6550.2025年4月19日(土) 米価の高騰に無策だった国の責任

 このところ米不足による価格高騰に、レストランや弁当屋などでは耐えられず、販売価格の値上げに踏み切ったところが多い。遂に政府も動き出し、先月初めから備蓄米を放出し始めた。しかし、備蓄米の放出はコメ価格の押し下げに一定の効果はもたらしたものの、全体的な価格の低下にはなっていない。元々農業政策にこれという根本的な政策を考えていないわが政府は、所詮何をやってもだめだろう。

 そもそもコメ価格高騰は、国内の米の需要、消費量に対して供給量が不足していることに根本的な原因がある。昔から政府は農業政策に自信がなく、かつて米の生産が多く、生産過剰となった米の生産量を抑制するために、1971年に安易に減反政策を行った。だが、2018年にそれも廃止された。

 従来より日本政府には、わが国が農業国であったにも拘らず、農業に精通した専門家が少なく、確たる農業政策が立てられなかった。世界的な傾向としては、米を主食とする国々は多く、米の世界的生産量は年々増えている。その中で日本だけが生産量が1960年代から増えるどころか、やゝ減少気味である。仮に1961年を基準に100%だったとして今では世界の生産量は400%近い。一番多いベトナムでは500%にも上る。他に生産量の多いインド、中国、タイ、アメリカでも400%近い。彼らは自国での消費の他に余剰米を国外へ輸出している。その一方で、日本では米の消費が減っている。ピークだった1962年度は、一人当たりの消費量が118.3㎏だったが、22年度には50.9㎏と半分以下に減少した。この米離れの原因として、各家庭でパン食が増えた食文化の変化が大きいことと、少子高齢化現象に伴い高齢者の米食が減少したことが効いている。農水省も長年米を主食としてきた日本人の米文化の消滅を恐れ、米食をある程度回復させるために、文部省とともに学校給食の場で米食を積極的に取り入れるよう指導し、ある程度効果は上げて来た。

 そこへ唐突にコメ価格が国内で高騰する事態が公表された。米が足りないというのである。2010年度から2023年度までの米価格は大きく変わることなく、5㎏997円(2014年度)~1,375円(2012年度)に収まっていた。それが、大きく動き出したのは2024年度に入ってからである。1,932円から始まり、9月には3,114円、今年1月に3,688円にまでなり、2月には4,000円を超えた。実に当初の4倍である。この間卸売り業者間の取引価格も3倍になっている。

 この事態に前記のように政府は備蓄米の放出に乗り出した。しかし、期待したほどの効果を上げていない。昨日農水省が公表したところに依ると、政府の倉庫から初回に放出された備蓄米が、集荷業者、卸売り業者の手を経て、小売店に届いたのは、僅か0.3%だそうだ。これでは不足分を到底賄いきれない。原因として2024年問題であるトラック不足による流通に想定以上の時間がかかったことがあるという。その後も試みたが、その都度それほどの価格メリットは現れていない。先日も関係者が国会周辺からデモを行ったところだが、政府の対策が生ぬるいのか、効果的ではない。

 それにしてもかつては農業国だった日本も、経済発展の間に農業政策を蔑ろにして農業に関しては何をなすべきかの命題を忘れてしまったのではないか。

 日本が米不足と捉えられたら、いま日本に対して関税交渉でトランプ・アメリカがアメリカ産米の輸入が不十分と圧力を賭けつつある過程で、願ってもいないチャンスと捉えてアメリカ産米の日本への輸出を要求してくるのではないだろうか。

2025年4月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6549.2025年4月18日(金) ホテルの話し合いは、違反のカルテルか?

 昨晩のテレビでホテル業界の宿泊代値上げが、カルテルにつながり独禁法違反に当たるとして公正取引委員会が近く警告を出すとの方針にはちょっと驚いている。これに都内でも有数の有名ホテルが名指しされた。それらはホテルオークラ、ホテルニューオータニ、帝国ホテル、第一ホテル、京王プラザホテルなど15ホテルであるが、中には新宿のハイアットリージェンシー東京のように、かつて勤務していた小田急の傍系ホテルであり、従業員の中には知人も多い。パーティや宴会の都度利用し、これまで開いた3度の出版記念会でも毎度利用したそのホテルが、その中に含まれていたのはショックだった。

 ただ、今回の「カルテル」と見做した警告は、一般的にいわれる「カルテル」のような強い協定ではなかったように思う。というのは、「カルテル」については、かつて学校で学んだ「複数の企業が商品の価格や生産数量などを共同で取り決める行為」だと理解している。今度のホテルのケースは、各ホテルの営業担当者が毎月の会合で客室の稼働率や、平均単価などを報告し話してお互いにゲストの志向、傾向などの情報を共有していた。それによって各ホテルが独自に宿泊料を決めていたようだが、これは独禁法が禁止するホテル間で統一価格を決めるような話とは筋が違うように思う。この種の会合が各社持ち回りで数十年間も実施されてきたことに加えて、公正取引委員会には実際に宿泊料金を一斉に引き上げることを決めたなどの行為は、確認されなかったようなので、結論としてはいわゆる正式な警告とはならないのではないかと思っている。実際にホテルマンはどう思ったのか、かつてハイアットに務めていた友人に訊ねてみようと思う。

 しかし、これも昨日当ブログで取り上げたインバウンド業の伸展の陰であった事実であり、今後も繁栄するインバウンド業界には、新たな問題が発生する可能性はあり得ると思う。

 さて、期待と不安の中で注視していた日本を代表する赤澤亮正・経済再生相と、トランプ大統領以下ベッセント財務長官、ラトニック商務長官らの政権幹部との関税交渉は、アメリカ側には、トランプ大統領が大きな進展だと言うように、まずまず優位に話を進めたとの感触があるようだが、日本にとってはあまりすっきりした結果ではなかったようだ。国同士の外交交渉では、お互いが対等の立場の筈である。にも拘わらず赤澤大臣にとって相手が剛腕トランプ大統領のせいか、最初からへりくだり過ぎて自分は明らかに格下も格下なのでなどと言うようでは代表団の資格がない。元々強気のアメリカに対して腰が引けていた日本政府は、トランプ大統領が不意に交渉に出席すると言い出す心変わりに石破首相は出し抜かれた感があった。赤澤大臣は、一応日本の意向を伝えただけである。反面アメリカでは交渉はうまく行ったとの評価のようだが、日本の対応は各国からはあまり良く思われていない。中でもメディアは、日米交渉は日本が実験用のモルモットだとか、洞窟の中のカナリアだと、皮肉たっぷりに冷やかされる有様である。政府は一応まずまずと理解しているようだが、自民党関係者の間でも赤澤大臣の対応は、終始下手に回っていてアメリカのペースだったとの声が強い。東大出の財務官僚を経て衆議院議員となって、これまで散々交渉には手慣れていた筈であるが、相手が名うてのトランプとなると説得力のある発言も出来なかったようで、情けなくなる。また、これからの日米関係を考えると駐留米軍への支出が増え続けるのではないかと気になってならない。

2025年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6548.2025年4月17日(木) 活気を取り戻したインバウンド業界

 このところ観光ブームが回復してきたが、中でも近年増え続け目立っているのがインバウンドである。テレビで紹介される市街風景を観ていると、歩行者の中にはほとんど外国人が写っている。実際インバウンドはコロナ渦以前以上の勢いで増え続け、先日観た場面ではこんな苦情もあった。一種のオーバーツーリズム現象である。

 外国人に人気がある隠れた観光地として近年知られるようになった、山梨県富士吉田市の新倉山浅間公園である。富士山と五重塔が並んで眺められ、そこに櫻が満開になると正に絶景となる。絵葉書の構図として文句なしの風景である。そこへ最近あまりにも多くの観光客が押し寄せ、近隣住民から苦情が出ているほどである。というのは、トイレは備わっているようだが、とても足りず、観光客の中には近くの民家でトイレを借りるケースがあり、ある住民の場合は1日に10人の観光客にトイレを使用させ、車で外出しようとしても自宅前の渋滞を抜け出るのに30分もかかったとぼやいていた。その住民は、観光客にこれ以上来てもらいたくないと言っていた。これもその土地に住む人たちにとって好まざるオーバーツーリズム現象である。

 事実インバウンド客が増加して嬉しい反面、オーバーツーリズムによる弊害が各地の観光都市で起きている。自然に起きるオーバーツーリズムと異なり、意図的に物価の高騰の中でホテル宿泊料金が値上げされ、その裏に都内の一流ホテル15社がカルテルとみられる価格協定を結んでいた疑いがある。遂には独禁法違反で公正取引委員会が警告を発したほどである。

 近年の訪日外国人数は観光庁の報告によると累進的に増え、コロナ前の2018年には3,188万人にまで伸びた。しかし、コロナが流行り出した翌19年には412万人にまで落ち込み、その後は3桁が続いていたが、漸く2023年に2,507万人にまで回復した。そして昨年は一気に3,687万人と過去最多になった。今年の数字は、すでに3月までの3カ月で1千万人を超えている。中でも3月の訪日外国人数は350万人で、昨年3月に比べて13.5%も増えている。このまま行けば、今年は4千万人を超える観光客が訪れるものとみられている。いま開催されている大阪・関西万博の影響もあって、外国人がとりわけ増えている。現状のまま伸長し続けるとオーバーツーリズムが、全国的に拡大する可能性がある。

 どうしてこれほど外国人にとって日本が魅力的なのだろうか。ひとつの資料がある。それは、欧米人とは異なる台湾人の見方である。15日に日本台湾交流協会台北事務所が公表した世論調査の結果である。それによると「最も好きな国・地域」として日本を選んだ人は76%もいた。「台湾に最も影響を与えている国・地域」は、国の立場上当然ながらアメリカであるが、ここでも日本は2位だった。「今後最も親しくすべき国・地域」でも、日本は70%で断然トップで、2位のアメリカですら僅か13%だが、今後関税問題が台湾にとって厳しくなるならこの数字は更に低下することだろう。3位の中国は11%だった。やはり中国は台湾とは先祖様を同じとする国でもあり、国家としては独立性を保ちながらも等間隔で交流を望んでいることが窺い知れる。

 いずれにせよこの結果は日本人としては嬉しい。今後益々多くのインバウンド客から歓迎され、多くのインバウンド客が訪日されることを期待している。

2025年4月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6547.2025年4月16日(水) フェイクマン・トランプのやりたい放題

 アメリカのトランプ大統領の言動が、政治、外交、経済、教育面等で世界中に複雑な問題を拡散させ、今や「トランプの行くところトラブルあり」の状態である。日本もその煽りを食い関税、防衛、日本に対する浅薄な知識において、とんでもないとばっちりを食っている。

 そのトランプ旋風が、アメリカの教育界にも吹き荒れたが、先月政府機能縮小の一環として連邦教育省の廃止に向けた大統領令に署名した。今後は各州が管轄する教育担当部門が独自に指導すべきであると考えたようだ。しかし、広いアメリカ国土、多種多様な民族がいるアメリカを統一化し、一つにまとめる最も効果的な普遍的一貫教育を止めるというのはどういう意図だろうか。単に経費節減の対策とも思えない。

 奇しくも昨日バイデン前大統領がシカゴで退任後初めて演説を行い、トランプ政権が社会保障局の職員を大量に削減したことを大きな損害と破壊をもたらし、国家がこんなに分断されたことはかつてなかったと厳しく非難した。

 そこへこのほどトランプ政権が、大学教育界の名門ハーバード大学に対して、露骨な圧力をかけていることが分かった。その発端は、トランプ政権が学内でイスラエルへの抗議デモを理由に「反ユダヤ主義」や、「行き過ぎたDEI(多様性、公平性、包摂性)」があるとして、約90億㌦(約1.3兆円)の助成金や契約を見直す方針を表明した。最近のハーバード大に対する書簡では、反ユダヤ主義を警戒してか、人種などを考慮しない実力主義による職員採用、入学者選考、DEI取り組みの中止などを求めていたが、ハーバード大ではいかなる私立大学も連邦政府に乗っ取られることがあってはならないと、連邦政府の要求を毅然として拒否した。しかし、「改革」要求を拒否したハーバード大に対して、政府は約23億㌦(3千3百億円)分の助成金と契約を凍結すると発表した。大学教育や学問の自由が深刻な脅威に晒されているとの危機感が広がっているという。

 教育省は先月ユダヤ系学生の保護に関する調査対象として、60大学の名を挙げた。中でもトランプ大統領の母校、プリンストン大も「反ユダヤ主義」を理由に2.1億㌦(3百億円)の助成金を止められた。だが、イスラエル抗議デモの中心となったコロンビア大では約4億㌦(6百億円)の補助金の取り消しを示唆されるなど厳しい追及を受け、政権の要求を受け入れることになり、警備や中東関連の教育を見直すと発表して、反って学内外から批判も出ている。その点ではジョンズ・ホプキンズ大学など他のエリート大学に対しても同じような圧力をかけている。

 このところ関税についてトランプ大統領の強引なプレッシャーに対する各国の反対や、抗議などもあり、その発言が大分揺らいでいるが、対米貿易にかなりの比重を懸けている日本としても一大事であり、今日関税交渉役として赤沢経済再生大臣が訪米した。アメリカとの交渉によってどこまで日本側の主張を受け入れてもらえるか、難しい問題である。

 最近朝日新聞が、トランプ大統領の言行録につき、粗探しのように紙上に採りあげているが、中でも数字的に大統領は根拠なしに思い付きで日本にとって不利な数字を挙げる点を批判している。日米安保条約についてホワイトハウスの閣議で、「アメリカは日本を防衛するために多額を支払う協定を結んでいる。アメリカが全額を負担し、日本は一切負担しない」とデタラメを言い、不満を表明する有様である。これに対して朝日は、トランプ氏の主張は事実とは異なると反論した。在日米軍駐留経費の日本側負担額は、1978~2024年度予算累計で、約8兆5千億円計上したと事実を記した。うそつき大統領をどうやって黙らせるか、大変な作業になると思う。

 毎度思うことだが、このような気分次第で自己主張ばかりして、世界中を困惑させるような人物を、よくぞアメリカ人は大統領に選んだものである。いずれ全アメリカ人がそのしっぺ返しを受けることだろう。

2025年4月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6546.2025年4月15日(火) アウシュビッツの反省と再発の懸念

 昨晩NHKのドキュメンタリー番組「映像の世紀」(バタフライ・エフェクト)~アウシュビッツの生還者たち~を見て、身につまされ、つくづく考えさせられた。8年前の1917年バルト3国を訪れた後、ポーランドでこのホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)と呼ばれるアウシュビッツ絶滅収容所を訪れた。それまでに度々写真や映像でその姿を見てはいたが、実際に収容所内へ入ってみるとやはり臨場感から身体が落ち着かず、寒気がするような緊張感を覚えたような気がした記憶がある。ここは負の世界遺産として登録されてもいる。ここで罪のない110万人以上の人びとがガス室などで殺害され、その内9割がユダヤ人だった。昨日のドキュメントは、戦後生還した一部の人たちを追って取材したものであるが、皆収容されていただけで心に大きな傷を負っていることが分かる。

 中でもユダヤ人でありながら、チェコスロバキアに居住していた指揮者カレル・アンチェル(後にチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者)の人生は悲劇の連鎖だった。妻と息子はガス室で殺され、家族でアンチェルだけが生還することが出来た。1968年チェコへソ連軍が軍事介入した「プラハの春」事件でチェコは独立性を失いソ連の支配下に入った。この時アンチェルは偶々アメリカへ演奏旅行中だったために難を逃れて、そのまま亡命することになった。私も同年シベリア経由でチェコへ行く計画を立てていたが、この「プラハの春」事件により計画は白紙に戻されてしまった。

 また、イタリアのトリノに居住していたユダヤ人の作家プリーモ・レーヴィの行動録も興味深いものだった。作家として知られているが、一方大学で化学を学び化学技術者であったことが、ナチに殺害されることなく、逆に強制収容所内の化学工場で技術者として働かされることになった。しかし、収容所内の非人間的な空気ありきたりになった光景が我慢ならず収容所体験を記した「これが人間か」を著してこれが世界的なヒット作品となった。これは、アウシュビッツの古典記録文学として「アンネの日記」「夜と霧」と並ぶ評価を得ている。その後、ユダヤ人でありながら、自身の体験からイスラエルのパレスチナ占領政策に反対を唱え、イスラエル国内で物議を醸したこともある。

 他に印象に残っているのは双子の妹とともに人体実験の材料にさせられたエヴァ・コーである。ホロコーストを強く非難していたが、後にナチを許す発言をしたことによってユダヤ人から多くの批判も浴びた。しかし、晩年になってアメリカに渡りアメリカ人と結婚し幸せな生活を送り同地で亡くなった。今では自宅建物の壁に、自身の好みの青色の衣装を着て笑っている姿がペンキで描かれ、話題になったほどである。

 今年アウシュビッツ収容所が解放されて80年を迎え、数々の式典が行われた。1945年ソ連軍が収容所を解放した1月27日を記念してホロコースト「国際追悼デー」と呼んでいるが、犠牲者を悼む今年の式典には、イギリスからチャールズ国王も参列された。

 私にとっても衝撃的だったアウシュビッツで感じたのは、やはりナチの血が流れるドイツ人にとっては、悔やまれる同胞の前科であり、ユダヤ人に対してどことなく遠慮がちな態度が見られることだった。ホロコーストを繰り返すまいということは誰でも言える。だが、実際に繰り返さないと確約出来るかと問われれば、自分はしないが、いつか誰かがやるだろうという幻想はある。それは広島の原爆記念碑の碑文に刻まれた「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」も主語は一体誰なのかと長い間論争が続いていることからも推測できる。こんな残虐な行為があっても時が経てば、その悲しみは忘れられてしまうのだ。

 「これが人間か」

2025年4月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6545.2025年4月14日(月) 政権与党、油断すれば立場は直ぐ変わる。

 昨年10月の総選挙で自由民主党・公明党の与党勢力が、衆議院の定数465議席の過半数に達せず、その後は政府の法案実施に野党の力を借りる四苦八苦の対応である。その割には何とか政策を実行しつつあるようだが、それでもこの先を考えるとあまり明るい展望が開けない。

 そもそも自民党は前回の総選挙で過半数233議席を上回る247議席を獲得したが、昨年の総選挙でその内56議席を失って191議席に落ち、公明党も32議席から24議席に減らした。結果的に自民・公明の与党議席は279議席から215議席へと大幅に減少した。その一方で、野党1位の立憲民主党は98から148議席へ、国民民主党は7議席から28議席へ大きく票を伸ばした。これによって疑似自民党といわれる国民民主党は、自民党の方針に国民党の考えを強く主張し一部反映させることにもなった。

 この総選挙の結果を分析してみると、自民党敗北の最大の原因は、派閥の裏金などの問題であり、自民党党首である石破首相の責任論がないわけではないが、就任後まだ間もないこともあり、責任を取って辞任するというまでには至っていない。立憲民主党野田佳彦代表は、特別国会に当たり野党間の連携を図ると言うが、予想外に票を伸ばした国民民主党の玉木雄一郎代表は、自民党との駆け引きによる戦法がより自党の存在感を高めるうえで効果的と考えたのか、野田氏の要望には応じる姿勢を見せていない。結果的に石破政権の政策には国民色が籠っている。

 実は、野田代表の民主党政権退陣の要因となったのは、2012年12月に行われた総選挙で、野田代表があまり強く出られないのは、当時の野田民主党政権が安倍自民党に完敗を喫して退陣した悪夢が蘇ったからではないだろうか。

 この時の民主党の負けっぷりも酷いものだった。責任を取った野田氏は首相を辞任するとともに党代表の座からも退いた。一方自民党は実に323議席を獲得し、大幅に単独で過半数241議席を上回ったのである。こんなにドラマチックなことがあるかと思えるような民主党の惨敗である。選挙の争点もなく、ただ原発ゼロに拘る民主党に対して、自民党が原発ゼロ見直しを迫っていた程度で総選挙自体も盛り上がりに欠け、投票率も59%で戦後最低の水準となるほどの有様だった。

 その反面、これによって自民党はかつての勢いを取り戻し、第2次安倍内閣がその後安定政権を築くスタートとなった。因みに最近の自民党の凋落ぶりを知るうえでの参考上自民党の復活ぶりを取り上げてみる。民主党は230議席から57議席まで落とし、反対に自民党は118議席から175議席増やして、293議席となり、公明党も9議席増やして30議席となった。この結果により、自民・公明の与党が獲得したのは323議席となり、これにより定数の2/3を超えて、例え参議院で否決されても法案は衆議院で再可決できることになった。これによって懸念したのは、憲法改正論議に拍車がかかるのではないかということだった。幸い憲法改正は今も話題になるが、現状は難しい情勢である。

2025年4月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6544.2025年4月13日(日) 新雑誌「イコール」発行記念懇親会

 今年は昭和100年といい、昭和になってから100周年を迎えて、改めて100周年記念を打ち出している記念行事などが行われているようだ。実は、東京六大学野球も今年所属の連盟創設100周年を迎えて昨日春のリーグ戦が開幕した。その第1試合の早稲田大対東大戦で、早くも100周年記念第1号ホームランが飛び出したが、それを放ったのがリーグ戦初出場の東大2年生秋元諒内野手だった。彼は私自身も中学2年まで在学していた学園付属の市川学園高校出身だということである。市川高はそれほど野球部が強かったという印象はないが、これも多少の縁と心得てこれからは応援したいと思う。

 今日から「EXPO2025大阪・万博」(正式名:2025年日本国際博覧会)が開幕した。一時的には雨も止んだが、ほとんど1日中降り続いていたようで、会場を取り巻く木造の回廊は傘が必要ないという売りだったが、風に乗って小雨が吹き込み大分寒かったようだ。航空自衛隊によるブルーインパルスも中止となり、期待していた入場者を失望させた。また、空飛ぶ車の飛行も中止となり、これも入場者をがっかりさせたようだ。それにしても今回の万博は、今まで普通に考えられていたことがかなり制約され、入場者を戸惑わせている。入場は予約制なので、並んで待つことはないと前宣伝されていたが、これはダメになったようだ。また、ほとんどカードが使えず、現金払いとも聞く。入場券も予定より大分販売数が少なく、下手をすると赤字になりかねない。そうなると国がその赤字分を補填せざるを得ないだろう。まだ初日なので、いろいろ問題点が出ているようだが、いずれ修正されるものと期待している。

 さて、今日は先月創刊された「イコール」誌の創刊記念パーティが新宿で開かれ、編集者と執筆者約20名で楽しい懇親会となった。近在の人ばかりでなく、遠くは兵庫県西脇市や大阪から参加された方をおられた。実は、最初に私も寄稿した同誌を手に取った時に、創刊号だろうかと首を傾げた。というのは、「イコール」5号となって、傍に副題として「アクティブ・シニア革命」となっている。どうやら「イコール」としては2種あり、ひとつは、このほど創刊された久恒啓一責任編集の下に発行され、もうひとつは橘川幸夫責任編集の下に発行され、これはすでに4号が発行されている。今日橘川編集長と話をする機会があった。音楽に精通している人で、すでに一部では著名な人である。知人の清田義明氏と親しい間柄だという。不思議な縁であるが、以前「出版ニュース」社を経営しながら駒澤大学講師を務めていた清田義明氏が教鞭をとる、社会人講座で偶々教えを受けることになった。その清田講師から45年前に橘川氏とNHK教育番組で一緒に出演したので、よく知っていると聞き、橘川氏に話したところその通りで懐かしがっていた。

 私はNPO「知的生産の技術研究会」前理事長であり、同NPOでともに学んだ久恒責任編集長の「アクティブ・シニア革命」編に関わるつもりである。ただ、次号は秋になると聞いているので、これからアイディアとか構想を編集長や編集スタッフと話し合い、極力新しい雑誌の発展に協力できればと願っている。

2025年4月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6543.2025年4月12日(土) 2025大阪・関西万博、今日開会式、明日開幕

 長い間準備が進められていた「EXPO2025大阪・万博」(正式名:2025年日本国際博覧会)が、いよいよ明日開幕を迎えることになり、今日午後から天皇・皇后両陛下、秋篠宮ご夫妻、石破首相、参加国代表らが出席されてパビリオン「シャインハット」で開会式が開かれ、天皇が開会宣言を行った。その情景がNHKテレビで中継された。期間は明日から半年後の10月13日(月)までの184日間である。今回は世界の158か国や7国際機関が参加する予定である。外国のパビリオンのうち3つばかりがまだ完成していない。とにかく会場の外周に一周2㎞の世界最大の木造建物を建てたことと、現代風にこれまでの万博ではなかったAIなどを取り入れたユニークなパビリオンが人目を惹きそうである。今回の万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」という普通の人には、ちょっと分かり難いテーマである。実際テレビ画像で観てもAI技術による表現が、少々抽象的過ぎてすんなり理解出来るというものではない。

 この万博も建設地、万博閉会後の跡地利用、メタンガス発生等々当初から問題点があり建設までにかなり時間を要した。つい数日前にも地下でガス探知機が基準を超えていた。一番問題となったのは、大阪湾を埋め立てて人工島・夢島として会場を設営し、その跡地を賭博場施設に転用しようという大阪府・市の試みが地元住民から強い反発を受けたことである。決着が付いたのかどうかは分からない。

 実は、我が家のお隣さんはご主人がJETROにお勤めで現在万博を担当され、この数年大阪で単身勤務をされておられ、時折帰って来られる。ところが、昨日大阪へ行かれた奥様から、来月10日までご主人と一緒に大阪におられることになったということを電話で伺った。恐らくご夫婦で会合なんかへ出られる機会が増えるからであろうと思う。

 万博と言えば、55年前開催された大阪万博EXPO’70のような岡本太郎製作の「太陽の塔」のような後世に残る記念碑的なものがなく、会場設置でもめたりして前回に比べればやや盛り上がりに欠け、実際前売券の販売も期待を下回っている。私も訪れてみたいとは思うが、それほど強い気持ちはない。前回は、旅行会社の現役社員ということもあり、3回も訪れ、「太陽の塔」の中へも入った。その点で随分印象深い万博だった。その後1975年開催の沖縄国際海洋博には行けなかったが、85年開催の国際科学博・つくば万博には文部省の茨城県教員海外派遣団でご一緒した先生方と、また2005年開催の愛知・地球万博ではNPO「知的生産の技術研究会」会員の皆さんと一緒に見学することが出来た。

 大阪市民へのインタビューなんか聞いていても、これから暑い時期になり、大勢の人混みの中でパビリオン入場のために並ぶのは、厳しいので若い人ならともかく高齢者は、あまり見学に来ないのではないかと話していた。仮に我々が訪れても、AIのような展示作品がすんなり頭に入るだろうか、少々気になる。科学の進歩に連れて身の回りにあるもの、展示物などは段々頭に入り難くなるのではないかと懸念している。時代の進歩に連れて、高齢者は取り残されていくような気もしている。

 ただ、これから会場へは行かないにしても、毎日テレビなどで報道されるだろうから、最近の科学技術の進歩を知ることが出来るのは楽しみでもある。

2025年4月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6542.2025年4月11日(金) 懐かしい大学受験用語「四当五落」

 久し振りに大学受験当時の懐かしい言葉「四当五落」を想い出した。

 今朝の朝日新聞・死亡広告欄に目をやって意外な人物の訃報に時代を感じたのである。赤尾文夫・旺文社会長の訃報である。この人は知らないが、父親である「旺文社の赤尾好夫社長」と言えば、我々と同じ受験世代の間では旺文社を創立し、赤尾のマメタンと呼ばれた赤い表紙の英単語集などを出版した、実に著名な人物だった。旺文社は当時受験雑誌界の先陣を切っていた。赤尾社長は「大学式典序曲」のテーマミュージックで始まるラジオ番組にも出演して、英語を教えていたような記憶もある。冒頭に「旺文社の赤尾です」という口上を述べて個性的な講義を始めた。

 昭和32年に2浪に別れを告げて大学生になって以降は、受験雑誌とはまったく縁がなくなってしまったが、中高生時代は同社の発行する「中学時代」「高校時代」「蛍雪時代」をよく読んでいた。

 どうしても忘れられないのは、旺文社?が「四当五落」と言う言葉を創出して受験戦争を煽り、受験界では一時この言葉が大きな話題になっていたことで、一部には反論もでていた。その4文字は、大学受験生はひたすら脇目も振らずに受験勉強に励むべきだという主旨から「1日に4時間しか寝ない人は合格できて、5時間以上寝ている人は不合格になる」という意味である。睡眠時間が4時間程度では、認知能力が低下して、逆に勉強効果は落ちることが分かって、今やこの「四当五落」は死語となっている。当たり前だと思う。4時間しか眠らないという言葉を真面には受け止めていなかったが、本当だろうか? 健康上は問題ないのだろうか? と当時でも寝足りなかった6時間の睡眠時間だった受験生にとっては疑問の言葉であり、真剣な問題だった。

 同社が発行していた受験雑誌、「中学時代」「高校時代」も今では廃刊になったようだが、随分いろいろな思い出を残してくれた。創立者の意思を継いで旺文社は、子息を後継者にして今その子息の訃報を知ることになった。子息は我々より大分若いので、「四当五落」をどう思っていただろうか。

 今でも思い出すのは、中学2年時に購読した「中学時代」に掲載された、今や世界遺産であるチベットのポタラ宮殿のグラビア写真が強く印象に残り、いつかここを訪れて見たいものだと長年夢見るように思い、2007年に70歳を前に漸く念願を果たすことが出来たことである。宮殿入口への階段を登りながら海抜3,600mの外界を見下ろして感慨無量だったことも懐かしい。

 ところで、念願かなって大学生となると、入学式が心待ちになる。今月1日に早慶や青山学院など多くの私立大で入学式が行われたが、東大、阪大、東京都立大など国公立大では遅れて、入学式は今日行われた。

 私は、「四当五落」時代に受験に挑んでいたが、2年間を過ごした浪人時代は決してマイナス面ばかりではなかったと思っている。確かに家族には多大な世話をかけたし、視力も弱くなり眼鏡をかけるようになった。無駄だったとか、時間の浪費だったという人もいる。確かに暗闇の中ではあったし、必ずしも第一志望大に入れる保証はなかった。それでも気障なようだが、人生における気持ちのうえで余裕のようなものを身に着けたような気がしている。確かに就職の際には、不利だった。だが、今86年間歩んできた半生を振り返って、かなり思い切ったこともやってきたし我が人生に悔いはない。それは浪人生活を送った2年間に与えられた人生の余得によるものだと思っている。

 人生というものは、常に精一杯努力するなら無駄なことは無いと考えている。

2025年4月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6541.2025年4月10日(木) 剛腕トランプのその場しのぎの手法

 アメリカのトランプ大統領もついに気が狂ったのか、大統領の職務を放棄してゲームを始めたような印象を受ける。国際社会のリーダーであるべき人物が、仕事を放ったらかしにしてこれほど世界中に迷惑をかけるようなゲームに夢中になって良いものだろうか。この一両日の間に、トランプ氏が課す関税について、相手国からの不満、反発と悲鳴が聞かれるが、特に中国に対する思い付きの対応は、とても正気の沙汰とは思えない。最初に相互関税と称して中国に34%課すと公表した。これに中国政府が反発するや54%に増やし、その重税には中国も報復関税を考えていると聞くや、更に50%を上乗せして104%に変更し、これに中国も反発して対米関税84%を実施すると公表した。すると即座にトランプ爺は、何と更に50%を上乗せして154%と想像もつかない関税を課すと言った。それが昨日のことである。それから僅か13時間後に何を想ったのか、相互関税は90日間延期すると関係者や株式市場を困惑させたまま一旦小休止とした。こうなると最早遊び感覚である。ダウ平均株価は連日大幅に上下を繰り返している案配である。世界が一刻を争うような時節に、こんなゲーム遊びで暇つぶしをしても良いのだろうか。トランプの頭の中には、正しい意味ではない「唯我独尊」が蔓延っているようだ。

 そんな時に、政権内でトランプへ相互関税を控えるよう具申する珍しい取り巻きが現れた。何とトランプ爺の大統領選挙資金拠出で政府要職に採り立てられた、イーロン・マスク氏である。マスク氏も同じ穴のムジナなので首を傾げたところ、その真意は関税によってマスク氏の経営するテスラ社の車が打撃を受けるので、中止して欲しいという身勝手な要求だった。マスク氏もすでにお役目を果たしたとして、近々閑職から閣外へと御用済となる予定である。

 それにしてもトランプ政権の閣僚は皆揃いも揃って、トランプ様と奉ってイエスマンばかりである。マスク氏のように逆らったら直ぐ首だ。閣僚もそうだが、アメリカ国民の声は先日関税反対のデモ行進があったが、トランプ爺の言動に対する反対の声は一向に盛り上がってこない。アメリカ国民も、平等を認めず差別を認めて、民主主義を返納するようになってしまったのだろうか。

 一応90日間相互関税は延期されることになったが、ヨーロッパではアメリカに対する不信感が噴出している。そこへヨーロッパ最大の経済大国・ドイツでは新政権が発足する。ドイツも関税には頭を痛めている。2月に実施された総選挙で第1党となった中道右派「キリスト教民主・社会同盟」と第3党だった中道左派「社会民主党」が、連立合意により「キリスト教民主・社会同盟」のメルツ氏が、政権を握り5月に新しい首相としてデビューすることを公表した。さぁ!ドイツはどういう対応をするのだろうか。

 他方、フランスではマクロン大統領が6月にパレスチナを国家として承認する考えを示したが、これは先進7か国(G7)でも初めてのことであり、トランプ大統領も腰を抜かすのではないか。あまりにもトランプ政権がイスラエル寄りの姿勢を鮮明にし、イスラエルとパレスチナの2国家共存に否定的な考えに危機感を抱いているせいもあるが、マクロン大統領のトランプ氏へのさや当てのようだ。こうして欧米国家間にも、トランプ砲の一発によりさざ波が立ってきたようだ。これから反トランプ旋風はどこまで広がることになるだろうか。

2025年4月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com