昨日東京都議会議員選挙が告示された。早くも選挙カーから声が聞こえてくる。ウォーキングに出かけて候補者のポスター板を見たら、世田谷区と目黒区ともに候補者のポスターが掲示されていた。ある候補者事務所から電話も入った。投開票日は、来る22日(日)だが、それまで選挙カーのスピーカーに少々悩まされることだろう。定数127人の全42選挙区に295人が立候補したが、これは現在の定数制になって以降最多である。過疎地の村などでは、近年議員に成り手がなく、自治体でも苦慮しているようだが、人口最大の首都東京では、流石にその逆で成り手が多く選挙戦も白熱化する。
都議選は日本の中心である首都の政治を動かす議員を選ぶ選挙だけに、国政にも影響を与えそうで、各政党の党首も要所要所で自党の政策を訴えている。来る7月20日に投開票される参議院選にも少なからず影響を与えるであろう。だが、現勢力分布を見てみると、小池百合子知事が名誉顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が25議席でトップを占めている。同党と自民党、公明党の与党合わせて、過半数64議席を超える72議席を獲得して記事いる。野党で最も議席の多いのは、他府県では考えられないだろうが、意外にも共産党の19議席であり、次いで立憲民主党の13議席である。両党とも小池都政を厳しく批判しており、形勢によっては小池都政も苦しい事態に追い込まれる可能性がある。意外なのは、前回の衆院選で議席を伸ばして政府にモノ申している国民民主党が議席ゼロで、大阪が地盤とは言え日本維新の会にしても僅か1議席であることである。他には無所属議員が17名いる。
どうもすっきりしないのは、昨夏の都知事選で当選した小池知事を元側近が学歴詐称問題で告訴してそのままうやむやになっていることである。証拠は充分あり、都知事解職と考えていたところ、その後まったく話題にもならず、知事として職務に専念している。事実を記事として公開して話題となる「週刊文春」を主に、各メディアもさっぱり報道しなくなった。小池知事のような人物が今以て知事の地位に留まり、与党のリーダーとして活動しているのが摩訶不思議でならない。
また、もうひとつ気になるのは、昨年の都知事選で突然立候補し、小池都知事に善戦した石丸伸二・前安芸高田市長が地域政党「再生の道」を立ち上げ、今回の都議選に42名の候補者を挑戦させたことである。一騎当千の候補者は千名を超える応募者から選ばれたが、本人は選挙には出ない。「再生の道」の特徴は2つある。ひとつは、任期は2期8年である。もうひとつは、議決に関して党議拘束をかけないことである。議員自身が決断する。つまりすべての議案に対してそれぞれの価値観や判断基準で賛否を決めることである。従って、党として政策を掲げない。だが、これでは議会で議員として何をしようとするのかが都民にはまったく分からない。どれほど多くの選挙民が「再生の道」に投票するだろうか。そして、立候補した42人の内、果たして何人の都会議員を誕生させることが出来るだろうか。
それにしてもこんな漠然とした戦法で石丸氏は、この都議選に勝てると思っているのだろうか。結果は1週間後にはっきりする。私は信ずる候補者の当選を願うだけである。