4798.2020年7月1日(水) 香港を弾圧する中国の理不尽

 昨日中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、香港における反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法」を香港の頭越しに成立させた。これにより今日中国は香港の治安維持に直接介入することになり、1997年香港がイギリスから返還された時の協定「1国2制度」が骨抜きにされることが明確になった。

 今年6月初め中国でこの国安法が決まって以来、日米欧各国から中国に対する懸念と非難が向けられ、今日27カ国が中国非難の共同声明を発した。返還交渉の際チャールズ皇太子まで出席した式典で、中国と交渉、協定を締結したイギリスは中国の約束を踏みにじるような詐欺的行為に対して目立って反対しなかったことに首を傾げたものだ。しかし、昨日イギリスのラーブ外相は、初めて中国に対して批判的なコメントを発表していた。

 この国安法案は、国家分裂、政権転覆、テロ活動、そして外国勢力との結託による国家安全への危害などについて、無期懲役以下の刑事罰を科すと決めている。香港市民にとっては、将来はともかくまだ協定が有効である今日、強圧的に非民主的な法律を押し付けられることに憤りは止めどもないと思う。今日香港ではこの法律に反対するデモが行われ、早くも180人以上が逮捕された。

 どうして中国は残り27年を待つことが出来ず、拙速にもこのような不遜な行動に出たのだろうか。これまで度々民主化デモを行いそのリーダー核となっていた政治団体の指導者が、生命に関わると言い団体の解散を宣言した。もう香港では民主化運動が死滅するしかなくなったようだ。

 返還協定が生まれてからまだ約束の50年の半分も経たない内に、権力と圧力によって弱い者苛めを強いている。香港の林鄭月娥・行政長官をはじめ行政府閣僚は、自分たちも香港人であるにも拘わらず、中国政府の思うがまま行動するのは些かだらしがないと思う。

 中国共産党は、いかに批判があろうとも香港の反体制派を抑え込むと息まいている。中国政府、及び中国共産党には、民主、自由を重んじる気持ちはまったくない。それは中国国民に対しても言えることである。大体共産党は委員、代議員を自由選挙で選ばず、彼らの意向に沿った考えの人物を指名して選出し、反論、批判は認めない。従っていくら大勢の代議員が出席してもひとりとして異論、反対を主張することはなく全員賛成で議事は進められていく。この国安法についても、出席した全人代常務委員162人が全員賛成したというのも常識的にはとても考えられない。

 このように都合よく数合わせはするが、自分たち少数意見を押し通すシナリオですべて自分たちの思う通りにことを決定するような国家の構造になってしまったのが、現代中国である。自らの意思を伝える口を塞がれ国民も気の毒である。言論の自由はなく、個人的な意見を述べることもできない。公に楯突けばすぐ後ろに手が回る。しかし、過去の歴史に照らしてみても未来永劫にこの異質な非人道的国家体制が継続されるとは到底思えない。今の覇権国家・帝国国家打倒を目指す、本物の中国国民による本物の中国のための本物の中国革命によって、いつか習近平体制は否応なく崩壊することになるであろう。

2020年7月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com