最近全国の自治体の首長の言動が物議を醸して目立っている。それは特にスキャンダル面で注目されている。昨年は兵庫県斎藤知事によるパワハラで県職員が自死したり、今年に入ってからは福井県杉本知事のセクハラ、沖縄の古謝・南城市長のセクハラ、田久保・伊東市長の学歴詐称、小川・前橋市長の市職員とのラブホテル密会など、不祥事が公に晒されて世間を騒がせている。本人の性格もあると思うが、首長としての自覚に欠けるところがあり情けない。
このように地方自治体にさざ波が立っている時に、昨日全国各地で自治体の首長選が行われた。市長選挙が実施されたのは比較的大都市である。結果的に川崎市長に現職福田氏が4選、神戸市長に現職の久元氏が同じく4選となり、長野市では現職で元スキー選手の荻原氏が市長に再選され、山口市で現職伊藤市長が同じく再選された。いずれも次点以下に大差をつけて当選した。評価が安定していたことと選挙の争点がなかったせいだろうか、軒並み投票率は前回を下回るものだった。
その一方で意外に激しい選挙戦となったケースもある。それは宮城県知事選である。現職で6選を狙った村井嘉浩氏が大苦戦したのである。結果的に県政史上最多となる6選を果たした。村井知事は、東日本大震災の発生時から自衛隊出身らしく被災現場で陣頭指揮を執って復興へ向けて主導した功労者でもある。過去5回の選挙では順当に勝利を収めたが、今回は思いも寄らず多選批判が厳しかった。そして今流行りのSNSによる誹謗中傷が酷かった。その他に苦戦の大きな原因になったのは、保守派陣営内に内部分裂があったことである。対立者は自民党前参議院議員の和田政宗氏である。和田氏は、7月参院選で落選した。知事選に立候補を表明したものの自民党は村井知事を推薦したため支持を得られず、参政党から推薦を得た。参政党から神谷代表が応援にやって来るなど強力な支持を得ていた。首を傾げるのは、高市首相が同じ松下政経塾の先輩であることから、村井知事に応援メッセージを送ったのは理解出来るが、意外にも高市首相が敬愛する安倍元首相の昭恵夫人が対抗馬の和田氏を推薦したのである。最終的に村井知事が34万票を獲得したのに対して、和田氏は32万4千票で僅かに知事の座に手が届かなかった。
いろいろ地方には、地方の事情があるだろうが、首長たるものは、まず人間的に信頼されることが最低条件である。そのうえで業績をどう積み上げるかが評価の基準となる。前段のスキャンダルのように地域の仕事もせず、人望もなければ早くその職を去るしかない。このことは国の代表者である国会議員には当たり前のことであり、常に心しなければいけない。
さて、昨日から高市首相は、クアラルンプールで開催のASEAN関連首脳会議に出席していて今朝帰国した。スマイルが受けスピーチも英語でにこやかに喋ったので、割合好評のようだ。マレーシア首相は、「男性を押しのけて日本の首相に初めて就任した女性首相」と紹介した。保守的でトランプ大統領とも良い関係が築けると期待されたのか、首相就任直後から円安と東証株価の株価上昇が見られたが、今日平均株価が対前週末1,212円高の50,512円を記録した。日経平均株価が5千円台に到達したのは、東証史上初めてである。物価上昇が激しいが、この株価高騰が経済発展に結びついて欲しいものである。