存で実現したと言われている。

 昨日田中理事長宅へ再び東京地検の家宅捜索が入った。不正な3千万円の金が理事長のに入ったと見られ、今や理事長の逮捕も時間の問題と見られている。

 それにしても、アマチュア相撲のチャンピオンだった田中氏が、日大の理事長にまで成り上がった立志伝には興味をそそられる。王者となった最盛期の理事長をテレビで観たことがある。必ずしも図抜けた体格ではなかったが、トーナメントでは危なげなく優勝した。そのアマ相撲界の英雄が日大の理事長にまで上り詰めたのには、それなりの努力と苦難があったことは想像に難くない。しかし残念ではあるが、欲に溺れた結果として晩節を汚すことになりそうである。

 日大は古橋広之進選手ら数々の名選手を生んで、かつては華々しく桜泳会として活躍した水泳部も今では往年の勢いはそれほどい。

 政界でも日大出身議員が活躍した時期があったが、菅前政権では梶山弘志・経産大臣ひとりになり、岸田政権では日大出身大臣はひとりもいなくなってしまった。その反面、岸田政権では、東大出身者が6人(内ハーバード大2人を含む)、早大、慶大が各4人、上智大が2人となり、これがどうにも現今の受験生の志望大学ランキングと似たような傾向がある。

 OBが出身大学を舞台に個人的欲望のあまり母校の名を貶める。これでは、日大に憧れて入学してきた在学生があまりにも気の毒である。日大は、徹底的に現状を見直して組織にメスを入れ、学校法人らしくコンプライアンスを順守し学生のために知性と教養を身に着ける教育を行うよう努めて心機一転出直すべきであろう。

2021年10月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com