新しい政権が稼動した。任命された各大臣も所管の省庁へ初登庁して、早速大演説をぶった。政策は民主党のマニフェストに約束したことで当然であるが、各大臣が一斉にラッパを吹き動き出したので、まるで目が回るかのようだ。
官房長官は事務次官の会見を取り止める。国交大臣は八ツ場ダムの建設中止、外務大臣は11月内に日米核密約問題の調査報告を、文科大臣はアニメ殿堂の見直し、郵政・金融担当大臣は郵政民営化事業の形態見直し、厚労大臣は年金徹底解明と後期医療制度の廃止、等々確かに動きが早い。これこそ政治家らしいと思うのだが、あまりにも功を焦って反動やしわ寄せが国民に及ばないことを願う。
前原国交大臣のごときは、日本航空の再建策を検討中の再建有識者会議を自民党の考えの下で組織された会議だから、そのまま受け入れるわけにはいかないと言うほどのあまのじゃくぶりである。ことは下手をすると倒産しかねない半官半民の会社の存亡に関わることである。その裏には、経営効率向上を求め不採算路線からの撤退を要求する金融機関と、航空網の維持・拡充を錦の御旗に地方空港の存続に血道を上げている国交省の対立である。当事者である日本航空そっちのけである。政権が代わって「無駄遣い」「公共事業の削減」「官僚主導の見直し」を主唱する民主党のスタンスから推して、日航社内には会社の解体が避けられないと覚悟を決めている幹部もいるらしい。日航が行き詰まったのは、他にも諸々の原因があるが、外部からプレッシャーをかけられたのでは堪ったものではない。
願わくは、民主党の面々にはくれぐれも考え違いをしないで欲しいものである。