今メディアの世界では、新聞、雑誌、テレビなどいずこも内包する難題を抱えているようだ。最近最も世間の話題になったのは、フジテレビでタレントが元女子アナに性的暴行を加えたことをテレビ局内部で隠蔽しようとした会社の後進的な体質から、会社の長年の陰湿な体質などがあぶり出され、公開の場で厳しい非難を浴びることになった。結果的にフジテレビはスポンサー企業からCMを解約され経営的にもピンチに陥っている。
元々テレビ局は、歴史的にはそれほど長くはない。その割に営業自体が派手な一面があり、チヤホヤされた未熟なタレントや若い社員が事業の主体であるため、よほど注意深く人的管理を行わないと危うい側面はあった。
近年SNSとインターネットの普及により、テレビ事業本体の経営が脅かされる傾向も見えた。かつて、安倍晋三元首相時代に、すべてネットにしたら好いという極端に乱暴な声が出たことがあった。これに対して新聞業界が反対したことがあった。視聴者もこれには反対したようだが、メディアへの不信感が広がっていて、今後同じようにテレビ廃止などの動きが再現しないとも限らない。
テレビ業界自体は新しいのだが、その体質は古い。その第一は、男社会であることである。それを変えてこなかったのは、今回フジテレビの不祥事でその存在を明かされた、長年居座っていた陰の支配者、日枝久・元フジ・メディア・ホールディングスCEOが、長年に亘ってグループを独断的に支配していたことがあったからでもある。今役員人事を一新し新体制へ移行して、再起を期しているが、一度失った顧客であるスポンサー企業を取り戻すのは容易ではあるまい。
新聞界も基本的に定期購読者が減少したことにより、経営的にも危ない橋を渡りつつある。昨日もかつて購読していた某新聞がポストに入っていて、A4判の紙に丁寧な購読の依頼文が書かれていた。とても2紙を購読する時間的余裕がないし、上記のように情報はネットを合わせてかなり得ている。実際、定期購読者数は近年激減し、2000年には、5千4百万部の日刊紙が購読されていたが、それが昨2024年には2千7百万部にまで減った。ほとんど半減である。しかも朝夕刊セットで読んでいる人は、4百万部弱である。これには、本を読まなくなった、手紙を書かなくなった人が増えたことが大いに影響しているが、その原因を作ったひとつは、パソコンやスマホに頼り過ぎるようになった習性と時代性にある。新聞を読まず、ペンを握らずスマホですべてを済ますという手抜きのせいで、新聞購読者が減ったと言っても決して言い過ぎではない。
近年このスマホを小中学生のころより親しむようになった大きな原因のひとつは、義務教育の過程でタブレットを使用する授業を文部科学省が必修として認可したことにある。小中学生にタブレットを使用したことは、教育上も良い筈がない。メディアにとっても将来的には営業上マイナスとして跳ね返ってくるこういう公が認める教育に、なぜメディアは強く反対しないのか不思議でならない。
メディアが、やや信頼を失いつつあるのは他にも原因があるが、取り敢えずこのような上記の問題にしっかり対応すべきだと思う。