5560.2022年8月3日(水) 台湾がらみで米中が一触即発

 昨晩遅くアメリカのペロシ下院議長が台北空港に着いたが、その真偽を取り交ぜた訪問目的の臆測が絡み、米中両国で批判合戦が行われている。先月28日行われたアメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席との電話会談で、大統領は台湾有事の際はアメリカが軍事関与するとはっきり伝えた。これに習主席は激しく反発した。バイデン政権にとっては秋にはやや民主党劣勢気味の中間選挙を控えているだけに、中国に先手を取られている印象をアメリカ国民に与えたくない。習主席にしても今秋開催の共産党大会で、憲法改正をしてまで主席在任期限を延長した第3期目を目指すためには、強いリーダーシップを発揮しておきたところである。

 そんな中国が非難する中で敢えてペロシ議長が台湾を訪れたのは、南シナ海の海洋進出、新疆ウィグル自治区少数民族抑圧、言論弾圧と非民主化、更には香港の一方的な支配で中国の覇権的行動が露骨になっており、これにブレーキをかけさせるための中国政府への牽制とも言える。

 しかし、メンツをつぶされた習主席と中国政府の抵抗は予想以上に激しく、主権と領土保全を侵害されたと猛反発した。すぐさま昨晩から台湾周辺で軍事的な威嚇行動を本格化した。4日以降7日まで台湾を取り囲む6か所の海空域で軍事演習、実弾射撃を行う。同時に経済面でも台湾産の農水産物の輸入停止措置を発動した。経済面で台湾を揺さぶる狙いのようだ。

 今や核戦争も視野に入って来た時代に、刺激的な行動は出来るだけ控えるべきであり、アメリカの台湾支援政策のやり方はあまり賢いとは言えない。これほど事前に中国政府から警告や非難を受けたら、時期をずらすとか、ペロシ議長以外の議員に派遣を変更するとか、次善の策を講じても良かったのではないだろうか。

 一方、中国の主張と行動は台湾問題に限らず、あまりにも自己中心的で非民主的な面が強い。それだけにアメリカが世界2大国の民主主義国家の旗頭とのプライドに拘るのは分かる。ただ、台湾にこれほど精神面で力を貸すなら、なぜ香港の自治権である1国2制度を瓦解させたような、中国政府の「国家安全維持法」施行による一方的な侵略を黙って見過ごしてしまったのか。1979年カーター大統領の下で米中国交正常化は合意された。その際最大の懸案事項だった台湾問題に関しては、アメリカが台湾に武器援助を続けることを条件に台湾政府と断交することになった。どっちもどっちだが、その辺りに今以てわだかまりが見られ、訪れないフリをしながら台湾訪問を強行したペロシ議長の行動も案外読み取れる。ペロシ議長は今日中に台湾を去り、この後韓国を経て、明日日本を訪れる。

 さて、今では国際社会から忘れられがちであるが、国際テロ組織アルカイダの指導者、アイマン・ザワヒリ容疑者が、7月31日何と潜伏先のアフガニスタン・カブール市内で殺害されたとのニュースが伝えられた。昨年アフガンから撤退したアメリカが、その日午前6時過ぎにバルコニーにいたザワヒリ容疑者をドローンで殺害したというから、2011年5月に潜伏中のビン・ラディン容疑者を暗殺した際には、潜伏先に米特殊部隊が乗り込んで殺害したころに比べてドローンの精度も随分上がったものだ。今も相変わらずアフガンの政治的、社会的、経済的混乱は収まる気配がない。イスラム原理主義に拘るタリバン政権は、果たしてアフガン国内の不安定な治安を沈静化してくれるだろうか。

 それにしてもドローンにここまで確実に的を外さない技術が備わって来たとするなら、プーチン大統領も枕を高くして寝ていられないのではないだろうか。

2022年8月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5559.2022年8月2日(火) 大学院修士号取得は、容易か?

 以前にちょっと気になっていたことがあった。それは、いつかプロ野球巨人軍の桑田真澄ピッチング・コーチが早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で修士号を得たと新聞で知った時である。彼はPL学園高を卒業して巨人軍に入団し、その後巨人軍で活躍したうえでアメリカへ渡りMLBへも入団した。だが、帰国後大学へ通ったという話はまったく知らなかった。それが唐突にどこの大学でも学ばずに大学院へ入ったと聞いた時、漠然と納得の行かない感があった。今まで普通に大学を卒業した学士が大学院修士課程へ進めるものと信じ切っていた。学校教育法102条にも大学学部を卒業した者が入学資格を有するとある。

 ところが、ここには例外規定があったのである。しかし、それは大学院自体の存在、及び価値を損ないかねないものである。その例外規定とは、「個別の入学資格審査により大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、22歳に達した者」とある。それなら仮に入学希望者が優秀だとするなら高校へ行かない中学卒業生でも大学院生になる資格があるのだろうか。実力がありながら諸々の個人的事情で大学へ進学出来なかった者にとっては、この天が授けた「抜け道」を通って通常の学卒者の上を行く学歴・修士号を手中にし得る、幸運な大学院生である。

 桑田以外にもタレントでありながら巧みな司会者である恵俊彰氏や、相撲界では元横綱稀勢の里、元関脇安美錦らが早大から、名古屋場所で関脇を務めた現役関取の大栄翔が日大大学院から修士を得ており、タレントのロンドンブーツの田村淳は、慶應義塾大学大学院で修士号を得た。

 今では大学院は、一流大学より遥かに簡単に入学出来るようだが、日ごろ多忙な彼らが、ノルマである卒業論文を何冊も書籍を読み込んで研究し、書き上げることが出来るのだろうか。出来れば彼らの卒論とやらを読んでみたいものである。最近の月刊誌「選択」8月号には、こんな風に皮肉っぽいことが書かれている。「世間からみると有名人が大学(学部)をバイパスして、いとも簡単に大学院に入っているというようにしか見えず、いい意味でも悪い意味でも大学院のイメージを崩した。今まで学究の場と敬遠していた大学院が一流大学よりはるかに簡単に入れる身近な場所になったのだ」。

 これには、アメリカの大学院修士の存在が大分影響しているらしい。アメリカではビジネス面で、修士号と博士号の力を問われるケースが多いようだが、日本の修士では所詮アメリカン・ビジネスマンには太刀打ち出来ないだろう。しかもアメリカでは、修士課程2年間で約2千5百万円の学費がかかる。この辺りにアメリカのビジネスを誤解した肩書だけを求めた最近のバイパス修士の欲望があったのだろう。流石に最近は何らかの挫折にでも当たったのか、大学院入学者は減少傾向にあるそうだが、喜んで好いのか、悲しむべきか。それにしても文部行政を主管している文部科学省は、一体何を考えているのだろうか。何もコメントしようともしていない。日本もだんだん分からない国になってきた。

2022年8月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5558.2022年8月1日(月) 毎年恒例の人間ドック受診

 年に1度の人間ドック受診のため、タクシーで信濃町の慶應病院予防医療センターへ出かけた。例年のことなので、手順は分かっている。病院はこの数年本体の建て替え工事を行っていたところ漸く完工となったようだ。正面入り口から館内は以前に比べて大分明るい雰囲気になり、建物も立派になった。病院ビルは神宮の森の近くで、JR信濃町駅前という利便なロケーションにある。

 今日の検査で、昨年に比較して悪くなっているところがないので、取り敢えずホッとしている。ただ、看護師さんが左足の浮腫みを気にされて、血液の流れが良くないのではないかとの指摘により、急遽その部分を検査してもらうことにした。すべてを終えて総括的なお話しの中で、左足の血管がやや硬くなっているようだとのお話しで、今後注意深く見守ってかかりつけの医師ともよく相談されるようアドバイスをいただいた。現状では特に心配はいらないというご託宣だった。来年の今日も予約しておいた。

 それにしても今日も暑い。午後2時現在、すでに全国各地で210地点が猛暑日を記録した。全国ではトップ3の暑さだった福井県小浜市39.1℃、鳥取県米子市38.9℃、同鳥取市38.5℃は、いずれもそれぞれの都市で観測史上最高値を更新した。まだ当分炎暑が続くようで、外出はまだ当分の間控える必要があるようだ。

 さて、そんな暑い中で、安倍晋三元首相を殺害したのは、容疑者の旧統一教会に対する逆恨みだったことが明らかになるにつれ、連日自民党と旧統一教会との関係がただごとではないことが明かされている。新聞、テレビよりもネット上のツィッターで、著名人が実情を明かしているのである。自民党が煮え切らない間に、日本維新の会が13名の同会所属の国会議員が、旧統一教会と関係があったことを公表した。安倍元首相が、深く関わっていたことも明らかにされ始めた。

 伊達忠一前参議院議長が、一昨年以来旧統一教会のイベントに3度も出席していた。選挙で同教会に度々世話になったお礼に出席したという。お世話になったというのは、選挙の際ボランティアでお手伝いしてもらったということである。ボランティアとは体裁が良いが、人件費を負担してもらったの意味であり、公職選挙法に違反するのではないか。直近の参院選で旧統一教会の選挙応援のエピソードがドラマチックである。長野県出身の宮島喜文・前議員と今回当選した井上義行議員の公認について安倍氏が伊達氏を説得し、旧統一教会票を井上議員に振り分けさせ、宮島前議員を立候補させなかった舞台裏があったようだ。この点では安倍元首相が強く関わっていたのだ。自民党とつながりの深い右翼の急先鋒だった故笹川良一・元日本財団会長は、「私は文鮮明の犬だった」と告白していたそうだから、ここにも自民党、日本財団、そして旧統一教会、3者間の深い関係を見て取れる。自民党議員と旧統一教会とのつながりは、想像以上に根深く、強いようだ。日本維新の会ですら、関係者を公表した。自民党なら少なくとも維新の数倍の議員が、旧統一教会と関わっているのではないだろうか。

 昨日関係を問われた岸田首相は、「社会的に問題となっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明することが大切だ」と他人事のような発言をしていたが、もっと積極的に関与し、膿を出し、今後一切交流しないくらいの強い態度を示すべきではないか。

2022年8月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5557.2022年7月31日(日) 小田実さん逝って早や15年

 月日の経つのは、早いものである。15年前の昨日、尊敬する社会派冒険作家の小田実さんが亡くなられた。葬儀は、8月4日に青山斎場で行われ、私も最後のお別れをするために葬儀場へ出かけた。ご遺体をお送りしてから、青山一丁目まで行進をするからと誘われ、反戦歌♪We shall overcome~♪を歌いながら追悼のデモに参加した。翌朝の朝日社会面に顔写真が載り、それを見た学生時代の友人から「お前!まだやっているのか?」と皮肉っぽく問われたが、そのデモ行進はその後NHKドキュメンタリー番組でも放映され、今となっては懐かしい想い出のひとつである。新聞写真の説明に名が載っていた井上ひさし、加藤周一、土井たか子、ドナルド・キーン氏らもその後小田さんの後を追うように旅立たれて行った。

 何といっても小田さんの「何でも見てやろう」は、その書名からして興味を惹いた。読んでその行動力と考え方に圧倒され、少なからずショックを受けた。それまでの世界観が変った。それが私の海外武者修行へ飛び出す動機となったと言える。今でも時折小田の書を取り出しては目を通している。今国民から注目されている安倍元首相国葬を小田ならどう思うだろうかと考えることがある。

 ベトナム戦争が激しかった時代に、小中陽太郎さんらとともに横須賀のアメリカ海軍基地から脱走した4人の海軍兵士を匿い、彼らの希望するスウェーデンへ送り出す手助けをしてやったあの行動力は、とかく言動が伴わない今の有識者や評論家には見られないものである。小田さんは現在の日本、また世界の状況を見て冥界でどう思っているだろうか。

 さて、先の参院選で野党第2党に議席を伸ばした「日本維新の会」が、松井一郎代表の辞任により来月初めて党代表選を実施する。創立当初は大阪及び関西地区を地盤にしていたが、今や全国的にその勢力を築き上げている。創立当初から主義・主張の異なる人たちの内部抗争で安定感に欠けていたが、漸く腰が定まってきた感じである。政治的立場としては改革保守であるため、近年やや与党を組んでいる公明党が伸び悩んでいるのを尻目に、自民党も取り込もうとしているが、主張が大きくぶれるために敢えて接近するのを避けているようにも見える。

 吉村洋文・大阪府知事とともに松井一郎代表が大阪市長を務めており、大阪は日本維新色に塗られているが、今悩みを抱え込んでいる。それは統合型リゾート(IR)大阪誘致の実施であるが、住民の反対が強く一歩前へ進めない。はっきり言って賭博場の開設であり、住民たちは環境の悪化を懸念している。横浜市と和歌山市が計画から撤退し、今では長崎市と大阪市だけが残っている。住民の間からIR反対の声が上がっている。住民投票の実施も要求している。大阪は過去において2度住民投票を実施したが、提案は反対多数で実施出来なかった。それは、大阪府を東京都と同じ自治体にしようとの大阪都構想だった。平成27年と一昨年に行われたが、いずれも僅差ながら提案は承認されなかった。今度のIR法案は、それ以上に住民の反対が予想されるため、日本維新の会としては迂闊には前へ進めず、今も手が付けられない状態である。行動力があるとされる「日本維新の会」は、果たしてバクチをどうしようと考えているのか。

2022年7月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5556.2022年7月30日(土) 日本人の平均寿命が短くなった。

 コロナ禍が益々勢いを強め、最近1週間の感染者数は、日本が世界最多という不名誉な記録を残してしまった。第6波を過ぎて一時新規感染者数が減ったころから、国民の間に気の緩みが現れたのではないかと思っている。というのは、自宅周辺を毎日ウォーキングしていてマスクを着けていない人が最近随分増えたと感じている。因みに今日も夕暮れ時に歩いて、私の半径10m範囲位に行きかった通行人19人の内マスクを着けていた人は9人しかいなかった。国や自治体はマスク着用を要請しているが、やはり説得力がなく国民の間には緊張感が欠けているように感じている。

 コロナの感染拡大により当然死者も増えており、これが何かに影響を与えるのではないかと漠然と考えていたところ、今日昨年の日本人の平均寿命が公表された。それによると平均寿命は、過去最高だった昨年を10年ぶりに下回った。女性は87.57歳、男性は81.47歳だった。解説によれば、交通事故や、がん、肺炎などの死亡率が減少した一方で、新型コロナウィルス感染による死者の増加が全体的に寿命を縮めたという。従ってこの現象は一時的なものであり、今とかく話題になる「少子高齢化」現象とは無関係である。それでも私自身平均寿命を2歳強も上回ってしまった。

 後期高齢者になって気になることは、最近の若者たちの言動である。近頃若者が本を読まない、手紙を書かずにスマホに熱中し過ぎるとよく言われるが、それが結果的に彼らの文章力が弱まり、文字知らずになっていると思っている。また、かつての60年安保闘争時の学生運動程度の行動までアピールしろとは求めないが、労働者ともども社会の不正や理不尽を正そうと行動する意欲やエネルギーが実践面で見られないことが不満であり、苛立たしく思っている。

 もうひとつ身近なことで苦情のようなことを言うなら、どうして若者は電車内で高齢者に素直に座席を譲ってくれないのだろうか。日本人は思いやりがあって親切であるとの外国人の誉め言葉は、今や彼方へ置き忘れられてしまった。お年寄りに対する配慮が足りないのではないかと思う。欧米人はお年寄りと見ると必ず座席に手招きして譲ってくれるほど優しい。日本人の若者は、われ先勝ちにシルバーシートへ向かい、スマホに夢中になったフリをして自分の世界へ引きこもってしまい、結果としてその周囲に高齢者が立たされることになる。日本では、世間知らずのわがままな若者より、小学生の方がよほど思いやりがある。近年80歳を過ぎてから痛感していることである。

 さて、コロナ禍とウクライナ情勢の緊迫化により多くの消費者物価が高騰している。このほど大手電力会社9社の今年度第1四半期の決算が発表されたが、9社の内6社の純損益が赤字だった。中でも東北電力はすぐさま電気料金を値上げすると述べた。すでに大方の電力料金は値上げされているが、ガス料金も水道料金も電力に倣いである。こうしてすべての公共料金が値上げされる。これでは一般消費家庭の負担も大変である。鉄道会社もほとんど赤字決算に陥っていることを考えれば、いずれ鉄道会社も値上げを申請するだろう。そして他の公共料金と通常の消費者物価が連動したら、かなりの家計が破綻するのではないだろうかと危惧される。

 ウクライナ情勢の前途も不透明であり、エネルギー価格の高騰は家庭のみならず、経済界にも大きな負担となっている。コロナ禍の見通しもつかない。このようなお先真っ暗の時代の中で、当分物価高と戦いながら庶民は生き抜かなければならない。実に不透明で嫌な時代に生きることになってしまったものである。

2022年7月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5555.2022年7月29日(金) JR赤字路線をどう存続させるのか。

 コロナ禍で観光業界、交通業界が経営的に大分苦しくなっているが、そこへ昨日JR東日本が、地域の採算が悪化している地方路線ごとの収支を初めて公表した。それによると1日1㎞当たりの平均利用者数が2千人未満の35路線66区間のすべてが赤字だった。沿線人口が減って利用者が少なくなったことがその最たる原因である。さりとてこればかりは住民の生活上大きな影響を与えるだけに、赤字路線即廃止と言うわけには行かず、存続のためにJRと沿線自治体の前向きの協議が望まれる。

 JR各社は旧国鉄から分離独立した当時から地域性に優劣があり、各社が同じような経営を行うことは難しかった。新幹線を営業するJR3社は大都市圏で稼ぐことによって全体で黒字を確保出来ると想定していた。しかし、このコロナ禍で状況が変わった。3社も2021年度決算で純損益が大幅な赤字企業に転落した。地域の交通をどのように最適化させることが出来るかについては、有識者の間で鉄道会社側からも提案を出すべきであるとの意見が出されている。

 今では赤字化した路線には、元々乗客は少ないが、その分景観も気持ちを癒してくれるような自然が溢れている所が多い。かつて八ヶ岳に登るためによく利用した小海線の年間の赤字額が、約15億円もあるという。小海線沿線の風景は何とも言えず懐かしい。八ヶ岳へは、清里駅を主に甲斐小泉、甲斐大泉の両駅からトライしたものである。そして沿線には日本の鉄道駅で一番高い標高1,345mの野辺山駅もある。小淵沢駅から終点の小諸駅へ至れば小諸城址・懐古園がある。近くを島崎藤村の「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ~」の情緒たっぷりの「千曲川旅情の歌」に歌われた千曲川が流れている。何とか利用者が増えて存続して欲しいと願うのは、JR、沿線住民ばかりではなく、数は少ないが観光客もいるのだ。

 そう願っていたところ、ふと月刊誌「NATIONAL GEOGRAPHIC」7月号の特集記事「都会の野生動物」を思い出した。アメリカでは山野や高原ばかりでなく大都市にも野生動物が徘徊しているような所が数多くある。同誌はアメリカの都市部における野生動物の進出と、野生動物と住民との棲み分けについて写真付きで解説していて大変興味深い。近年日本でも地方都市などでは、野生の熊や鹿などが住宅地帯に侵入して田畑を荒らしたり、時には人を傷つけることがあるが、首都圏のような大都市にコヨーテなどが歩き回ることなんてとても想像出来ない。

 ところが、同誌によると熊、コヨーテ、アライグマなどの生息地域が縮小する中で都会にうまく適応する生き物もいるそうだ。特に驚くのは、シカゴのような大都会でコヨーテがこの数十年間にアメリカ国内の生息域を急速に拡大し、今日ではハワイ州以外のすべての州に生息していることである。ネオン輝くシカゴ川に沿ってコヨーテが歩き回っている姿はとても日本では信じられない。それでも人が野生動物に襲われるケースはほとんどないようで、その点で人間と野生動物が地域的に、また活動する時間において上手に棲み分けているのだろう。これも人間の住む世界と野生動物の世界が同じ空気に近づいたということでもあろう。
 小海線の棲み分けというわけでもないが、都会で密集している集団の人びとが、小海線沿線のような広大で素晴らしい風光の中へやって来ることが出来るなら、赤字路線も立ち直り、ストレスが溜まった都会人もきっと心の安らぎを覚えることだろう。

2022年7月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5554.2022年7月28日(木) トヨタのクレームで国策が変る。

 5月末に岸田政権が新しい資本主義実行計画案の中で、「2035年までに新車販売で電動車100%」と大々的に打ち出した。電気自動車以外の車は将来的に販売規制を行うというものだった。ところが、この舌の根も乾かぬ1週間後に「新車販売でいわゆる電動車(電気自動車・・・及びハイブリッド自動車)100%」と括弧内文言が書き加えられたのだ。トヨタの豊田章男社長がこの実行計画案を見て、これではトヨタは今後岸田政権を支持しないと甘利明・元自民党幹事長にクレームをつけた。このトヨタからの抗議を受けて岸田内閣はあっさり方針転換をしてしまったのだ。

 昨年11月岸田首相は、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳会合スピーチで、2兆円の基金を活用した電気自動車普及への支援を宣言した。しかし、その後首相はトヨタからのクレームによる方針転換の後に開かれた主要7か国首脳会議(G7)で、恥ずかしげもなく共同声明からCO2を排出しない自動車の普及目標を削除するよう要求した。これでは国際社会から日本は脱炭素に不熱心で電気自動車の普及を妨害していると受け取られかねない。

 それより何より日本が世界へ訴える国策を、いかに1自動車会社社長としてではなく、日本自動車工業会会長の立場から不満の申し入れであるにしても、こうあっさり受け入れて気候対策に逆行する看板政策を書き換えることが許されて良いものだろうか。元経済産業省官僚だった古賀茂明氏は、政府はトヨタの求めた踏み絵を踏んでくれたから恩返しに参院選で支援し、自動車工業会は多額の献金をする関係が続いていると皮肉っぽく述べている。

 偶々去る5月イギリスのシンクタンクが発表した、世界の主要な自動車メーカー12社の「気候変動政策への対応」に関する格付けでは、トヨタが最下位だったということが分った。

 ところで、今日夕刊を見て驚いたのは、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が先月に続いて再び金利を上げることを発表したことである。しかも今回も6月の0.75%という大幅な金利上げと同率の0.75%もの金利を引き上げるという。その理由は40年ぶりと言われるアメリカ国内のインフレを強力な金融引き締めで抑え込みたいとの思惑である。これにより益々日本の円安が昂進するだろうことが予想される。気になるところである。
 さて、今日も新型コロナウィルスの新規感染者は増える一方である。全国23万3千人、東京都も40,406人ともに過去最多となった。ヨーロッパでは最近の感染者数は落ち着いているが、今日アメリカでも感染者がぶり返していたが、実は昨日はそのアメリカを追い抜いて日本が世界で一番感染者が多かったという不名誉な記録を作ってしまった。この1週間の新規感染者を見ても日本が一番多い。感染対策が緩いということではないだろうか。政府は前回発令したまん延防止などのような特別警報を発令する動きを相変わらず示していない。現状のまま個人が行動を自粛することだけに委ねていても良いものだろうか。

2022年7月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5553.2022年7月27日(水) 政教分離と人種差別

 自民党が隠していた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が、次から次へと明らかになってきた。昨日は遂に茂木敏允幹事長が、教団との関係について「党として組織的関係がないことはすでにしっかり確認している」と苦し紛れの言い逃れを述べた。しかし、その直前に岸信夫防衛大臣が「何人かは存じ上げている。お付き合いもあったし、選挙の際もお手伝いいただいた」と語った。この言葉の裏には相当の付き合いがあったことを匂わせる。例えば、今後教団との付き合いについて記者団から問われると、軽々にお答えできないと逃げたようだが、これだけやましい教団との付き合いについて、どうしてきっぱりと「今後は手を切る」と言えないのか。殺害された安倍元首相の実弟でもあり、当然教団の温かい湯の中へとっぷり使っていた岸信介元首相の孫とあれば、怪しい教団をそう簡単に突き放すわけには行かないのだろう。

 そして、岸田内閣で国家公安委員長を務めている二之湯智議員も、4年前に旧統一教会関連団体のイベントで京都府実行委員長を務めたと明かした。平和の祭典といい、名前を貸して欲しいと依頼されたからと言い逃れている。また、元文科相の馳浩石川県知事もこの期に及んで、国会議員時代から旧統一教会の支援を受けていたと告白した。皆黙ってウソをつき、教団の活動に手を貸していたことになる。図らずも安倍元首相が殺害されたことによって、政治と宗教の関係が明かされることになったが、事件さえなければ、まだこの闇のような付き合いは続いていたことだろう。

 怪しげな関係が公になった以上、茂木幹事長の煮え切らないコメントなんかではなく、この際党として今後一切宗教と手を切るということをどうして国民に向かってはっきり表明出来ないのどうだろうか。さもなければ、同じように蔭に隠れて怪しげな宗教と政治の一体化を再びやりだしかねないだろう。

 さて、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が今カナダで先住民に許しを請う謝罪旅行を続けている。これまで小耳に挟んだ程度でほとんど知らなかったが、カナダ国内では長い間寄宿学校に先住民の子どもたちが強制的に住まわされ、神父や教師らによって暴力や虐待を受けていた事実があった。キリスト教徒にとっては屈辱的な出来事である。その数は、1990年代までに約15万人といわれている。教皇は先住民たちを抑圧した植民地主義的な思想に多くのキリスト教徒が賛同したことにつき懺悔し謝罪した。今日改めて教皇が現地を訪れ、住民に許しを請うなんてことは、かつての誇り高い白人キリスト教徒には考えられなかったことであろう。アメリカ、カナダの北米大陸は、18世紀以降旧大英帝国からアングロサクソンが移民として黒人などを奴隷として引き連れ働かせ、虐げて来た。もともと黒人など非白人を差別化してきたのである。それが今日も未だアメリカ国内などでは人種差別問題として国民間に紛争の種となっている。教皇が謝罪したからとて、少数民族やアフリカ系黒人などに対する差別はそう簡単には無くならないだろう。しかし、敢えて謝罪旅行を実行した教皇の言動は、理想主義的でヒューマニズムに溢れていると思う。

 我々日本人の間にもかつては、アイヌ民族や、島崎藤村の「破戒」のテーマである穢多(エタ)のような少数民族を部落民と呼び、また戦時中は朝鮮人を差別化してきた忌まわしい過去の歴史がある。どこの国にも同じような問題があるが、せめて差別と気が付いたら止める勇気が必要ではないだろうか。

2022年7月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5552.2022年7月26日(火) ミヤンマーで民主派活動家の死刑執行

 気になっていたが、ウクライナ情勢に気を取られている間に、過日死刑を宣告されていたミヤンマーの民主派議員と民主化運動家ら4人が昨日、死刑を執行されたとのニュースが伝えられた。軍事法廷で死刑宣告の時点で世界各国から軍事政権へ抗議が寄せられていたが、政府はすべて無視して死刑を執行したのである。これを受けて欧米をはじめ世界各国から「ミヤンマー軍事政権による民主活動家らの死刑執行は非難すべき暴力行為であり、政権が人権と法の支配を無視している」と共同声明を発表した。日本政府も今日ミヤンマー軍事政府宛てに抗議をした。

 今回の死刑執行に対する抗議は、今までになく国際社会を揺り動かしている。国連のグテーレス事務総長や、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも厳しく批判し、同時にミヤンマー軍事政権下の裁判で約100人が死刑を宣告され収監されていると公表した。今後も彼らが死刑を執行される可能性がある。

 まったく事件の目的や経緯は異なるが、偶々日本でも今日午前民事犯の死刑が執行された。2008年6月に東京・秋葉原で通り魔殺傷事件として7人を殺害し、10人に重軽傷を負わせた犯人が、今日処刑されたのである。また、今日は他にも6年前に集団殺人事件があった。神奈川県立社会障害施設「津久井やまゆり園」で施設職員が刃物で入所者19人を殺害し、26人に重軽傷を負わせた事件である。犯人はすでに死刑を宣告されているが、「障害者は不幸しか作らない」などと身勝手なことを口走っていた職員が、障害者の世話をして、その挙句に障害者を殺害するに至ったという想像も出来ない事実に驚いている。

 ミヤンマーのケースとは異なり、日本の事件は本質的に別物で殺人を犯すことだけに気持ちを集中していたようなことを知ると、どうして周囲がこれを防ぐことが出来なかったのかと、周囲の無関心とあまりの命の軽さに茫然とするばかりである。

 さて、相変わらず新型コロナウィルスの感染拡大は勢いを強めているが、政府は具体的な防止対策を打ち出す動きを見せていない。経済の減速を警戒しているように思えるが、その影響は夏休みに入ったばかりの観光業界にまたまた打撃を与えている。JR西日本では、利用者の減少を口実にしているが、その実本当のところは運転関係者の感染が増えて人員が足りなくなり、新幹線及び一部特急の間引き、及び減便を行うと公表した。小田急バスや、宮崎交通でも運転手が感染して、定期路線バスの運行を減便すると公表した。油断すれば、コロナウィルスはどこへも侵入してくる。実際岸田内閣のスポークスマン・松野博一・官房長官や、コロナ対策の責任者だった堀内詔子・前ワクチン担当相が陽性となった。今流行しているのは、BA・5というこれまでのウィルスとは別の曲者ウィルスのようだ。

 幸い私は、今日4度目のワクチン接種を受けることが出来たが、とても気を許すわけには行かない。

2022年7月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5551.2022年7月25日(月) 旧統一教会と関係深い安倍元首相の国葬

 先日凶弾で殺害された安倍晋三元首相の国葬を、9月27日に日本武道館で行うことを政府は正式に決定した。1967年吉田茂元首相以来55年ぶりのことである。ところが、国葬に対する反対の声が徐々に増えて来た。元首相の政治的実績云々もさることながら、生前カルト教団と関係があったことも明らかになりつつある。先にNHKが行った国葬に対する世論調査では、賛成が49%で、反対は38%だったが、数日前に南日本新聞社が行った調査では、反対56.5%に対して賛成が14%にしか過ぎなかった。何といっても憲政史上最長の8年8か月に亙る首相在任という事実が実績として評価された一面はあった。だが、長期の在任中に負の実績の側面も目についた。とりわけ加計・森友学園事件で不透明な国有地払い下げ問題に関与したにも拘わらず、何の説明もせず、逆に近畿財務局職員が自死する事態にまで至らせた。その後も「桜を見る会」で公選法に抵触する資金提供などの不正事件を起こしながら説明せずに逃げていた途中である。

 海外へ度々出かけて各国首脳と膝を突き合わせて会談したことなどから、彼らから追悼の言葉をいただいた。岸田首相は国葬決定に至った経緯について、「外国の首脳、国際社会から高い評価を受けており、突然の蛮行で逝去されたことに対して、国の内外から幅広く哀悼や追悼の意が寄せられている」と述べた。岸田首相には何やら思惑があり、敢えて国葬に踏み切ったのも元首相や派閥への忖度があったからである。あくまで身内の論理と自己都合で決めたに過ぎない。敢えて言えば、安倍元首相には国内で目立つような政治的実績はほとんどなかった。

 そこへ蛮行を犯した容疑者の母親と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係性が取り沙汰され徐々にその関係が明らかにされている。旧統一教会の異常な原理とトラブル、信者への献金など強制的行動が批判的に取り上げられている。その旧統一教会と安倍元首相の祖父・岸信介元首相との深い関わり合いがあったことも明らかになった。

 その旧統一教会に関して、ツイッターでも批判的な文言や、詳細などが出回り始めたが、旧統一教会の創設者である故文鮮明総裁の呆れかえる発言録が「天聖経」として紹介されている。

 「韓半島は何かといえば 男でいえば生殖器です 半島です 島国は女性の陰部と同じです 日本が1978年から 世界的な経済大国として 登場したのは エバ(イブ)国家として選ばれたので (中略)日本はすべての物資を 収拾して 本然の夫である アダム国家韓国に 捧げなければならないのです」

  こんな不条理で下品な「天聖経」とやらを有難がっている旧統一教会幹部や信者は、とても普通の常識人とは思えない。そのカルト旧統一教会の関係団体に祝電を送っていた安倍元首相の国葬を、多額の国費を使って行うカルト自民党と岸田首相の行動をこのまま容認して良いものだろうか。

2022年7月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com