6596.2025年6月4日(水) 韓国の新大統領に苦労人の李在明氏

 昨日に引き続き、「ミスタープロ野球長嶋茂雄」への熱い報道は衰えず、聊か呆れるほどである。朝日新聞などは昨日の夕刊に一面を使って派手に紹介していたが、今日の朝刊では一面トップ、社会面、スポーツ蘭の他に、社説、天声人語にまで採り上げられている有様である。NHKでも「クローズアップ現代」のテーマにするほどののめり込みようである。昨朝訃報直後にドジャースの大谷翔平選手が、SNSに長嶋さんへの弔意を示した。そしてMLBでトップとなる23号ホームランを弔砲として飛ばしたが、夕方には大谷選手が6度目の月間MVPを獲得したとの嬉しいニュースまで入って来た。長嶋さんのように訃報がこれほど大きく扱われた人物は、スポーツ界のみならず、これまで他の業界でもあまりいないのではないだろうか。長嶋さんをよく知る知人らへのインタビューを聞いていると感謝の気持ちや褒め言葉ばかりで、いかに多くの人々に好かれていたかが想像出来る。

 昨晩東京タワーが、いつもなら真夜中の0時まで点灯しているところを、長嶋さんへの弔意を表して夜9時に消電したというから驚くばかりである。

 今の子どもたちには名前はともかく、実際に長嶋選手が活躍している現実感がないと思うが、我々世代は長嶋選手の活躍とその存在に随分励まされたものだ。その意味では我々世代は「長嶋茂雄」という実在の人物を知ることが出来たことは幸せだったのではないかと思っている。

 ついては、昨日お隣の韓国で行われた注目の大統領選挙報道が、長嶋さんの訃報により隅っこに追いやられてしまったような印象である。曰く付きの尹錫悦・前大統領の非常戒厳令宣言や弾劾・罷免など一連の騒ぎで失職したことによって、新たな大統領を選出する国民選挙が行われた。79.4%という、日本人も見習うべき高い投票率で、2002年選挙以来最高だった。結果として戦前から有利とされていた野党「共に民主党」の李在明・前代表が予想通り勝利を収めた。「国民の力」の金文洙氏と李俊錫氏の一本化が勝つための条件だと再三言われていた。結局2人は妥協せず、それぞれ立候補した。3人が獲得した得票率を見ると李在明氏49.42%、金文洙氏41.15%、李俊錫氏8.34%だったため、仮に2人が結束し一本化出来れば、単純比較であるが、金・李両派は49.49%で数字上は微か0.07%差で李在明氏に勝っていたことになる。

 早速李在明氏は新大統領に就任し、第一声をぶった。近年国内で深まる政治や社会の分断の克服に向けて決意を示した。李在明新大統領の選出、就任によって気がかりだったのは、対日関係である。ところが、これまで反日的言動が強かった李在明氏の対日本観のニュアンスが投票日の接近につれて変化が見られたことである。日本は敵性国家であるとか、福島原発の核汚染水の放流について「日本が超えてはならない一線を越えた。核汚染水の放流は太平洋沿岸国に対する戦争宣言である」とまで、日本を厳しく批判していた。

 それが、投票日が近付くにつれて「個人的には日本に対する愛着が非常に深い」、「韓米同盟が非常に重要であり、韓米日強力関係も非常に重要」、「日本は重要なパートナーで、国交正常化60周年を迎えて堅固な韓日関係の土台を築いていく」と大分友好的に変わって来た。実際に自身が大統領に当選して、上記のように韓日関係の土台を築くと言明していることでもあり、今後の日韓関係の好転を期待したい。

2025年6月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6595.2025年6月3日(火) 「ミスタープロ野球」長嶋茂雄さん永眠

 今朝早々に知った訃報に驚いた。あの「ミスタープロ野球」の長嶋茂雄さんが亡くなられたのである。享年89歳だった。

 長嶋と言えば、立教大学では2度の首位打者となり、当時の六大学本塁打最高記録の8本を放ち、在学中から東京六大学で大活躍した。鳴り物入りで巨人軍に入団し、ジャイアンツの4番打者として投打に活躍、その後入団した王貞治選手とともにON打線として巨人軍を支えた選手である。大学時代のプレーは見たことはなかったが、巨人ファンとして何度も後楽園でその勇姿と活躍ぶりを実際に見た。入団早々、本塁打王と打点王の2冠に輝き新人王を獲得し、翌年には昭和天皇・皇后両陛下ご臨席の初の天覧試合で阪神のエース村山実投手からサヨナラ本塁打を放つドラマチックな活躍など、新聞見出しにはしばしば顔を出していた。天覧試合はテレビで観戦していたが、こういう場面で長嶋選手ならではと感じさせる一撃に大学生の私はすっかり興奮したものだった。王選手とともに巨人軍の黄金時代にV9の中心選手として活躍し、6度の首位打者、2度の本塁打王、5度の打点王とMVPを獲得した。引退試合で放った本塁打を合わせてプロ通算444本の本塁打を記録した。半世紀前に「わが巨人軍は永久に不滅です」の名言を残して17年に亘る現役生活に別れを告げた。そして巨人軍の監督に就任し、セ・リーグを5度制覇し、2度日本一に輝いた。引退後は巨人軍の終身名誉監督となった。現役時代の背番号「3」は巨人軍の永久欠番となっている。まさに「国民的英雄」と呼んでも好い。

 朝のTVニュースでその衝撃的な訃報が伝えられてから、メディアは長嶋報道一辺倒となった。それどころか読売新聞は直ぐに号外を発行するし、朝日夕刊は一面すべて長嶋ニュースだった。テレビも日本テレビなどは、ゴールデン・アワーの番組を急遽変更して長嶋特集を2時間に亘って放映する人気ぶりだった。海外でも野球の盛んなアメリカでは、ニューヨーク・タイムス紙が世界最高のひとりだった選手の死を悼んだ。韓国や、台湾でも大きく報道されたようだ。

 お気の毒にも2004年に脳梗塞で倒れてから懸命にリハビリに励む痛々しい姿には、往年の活躍ぶりを想うと同情を禁じ得ないものだった。そして21年の東京オリンピックでは不自由な身体を引き摺りながら王さん、松井秀喜さんとともに聖火ランナーを務めた。国民栄誉賞をはじめとして、野球界からは初めてとなる文化勲章も授与されている。

 今では大谷翔平選手のMLBにおける活躍が高い関心と興味を呼んでいるが、まだMLBと交流がなかった時代、長嶋選手はあるメジャーの球団から声をかけられていたという。本人も入団3年目に、MLBのドジャースでプレイしたいと球団に掛け合ったそうだが、どうしても許可がもらえず諦めたという。もし長嶋選手がMLBに出場したら、大谷選手のようにメジャーで大活躍したことだろう。多くのプロ野球ファンに愛されたあの時代が生んだヒーローと言えるだろう。

 政界からもヒーローの死を悼んで石破首相、林官房長官、菅元首相、小泉農水相をはじめ、その他野球界、芸能界などから数多くのお悔やみの言葉が寄せられ、故人を偲んでいる。いかにその存在感が大きかったか、そして野球ファンばかりでなく多くの人びとから愛されていたかが分かる。テレビで橋本五郎・読売新聞論説委員が、戦後日本を明るくし、元気づけた3人として、美空ひばり、石原裕次郎と長嶋茂雄を挙げていたのが、印象的だった。

 ともかく選手としてばかりでなく、人間的にも明るく素晴らしい選手だった。心よりご冥福をお祈りしたい。

2025年6月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6594.2025年6月2日(月) サグラダ・ファミリアについて初めて知ったこと

 昨晩テレビ朝日のバラエティー番組「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」をNHK大河ドラマ「べらぼう」の前後に観たが、随分興味深い番組運びで大分参考になった。これは3時間半のSP番組で、依然として未完成のバルセロナの世界遺産「サグラダ・ファミリア」を特集し、タレント芦田愛菜と同じく渡辺直美が潜入して見学し、番組で案内しようという試みである。まだ20歳だが、幼いころから中々賢い芦田の事前の予習が随分効果的なガイドとなって、今日のネットの番組感想でも高く評価されていた。

 この世界遺産へは私も2度訪れたことがあるが、まだ未完成とは言え、来年にはメインの塔が完成すると言われている。それでも全体の完成とは行かないようだ。着工したのが1882年で、すでに1世紀半近くも経過したが、未だに完成していない。有名な2代目の建築家アントニ・ガウディが設計を引き継いだが、そのガウディも1913年に路線電車と接触して死亡した。その後延々と建設工事は引き継がれ、2034年には最終的に完成する予定とされている。私が一番驚いたのは、その内部を実際に見学した時は薄暗い印象だったが、テレビ画像を観るとすっかり内装は変わっている。内部は天井から光が入り明るくなり、中でも際立っているのは見上げると周囲にカラーフルなステンドガラスが張り巡らされていることである。そして、キリスト像が一般的には頭が下を向いているが、ここでは上を向き、しかも足を延ばさず曲げていることが意外な感がした。随分抱いていたイメージが変わっている。まだ完成までに10年はかかるようだが、更に大きな変化があるかも知れない。

 番組でインタビューに応えていた建設に関わっている彫刻家の外尾悦郎氏に芦田は的確な質問をして、外尾氏も感心していた芦田の英知と勤勉には驚いた。外尾氏は1978年以降サグラダ・ファミリアの彫刻に携わり、現在では彫刻などの装飾の総監督を務めている。中々優秀な彫刻家のようだ。

    私の生存中に完成するかどうかは何とも言えないが、希望として完成を楽しみに待とうと思う。

 同じくスペインの世界遺産については、バルセロナとは首都マドリードを挟んで北東と南西と方向が反対のトレドについて今NPO紙に拙稿を書いているところである。ここも印象深いスペインの古都である。街の三方をタホ川に囲まれ、城内、つまり街中は車も満足に走行出来るようなところではなく、狭く短い道路を歩いていると中世の落ち着いた街の雰囲気を味わえる。いずれもスペイン・カトリックの中心となった都市である。

 残念ながら今では思い出すことしか出来なくなってしまったが、機会があればここももう1度訪れてみたい世界遺産である。

2025年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6593.2025年6月1日(日) 米の減反政策に根本的な対策検討を

 早いもので今年も早や梅雨の季節、水無月を迎えた。一昨日、昨日と連続して雨模様で寒い日だったが、昨日はいつも通り午後ウォーキングしていたら途中で雷が鳴り小雨が降って来た。何とかそれほど濡れることもなく帰って来た。それが、今朝は青空が顔を出し、陽気も暖かい。気持ちよくウォーキングをした。いよいよ猛暑が襲来するのかと思うと気持ちは晴れないが、体調管理に気を付けて暑さを乗り切ろうと思う。

 地球温暖化現象が亢進している中で、昨日西アフリカのナイジェリアで大洪水が発生し、150人以上が死亡し、住民は3千人以上が避難している。一昨日にはスイスの山間部でも大きな雪崩が発生し、大量の雪渓が谷間を滑り落ちた。幸いこれまで死者の報告はない。しかし、これらは地球温暖化の影響によるものであることは間違いない。世界の首脳は局地戦争を起こし、相も変わらず戦争ゴッコのような火遊びをしているが、彼らには実戦体験がなく戦争を実戦部隊の兵士に任せているので戦争の怖さを知らないのだ。地球の最後につながる温暖化現象をストップさせようともっと真剣に対策を考えるべきである。

 さて、漸く米価高騰の解決策が実施され、思い切って政府備蓄米を随意契約により放出、販売し、一応の成果を上げて5㎏=4千円だった米価が、古古古米と条件付きながら2千円で市場にて販売されるようになり、ホッとしているところである。実際ネットで業者の販売価格を見てみると、昨年産「新潟産こしひかり」は5㎏=¥4,480-だったが、¥1,344-に、「魚沼産こしひかり」10㎏=¥12,000-が、¥3,600-に大幅に値下げされている。だが、これはあくまで一時的な現象であり、今日午後には販売予定量を超えたので販売を中止すると言っていたこともあり、同じような高騰問題が再発しないとは言い切れない。

 今回の騒動の中で、米の供給量が足りないために需要に応えられず、米価が上昇したので、国策として減反政策を修正し、米の増産を目指すべきだと主張する政治家がかなりいる。だが、最大の原因は減反政策の中で、猛暑など地球温暖化現象による異常気象がもたらした不作、インバウンド業の外国人客の需要増への対応などが考えられていなかったことが大きく影響し、米価に跳ね返って来た。仮に一時的に減反政策を修正して増産しようにも、現実的には農業離れと農家の高齢化により、農業人口が減少しており一時的に農業増産を唱えても増産は一筋縄では行かない。基本的には、日本人の米消費量は年々減少していることでもあり、直ぐにも効果的な対策を講じることは中々至難である。

 一難去って農水省は今後どういう対策を実施するのだろうか? 江藤前農水相の失言によって、小泉新農水相がスピード感を以て解決に当たり、当面は落ち着く見込みである。しかし、この間にも他人を批判することが多い政治家らからは、陰の声が聞こえていた。中でも地元鹿児島県の農協理事などを務め、農水相経験者の野村哲郎・参議院議員などは、地元に帰って、小泉農水相は周囲に相談することなく自分で決め、発表してルールを無視していると小泉農水相に批判的である。

 そういつまでもこの米価問題に関わっているわけには行かない。周りには、年金問題、難問の対米関税、アメリカの国防費増額要求、今夏の参議院選挙、等々目白押しである。政府としても一刻も早くすっきりしたいところだろう。石破首相もよほど覚悟して取り組まなければ、この難局を乗り切るのは難しいと思う。

2025年6月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6592.2025年5月31日(土) 地方信用組合の不祥事

 国内外ともに騒がしい事件が起きている。その中で地味なようだが、こんなとても看過出来ない馬鹿げた事件も起きている。最近になって連日のように報道されている福島県いわき市に本店を置く「いわき信用組合」の大型不正融資問題である。本来零細企業向けの融資を主とする信用組合は、全国に140組合あり、その中でいわき信用組合は預金量では30番目の規模で、信用組合の中では大手で地域企業には欠かせない金融機関である。自分たちの悪行を調査していた同組合が設置した第三者委員会が、昨日調査報告書を公表した。これまで約20年以上に亘って繰り返された不正融資総額が、約1,300件で融資額が実に約247億円にも上がると認定された。他にも10年ほど以前には、職員が1億9千万円を横領していたことも明かされた。不正融資は、理事長以下役職員がともに隠蔽工作を行っていたと見られておりお話にならない。

 同信組が冒していた不正融資の手口は、大口融資先が経営破綻した際に、新たに架空の別口座を開設して新たに融資する形を取ってその融資額を破綻した企業への貸し付けたことによって補填していたというものである。

 同信組の悪質なのは、2011年東日本大震災で大口融資先が被災して営業休止の状態に陥り、震災対策として国から信組に200億円の公的資金が注入された。それを悪用して無断で借名の架空融資に回収困難として損失に計上し、帳簿上帳消しにする処理を行っていたのである。

 流石にこれだけの高額の仮融資を長期間見抜けなかった監督官庁にも問題があったと考えざるを得ない。20年以上に亘り架空の融資口座を設定してその間理事長以下役員、職員が外部に知られないよう事実を隠蔽しごまかしていたことは金融業にとっては考えられない。よくも20年間も隠蔽がばれなかったものである。この事実を知った金融庁は怒り心頭のようだが、自らも反省することが必要ではないか。さもなければ同じような不正事件は、今後も発生しないとは言えない。

 さて、このところコメ高騰問題が注目され、政府の備蓄米の放出、そしてそれに伴い新任の小泉農水相が手を付けた随意契約が話題になっている。農水相が、農水省が主導して緊急対策として放出米を随契により行うと公表してから、急速に高騰していた米価が種別ごとに値下がりを始め、市場に銘柄米から2021年産の古古古米と称する米まで市場に出回るようになった。これにより4千円を超えていた米価が、銘柄米の4千円と3千円台、2千円を割る古古古米の3種の米が出回るようになった。いつも結論が出るのが遅い政府の対策に、新「米」担当大臣が就任するや、良し悪しは別にして割合すっきりと、しかもスピーディに国民対策行政が行われたことは、スーパーなど一部では批判的であるが、一応評価すべきであろう。

 その過程で江藤前農水相の「米は買わない」発言が、顰蹙を買い大臣を辞任することになったわけだが、玉木雄一郎・国民民主党代表にも「あと1年経ったら動物の餌になるようなもの」との発言には批判が出ている。どうも政治家というのは、言動が軽薄だと思わざるを得ない。

2025年5月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6591.2025年5月30日(金) メルケル元ドイツ首相が考える「自由」

 昨晩テレビ「報道ステーション」で今来日中のメルケル・元ドイツ首相に大越キャスターがインタビューした。EUの主要国ドイツの首相を16年間も務めた人だけに、個人的に政治力はもちろん、人間性においても優れた優秀な世界的な政治リーダーであることは承知していたが、話すことがひとつひとつ納得できる内容で、改めてメルケル氏のインテリジェンスと非凡さに敬服した。

 今回訪日したのは、回顧録「自由」日本語版を出版したのを機に、現役の政治家としてではなく作家として日本を訪れたものである。テーマを「自由」にした理由は、自由が自分の人生全体を貫いていると考えていて、子どもにとって自由は特別なものだったが、育った東ドイツでは自由がなかった。自由は民主主義国家にしかなく、そのためにメルケル氏は活動してきたという。メルケル氏は東ドイツで育ったが、もし旧西ドイツで育っていたら、政治の道を歩まず、他の職業を選択しただろうと語った。それほど自由のなかった母国東ドイツに苦しめられたのだろう。

 そもそもメルケル氏は政治畑を歩む気はなかった。東西対立当時の東ドイツでは大学で物理を学んだ理系の人だった。1989年11月ベルリンの壁崩壊が、メルケル氏の進む方向を変えさせた。この時西側になだれ込む群衆の中にメルケル氏もいた。メルケル氏はその時、「単なる自由は存在しない。いつの時代も自由は勝ち取っていくことが重要だ」と強く思ったそうである。私も東西対立時代に東ドイツに入国してベルリンの壁の前に立ち、東ドイツ兵らに見張りされながら重苦しい気持ちに襲われたことがある。そして、その後壁崩壊後に訪れた時の東ドイツには、何らの制約もない自由な空気に社会の違いを感じたものである。とにかく東ドイツ時代には、上から監視されていて「自由」なんてまったくなかったと思う。我々が東ドイツの学校を訪れても、終始シュタージという秘密警察官が我々の周囲に付いて監視されているようなプレッシャーを感じたものである。

 ドイツ首相在職中から大統領第1期時代のトランプ氏には、お互いに顔を合わせながらもどうもぎすぎすしてあまりお互いに敬意を表するような空気を感じなかった。それはテレビ中継されたG7会合の雰囲気からも察しられた。トランプ氏特有の持論を押し付ける強引さにメルケル氏も辟易したからではないかと思う。実際、安倍元首相とは息の合ったトランプ氏も安倍氏とは19秒間も長く握手していたが、メルケル氏とは、周囲に促されながらも遂に手を握ることはなかったと昨晩も語っていたくらいである。

 ただ、ウクライナ侵攻では、一部にメルケル氏のロシアへの融和的な対応が、隙を作らせたとの批判もある。

 いずれにせよ長きに亘ってヨーロッパ、否世界の政治のリーダーでもあったメルケル氏には、毅然とした哲学、自由を尊ぶ姿勢がある。その辺りは、他の首脳らにはあまり感じられない。況してやトランプ大統領のような自己中心で、自由をはき違えているような首脳とは大きな違いがある。

 来日中にぜひとも石破首相もメルケル氏に会って、じっくりトランプ対処術やアメリカの言う自由度というものを教えてもらった方が良いと思う。

 さて、今日は雨交じりで寒かった。都内の最高気温が16.5℃で4月上旬の気候だった。先日は夏日だったが、今夏はアップダウンを繰り返した末に、猛暑となるのだろう。

2025年5月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6590.2025年5月29日(木) 日本国内における米軍の優先度

 終戦後米軍が占領軍として日本へ乗り込み、日本のすべての機構、組織を掻きまわし日本国民を支配した。そして80年が経った。その間に日本は1952年サンフランシスコ講和条約の締結により、再び独立国家へ戻りアメリカの支配から解放された筈であるが、実態は必ずしもそうなっていない。それどころか、近年アメリカの日本に対する過剰な要求と圧力は些か度を越している。

 その実情を挙げれば、ひとつは沖縄米軍基地周辺のトラブル発生が、日本の秩序を乱しかねないことである。その原因は日米両国間で結ばれた日米安保条約上の日米地位協定である。その中に日本国内の米軍に法的特権を認め、日本はその米軍基地を管理できないということである。つまり米軍の組織、行動に対して口ひとつ差し挟まないという条項である。米軍駐留経費も日本が他国の米軍駐留費に比べて、並外れて多額を負担している。これを好いことに米軍兵士が日本で無軌道な行動をしても日本政府が彼らを処分、指導出来ない。石破首相はこの協定に以前から批判的だったが、自民党総裁選で日米同盟は外交、安保の基軸になると主張し、対等な日米関係の実現のために地位協定の改善に意欲的だった。しかし、その後就任したトランプ流強気姿勢に出鼻を挫かれたのか、いつのまにやらトーンダウンしてしまった。

 最近在日米軍による不祥事が急増していることが気になっている。東京都内には、オスプレイが所属していた横田基地をはじめ、7つの米軍基地があるが、度々PFASによる有毒ガス漏れが東京都へ報告されなかったり、殺人事件をはじめ刑法犯罪の頻発などもすべて東京都へ報告されているわけではない。意図的な隠蔽が多いのである。基地が広い沖縄では、兵士による市内での女性暴行事件なども相変わらず発生している。問題は、その後の米軍基地司令部が日本側に逮捕、裁判権を与えようとしないことである。これでは戦後長い時間が経過したが、日本は相変わらずアメリカの支配下にあると思われても抗弁のしようがない。

 5月に石破首相がトランプ大統領と初めて会見するために訪米したが、大統領は在日米軍の駐留経費を巡って日本側の負担を増額するよう打診したが、今日の朝刊に目を通すと日本政府はそれを受け、米軍住宅など提供施設整備費について数百億円を上積みする方向で検討に入ったと報じられている。

 現在日本側の在日米軍駐留経費負担額は毎年度平均約2,110億円である。ところが、トランプ大統領はこれにも満足していないらしく、不公平だと不満を漏らしている。元々米軍が日本に駐在しなければ、このような今の野放図な要求はなかった筈である。アメリカの視点から、アメリカは日本が第三国から攻撃を受ければ、米軍が日本を防衛はするが、その逆に米軍基地が攻撃されても日本は対応しない現状は不公平だとぼやいていた。どうもアメリカの身勝手な論理ばかり強調しているが、日本は今でも自衛隊が米軍から高価な兵器を購入したり、東京上空の航空域など日本領土内にあってもアメリカの管理が優先するなど、「不公平」とはアメリカが言うべきことではないと思う。日本政府もいつまでもアメリカの占領下にあるような同盟関係を、もっと対等の立場に立って実のあるものにするよう、アメリカに対して言うべきことは言わなければいけない。

2025年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6589.2025年5月28日(水) トランプ大統領に1度相撲を取らせては・・・。

 今アメリカでは、連邦政府がハーバード大学を処分する話が大きな話題となっている。昨日連邦政府はハーバード大と契約する調査や研究、研修などすべての契約を打ち切る方針だと主要メディアが伝えた。これら研究の中には、ビジネス関係の完全な断絶となるものがあり、国立衛生研究所と多岐に亘りコーヒー接種の影響などを調査していたような案件も含まれている。政権は大学への約30億㌦(約4,300億円)の補助金を取り止めることを検討しているという。今後もトランプ政権は同大へ圧力を強化していくことだろう。そして今日ルビオ国務長官は在外米大公使館を通じて、ハーバード大だけでなく、アメリカの大学へ留学希望者を対象とする学生ビザの発行に必要な面接の新規予約を一時停止するよう命じた。これは日本人留学希望者にとっても大分厳しい対応となる。

 また、この停止処分は、優秀な人材を国外へ追放してアメリカの知的レベルを低下させる点でも懸念されているのである。トランプ氏はハーバード大の学生は、2+2も分からないと大学と大学生を愚弄するような発言をしている有様である。こうしてアメリカは自国の知恵袋を捨ててしまうのだ。

 こんな連邦政府が学力・知識軽視の最中に、マイクロソフト創業者でIT業界の大立者ビル・ゲイツ氏が、2017年のトランプ第1期大統領時代にトランプ氏と会った時の印象を語っているのが興味深い。トランプ氏は、エイズを引き起こしたエイズウィルス(HIV)と子宮頸がんの原因となったHPVの違いが分からず、ゲイツ氏に2度も質問をしたとばらしたのである。トランプ大統領は、これまでにも習近平国家主席と会談した直後に「朝鮮は中国の一部だった」と語り、追及されると朝鮮ではなく、中国の一部だったのは北朝鮮だと訂正したが、北朝鮮は独立国で中国領ではないという常識的な事実認識に欠けていた。トランプ大統領とは、偉そうなことばかり口に出す政治家だが、所詮その程度の知的レベルである。また、私利私欲に捉われているが、一方のゲイツ氏は、このほどアメリカ政府が国際的支援縮小に向かったことに反して、全財産約30兆円を今後20年内に寄付すると表明した。

 これまでの言動から推してあまりインテリには見えない大統領が、エリート大学に圧力を加え続けるのは、過去に余程の恨みや屈辱があったことによるコンプレックスの裏返しではないだろうか。世界中に紛争の種をばら撒いているトランプ大統領が、このまま大統領の地位に留まっているのは、世界の人びとを不幸に仕向けるだけだ。1日も早く辞めてもらいたい。それにしても相変わらず誰も大統領の無軌道な言動を止めようともせず、大統領におべんちゃらのような気遣いばかりしているが、こんなことは何とかならないのか。

 不愉快なトランプ話とはガラリと変わって晴れがましい話をひとつ紹介したい。今日日本相撲協会は、去る25日(日)に大相撲夏場所で2場所連続優勝を達成した大関大の里を、満場一致で第75代横綱に正式に推薦することを決めた。早速使者が部屋へ遣わされ本人に直接伝えた。これで来場所の番付には、豊昇龍と並んで東西横綱がそろい踏みすることになった。そのために大関が琴櫻だけになってしまい、次の名古屋場所では大関争いが熾烈になることだろう。とにかく大の里は稀に見るスピード出世である。初土俵以来13場所で横綱へ昇進した力士は、明治以降最速である。大相撲が年6場所制になった1958年以来21場所で昇進した同じ能登出身の輪島を凌ぐスピードである。夏場所も連日大入り満員だったが、このまま相撲人気が続くことだろう。

 ところで、今日TVの「徹子の部屋」に偶々妻とともにゲスト出演したハワイ出身の元大関・小錦が、アメリカで相撲人気が徐々に盛り上がっていると説明していたことが興味深かった。自身アメリカで相撲を取って見せながら相撲を紹介し、相撲は体格の大きさに関係なく、勝負出来ることと、礼儀正しいスポーツであるとPRしているそうだ。毎場所外国人観客が増えているので、今後も人気は高まるだろうとにこやかに語っていたことが印象的だった。

 一度トランプ大統領に国技館の土俵上で小さな日本人と相撲を取ってもらったらどうだろう。

2025年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6588.2025年5月27日(火) ミヤンマーが世界から無視されている。

 ウクライナやパレスチナ・ガザ地区の戦闘が大きく報道され、世界中から停戦を望む声が寄せられている。その中で、ミヤンマーがこのところさっぱりメディアで取り上げられなくなった。2021年2月1日民主的に選ばれた政権が、国軍の軍事クーデターによって崩壊させられてから4年4か月が経った。今では国軍のミンアウンフライン最高司令官が権力を握り軍事国家として国を統治、支配している。当時の民主派政権の幹部らは失脚させられ、追放されるか、投獄された。中でも国家顧問でもあり、旧ビルマ独立の父とも言われたアウンサン将軍の娘で、国民の間に人気絶大だったアウンサンスーチー氏も身柄を拘束されたままで、翌年には軍事裁判でスーチー氏を有罪として、後に刑期は短縮されたが、一方的に33年の刑期を課した。

 軍が抑圧的な権力を行使したことによって各地で少数民族武装勢力が抵抗し、内戦が激化している。民主派の一部「国民防衛隊」も民主化への回帰を求めて国軍と戦っている。国軍としても抵抗勢力の壊滅作戦によりやや疲労気味で、少数民族の集落などは空爆を強化して、クーデター後だけですでにその数は7千回を超えた。人権団体・政治犯支援協会(AAPP)によると、国軍の空爆による市民の犠牲者は6千2百人を超え、更に深刻なのは避難民が323万人以上もいることである。そこへつい最近大きな海難事故が起きた。かねてから国内・ラカイン州で疎外され、孤立したイスラム系住民ロヒンギャが国際的に注目されていたが、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が23日発表したところによると、彼ら難民514人を乗せた2隻の船がミヤンマー沖合で沈没し、合せて427人が死亡した。残念なのは、このミヤンマーのクーデターによる無法な国家統治に対して、世界の関心がやや薄くなっていることである。精々3月末に大地震に被災して、今なおその災禍から立ち直れないが、その時一時的に国際社会の同情を買った程度である。

 その最中にアメリカはトランプ大統領の国際開発庁(USAID)の経費削減のため予算を縮小し、途上国支援のための政府開発援助(ODA)からの離脱により、支援をせず、日本政府もクーデター以降は人道支援以外の支援は停止している。その一方で、中国とロシアが国軍を軍事的に支援している。特に中国にとって、ミヤンマーは巨大な経済圏構想「一帯一路」の中国とインド洋をつなぐインフラ事業を進めるための重要な拠点と捉えて支援を惜しまない。

 ウクライナやガザ地区のように露骨に空爆などで犠牲者を生んでいる状況に比べて、ミヤンマーの国軍による国民への弾圧は、それほどその残虐性は伝えられない。だが、他の国なら国外脱出をするところでも、ミヤンマーの人びとはあまり国を捨て、家族を捨てて危機を逃れようとする国民性ではない。それが国の窮状が外へ伝えられないミヤンマーのひとつの悩みとなっているのではないかと思う。

 旧ビルマ時代に30回近くもミヤンマーを訪れ、多くのビルマ人と親しくなってビルマ人が他の国の人びととは異なる親しみのある、ビルマと言う国に惚れ込んでからもう半世紀以上にもなる。1日も早く軍事国家から元の民主派政権に変わり、民主国家として本来の政治を取り戻し、伸び伸びとおっとりしたビルマ人の本性に触れてみたいものである。

 偶々今夜のNHK歌謡番組「うたコン」で初めて知ったことだが、森崎ウィンというミヤンマー出身の歌手が珍しくも出演していた。不思議な感じがしている。

2025年5月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6587.2025年5月26日(月) 日本を上回る韓国の一極集中現象

 来月3日に韓国大統領選挙が実施される。尹錫悦・前大統領が非常戒厳令により罷免され、与党「国民の力」からは現在2人が立候補している。しかし、最大野党「共に民主党」に圧倒され形勢は芳しくない。にも拘らず、与党の2人が候補者一本化に同意しない。現状は野党前代表の李在明氏が51%と圧倒的な支持を確保していた。ところが、最近になって世論調査によると李在明氏の支持率が下がり、今では45%に下降した。

 一方与党「国民の力」からは、金文朱・前雇用労働相と李錫氏の2人が立ち、それぞれ36%、10%の支持を得ている。与野党候補者の支持率が大分縮小してきたことを考えると、残り日数が1週間ばかりとなり、野党候補者に勝つのはかなり厳しいが、今後この2人が話し合ってどちらかに一本化できれば、与党候補者が勝利を収める期待が消えたわけではない。従来通り与党「国民の力」に踏ん張ってもらいたいと願っている。

 実は、今年国交正常化60周年を迎える日韓両国にとって、中国、北朝鮮など周辺国の圧力が高まっている日韓両国がお互いに手を携えて行かなければならない時である。しかし、李在明氏があまり親日的ではないだけに、現在後塵を拝している与党が候補者を一本化して選挙に臨んで欲しいと願っている。残り1週間で決着がつくが、何とか「国民の力」が、これまでと同じ力を発揮して欲しい。

 韓国では、その大統領選でも首都ソウルの一極集中が、出生率の低下や、高い高齢化、後期高齢者の貧困率など、いくつも問題になって大統領選の論点にもなっている。例えば、ソウル市とその周辺の首都圏の人口が国全体の人口の半数を超え、世界でも突出した人口集中度である。それはかなり以前からじわじわ全国都市から首都ソウルへの転出、流入によるものである。それには韓国独特の特異性もある。ソウルでなければ、生活出来ないとでも言わんばかりの若者の首都進出が嵩じた結果である。韓国と日本とは傾向は似てはいるが、日本は韓国ほど極端ではない。韓国第2の都市である釜山ですら、今では人口が減少して第2の都市を仁川市に譲るのもそう遠い将来ではない。

 首都ソウルに地方都市から人口が流入するのは、優秀な大学がソウルにあり、その卒業生が就職する大手企業もほとんどソウル市内にあるために、若者はソウルの大学を目指し、大手優良企業へ入社することを目指すようになった。当然ソウル市内の優秀な大学へ入学することは難しく、受験環境に恵まれたソウル市内に地方から移住して勉学に励むのが、今どきの韓国学生の普通のパターンになった。韓国の専門家も「序列が高いとされる大学や良質な雇用などが集まるソウルが、人々を吸い寄せるブラックホールのようになっている」とコメントしているほどである。

 ソウル市内の賑わいや、若者たちの幸せそうに生活を楽しんでいる光景からだけでは中々分からない、隠された現実的な問題があるのだ。日本もこれほど極端ではないが、東京の首都圏にはこれと同じような現象が見られる。他人事ではないのかも知れない。

2025年5月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com