862.2009年9月22日(火) 好漢・田淵守くんのこと

 会社勤めのころの同僚であり、高校のちょうど10年後輩に当る田淵守くんから定期リポートを送ってこられた。いつも丁寧な取材としっかりした内容、きちんと割付けされたリポートに感心する。

 「鯰亭事務所リポート」と題して、ひとりで原稿を書き、印刷物にして定期的に送ってくれる。「鯰」とは、田淵くんが自分自身につけたニックネームである。彼は湘南高を卒業して東京教育大に入ったが、学生運動のやり過ぎ?で中途退学し、偶々私より遅れて中途採用で同じ会社へ入社してきた。こう言っては悪いが、4月入社の学卒定期採用者とは違うので、最初から将来のエースやエリートコースに乗ることを期待されたわけではなかった。だが、頭の切れることと人柄の良さで忽ち職場内で人望を集め、リーダー役を担うようになった。彼も意気に感じて現場従業員のために組合活動に力を入れ、職場内で自分の出世を省みることなく精一杯黒衣となって活動した。時によってはその言動は先鋭的であり、保守的な組合大会や株主総会で積極的に発言したが、いずれも為政者から歓迎されるはずもなく、組合委員に立候補しても所詮根回しの行き届いた選挙では、組合委員に選出されることもなく、組合員として思い切り活動することはできなかったのではないか。

 会社からは煙たがれ、日和見的な組合からも距離を置かれ、シンパは彼を本当によく知る社員、彼の組合活動を評価する組合員しかいなかった。気の毒だった。職場環境としてはあまり恵まれていたとは言えなかったが、私を常に先輩として立ててくれ、仕事には真剣に取り掛かってくれた。会社の方針に沿っているとは受け取られず、その点ではやり方があまりうまくなかったのかも知れないが、もう少し直属の上司が細かい配慮をしたり、彼の能力を活用すれば、違った方向でもっと彼の存在感をアピール出来たのではなかったかと思うと惜しい気がしてならない。

 その田淵くんも昨年定年を迎え、当初の希望通り「生涯現場職員」を全うした。信念を貫いたのだから、それはそれでよいのかも知れないが、田淵くんがそれで果たして心底から満足しているだろうかと随分気になっていた。定年直前には大腸癌に罹り、心配したが、今年2月の私の出版記念会には元気な顔を見せてくれた。

 向上心が強く、在職中も勉学に励むことを忘れず、社会保険労務士と行政書士の資格を取得した。今では個人的に「鯰亭労働法務事務所」を開業して、労働問題で悩む同士へ助言している。見上げたものである。

 信念を曲げず自分の信ずる道を自らの力で切り開いて、今の田淵くんがいる。しかし、他人のために尽くすことを当然のように考えている田淵くんも、これからは自分の健康をもっと考えて、更に前進して欲しいと心から願っている。

 頑張れ! 田淵くん!

2009年9月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com