今年も意識しない間に夏至を迎えることになった。暦上の記念日や慣習は一応頭の中に入っているが、近年地球温暖化の影響で気候の変化が著しい。毎年少しずつ地球上の気温が上昇しているせいで、台風や強風がある程度予測出来た以前とは異なり、「初めて」とか「過去最高」というような表現が使われることが多くなった。今日も連日のように東京都内は真夏日である。今年の夏はこれから一体どんな暑さになるのだろうか。
さて、日本時間今朝5時過ぎにロイターが驚くべきニュースを伝えた。ロシアのプーチン大統領が、「ロシア人とウクライナ人はひとつの民族であり、その意味でウクライナ全体がわれわれのものだ」と主張したそうである。これに合わせて、「ウクライナのスムイ州に緩衝地帯を設置しており、州都スムイを制圧する可能性も排除しない」と述べ、ロシア兵が足を踏み入れた場所は、自分たちのものだとまで領土拡張について身勝手な持論を展開した。プーチン大統領も「地」を表し、露骨に欲望を表明するようになった。最近トランプ大統領がイスラエルのガザ攻撃とイラン攻撃に関心を深め、ウクライナ戦線にあまり関心を寄せていないその隙を突いたプーチン氏の持論展開である。
ともかくロシアというか、プーチン氏は領土欲が異常に強く、これまでウクライナへの食指を一部地区への侵攻と言う形で実行しつつあった。それが、なりふり構わずロシアの領土欲を表したのである。これには、トランプ氏のウクライナ問題への関心の低下と同時に、西欧のウクライナ擁護派の間で対ロシア非難の声が薄れている虚を突かれたという感じがする。
この結果はどうなるだろうか。トランプ氏はイスラエルとともにイランを攻撃しようと狙っているが、言い訳を考えながら2週間以内に判断すると公表した。この間にもイスラエルは、ガザ地区攻撃とともにイランにミサイル攻撃を続けている。今や存在感が薄れて来た国連安保理事会が、昨日開かれグテーレス事務総長が戦闘の停止を求めた。イランの国連代表が、イスラエルの攻撃は国連憲章や安保理決議に違反し、核不拡散体制に対する攻撃だとイスラエルを口撃し、同時にグロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長が、「今後イラン南部で稼働中のブシェール原発や発電所への送電線が破壊された場合は、放射性物質の大量放出を引き起こす可能性があり、核関連施設への攻撃を止めるよう」訴えた。これに対してイスラエル国連代表は、核の脅威が取り除かれるまで攻撃を止めないと、強く否定した。このイスラエルの強気の陰にトランプ大統領の精神的支援がある。そのトランプ氏もイランへの空爆にやる気満々である。
我々が学生時代に60年安保反対闘争や、ベトナム反戦運動に参加して、シュプレヒコールを繰り返した「平和」とか、「戦争絶対反対」という掛け声が、今や中東やアメリカ、ロシアではまったく聞かれなくなった。残念ながら戦争志向や、是認の流れが米ロや、イスラエルの間で強まっている現状では、悲しいかな、我々はどうすることも出来ないのが実態である。