4799.2020年7月2日(木) プーチン大統領のための憲法改正

 昨日強引にも香港の自治をぶち壊す国家安全維持法が実施されて、世界中から非難轟々の中国に続いて、かつて同じ社会主義国の盟主として君臨していたロシアが、憲法改正のための全ロシア投票を行い、78%の賛成票を得て正式に改正されることになった。

 何のための憲法改正だろうか。一口に言ってプーチン大統領が自らの長期政権の基盤を固め安定的に独裁的国家統治と支配を目指すための憲法改正である。プーチン大統領は2000年に大統領に就任して2期8年の任期終了後の2008年、メドベージェフ氏を4年間身代わりに大統領に据えて首相に退き、4年後に再び2期12年となった大統領に就いて現在の任期は2024年までである。これで現行憲法の規定により大統領職は全うしたと思いきや、敢えて新憲法下でもプーチン大統領を特例としてもう1度2期12年間大統領として君臨して権力を揮おうとしているのだ。

 1度最高権力者の味を染めたら、自ら手放したくない気持ちは理解できないこともないが、いかなる職責にもそれぞれ年齢や、期間のような抑制的なルールというものが決められているものである。それは権力者が権力にしがみつくことを防ぐためのものだ。しかし、どうしても独裁者になると一旦握った権力を手放したくないのが人情であろうか。こうして、長期間同じ職に留まっている内に腐敗が進み、組織は崩壊する。国とて同じでいずれ亡びる。一般的に発展途上国に長期政権の事例が数多く見られる。不思議なことに社会主義国と自称する旧ソ連や中国には、革命家と言われる初期のリーダーと、その伝統を継承する人物が互いに長期に亘って権力の座に留まっている事例が多い。

 中国革命を成し遂げた毛沢東思想を継承する習近平・国家主席は、昨日香港の「1国2制度」の公約を破る暴挙を冒した。そして、今日「鉄の男」スターリンの後継者、プーチン大統領が、私利私欲のために憲法改正という大博打を打った。2つの国、ロシアと中国は先覚者とその継承者が、いずれも権力の鬼となって周辺諸国との間に諍いを起こし、国土の拡大を目論見ながら自国民の生活水準の向上にはあまり関心がない。

 これから憲法改正によってロシアは自国民への自画自賛のPRはともかく、世界、並びに周辺諸国への友好関係、気遣いはあまり期待出来そうもない。とにかく両国、両指導者は自分の利得以外は眼中にないようである。

 身勝手なご近所さんにこれからも嫌がらせを受けそうな気がしている。

2020年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com