極めて稀なことが衆議院の本会議場で起きた。実は、その前にこの物価高の時代にガソリン代が暫定的に1㍑当たり25.1円上乗せされたままなので、そのガソリン税分を7月1日から廃止する法案を野党が共同提案した。しかし、その提案は審議入りされないことになってしまった。それに対して野党は、自民党の井林辰憲財務金融委員長に対する解任決議案を提出し、採決の結果珍しく解任決議案は可決された。参議院に前例があるようだが、衆議院でこのような事例は初めてである。後任の委員長には立憲民主党の阿久津幸彦氏が決まった。この結果、法案は審議入りすることになったが、気がかりなのは今国会の期限が22日で会期末となり、この後日数が短いうえに、参議院では衆議院と反対に、与党が多数を占めており、衆議院を通過しても提案の成立見込みがないことである。結局暫定的なガソリン税上乗せ分はそのまま継続されることになった。今後同様なケースに与野党はどう対応するのだろうか。
さて、一方で今月初めに衆議院を通過していた「ギャンブル依存症対策基本法」案が、昨日参議院本会議で賛成多数により可決、成立した。
目的は、賭博行為であるオンラインカジノの規制を強化しようというものである。スマホのアプリでオンラインカジノのサイトを開設することによって簡単にできる賭博行為であり、日本の業者が中心になったものではなく、明らかに海外のプロバイダーが絡んでいる。カジノ常習者は、ほぼ全員がカジノにより平均2千万円の借金を背負っているという。実は、プロ野球界でも密かに流行り、オリックスの選手が2021年から2年間に約300万円、巨人のオコエ選手らが、22年、23年に約700万円を、その他のチームでも選手、コーチの間に広がっている。つい最近でも西武ライオンズの選手4名と職員が賭博の疑いで警察に書類送検されるほど各チームに浸透している。
ただ、この法律の難点は、違反行為への罰則がなく、実効性への課題は残されたままである。罰則がないとするなら、これからもオンラインカジノを行う一般人も増えるのではないだろうか。国会議員は何を考えたのか分からないが、賭博と分かっていながら、こんな実効性のない法を制定しても意味がないことに考えが及ばないのだろうか。もう少し考えてみてはどうか。
何だか日本の国会議員が決める法律については中途半端なことばかりのような気がする。腹いせのようだが、トランプ大統領の最近の世界的中途半端な行為を挙げてみる。
今日の朝日夕刊「素粒子」欄にこんな皮肉が載っていた。「まるでトランプゲーム。国の名を書いたカードだけが飛び交っている。ウクライナ、ガザ、今度はイラン。SNSのごっこ遊びならどんなにいいか」。
昨日閉幕となった「G7」でトランプ大統領のわが儘がむき出しになり、G7首脳宣言は見送りとなり、G7としてはこれまで厳しくウクライナへ侵攻したロシアへの非難を繰り返してきたが、今回は何とロシア非難をトランプ氏の反対により取り止めた。これによりG7の存在感も薄れ、今後先進国協調路線が宙に舞うことになるだろう。トランプ氏がG7から抜け出し、「大事な用件」と言っていた国家安全保障会議(NSC)をホワイトハウスの地下室で開いた。まるでイスラエル・イラン戦争は、イスラエルの背後でトランプ氏が操っているように思える。対イランと核兵器開発停止交渉を止めて、イスラエルに対イラン空爆を容認し、イランの最高指導者ハメネイ師に無条件降伏を要求した。更にイランに対してアメリカが対イラン攻撃を選択肢として検討しているという。また、イスラエル支援のための思われる空母ニミッツを中東に向かわせたり、作戦支援のため数十機の空軍給油機を新たにヨーロッパに展開させた。トランプ氏の強い戦争への意気込みのせいで、戦火は益々拡大して行きそうだ。こんな奴がアメリカの大統領だなんて、アメリカ人は一体何をしているんだ?