862.2009年9月22日(火) 好漢・田淵守くんのこと

 会社勤めのころの同僚であり、高校のちょうど10年後輩に当る田淵守くんから定期リポートを送ってこられた。いつも丁寧な取材としっかりした内容、きちんと割付けされたリポートに感心する。

 「鯰亭事務所リポート」と題して、ひとりで原稿を書き、印刷物にして定期的に送ってくれる。「鯰」とは、田淵くんが自分自身につけたニックネームである。彼は湘南高を卒業して東京教育大に入ったが、学生運動のやり過ぎ?で中途退学し、偶々私より遅れて中途採用で同じ会社へ入社してきた。こう言っては悪いが、4月入社の学卒定期採用者とは違うので、最初から将来のエースやエリートコースに乗ることを期待されたわけではなかった。だが、頭の切れることと人柄の良さで忽ち職場内で人望を集め、リーダー役を担うようになった。彼も意気に感じて現場従業員のために組合活動に力を入れ、職場内で自分の出世を省みることなく精一杯黒衣となって活動した。時によってはその言動は先鋭的であり、保守的な組合大会や株主総会で積極的に発言したが、いずれも為政者から歓迎されるはずもなく、組合委員に立候補しても所詮根回しの行き届いた選挙では、組合委員に選出されることもなく、組合員として思い切り活動することはできなかったのではないか。

 会社からは煙たがれ、日和見的な組合からも距離を置かれ、シンパは彼を本当によく知る社員、彼の組合活動を評価する組合員しかいなかった。気の毒だった。職場環境としてはあまり恵まれていたとは言えなかったが、私を常に先輩として立ててくれ、仕事には真剣に取り掛かってくれた。会社の方針に沿っているとは受け取られず、その点ではやり方があまりうまくなかったのかも知れないが、もう少し直属の上司が細かい配慮をしたり、彼の能力を活用すれば、違った方向でもっと彼の存在感をアピール出来たのではなかったかと思うと惜しい気がしてならない。

 その田淵くんも昨年定年を迎え、当初の希望通り「生涯現場職員」を全うした。信念を貫いたのだから、それはそれでよいのかも知れないが、田淵くんがそれで果たして心底から満足しているだろうかと随分気になっていた。定年直前には大腸癌に罹り、心配したが、今年2月の私の出版記念会には元気な顔を見せてくれた。

 向上心が強く、在職中も勉学に励むことを忘れず、社会保険労務士と行政書士の資格を取得した。今では個人的に「鯰亭労働法務事務所」を開業して、労働問題で悩む同士へ助言している。見上げたものである。

 信念を曲げず自分の信ずる道を自らの力で切り開いて、今の田淵くんがいる。しかし、他人のために尽くすことを当然のように考えている田淵くんも、これからは自分の健康をもっと考えて、更に前進して欲しいと心から願っている。

 頑張れ! 田淵くん!

2009年9月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

861.2009年9月21日(月) 敬老の日に思う。

 かつては9月21日と言えば、秋分の日というのが通り相場だった。それが今年は敬老の日である。以前敬老の日は「9月15日」だったが、十数年前に9月の第3月曜日が敬老に日と決まってから日時は流動的となった。今年のケースでは昔に比べると随分遅い敬老の日となったものである。

 妻と見合いした日が、41年前の敬老の日だった。そして翌年5月にめでたく結婚と相成った。その結婚以来今年は満40年・ルビー婚を迎えた。末永く気持ちを合わせて仲良くやっていきたい。

 さて、高齢者とは、一応65歳以上の年配者を指している。近年の少子高齢化現象を反映して、全人口に占める高齢者の割合が年々高まっている。総務省の調査によると、女性は全女性の25.4%、つまり1/4の女性が高齢者ということになる。男性だって全男性人口の19.9%が高齢者である。5人にひとりである。もちろんこの高齢者人口の高さは世界一であり、幸福か否かは別にして、日本は世界1のお年寄り天下となった。

 昨年11月に韓国・束草市で開催されたシンポジウムでパネリストとして講演した際、「朝鮮日報」記者の資料を引用して話をした。その資料によると2015年には、韓国が日本を抜いて世界一のお年寄り国家になるというものだった。私も直前になってインターネットで調べるまで、その実態は知らなかったが、会場で私がそれに触れた時の600人の出席者の驚きと動揺は、一瞬会場がどよめいたほどである。とりわけ韓国人の出席者は複雑な気持ちに襲われ、かなりショックを受けたようだった。

 どこの国でも大きな社会問題としてクローズアップされてきたのが、年金、医療、介護、雇用等の高齢者に関わる福利厚生問題である。鳩山政権になって悪評高い後期高齢者医療制度が撤廃される。まもなくその年齢に達する自分にとっては、自分自身の問題でもあり、歓迎すべことである。

 平均寿命とともに、最近話題になっているのが、健康寿命で日本人のそれは、75歳だという。男性が72.3歳、女性が77.7歳である。その年齢に達すると身体に突然故障を抱えたり、筋肉が減少するらしい。あと2年しかないと思うとぞっとするが、それを払拭するひとつの鍵は、生きがいだそうだ。男が会社を辞め、ぶらぶら時間を空費してあまり目標とか、生きがいがなくなると75歳がデンジャラス・エージと呼ばれる現象に陥るようだ。私自身まだやることが沢山あり、まあその点ではあまり心配はないと思うが、これからの1年1年は身体と同時に、精神面もケアすることが重要だと思う。

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860.2009年9月20日(日) どうして「取扱説明書」は分かりにくいのか。

 今朝の朝日「天声人語」の引用は面白かった。中国語の漢字と日本語は似て非なることもあるという話だが、「空巣老人」という言葉が面白い。「空巣」とは穏やかでないが、中国語では独り暮らしの老人のことだという。「天声人語」氏によれば、「雛が育って飛び立てば、巣は空っぽになる。1人っ子政策の影響などで高齢者だけ残される世帯が増え、かの大家族の国でも社会問題になっている」という。そう言えば、「列車・電車」のことを「火車」といい、「自動車」のことを「機車」といったように思う。言語が同じでも生活環境や社会情勢に影響を受けることがある。その辺りが面白い。

 先日購入した万歩計がどうもうまく使いこなせず機能しない。先日までまあまあ使用できたのだが、このところ数字が計上されなかったり、0に戻ったり、どうもうまく行かない。ところが「取扱説明書」、いわゆる「トリセツ」が分かりにくい。何を書いてあるのか、さっぱり分からない。順序を追って丹念に読んでも、肝心な説明が抜けている。これは本当だ。こんな粗雑なトリセツで果たして会社に苦情が来ないのだろうか。

 以前からトリセツの文言や書き方はあまり評判が良くないが、改めて読み直してみて万歩計のトリセツの説明不足はやはり少々酷いと思う。これにはやりきれない思いである。オムロン製品だ。

 6月に購入したソニー・ブルーレイ方式のDVDレコーダーのトリセツもよく分からず、とても真剣に読む気にもならない。まだ、使い方をマスターしていないお粗末さである。それにしても、当方の勉強不足もあるが、一般的にいってもどうして機械類の取扱説明書というのは、難しく書いてあるのだろうか。もう少し素人にも理解し易いように易しく説明できないものだろうか。設計した技術屋さんが書くので、どうしても文章の書き方に慣れていないからだという説があるが、そんなことは理由にならない。社内の両方に通じる人間が書けば簡単に済むことだ。やはり、メーカーの無責任さであり、顧客軽視の姿勢だと思う。私自身これから年齢を重ねていくと、機械ものには段々億劫になるので、ちょっと心配だが、何とか機械バカにならないようにしないといけない。

 買ったばかりの万歩計を不良品として捨てるのもシャクなので、オムロン社に電話で尋ねて、何とか使いこなせるようになりたいものである。まったくやれやれだ。

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859.2009年9月19日(土) アメリカ、東欧MD計画を中止

 昨日ミステリー作家であり、鉄道作家としても知られる野村正樹さんから電話があり、先日校正のために野村さんに送った原稿について、話し合いをしながら確認したいという意向を伺ったので、2つ返事でお引き受けして午後渋谷でお会いした。

 渋谷の「ハチ公」前で待ち合わせと言えば、お上りさんだが、珍しい現象が見られた。「ハチ公」銅像前で記念写真を撮っている外国人旅行者が多かったことである。今までそんな光景は見たことがなかったが、それもハリウッド・スター、リチャード・ギア主演で「ハチ公」をモデルにして映画「HACHI」が、人気を呼んでいるせいだろう。

 野村さんは今売れっ子の作家として、すでに120冊もの著書を世に出されている。随分参考になる話を伺った。作家の視点、見方というものを教えてもらった。7月に時事通信社から出版された「鉄道トリビア探訪記」に続いて、近日東洋経済新報社から「東京八景」という思い出話を出版される。伺ったところでは、高校を卒業して上京した50年前に歩いた都内の写真が残っていたので、その地を再訪して思い出話を書かれるという話だった。

 さて、ロシアがぴりぴりしていたアメリカのチェコとポーランドへのミサイル防衛(MD)システム配備を、アメリカが中止すると公表した。これもオバマ大統領の遠大な核廃絶への遠いながらも効果的で着実な一歩だと思う。4月にチェコのプラハで核廃絶への決意を宣言して、世界をあっと言わせたオバマの第2段であり、オバマもいよいよ本気で核廃絶の道へ舵を切った。ブッシュ大統領時代に進めていたヨーロッパにおけるMD計画の見直しである。目標を自国に向けられて少々神経質になっていたロシアにとっては大歓迎である。メドベージェフ大統領も今後ミサイル拡散の脅威に「共同で取り組もう」と声明を出したが、イギリスもフランスも歓迎している。こういう実務的なことが実行される(取り止めるということだが)のは、前途に希望があっていいものである。

 本来アメリカの東欧へのMD配備の目的は、イランの核・ミサイル攻撃からの防衛計画のひとつだった。これに対して、ロシアがアメリカの計画に脅威を感じて、イランに防空ミサイルを売却する動きを見せていた。これでロシアも売却計画を止めるだろう。

 オバマの意思に合わせて、鳩山首相もオバマとの首脳会談の際、鳩山首相から核軍縮の方向へ話を持ちかけてもらいたい。いずれにしろこのように世界情勢が混沌とした時代に、核廃絶の動きは明るい兆しである。このままこの動きが強まることを願いたい。

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858.2009年9月18日(金) 日米政府間に密約あり。

 今日から駒沢大学マスコミ研究所公開講座の秋季学期が始まった。春季に「本と出版の周囲」を担当していた柴野京子講師が清田義昭講師に代わった。

 清田講師は、「出版ニュース」の発行責任者で長年出版業界に関わっておられる。冒頭に琉球朝日放送が制作したビデオを見せてくれた。「メディアの敗北」というテーマで「沖縄返還をめぐる密約と12日間」という副題がついた50分ドキュメンタリーだった。昭和47年4月の外務省機密漏洩事件から始まる、3つの外務省密約事件を赤裸々に描いたもので、その当時いくつかのドキュメンタリー賞をいただいた作品である。

 私自身この日米密約の発生当時から関心を持っていたが、ビデオを観て改めて日米間には間違いなく密約があったことを確信した。時恰も昨日岡田外相が密約について調査して11月末までに報告するよう厳命した。これまで歴代の首相を始め外相は、ことごとく密約を否定してきた。アメリカから機密文書が公表されたにも拘らず、密約は一切ないと断言してきた。

 密約事件で最大の関心を呼んだのが、外務省公電漏洩事件であり、毎日新聞・西山太吉記者が入手した公電の写しは外務省女性職員と「情を通じて」得たものであり、国家機密法に違反するという、別件の罪で逮捕し、裁判でも国の勝訴となった。国家間の密約という重要な事件を、スキャンダルという1点で問題をすり替えたものとしてマスコミが政府の姿勢を糾弾した。しかし、それ以上政府を追い詰めることはできず、マスコミの敗北と言われた。

 2点目は、沖縄米軍基地の移転に伴う費用 400万$を米軍が支払うとの協定にも拘らず、実際には米軍が支払ったように見せかけ、密約により日本が支払っていたというアピアランスというパフォーマンスがあった。

 3点目は、非核3原則と云われる「作らず」「持たず」「持ち込ませず」を約束したにも拘わらず、条件付で核の持ち込みを容認していた。

 これらの機密を追求した西山太吉記者は、日本政府から徹底的に攻撃され、政府の圧力を恐れた毎日新聞社も西山氏を冷遇して、西山氏は孤軍奮闘で政界、マス・メディアと戦い、最後には矢折れ弾尽きて表舞台から去った。

 最近になって、当事者だった元外務省アメリカ局長の吉野文六氏や、元駐米大使の村田良平氏も密約があったことを認めている。アメリカからの公文書も公開された。ここまで証拠が揃っていながら、往生際の悪い自民党政府は、これまで「ないものはない」の一点張りだった。民主党は今改めて本事件に本腰を入れて追求する覚悟を決めた。

 日米密約をなぜ今、調査するのか、と問われた岡田外相は「外交に対する国民の信頼を取り戻すためだ。外交は国民の理解と信頼のうえに成り立つ。密約問題がそれを損ねているのは間違いない」と応じた。どういう報告がなされるのか。興味のあるところだ。

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857.2009年9月17日(木) 民主党新政権は張り切り過ぎでは?

 新しい政権が稼動した。任命された各大臣も所管の省庁へ初登庁して、早速大演説をぶった。政策は民主党のマニフェストに約束したことで当然であるが、各大臣が一斉にラッパを吹き動き出したので、まるで目が回るかのようだ。

 官房長官は事務次官の会見を取り止める。国交大臣は八ツ場ダムの建設中止、外務大臣は11月内に日米核密約問題の調査報告を、文科大臣はアニメ殿堂の見直し、郵政・金融担当大臣は郵政民営化事業の形態見直し、厚労大臣は年金徹底解明と後期医療制度の廃止、等々確かに動きが早い。これこそ政治家らしいと思うのだが、あまりにも功を焦って反動やしわ寄せが国民に及ばないことを願う。

 前原国交大臣のごときは、日本航空の再建策を検討中の再建有識者会議を自民党の考えの下で組織された会議だから、そのまま受け入れるわけにはいかないと言うほどのあまのじゃくぶりである。ことは下手をすると倒産しかねない半官半民の会社の存亡に関わることである。その裏には、経営効率向上を求め不採算路線からの撤退を要求する金融機関と、航空網の維持・拡充を錦の御旗に地方空港の存続に血道を上げている国交省の対立である。当事者である日本航空そっちのけである。政権が代わって「無駄遣い」「公共事業の削減」「官僚主導の見直し」を主唱する民主党のスタンスから推して、日航社内には会社の解体が避けられないと覚悟を決めている幹部もいるらしい。日航が行き詰まったのは、他にも諸々の原因があるが、外部からプレッシャーをかけられたのでは堪ったものではない。

 願わくは、民主党の面々にはくれぐれも考え違いをしないで欲しいものである。

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856.2009年9月16日(水) 民主党鳩山政権、晴れてスタート

 鳩山由紀夫・民主党代表が第93代総理大臣に就任して、鳩山内閣が発足した。首相自身は否定しているが、「小鳩内閣」と揶揄されるほど、小沢幹事長に影響されるのではないかと心配されている。

 しかし、長い日本の保守政治の歴史上実質的な政権交代が行われたのは、初めてのことである。その点でもわが国の政治史におけるエポック・メーキングな政権誕生である。

 早速閣僚名簿が発表されたが、亀井静香・国民新党代表が郵政・金融担当大臣として入閣したことは問題である。国民新党代表として閣内に入り新政権に協力するという点では、歓迎されるところだが、亀井氏の郵政担当というのはあまりにも危険である。郵政事業の見直しをやると力んでいたが、小泉政権に公然と反対して自民党を飛び出し、国民新党を結成して以来、自民憎し、小泉憎しの一点で、ほとんど私怨に近いほど郵政民有化を批判し、恨んでいた。郵政民営化はすべて悪であるとの執念に近い敵愾心は、あまりにも異常で、公平であらねばならない政治家として、しかも担当大臣の対応としては、鼎の軽重を問われかねないと少々疑問に思う。郵政民営化がすべて悪いわけではない。今の経済不況の原因まで郵政民営化のせいにして、自分は批判だけするというのでは、あまりにも身勝手で無責任ではないかと思う。

 実際今朝の日経紙には、「小泉路線の否定」という動機だけにこだわり、改革を逆戻りさせるのは得策ではないと主張し、更に郵貯資金から財政投融資を肥大化させたことが郵政民営化の原点だったという点、また売却手続きに批判が集まった「かんぽの宿」問題も、簡易保険加入者の資産で採算を度外視した施設を作らせた政官の甘えに根源があったと指摘している。

 同じく日経社説で郵政民営化を本質的に捉えて、肥大化した「官製金融」を民間の手に委ね、資金の流れを効率化していく改革は、日本経済の持続的成長に必要であるとも述べている。

 亀井氏ひとりの個人的怨念で国家事業を左右され、時計を逆回りさせられたのでは堪ったものではない。

 それにしても、また閣僚は若返ったなぁと思う。総理以下18名の閣僚の内に、私より年配者は僅か3人となった。それだけ昔のような派閥政治スタイルが廃れたとも言えるのかも知れない。

 ここ数日来日本航空の経営不安説が取り沙汰されている。昨日の国交省有識者会議では、今後3年間に地方空港を主に国内29路線を廃止するという荒療治に踏み込んだ。特に、地方空港発着便を廃止するという。先日オープンした静岡空港便も、神戸空港便も廃止とか、減便では、またまた地方の雇用問題を含め、地方経済にも大きな打撃を与えるだろう。リストラについてもグループ関係社員約6,800人を3年間で削減するという。半官半民だった大企業・日本航空もいよいよ赤壁の戦いに追い込まれるか。

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855.2009年9月15日(火) ペンクラブ例会で落合恵子さんの話を聞く。

 前々から小中陽太郎さんと日本ペンクラブ9月例会後に仲間と一緒に新橋のヤキトリヤへ行こうと約束していた。今日は生憎酒のペンクラブ例会ともかち合ったが、こちらは失礼した。ペンクラブの例会は毎度どなたかがショート・スピーチをされるので、楽しみにしているが、今月はエッセイストの落合恵子さんのお話で、ユニークなキャリアを持っている方だけに以前から1度話を聞いてみたいと思っていた。

 子どもの絵本についてトークをされた。クレヨンハウスを立ち上げた時の気持ちと、絵本を子どもだけでなく、親として、また老年者にとってそれぞれ必要なものだとの考え方を話された。

 彼女がそもそもクレヨンハウスを始め、その後自然食品の八百屋さんを開き、オモチャ屋さんを経営するようになった理由と哲学みたいなものを話された。その原点は、シングル・マザーだった母親が育ててくれた子ども時代に絵本だけを与えてくれたことと、そのために他の絵本が読みたくなり本屋で立ち読みをした時に、ハタキで追い出された辛い体験から、子どもがハタキで追い出されず、椅子まで置いてある書店を夢見て始めたという。ヨーロッパの都市にはどこにも子どもの絵本を専門に売る書店があり、そこには時間を過ごすことが出来るよう椅子まで置いてあったことに気持ちを鼓舞されたと言っておられた。

 落合さんは、アンチ・エイジングに反対だという。年とともに年齢を重ねることは決して嫌うべきことではないという。その点でアメリカ人のメイ・サートンさんに共鳴を覚えたという。サートンさんは「私から年を奪わないでください」と主張している。サートンさんは、顔の皺はこれまで自分が働いた結果であり、髪の毛が白いのは、生きるために役割を果たした実績であるとして、「老い」を決して卑下するようなことはせずに、反って年をとったことにプライドを持ち、老いていく人々を大いに力づけたいという。

 話の中身は有意義であり、メリハリも聞いていて面白かった。流石にラジオ・アナウンサーを永年続けていた貫禄であろう。立食パーティの席でも隣の人たちと話してみて、落合さんの話は良かったと意見が一致した。

 終って新橋の金陵ヤキトリ屋で飲み会を行ったが、これに大勢の人が参加したのも小中さんのお人柄であろう。大いに飲んでしゃべりあった。ここには、ペンクラブ常務理事の堀武昭さんも加わった。国際ペンの理事でもある堀さんとは、ベオグラードの山崎さんの話もあって、次回山崎さんが日本に来た場合一緒に飲もうということになった。明日韓国へ飛び、カナダのペンクラブ会長とともに来年改選の国際ペンクラブ会長選出のための根回しに活動するようだ。

 その後小中さんと須藤甚一郎さんと自由が丘へやって来て3次会をやる。久しぶりに痛飲したのでかなり疲れた。

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854.2009年9月14日(火) やったぁ!イチロー、200本

 あまりぱっとしたニュースがない中で、MLBシアトル・マリナーズのイチロー選手が今日9年連続200本目の記念すべきヒットを打った。歴史の長いMLBでも過去に9年連続で200本以上のヒットを打った選手はいない。イチローが初めてである。イチローの記録は、8年連続200本以上を打ったウィリー・キーラー選手以来、実に108年ぶりだとして、全米でも絶賛されている。めでたい限りである。運が良ければ誰でもチャンスがあるのとは違って、例え強運に恵まれても実力が伴わなくては実現不可能で、その実力もスーパータレントでなければ達成出来ない記録である。東京では号外も発行されたし、ニュースはすべての夕刊紙のフロント・ページに掲載されている。

 イチロー選手を見ていると、確かに昔の選手とはタイプが違う。黙ってことを成すというタイプではない。ひとこと言っておけば小憎らしいタイプである。言っていることは、哲学的だったり、心理学者の発言だったり、市井の普通の発言だったり、意味不明だったり、とにかくその発言は含蓄にも富んでいる。まだまだやれる選手なので、連続ではないにせよ、10回も年間200本以上の安打を打ったピート・ローズの記録を抜いて、11年連続して200本以上を放って欲しい。

 一昨日の本欄に日本航空の再建問題に関してアメリカのデルタ航空に支援を仰ぐスケジュールに触れたら、今朝の新聞には早くも前の報道を混乱させるような内容が報じられている。何と交渉にはデルタばかりではなく、アメリカン航空が乗り出したとある。一昨日は世界一の航空会社、今朝は世界2位の航空会社が日航へ食指を動かした。嫁の貰い手が多いのは結構だが、その背景には複雑な理由もあるようだ。その最大の理由は、日航が「ワンワールド」航空連合に所属しているのに対して、デルタが「スカイチーム」航空連合に属しているからだ。この航空連合というのは、参加航空会社がお互いに共同運航、マイレージ、空港施設の共同利用などの提携関係を結び相互にメリットを共有しようとするものである。当然同じコンピューター・システムを利用している。仮にデルタから支援を受けるとすると、「ワンワールド」を脱退して「スカイチーム」に加入することになる。その辺りの手間、経費を考えて、どちらが得かと判断するわけだろう。しかし、すでに日航はデルタと実務的な交渉を始めているらしい。

 今後どういう動きになっていくのか分からないが、日航としてはあっという間に正念場を迎えてしまった。日航は脆弱な財務体質に加えて、旅客需要の低迷が追い打ちをかけて資金不足に追い込まれ、今期中に2,500億円以上の資金が必要と言われている。だが、デルタに決まるにしろ、アメリカンにしろ、支援策として得られるのは、高々数百億円でとても再建の切り札にはならない。結局高コスト体質を自力で改善しなければ、抜本的な再建にはほど遠いのではないかと思う。そのためには、赤字路線からの撤退、航空機投資の抑制、そして人員削減を含むリストラによってコストを削減することが肝要ではないだろうか。果たしてこれまで殿様商売を続けてきた日航に、腹を括るその覚悟があるだろうか。

2009年9月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

853.2009年9月13日(日) 奥穂高のヘリ墜落事故に思う。

 一昨日北アルプス・奥穂高で遭難しかかっていた登山者を、救助のために向かったヘリコプターが転落して操縦者を含む同乗の3人が死亡した。現場は険しいジャンダルム近くで、上空から撮った写真を見てもいかにも手ごわい山というように見える。あのジャンダルムは学生時代に1度だけ通ったことがある。痩せ尾根で左右を見れば、ぐっと下まで落ち込んでいる。あまりぞっとしない登山路だったが、険しいだけに逆に関心は高まった。今でも北アルプスの山々を歩いた学生時代の登山が懐かしく思い出される。

 ヘリ事故で転落寸前にヘリから降りた2人の救助隊員は、遭難しかかっていた登山者の救助に当ったが、その直後にヘリが墜落したので辛くも難を逃れた。しかし、登山者は心肺停止のまま息を引き取った。批判を恐れずに言えば、結局この救助活動は犠牲者を出しただけで、無駄に終ってしまった。

 今年は山の遭難事故が目立つ。それも高齢者の遭難が多い。先般の北海道・大雪山のツアー登山による大量遭難死は大きな社会問題となった。登山に対する関心が高まったこと自体は決して悲観すべきことではないが、何でもかんでも健康とか、福祉のためとか言って前向きに捉えがちである。逆の側面を考えてみることも必要ではないだろうか。今後各方面で登山のあり方を検討してみることが大切である。

 1人の遭難者救助のためにヘリまで飛ばして多くの人たちが手分けして救助活動に当たる。その1人の登山者の無理な行動が、結果として当事者である登山者を含めて尊い4人の生命を奪い、ヘリコプター1機を失い、国土交通省、岐阜県警、消防署、医療関係者を心配させ混乱させて、まだこれから原因究明のために時間をかけて調査を行うことになっている。人的にも経済的にも大きなロスである。

 随分大きな騒ぎになり、犠牲者まで出し、結果的に失うものが多い。登山では、ひとりの行動がいかに大勢の人々の協力を求めることにつながり、迷惑をかけ、下手をすると犠牲者まで出るということをもっと世間に啓蒙する必要がある。

 先日もNHKで立山雄山から槍ヶ岳へ至る表尾根をずっと映し出していた。懐かしい光景が次から次へ展開され、気持ちだけはまた北ア表尾根コースを歩いてみたいと思わせてくれた。山は行ってみなければ、その魅力は分からないし、虜になる原因も分からない。

 しかし、空気の澄んだ登山道をひたすら歩き、苦労の末に目的地へ達した時の感激は歩いた者でないと分からないだろう。山の魅力は登った者でないと分からないが、身近なところに大きな落とし穴があることも今回のヘリ墜落事故は改めて教えてくれた。

2009年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com