5454.2022年7月27日(水) 政教分離と人種差別

 自民党が隠していた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が、次から次へと明らかになってきた。昨日は遂に茂木敏允幹事長が、教団との関係について「党として組織的関係がないことはすでにしっかり確認している」と苦し紛れの言い逃れを述べた。しかし、その直前に岸信夫防衛大臣が「何人かは存じ上げている。お付き合いもあったし、選挙の際もお手伝いいただいた」と語った。この言葉の裏には相当の付き合いがあったことを匂わせる。例えば、今後教団との付き合いについて記者団から問われると、軽々にお答えできないと逃げたようだが、これだけやましい教団との付き合いについて、どうしてきっぱりと「今後は手を切る」と言えないのか。殺害された安倍元首相の実弟でもあり、当然教団の温かい湯の中へとっぷり使っていた岸信介元首相の孫とあれば、怪しい教団をそう簡単に突き放すわけには行かないのだろう。

 そして、岸田内閣で国家公安委員長を務めている二之湯智議員も、4年前に旧統一教会関連団体のイベントで京都府実行委員長を務めたと明かした。平和の祭典といい、名前を貸して欲しいと依頼されたからと言い逃れている。また、元文科相の馳浩石川県知事もこの期に及んで、国会議員時代から旧統一教会の支援を受けていたと告白した。皆黙ってウソをつき、教団の活動に手を貸していたことになる。図らずも安倍元首相が殺害されたことによって、政治と宗教の関係が明かされることになったが、事件さえなければ、まだこの闇のような付き合いは続いていたことだろう。

 怪しげな関係が公になった以上、茂木幹事長の煮え切らないコメントなんかではなく、この際党として今後一切宗教と手を切るということをどうして国民に向かってはっきり表明出来ないのどうだろうか。さもなければ、同じように蔭に隠れて怪しげな宗教と政治の一体化を再びやりだしかねないだろう。

 さて、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が今カナダで先住民に許しを請う謝罪旅行を続けている。これまで小耳に挟んだ程度でほとんど知らなかったが、カナダ国内では長い間寄宿学校に先住民の子どもたちが強制的に住まわされ、神父や教師らによって暴力や虐待を受けていた事実があった。キリスト教徒にとっては屈辱的な出来事である。その数は、1990年代までに約15万人といわれている。教皇は先住民たちを抑圧した植民地主義的な思想に多くのキリスト教徒が賛同したことにつき懺悔し謝罪した。今日改めて教皇が現地を訪れ、住民に許しを請うなんてことは、かつての誇り高い白人キリスト教徒には考えられなかったことであろう。アメリカ、カナダの北米大陸は、18世紀以降旧大英帝国からアングロサクソンが移民として黒人などを奴隷として引き連れ働かせ、虐げて来た。もともと黒人など非白人を差別化してきたのである。それが今日も未だアメリカ国内などでは人種差別問題として国民間に紛争の種となっている。教皇が謝罪したからとて、少数民族やアフリカ系黒人などに対する差別はそう簡単には無くならないだろう。しかし、敢えて謝罪旅行を実行した教皇の言動は、理想主義的でヒューマニズムに溢れていると思う。

 我々日本人の間にもかつては、アイヌ民族や、島崎藤村の「破戒」のテーマである穢多(エタ)のような少数民族を部落民と呼び、また戦時中は朝鮮人を差別化してきた忌まわしい過去の歴史がある。どこの国にも同じような問題があるが、せめて差別と気が付いたら止める勇気が必要ではないだろうか。

2022年7月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com