4916.2020年10月28日(水) 首相所信表明演説で推薦会員拒否の説明なし

 先日来日本学術会議の推薦会員候補者を菅首相が任命しなかった件が、ずっともめている。今日も首相は国会の代表質問で任命拒否の違法性を否定し、出身地や大学に偏りがあると述べていたが、一昨日NHK「ニュースウォッチ9」に出席した首相はキャスターの質問に同じように応えていた。その時、会員が偏っていると述べて、出身地や大学、年齢などを挙げていたが、こういう学問の組織ではある程度偏るのはやむを得ないのではないか。

  例えば、科学分野では研究のうえに実績を上げるとするなら、当然年数がかかる。すると研究に関わっている人は年齢を重ねることになり、相対的に高齢者が多くなるのはむしろ当然のように思う。これから地方を活性化させるとのお声は佳しとして、研究機関や工場、大学がともすれば都会、大都市に集中している現状では、大都市で活動する会員が増えるのも致し方ないと思う。更に大学による格差があると言う点では、どうしても大都市の国立大学の方が設備、財政的バックアップなどが地方の大学より優れているので、やむを得ない点がある。ただ、これらはある程度是正していくことは可能だと思う。それにしてもそんなことは当然のことであり、首相が国会の場や、全国ネットのテレビで語るまでもないことである。川勝静岡県知事は、「菅義偉という人物の教養レベルが露見した。学問立国に泥を塗るようなこと」などと痛烈に批判している。

 それより問題は、政治が科学分野の人選にまでちょっかいを出すことである。国費をもらっていることもあり、きちんと国へ報告すべきは報告し、その代わりに余計な口出しはさせない毅然とした対応が必要であると思う。屁理屈をこねて学術会議の組織、運営、人選などに干渉すべきではない。この問題は、政府がきちんと任命拒否の理由を語らなければ、いつまで経っても解決しないと思う。

 さて、昨日プロ野球パ・リーグの優勝チームが決まった。ソフトバンク・ホークスが3年ぶりのリーグ・チャンピォンに輝いた。いつもながら少々首を傾げたくなるのは、2018年と19年にホークスはパ・リーグの優勝を逸していながら、昨年まで日本シリーズ3連覇という素晴らしい実績を上げていることである。パ・リーグ覇者と日本シリース・チャンピォンの間に整合性がなく、不思議なからくりがあるからだ。

 ホークスは、2018年と19年はリーグ2位だった。その後上位3チームが日本シリーズ出場権を賭けて戦うクライマックス・シリーズという、リーグ優勝の価値を貶めるようなトーナメントを行っている。ホークスは、そこで偶々優勝チームを破り日本シリーズへ出場してセ・リーグの覇者と戦って勝った。つまり敗者復活戦で勝ち上がったチームと言える。今年は新型コロナウィルスの影響のせいもあるが、パでは例年なら上位3チームで争われる筈だが今年は2位ロッテとの日本シリーズ進出決定戦となる一方で、セでは開催しない中途半端なクライマックス・シリーズなんてプロ野球界の魅力を失わせるばかりだ。リーグの本当の覇者はどこか疑問を与えるようなポスト・シーズン試合は、好い加減に中止したらどうか。

 現状だと今年優勝を早めに決めたソフトバンク・ホークスだが、日本シリーズに進出出来ない可能性もある。奇妙なシステムである。

 

2020年10月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4915.2020年10月27日(火) タイのデモと国王のスキャンダル

 初めて訪れた外国であり、好きな国のひとつでもあるタイ国内の反政府デモが激しさを加えている。官憲によりデモ隊が抑圧、排除されては、再びデモが活発化して一向にその勢いは止む気配がない。日ごろ温厚なタイ人がこれほど騒ぐのも珍しい。去る8月には、抗議デモは過去最大級のものになり、プラユット現政権を追認しているとして、タブーである国王批判と王政改革まで要求するまでになった。

 タイには世界でも珍しい王室に対する不敬罪なるものがあり、国王や王室を批判することは重大な犯罪として取り締まりの対象となっているとは、つい最近まで知らなかった。実際タイの憲法には、「国王は崇拝される地位につき、それは侵害されてはならない。何人たりとも国王に対していかなる非難も行動もしてはならない」と規定されているから驚くではないか。刑法でも「国王や王妃、後継者や摂政を中傷したり、侮辱したり、脅迫する」ことは犯罪で、禁固刑に処せられることもあるとされている。これは外国人メディアに対しても同様で、仮に反王室と見られる記事が報道されると処罰の対象になるとしてメディアが委縮する傾向があるという。それが公に反王室の報道が見られなかった一因でもあったのだ。

 ところが、国王、及び王室関係の人たちの言動は、憲法が保障するほど胸を張れるような模範的なものかというとまるで真逆なのだ。これまでにもスキャンダラスな話はしばしばあったが情報として伝えられなかっただけなのだ。ラマ9世を名乗ったプミポン前国王は70年間在位して国民から広く敬愛されていたようだったが、子息の今年68歳になるワチラロンコン現国王は、王室で国事を執務しているかと思いきや、プレーボーイとして浮名を流しタイを留守にしがちでほとんどドイツのホテルに20人の愛人と生活しているという。前国王が亡くなって3年後の昨年漸く戴冠式が行われ正式にラマ10世となったが、戴冠式に約35億円を費やしたとして派手な話題にもなった。これまでに3度も離婚を繰り返し、現在1世紀ぶりの国王側室から格上げされた王妃と4度目の結婚生活を送っている。

 しかし、国王ともあろう国民から敬愛されるべき方が、外国で多くの人びとから注視される中で上半身を女性用タンクトップでGパンにサンダル、加えて上半身をペイントで塗って、入れ墨風に装った裸姿は、あまりにも非常識で良識ある人々の顰蹙を買ったことと思う。普通のタイ人の言うに言われぬ気持ちがよく分かる。周囲からは諫めるお側役がいないせいか、国王には襟を正すという気持ちが見られないようだ。

 8月に起きたデモの中で、国王の行為に呆れた弁護士が中心となったものがあった。弁護士は不敬罪により身柄を拘束されたが、後に解放された。しかし、恐らくこのままではどちらも済まないだろう。国辱ものの国王と国王の行為は、タイ国民にとってもいかに憲法で保証されていようとも、いつまでも見過ごすことは出来ないだろう。政治的な反政府デモと王室批判デモが一緒くたになっているが、どちらかのカタがついたとしても、例え違憲であっても王室批判、王室体制変換への動きは芽を吹き出し拡大していくのではないだろうか。

 初めてタイを訪れ、そこで短いながらも古都アユタヤで軍人のスナイさん家族に温かいおもてなしを受けて楽しい旅を送って、新婚旅行でも再訪した大好きなタイが、こんな国王のスキャンダラスな話で国内外の評判を落すのは何とも悲しく残念なことである。

 日本のメディアには、王室関係のニュースが駐日タイ大使館に監視されていることにおびえることなく、正々堂々とせめて真実を伝えて欲しいものである。それはそれとしてこのブログを仮にタイ大使館が知ったら不敬罪に当たるのだろうか。

2020年10月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4915.2020年10月26日(月) これから菅首相の力の見せどころ

 東京医療センター眼科で白内障手術をしてもらってから3度目の健診を受けた。医師からは順調な経過と伺い、この次は2か月後の年末にもう一度診てもらうことになった。確かに左眼が良く見えるようになった。点眼薬の処方について種々アドバイスをいただき、まずまずと一安心したところである。これからは毎月1度通い付けの土坂眼科で診てもらうよう勧められた。

 今日臨時国会が開かれ、菅首相は初めて所信表明演説を行った。「グリーン社会の実現」を成長戦略の柱に位置づけて、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を新たに掲げた。これまで目標は「50年までに80%削減」だったので、一層厳しい取り組みが求められる。実現に向けては、次世代型太陽電池や、二酸化炭素を再利用する「カーボンリサイクル」などの研究開発を促進させる方針を示した。脱炭素社会に向けた国と地方の検討の場を創設することも打ち出した。原子力政策を進め、温室効果ガスを多量に排出する石炭火力発電については「政策を抜本的に転換する」と述べた。自民党総裁選で打ち出した「デジタル庁」創設や、携帯電話料金の引き下げにも触れた。

 更に「ポストコロナ」を見据え、デジタル化などの「大胆な規制改革」を掲げた。司令塔と位置付けるデジタル庁は「来年の始動に向け、早急に準備を進める」とした。あらゆる行政手続きをオンライン化するため、国と各自治体のシステムを今後5年で統一し標準化する目標を打ち出した。

 明日から国会で野党との論戦が展開されるが、手ぐすね引いて待ち構えている野党の日本学術会議会員の任命拒否問題をどう切り抜けるだろうか。ネットの世論調査を見てみると、「納得できない」が68.4%で、「納得できる」の29.2%を遥かに凌駕している。首相が「総合的かつ俯瞰的に判断した」と言っているが、学術会議には国から毎年10億円が投資されているとの言葉が、「だから国(政府)の言う通りにせよ」と言わせているように思えて仕方がない。語るに落ちたの感がある。加えてなぜ否定した説明がないのかとの問いに対しては応えず、学術会議のあるべき姿を検討すると的はずれの対応をしている。やはり、政治が学問、科学の自由を侵しているとの指摘にまともに応えていない。モリ、カケ、桜の証拠隠滅3部作をやった安倍前首相路線を継承していくと語った菅首相らしいパフォーマンスではないだろうか。しばらくしたら菅首相の周辺も怪しい雲行きとなり、得意の忍術ドロンが見られるのではないかと思うとぞっとする。

 さて、そろそろ今年のプロ野球も終盤に近付いて、セ・パ両リーグとも優勝マジックが1桁になった。今日そのプロ野球界恒例のドラフト会議が初めてリモート式で開かれた。ひとり興味を惹かれた高校生がいる。地元球団中日ドラゴンズに1位指名された中京大中京高のエース、高橋宏斗投手は、入学以来負けなしで昨秋の明治神宮大会でも優勝したプロ注目の剛球投手だ。残念ながら志望大学のAO入試に通らず、気持ちを切り替えプロ入りすることを決断した。かつて、甲子園で大活躍した坂東英二、江川卓投手も同じ経験を経てプロ球界で活躍したように、プロ球団が喉から手が出るほど欲しがっている逸材でもあり、敢えて進学に拘らず、伸び盛りの時にプロ入りする方が本人の野球人としての成長のためにはプラスに作用するのではないかと思う。

2020年10月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4913.2020年10月25日(日) 核兵器禁止条約50カ国が批准・発効、日本批准せず。

 昨日に続いて朝日朝刊に連載中の池澤夏樹の「また会う日まで」について雑感を手短に書いてみる。ここ数日の海軍高官の言動描写に興味を抱いた。時は日ロ戦争前後である。主人公の海軍士官が海軍艦隊演習航海でアメリカやヨーロッパを巡った当時の航海記録に興味を抱いた。特にロシア軍艦が地中海で日本軍艦にちょっかいを出し一触即発のときに、日本に好意的だったイギリス軍艦の先導でスエズ運河へ入り、スエズから紅海を通りアデンを経てアラビア海に出るルートを航海するシーンを描いていた。偶々近日上梓するドキュメント「八十冒険爺の言いたい放題」で、第3次中東戦争直後に戒厳令下のスエズ運河へ行き、その後アフリカを回ってビザを持っていながらアデンで入国を拒否され、何とかして滞在ビザを取得して日本人として初めて独立したばかりの南イエメン(アデン)へ入国した旅行について頁を割いている。そんなことを思い出し頷きながら読んでいた。今では運河も拡張されたが、砂漠の中を波ひとつない公海上をすべるように進むイメージが頭の中に浮かんでくる。

 さて、昨日核兵器の保有や使用などを禁止する核兵器禁止条約をホンジュラスが批准して批准国が50カ国になり、国際条約として来年1月に発効することになった。しかし、これに参加していないアメリカ、ロシア、中国などの核保有国には条約の効力が及ばず、実効性には課題が残る。また、アメリカの「核の傘」に依存する日本も条約に参加していない。世界で唯一の被爆国であり率先して批准すべき日本が条約を批准しないことに関しては、条約批准国から不審な目で見られている。

 安倍政権時代から日本は、核保有国と非保有国の間の橋渡しをするという極めて曖昧で無責任な立場に固執し続けている。今回条約批准国が50カ国に達したことにより非核化の動きが加速することを期待したい。

 しかし、最近アメリカが批准国に圧力を強めて批准を取り消すよう求めていた。核戦争を望んでいるのかのようなアメリカは、これにより非核運動が世界的に大きく拡大することにブレーキをかけたようだ。日本はアメリカの核の傘の下に入ることによって、アメリカ側に就いている。これが被爆国の行き方だろうか。これにより自らの手を汚すこともなく核兵器使用を許容していることになり、極めて中途半端な立場にいる。これは倫理的にも問題で、無責任過ぎやしないだろうか。

 実際2017年のノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が、「(原爆を投下された)日本の経験を考えると、日本が核兵器を合法のままにしようとしていることに失望している。日本は核兵器がどういうものかをよく知っている。条約を支持しないことで、政府は同じことが再び起きるのを許そうとしている。日本の人々が参加を強く支持していることは知っている。しかし、条約に加入しないならば選挙で選ばないと声を上げるなど、政府に要求する必要があると思う」と日本人の行動にも問題があると語った。今後実施される締約国会議に日本がせめてオブザーバーとして参加することが出来るのだろうか。

 アメリカ大統領選が終了してから、アメリカ外交は本格的に動き出すだろう。日本は相変わらずアメリカの腰巾着となってその指図によって右往左往しながら核保有国と非保有国の間を行ったり来たりするのであろうが、あまりにも主体性がなさ過ぎる。

2020年10月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4912.2020年10月24日(土) アメリカ大統領選2度目のテレビ討論会

 昨日アメリカ大統領選候補者による2度目のテレビ討論会が行われた。第1回の討論会は政策論争どころではなく、共和党のトランプ大統領と民主党バイデン前副大統領両候補者の相手への罵り合いとなって見苦しく、論戦も噛み合わず史上最悪の討論会と言われた。それを反省して今回は、各テーマの冒頭でひとりの候補者が話す2分間は、他の候補者のマイクのスィッチを切って割込みをシャットアウトする異例の措置を決めた。アメリカと言えば、世界の舞台で最高のディベートとなるべき討論会が、まるで子どもの学芸会のようになってしまった。今回は、相手の話している間に割り込んで邪魔することがなくなったことにより、視聴者には聞きやすく、分かり易かったようで想像以上に好評だった。

 最初のテーマであるコロナ感染拡大が再び加速していることに関しては、トランプ大統領が中国より襲来したウィルスで感染が拡大したと言って、まもなく終わるだろうと楽観的な見通しを語った。一方、バイデン氏はトランプ氏がその影響力を軽視したために22万人もの死者が生まれたことを指摘し、トランプ大統領が未だに包括的なプランを持っていないと批判し、初期対応の遅れも非難した。

 また、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」については、トランプ氏の科学的根拠がない二酸化炭素ガス(CO2)削減取り決めのせいでビジネスを破壊するとの言い分に対して、バイデン氏は地球温暖化は人類の存続にとって脅威となるとしてパリ協定復帰を主張した。

 4年前は、投票日直前までクリントン候補有利との下馬評だったにも拘わらず、それが覆ったことにより、今年もバイデン氏が有利であるが、予断は許せないとの声がある。その点で昨日の討論会でトランプ大統領が決定的に不利な情勢を逆転させるほどの効果はなかったとの講評である。CNNは54対39でバイデン氏に軍配が上がったとコメントしていた。今日の朝日「天声人語」は、即断は禁物だが、バイデン氏が王手をかけた印象と書いている。残りあと10日である。どうなることやら日本にとってもアメリカ大統領は大きな影響があるだけに気になるところである。

 さて、ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」には、微笑ましく愉快な話が随所に溢れている。朝日夕刊に毎週金曜連載中の「ガリバー旅行記・第1部リリパット渡航記」が昨日19回で終了した。著者のスウィフトについては、1992年にアイルランドのダン・レアラで学校訪問した時に教育関係者からもその名を再三聞かされた。アイルランドが誇るべき偉大な作家なのである。

 新聞は大きな挿絵と解説付きであるが、毎号全一面を使っていた。子どものころにダイジェストで読んであらすじは知ってはいたが、改めて18世紀当時のイギリスの時代背景や、イングランドとアイルランドの端からは分からない関係などが風刺的に描かれていて興味をそそられる内容だった。漂着した小人の国が「リリパット」という王国であることを初めて知ったことや、リリパットを出国して母国へ帰る途中で乗せてもらった船が、何と日本からやって来たイングランドの商船だったことなどである。今まで単にリリパットを小人の国と思っていただけだったが、小人の身長が15㎝だったことや、火災に遭った皇后の宮殿に小便をかけて消し止めたが皇后の怒りを買ったことなど、初めて具体的に知る珍しいエピソードがいっぱい溢れていた。次週から第2部に進むのだろう。楽しみにしている。

2020年10月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4911.2020年10月23日(金) イスラム教国トルコと反イスラム国中国

 創建されて千五百年になるイスタンブールの歴史的な建造物アヤソフィアは、キリスト教会からイスラム教モスクへと替わり、その後無宗教の博物館として存在してきた。ブルーモスクともいわれるこのイスラム殿堂は世界遺産でもあり、イスラム教徒に関係なく多くの外国人観光客が見学に訪れる。私自身何度か訪れたことがあるが、内部のギリスト教とイスラムを象徴するステンドガラスと壁画が素晴らしい。ところが、去る5月にその博物館を再びモスクへ戻す動きが出て波紋を呼んでいる。トルコの前身、イスラム勢力のオスマン帝国が、カトリックのビザンツ(東ローマ)帝国の首都だったイスタンブールを征服してから567周年を記念するイスラム式典を、トルコ政府がこのアヤソフィアで開催したのである。

 もともと何かとトルコ政府と対立していたギリシャが、黙っているわけがない。イスラム教のコーランは世界中のキリスト教徒の心情に対する侮辱だとして、無宗教の博物館のイスラム化に強い異議と反対を唱えた。しかし、キリスト教国の反対があろうとも、イスラム化を強めるトルコのエルドアン大統領は些かもたじろぐこともなく、その剛腕ぶりは益々エスカレートしている。

 一方で、中国の新疆ウィグル地区では、かねてより中国政府がイスラム教徒であるウィグル族に対して厳しい人権抑圧を加えている。中国はイスラム教への監視、管理を強め、宗教の中国化を唱えると同時に、公の場においてウィグル語の使用についても制約し、教育現場では基本的に中国語で教育して教科書も中国語で書かれている。現在新疆ウィグル自治区には1270万人のウィグル族が居住している。漢民族とウィグル族の対立もしばしば起きていて、中国政府はウィグル独立を目指す過激派勢力を抑えるため、弾圧を強化しウィグル族住民への統制も強めている。

 近年になってイスラム教の象徴であるモスクが少しずつ姿を消しつつあると最近報告された。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が衛星写真などで確認したところでは、モスクの60%以上が破壊されていると指摘し、ウィグル族住民の信仰や文化を危機に追いやるものだと批判的な意見を公にした。新疆西端の街カシュガルでは、旧市街のモスクがこの2~3年の間にかなり閉鎖されたという。中にはカフェに替えられ、漢人がオーナーになっている。イスラム教のモスクにとっても最も象徴的なドームの上のイスラム教シンボルだった新月が取り外され、中国国旗が掲げられているというからイスラム教徒にはとても近づく気持ちにはなれないだろう。

 破壊されたモスクは、中国共産党に依れば耐震性が不十分で危険な建物として閉鎖したという。習近平指導部は、2015年共産党会議で「宗教が社会主義社会に適応するよう宗教の中国化の方向を堅持する」との方針を決定した。今や社会主義国家ではない中国が、社会主義化というのも奇妙であるが、社会主義では宗教を敵対視していたのも忘れて「宗教の中国化」というのも意味をなさない。ASPIの分析では、新疆では外国人観光客があまり訪れないウルムチで35%、カシュガルで40%、農村部では80%以上のモスクが破壊されたり改造されていたという。

 この指摘に対して中国外務省副報道局長は、予想していた通り「ASPIは反中国のでっち上げ報告をしている」と無視、否定していた。どうして中国という国は外部から具体的な指摘をされると根拠も示さず、否定ばかりするのか。もう少し素直、かつ謙虚になれないもののだろうか。

2020年10月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4910.2020年10月22日(木) アメリカ軍駐留経費増額のゴリ押し

 先日来日したアメリカのエスパー国防長官が、昨日アメリカのシンクタンクで講演した。だが、その講演内容は同盟国に対する身勝手な要望を語って、同盟国というより支配国に対するアメリカの一方的な押し付け希望だった。

 まず、すべての同盟国に対して防衛費を国内総生産(GDP)の2%以上にするよう求めたというから余計なお世話と言いたい。その理由として極東地域で中国やロシアからの攻撃に対してアメリカが防衛する安全保障へのアジア諸国のただ乗りは認められないというものだ。極東地域の防衛は、間違いなくアメリカが主導している。だが、それは中国やロシアが攻撃してきた時にアメリカが防御、かつ攻撃をしかけないと他のアジア諸国では太刀打ち出来ないからアメリカが国策によって防衛体制供与の防衛計画の下に防備体制を固めているのである。当然アメリカにとっては相当の費用が掛かる。そのアメリカの主体的な費用を分担して人件費も含めて当事国も負担すべきであるとのアメリカの言い分である。そしてアメリカでは国防費が厳しくなってきたので、アメリカが対中、対ロをにらんで極東地域に展開している防衛体制をこれまで通り維持、管理する費用を当事国にも負担せよというものである。そのためには、GDPの2%を防衛費に注ぎ込めと主張しているのだ。

 アメリカは北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対してもGDP比2%以上の防衛費を求めてきた。エスパー長官は、現在同盟国の中で2%以上の防衛費を計上している国は9カ国に増えたという。アメリカは、自国の防衛費を軽減するために駐留国に対しても経費の負担増額を次々要求している。韓国に対しては駐留米軍経費の現在の5倍近い負担増額を求めて、話し合いが中々まとまらない。日本に対してもかなりの増額を求めているが、防衛費がGNP比0.9%の日本の財布からはそんなに駐日アメリカ軍への思いやり予算なんて出せるわけがない。

 問題は、アメリカは一方的に日本に米軍駐在日負担増額を要求しているが、日本政府こそアメリカ政府に対してヨーロッパの駐留米軍に比べて負担の多い日本の立場と事情を率直に伝えるべきである。アメリカの押しつけがましいやり方は、他の分野でも露骨に見られる。日米不平等条約と揶揄される日米地位協定によって認められた在日米軍人の有利なアメリカの言い分だけが、認められたような条約や、集団的自衛権を前提とした双務的体裁の採用が罷り通っている。

 高額な防衛機材の購入を押し付けたり、日本の民間航空機の空域を狭めたり、アメリカ軍人の治外法権を認めたり、我々が学生時代だった1960年に反対した日米安保条約は、当時懸念したように今や日本にとって迷惑千万なことが多過ぎて、大きな重荷になっている。安保条約は、日本とアメリカ双方が日本および極東の平和と安定に協力することを表面的に規定したものであるが、「極東の平和と安定」に資するということは、それが軍事面であるとするなら明らかに憲法に抵触している。

  日本政府は、日本憲法の精神、趣旨、目的を説得してアメリカ政府にそれを無視するが如き言動を慎むよう明確に説明すべきである。

2020年10月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4909.2020年10月21日(木) コロナ感染者4千万人を超える。

 新型コロナウィルスの感染者が世界でついに4千万人を超えた。死者は111万人である。一向に収束の傾向が見えない。ヨーロッパでは、第2波のコロナ旋風がやってきた。アメリカでは大統領選たけなわであるが、トランプ、バイデン両候補ともにコロナ対応を論争の対象にしている。トランプ大統領の如きは、ウィルスを当初から「中国ウイルス」と呼んで、コロナは国内問題ではなく、外交問題であるとの印象をアメリカ国民に植え付けることによって、初期対応の失敗を取り繕っているように見える。

 今日イギリスでコロナ・ワクチン開発のために敢えて健康な人にウィルスを人為的に感染させる治験を行うとのニュースが伝えられた。まだ決まったわけではないが、倫理委員会他のOKが出れば実験を開始するようだ。すでに治権者の応募を始めているが、イギリスばかりでなく海外からも応募者がいる。敢えて健康な人たちに犠牲を強いてまでしても実験が必要なのか、悩むところである。日本の専門家は倫理的な問題があるとして必ずしも全面的な賛意を得るのは難しいと論じている。

 さて、こんなことをやるのかと呆れた暴挙があった。ロシアの参謀本部情報総局(GRU)が東京オリンピック関係者にサイバー攻撃をしてオリンピック開催を妨害しようとしたという馬鹿げた話である。ふざけ半分なニュースならともかく、真面目な情報だったようで、どうしてこのように他国の国際的業務を妨害するようなことを大国ロシアがやろうとしたのか、とても理解出来ない。ロシアは2018年冬の平昌オリンピックでも実際にサイバー攻撃を仕掛けて入場券などの販売などを妨害した。このニュースはイギリス外務省が発表したものであるが、アメリカ司法当局も平昌オリンピックなどを標的にしたサイバー攻撃を行ったとしてGRUの関係者を起訴したと発表した。

 なぜロシアから恨みを買うようなこともやっていない日本が、このような仕打ちを受けるのかと不審に思っていたところ、子どものような考えではあるが、ロシア人特有の恨み辛みを偶々オリンピック開催の日本に向けたようだ。そもそもねちっこいロシア人が、日本に八つ当たりしたのは、国家ぐるみのドーピング問題で世界反ドーピング機関(WADA)が、ロシア選手団や政府関係者らがオリンピック東京大会を含む主要な大会から4年間除外すると決められたことにある。自ら撒いた種であり、制裁を受けるのは当然であるが、それに納得せず、他へ憤懣をぶつけているのである。それにしても国としての品位、プライド、モラルなどまったく感じられない恥ずべき行為である。こんな不道徳なことをやっておいて、恥ずかしいとか、申し訳ないとの気持ちはないのだろうか。ロシア大統領府補佐官は、ハッキング行為などは1度もやったことはないと頭から関与を否定しているが、盗人猛々しいとはこのことであろう。ロシアに対しては、4年間の出場禁止であるが、仮に来年の東京オリンピックが再び中止にでもなれば、次のパリ大会にも出場停止の処分を科すべきであろう。

2020年10月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4908.2020年10月20日(火) 新聞販売数減少下の新聞広告拡大対策

 今日朝日朝刊を開いて首を傾げた。5頁いっぱいに「♯広告しようぜ」という全面広告が載っていた。「広告はつまらない」「広告は嫌いだ」「広告なんて」と自虐的な言葉の下に「それでも広告は、時に企業のメッセージを超えて、人の心を揺さぶり、時代を象徴し、社会を動かす(こともある)~」との文言が続いている。朝日新聞メディアビジネス局が企画・制作したものである。新聞広告を呼び掛ける広告である。それだけではない。その他に全面広告4頁を使って「♯広告しようぜ」とPRしているのだ。近年簡便な携帯の普及により各新聞とも発行部数が漸減している。ネットで情報を得られるようになって手軽にスマホ等からニュースや情報を仕入れているのだ。しかし、ネットから得られる情報だけでは、しっかりした記事や解説などは得られるとは思えない。根本的には、スマホの急激な普及が新聞の購読者数を減らし、更に読書をする人まで減らしてしまったように思っている。新聞購読者が減少したことにより、企業の販促活動で新聞広告に依頼する度合いが減ってしまったことが、この「♯広告しようぜ」につながったのだと思う。

 新聞広告の対費用効果が下落したということではないか。それはテレビ広告でも感じることがある。最近の民放テレビの放映時間内の広告割合の多さには呆れることがある。それは、広告スポンサーが減ったために広告料金を値下げして、その代わりに広告時間を増やして多くの企業の広告で分担するからだと思う。それによってテレビの広告では、今まで社名も知らなかった企業が増え、かつての重厚長大企業の広告掲載が減ったように思っている。これも経済の成り行きや、広告宣伝費を支出し易い企業にも栄枯盛衰があるのだろう。それにしても大朝日新聞に全面5頁も使って商品広告ではない広告を掲出するとは、日本経済も大分変化してきたということだろうか。

 さて、首相へ就任して菅義偉首相は夫人を伴い初めて外遊に出かけた。ベトナムとインドネシアを最初の訪問国に選んだのは、南シナ海における海洋進出で影響力を強めている中国に対して、価値観を共有する両国とインド太平洋構想で理解を求める考えである。今日ベトナムからインドネシアへ飛んだが、それなりに実績を残した安倍前首相のルートを辿った訪問でどれほどの成果を上げることが出来るだろうか。

 その菅首相の今日発売された文春新書「政治家の覚悟」なる著書が、今朝の朝日紙広告に大きく載っている。ところが、その著書について朝日にはこんな記事が書かれている。これは民主党政権時代に発行された著書「政治家の覚悟 官僚を動かせ」を改定したものだというのである。それ自体は問題視することはない。しかし、大事な箇所を削除しているというのだ。民主党政権の政権運営などを批判した文章だという。民主党政権の議事録の保存状態を問題視し、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への配信行為」とまで言って公文書管理の重要性を訴えていた。そう述べたご当人が、疑念だらけの公文書取扱いをやっているのだ。モリカケ問題で公文書を改ざんしたり、廃棄したのを承知していたのは当時の菅官房長官だった。首相に地位に就いて菅首相はこの点についてどう整合性を説明するのか。

2020年10月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4907.2020年10月19日(月) 下肢静脈瘤、レーザー光線で治療

 今日も近くの東京医療センターへ出かけて血管外科で目立ちだした右足脹脛の静脈瘤らしき膨らみを診てもらった。この10年近くの間に少しずつ瘤が大きくなり、先日森内科で紹介状を書いていただき、今日専門の関本医師に診察していただいた。エコー検査をしてもらったところ病名は「下肢静脈瘤」と診断され、痛みや異常を感じなければ、特別心配するほどのこともないとの話だった。だが、さりとてこのまま放置するわけにも行かない。治療法としてはいくつかあるようで、その中でレーザー光線によるものが良いとのことから来月通いでレーザーを当ててもらうことにした。この方法だと大分回復するという。これまで動脈とか、静脈については深刻に考えたことはなかったが、静脈は動脈とは逆の働きをするようで、身体の下部から上部へ血液を送り込むのだが、それが弁の故障で下部へ逆流しているということだ。それにストップをかける治療を来月以降にやってみようということになったわけである。

 さて、昨日の本ブログにアメリカが新型コロナウィルス感染の影響を受けた結果、経済不況により今季は過去最多の約330兆円の赤字決算になったと書いた。各国もコロナの影響により経済は大きな影響を受けているが、コロナの発祥地中国ではどうなったのかと気になっていたところ、今日国家統計局が今年度7~9月期の実質国内総生産の速報値を発表した。驚いたことに前年同期比で4.9%増えていた。4~6月期も3.2%増となり2期連続でプラス成長となった。3月は初めてマイナスとなったが、これで中国の今年1~9月期は、前年同期比0.9%増となった。中国経済の底力に脱帽である。トランプ大統領も中国の悪口を言うばかりでなく、少しは謙虚に中国の力を見直してみてはどうだろうか。今アメリカ中で大統領選が活況に入っているが、どこへ遊説に行ってもコロナによる影響があったことを言う時、決まってトランプ大統領は「中国ウィルス」によってもたらされたコロナという表現をする。もう少し前向きな対応が出来ないものだろうか。

 それにしてもアメリカ経済というのは分かり難い。昨日過去最大の国家財政の赤字が公表されたので、当然株式市場は下落すると見られていたところ、ニューヨーク証券取引場では久しぶりの賑わいを見せていた。その空気を受けた東京株式市場でも日経平均株価が上がり、対先週末で260円も上がった。何が株価を動かしているのかよく分からない。

2020年10月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com