5257.2021年10月3日(日) 問われる国家首脳の責任と実行力

 アメリカ軍のアフガニスタンからの撤退を巡り、アフガン国内はもちろん西側諸国からもその時期、撤退のやり方について批判が出ているが、アメリカ本国でもバイデン政権が行った撤退について民主党内からも厳しい指摘が成されている。

 先月末2日間に亘り、アメリカ下院軍事委員会で公聴会が開かれ、制服組のトップであるミリー統合参謀本部議長は、マッケンジー司令官ともども米軍のアフガン撤退には反対したことを証言した。軍の高官が大統領の判断に対して異論を明かすのは異例である。軍幹部が政権中枢に責任を押し付けるような発言をしたのは、今回のアフガン撤退は政権側が主導し、軍の意向が無視されたからだと考えられているからだ。政権のエラーを印象付けたい共和党議員からは、「軍の助言を無視したバイデン大統領は、辞任すべきだ」との厳しい声も出ている。

 国家の首脳の判断によって、当事国のみならず、その同盟国にも影響が及びかねない事態となった例はこれまでにもしばしばあった。トップにいる人間は、常に冷静で多くの人びとから受け入れられる判断を常に求められている。

 ついては、先月26日にドイツで連邦議会選挙の投開票が行われた。16年間首相の座にいたメルケル首相が引退することになり、その後任を決める総選挙でもある。現在の連立与党、キリスト教民主・社会同盟が敗北し、中道左派の社会民主党が僅かながら第1党となった。環境を訴える政党「緑の党」を含めて各党はどう連立を構成し、政権を奪取するのか、まだ当分の間結果は不透明である。例え政権を取れても少数政党では政権運営は中々難しかろう。メルケル首相の手腕が評価される所以でもある。

 アメリカは2大政党が対峙して、選挙で相手党を破り、平素は比較的安定した政権運営を行えるが、時として重大な失政を冒しかねない。ドイツのメルケル政権のように安定した長期政権を維持出来たのは、政治家としての能力があったメルケル氏だからこそ出来たことではないだろうか。

 その一方で、名乗りを上げた立候補者は本当なのかと疑問を抱いていたフィリピンの大統領選挙が2022年5月に行われるが、今種々話題に溢れている。

 真っ先に立候補を表明したのは、何とプロ・ボクシングで世界6階級を制した国民的英雄で、現在上院議員のマニー・バッキャオ氏である。次いで、マニラ市長にして元俳優のマルコス元大統領の長男、イスコ・モレノ氏である。過去に長期政権により腐敗が生じたことから憲法が改正され、大統領は1期6年となり、現職のドゥテルテ大統領は立候補出来ない。そこで、副大統領への立候補が噂されていたが、昨日その噂を遮り、副大統領への出馬を取り止め、政界から引退すると表明した。これによって、一時父が副大統領、本人が大統領候補として出馬するとの噂が流れたが、ドゥテルテ大統領父娘で揃って立候補することはないと否定的だった娘のサラ・ダバオ市長が大統領選へ出馬するのではないかとの憶測が流れている。

 随分ややこしくなったフィリピン大統領選だが、世襲、有名スポーツマン入り乱れて選出された候補者が大統領になれば、近年覇権国家中国に自国領海を脅かされている問題などにきちんと対処出来るだろうか、一抹の不安もある。

 その点で明日にも決まる日本の次期総理大臣は、内外ともに難題の多い中でしっかり国を引っ張って行けるだろうか。

2021年10月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com