6612.2025年6月20日(金) インバウンド業回復とその反作用

 このところ外国人観光客の姿が随分目立つようになった。最近では外国人訪日観光客が新型コロナウィルス感染症の影響から回復し、その数も大幅に増えている。外国人観光客誘致策の第一弾として、観光庁がお先棒を担いだ「ビジットジャパン」プロジェクトが開始された2003年度には、訪日客は521万人だったが、その後着実に数字が伸び、10年後にはほぼ倍増の1,036万人となり、その後は倍々ゲームで増え、コロナ前の19年度には、3,188万人にまで増加した。その後コロナ期間中は100万人にも達しない年もあったが、23年度には、2,507万人にまで回復した。そして、2024年度には過去最多の3,687万人になった。今年度に入ってからも4月には対前年同月比28.5%増の391万人となり、5月には369万人となった。順調過ぎるほどの伸びである。この勢いに乗り旅行業収支は大幅な黒字になると思う。今ではインバウンド業は国家財政のひとつの大きな柱ともなりつつある。今後もコロナのような特殊なマイナス要因さえなければ、外国人訪日観光客は増え続けるでことあろう。

 ただ、観光客が増えればすべて良しと言うわけには行かないのが難しいところである。観光客が一度に集中的に訪れる観光地では、それ自体は良いにしても中々対応が追い付かず、市民生活に影響が及ぶことになり、「オーバーツーリズム」と呼ばれるマイナス現象となって現れてきている。国内外の観光客の多い京都市などでは、市内バスが外国人観光客に占領される状態となり、一般市民が乗車出来ないような現象まで表れている。京都市では観光地周辺の混雑や交通渋滞など「オーバーツーリズム」が深刻化し、この対策として2018年にはホテル・旅館などの宿泊者から「宿泊税」の徴収を導入した。これを26年3月から思い切って大幅に引き上げる予定である。注目されるのは、1泊10万円以上の高級ホテル、旅館に宿泊する場合、従来の1千円の宿泊税を10倍の1万円に引き上げることである。これに似た制度が、国内では東京都を含め13自治体ですでに導入されている。

 実はオーバーツーリズム現象によって、風光明媚な観光地へ多くの外国人がやって来て、中には観光地が質の悪い外国人が跋扈する無法地帯に様変わりしたような悪い例がある。ひとつの例が意外にもタイのリゾート地プーケット島である。私も何度か訪れたことがあるプーケット島は、首都バンコックの約850㎞南方にある素晴らしいリゾート海岸である。それが近年外国人の急増により住民の数に比較して多くの観光客が訪れる状態となり、犯罪も多発しているという。その観光客の中で最も多いのが、何と思いもよらずロシア人である。彼らはプーケットを訪れる外国人の内12%を占める。これは、ウクライナ侵攻後西欧諸国がロシアとの直行便を停止して、ロシア人に対して入国制限を厳しくしたせいである。しかし、タイではロシア人に対してノービザで90日間の滞在を認めたことによって、アエロフロートなどロシア機がプーケット空港に定期的に運行し、兵役逃れのロシア人や富裕層も続々と物価の安いタイにやってくるようになった。その結果、次第に副作用が目立ち始めた。違法ビジネス、大麻の普及、外国人の犯罪などで治安悪化が酷くなった。

 この状態を日本人は他人事と見て「対岸の火事」視してはいけないと観光専門家は述べている。よほど注意しないとこの乱れて来たプーケットが、そのまま日本で二重写しにならないとも言い切れない。日本のインバウンド業好況の陰で、心しなければならないことである。

2025年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6611.2025年6月19日(木) 嫌なことと恐ろしいことばかり

 極めて稀なことが衆議院の本会議場で起きた。実は、その前にこの物価高の時代にガソリン代が暫定的に1㍑当たり25.1円上乗せされたままなので、そのガソリン税分を7月1日から廃止する法案を野党が共同提案した。しかし、その提案は審議入りされないことになってしまった。それに対して野党は、自民党の井林辰憲財務金融委員長に対する解任決議案を提出し、採決の結果珍しく解任決議案は可決された。参議院に前例があるようだが、衆議院でこのような事例は初めてである。後任の委員長には立憲民主党の阿久津幸彦氏が決まった。この結果、法案は審議入りすることになったが、気がかりなのは今国会の期限が22日で会期末となり、この後日数が短いうえに、参議院では衆議院と反対に、与党が多数を占めており、衆議院を通過しても提案の成立見込みがないことである。結局暫定的なガソリン税上乗せ分はそのまま継続されることになった。今後同様なケースに与野党はどう対応するのだろうか。

 さて、一方で今月初めに衆議院を通過していた「ギャンブル依存症対策基本法」案が、昨日参議院本会議で賛成多数により可決、成立した。

 目的は、賭博行為であるオンラインカジノの規制を強化しようというものである。スマホのアプリでオンラインカジノのサイトを開設することによって簡単にできる賭博行為であり、日本の業者が中心になったものではなく、明らかに海外のプロバイダーが絡んでいる。カジノ常習者は、ほぼ全員がカジノにより平均2千万円の借金を背負っているという。実は、プロ野球界でも密かに流行り、オリックスの選手が2021年から2年間に約300万円、巨人のオコエ選手らが、22年、23年に約700万円を、その他のチームでも選手、コーチの間に広がっている。つい最近でも西武ライオンズの選手4名と職員が賭博の疑いで警察に書類送検されるほど各チームに浸透している。

 ただ、この法律の難点は、違反行為への罰則がなく、実効性への課題は残されたままである。罰則がないとするなら、これからもオンラインカジノを行う一般人も増えるのではないだろうか。国会議員は何を考えたのか分からないが、賭博と分かっていながら、こんな実効性のない法を制定しても意味がないことに考えが及ばないのだろうか。もう少し考えてみてはどうか。

 何だか日本の国会議員が決める法律については中途半端なことばかりのような気がする。腹いせのようだが、トランプ大統領の最近の世界的中途半端な行為を挙げてみる。

 今日の朝日夕刊「素粒子」欄にこんな皮肉が載っていた。「まるでトランプゲーム。国の名を書いたカードだけが飛び交っている。ウクライナ、ガザ、今度はイラン。SNSのごっこ遊びならどんなにいいか」。

 昨日閉幕となった「G7」でトランプ大統領のわが儘がむき出しになり、G7首脳宣言は見送りとなり、G7としてはこれまで厳しくウクライナへ侵攻したロシアへの非難を繰り返してきたが、今回は何とロシア非難をトランプ氏の反対により取り止めた。これによりG7の存在感も薄れ、今後先進国協調路線が宙に舞うことになるだろう。トランプ氏がG7から抜け出し、「大事な用件」と言っていた国家安全保障会議(NSC)をホワイトハウスの地下室で開いた。まるでイスラエル・イラン戦争は、イスラエルの背後でトランプ氏が操っているように思える。対イランと核兵器開発停止交渉を止めて、イスラエルに対イラン空爆を容認し、イランの最高指導者ハメネイ師に無条件降伏を要求した。更にイランに対してアメリカが対イラン攻撃を選択肢として検討しているという。また、イスラエル支援のための思われる空母ニミッツを中東に向かわせたり、作戦支援のため数十機の空軍給油機を新たにヨーロッパに展開させた。トランプ氏の強い戦争への意気込みのせいで、戦火は益々拡大して行きそうだ。こんな奴がアメリカの大統領だなんて、アメリカ人は一体何をしているんだ?

2025年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6610.2025年6月18日(水) 対米貿易の影響と、大学運動部不祥事頻発

 やはりそうかと言うのが率直な印象である。懸念されていたように、トランプ関税の影響をもろに受けた日本経済は、5月の貿易収支が6千3百億円の赤字となった。4月に3カ月ぶりの貿易赤字1,158億円を計上した。しかし、この4月は経常収支では2兆2千億円の4月としては過去最大の黒字額を計上していたほどだった。それが、5月には瞬く間に経常収支、貿易額ともに赤字に落ち込んでしまった。昨日行われた日米首脳会談でも、アメリカが要求する対日関税交渉では、日本側の要望をまったく聞き入れる気配はなく、今後日本にとって厳しい前途が予想される。

 しかし、私見であるが、アメリカが対日貿易赤字の主たる原因は、日本がアメリカ車を輸入しないせいだと主張しているようだが、双方の自動車取引は、日本車の品質と使い易さが優れている反面、アメリカ車は日本の安全装置など道交法に沿っていなかったり、大型車ばかりで高額である点をアメリカの自動車関係者が理解せずアメリカ政府に自分たちのマイナス要件を伝えず、政府が対日強硬対応をしている。日本政府としても、今後絶対にアメリカに対して卑屈な態度を取ったり、従来の日米通商交渉などでアメリカの言い分を安易に受け入れたような態度だけは決して取ってもらいたくない。

 日本の2024年度の経常収支は、過去最大の30兆円だったが、現状から考えると25年度はかなり苦戦を強いられると思う。インバウンド業界の好調にも拘らず、場合によっては久しぶりに経常収支が赤字になることも考えられる。現状では、当分決着が付きそうもない日米関税交渉の行方を見守るしかない。

 さて、3日前の本ブログで最近公になった日本大学重量挙げ部のスキャンダルと、頻発する日大の運動部の不祥事について、批判を込めて取り上げたところだが、今度は柔道界の強豪校のひとつである国士館大学柔道部の不祥事が警察の捜索から明かされた。同大町田キャンパス内の学生寮から6人の部員が大麻の使用を認め、数人から大麻所持の申告があったという。警察では麻薬取締法違反容疑で立件を視野に調査中である。

 同大柔道部は、今や日本柔道界の名門となり、レジェンドでもある。直近のパリ・オリンピックをはじめ、過去のオリンピックで金メダル獲得選手が目白押しである。男子日本代表の鈴木桂治現監督も同大出身である。大学側の対応は素早く、ことが公になる前に一昨日付で柔道部の活動停止処分を下した。これにより惜しいことに、今月末に日本武道館で開催される予定の「全日本学生柔道優勝大会」への出場を辞退し、一昨年以来の8度目の日本一のチャンスを逃してしまったことである。仮に部活動停止とか、部の解散などの厳しい処置が講じられれば、同大ばかりでなく、日本柔道界にとってもピンチである。実は、国士館大柔道部は、過去にもスキャンダルに塗れたことがあった。アテネ・北京大会で連覇した内柴正人・女子コーチが準強姦罪で、パルセロナ元代表・丸山顕志が女性から現金4千万円を騙し取ったと詐欺罪で実刑等々、不祥事が頻発している。。

 近年大学体育会運動部は部員のみならず、取り巻くOB指導者など関係者の間にも不祥事が度々発生している。大学当局が、クラブ活動には関与せずに学生らの自主性に任せて管理上目が届かない隙を突かれている。しかしながら、対外的には大学内の独自の問題であり、世間に対してもきちんと管理をする責任があると思う。これだけ最高学府内で反社会的な不祥事が頻発する以上、大学側が、更に言えば監督官庁である文部科学省も、ともに真剣にその絶滅に向けて厳しく対応しなければ、「2度あることは3度ある」をいずれ実証することになるだろう。

2025年6月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6609.2025年6月17日(火) G7を途中退場した非礼な米大統領

 今日も暑かった。東京都内の最高気温は34.8℃、日本で一番暑かったのは山梨県甲府市で38℃だった。いずれも今年最高である。全国的にも暑く、全国65カ所で猛暑日だった。これから暑い日が続くようだが、余程熱中症にも気を付けなければいけない。そこでいつも近所をウォーキングしているが、この暑さの中では少々腰が引けて夕刻5時半ごろに出かけ、いつも通り30分余を費やして3千5百歩程度歩いた。幸い夕方で日陰が多くなり涼風も吹いて、さほど暑いという気がしなかった。これからもウォーキングには日が落ちる夕方が手ごろだと思う。 

 さて、主要7か国首脳会議(G7サミット)出席のため、石破茂首相は昨日カナダへ向けて出発した。現地へ到着してすぐ、G7前に懸案の貿易問題を抱えるアメリカのトランプ大統領と会談したが、交渉は思うように進まず、成果はなかったと言えよう。すでに赤澤経済担当大臣が、アメリカ側の閣僚と何度も関税交渉を行ったが、一向にまとまらず、現状では日本の要望が通るまで重税を課せられたまま日米貿易関係はこのまま継続することになるようだ。トランプ大統領があまりにも他国に対して自国有利の関税案を押し付けているようでは、まるで下宿人泣かせの下宿屋である。この強情なトランプ大統領に対して、果たして日本はいつまで日本の主張し続けることが出来るだろうか。

 昨日公私の分別も弁えずに公私混同で、自分の誕生日に国の軍事パレードを実施して悦に入っているような大統領である。全米各地で反トランプ・デモが起きており、大統領に対する国内の反感も以前に比べて大分表面化してきたが、本人は一向に意に介する素振りすら見せない。得意になって今やアメリカは世界で最も強大な国になったと自慢するばかりだが、反面アメリカ国内では徐々に分断化の状況が見られるようになっている。

 トランプ大統領については、アメリカ国内でもその評価は賛否両論であるが、特に目立つのは、就任直後は高かった支持率が下り出したことである。外国に対して憲法の精神や主旨を冒すようなことまでして、メキシコ湾をアメリカ湾だと息巻いたり、カナダをアメリカ第51番目の州だとか、パレスチナから住民を退去させて跡地をアメリカが管理するとか、グリーンランドを自国領にしようとのずる賢い欲望など言いたい放題なのである。そんな無法をアメリカ国民が抑えきれないのが情けなく、無力感にはアメリカ民主主義の崩壊を感じている。いつになったらトランプ病を周辺から取り払うことが出来るだろうか。

 ともかくカナダのカナナスキスで始まったG7では、3日間の開催が予定されているが、お隣の国から出席したトランプ大統領が、1日目の会議終了後に帰米すると身勝手なことを言い出した。今回は7人の首脳意以外にゲストとして、大統領に選出されたばかりの李在明韓国大統領や、オーストラリア首相らもオブザーバーとして出席する。G7の中心人物で最も考えを質したかったトランプ氏の考えを聞くことが出来ず、G7はG6となった。

 それにしても大分以前からスケジュール化されたG7を蔑ろにするかの如き行動は、大事な用事があるから帰るというトランプ大統領の無礼な言動である。世界中に生き恥を晒すような幼児思考とも言える。これは世界のトップ政治家も多忙な中を駆けつけた努力と配慮を軽視されたわけであり、今後トランプ大統領とは、よほど「大事な用事がない」ことを確認したうえでないと会う約束も出来ない。アメリカ合衆国の大統領がこれほど程度の低い人物だということを改めて知らされた。

2025年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6608.2025年6月16日(月) 自民党は2万円給付案を実施するのか?

 今日も暑い。全国各地で今年最高気温を記録したところが多いようだ。全国で最高を記録したのは、愛媛県西条市で36.5℃で今年の最高気温である。東京都内も31.6℃でもちろん今年の最高気温である。明日は更に高い気温となり、来週は40℃近いと予想されている。この暑さに対して熱中症対策がテレビでも相当啓蒙されている。

 その中で8月に甲子園で開催される全国高校野球大会は、高校球児の健康面を配慮して、数年前から猛暑対策としてクーリングタイムの導入やら、朝夕2部制の採用などが予定されている。すでに昨年も採用されてそれなりの効果はあったようだ。

 一方で屋外のプロ・スポーツは、ナイターにしたり、ドームでは冷房を利かせたりして選手のみならず、観客の暑さ対策に配慮している。国内ではJリーグや、プロ野球が宴たけなわであるが、今セ・パ両リーグの交流戦が行われている。ほぼ3分の2が終わったところであるが、少々面白い現象がある。1位から6位まではすべてパ・リーグのチームで、セ・リーグからは6位にパの楽天と並んで広島カープと中日ドラゴンズが入り、最下位には昨年度のセ・リーグの覇者巨人軍がいるという具合である。近年はパ・チームがセを圧倒している。これからシーズン・オフに向けてどういう試合ぶりを見せるだろうか。弱いせ・リーグと言われながらも昨年度の日本チャンピオンはセの横浜であり、面子もあってこのままでは収まらないと思ってはいるが・・・。。

 更にプロ野球の珍事とも言えるのが、近年の投高打低現象である。最近ホームランも減っているが、輪をかけて下がり気味なのが打率である。現時点でセ・リーグにひとり、パ・リーグに2人しか3割バッターがいない。かつては、ベストテンのほぼ全員が3割打者だった時代もあったが、こうまで打力を落ちてくると試合自体があまり面白くなくなる。その一方で、MLBニュースを観ていると昨日もドジャースの大谷翔平選手が2本のホームランを打ったし、今日は3打数3安打だったことが大きく報道されている。この投高打低現象は日本球界だけの異状現象であろうか。日本プロ野球連盟(NPB)の関係者も、この傾向を気にしていると思うが、我々ファンとしてももう少し打力を向上させて欲しいと思っている。

 さて、東京都議会議員選挙を1週間後に控えると同時に、1か月後には参議院選挙の投開票が行われる予定であるが、この機を捉えて13日石破首相は、物価対策として国民ひとり当たり2万円を給付し、更に住民税非課税世帯の大人とすべての子ども向けに1人当たり2万円を上乗せする安易な政府案を公表した。選挙間近になって国民に美味しい食事をご馳走しましょうと他党には出来ない約束を振り回すのは止めてもらいたいものである。お金のバラマキであり、金庫を抱えているから出来る政権与党の特権だからである。ただ、これはあくまで国民の税金であることを承知してもらいたい。常に予備費を留保しておき、或る程度急場の出費に備えられる体制は取れるが、その予備費を自分らの党勢拡大のために、選挙を有利に導こうという阿漕な戦略の上で行い、野党が要求している消費税減税には見向きもしない。過半数割れの与党勢力に対して、主導権が取れる場にいることも出来る野党が、どうも腰砕けのように与党の言い分が通る政治となってしまっている。この給付案に対して、党内の一部からは批判が噴出しているようだ。朝日の世論調査は67%の人が評価しないと応えている。石破内閣への支持率は、依然低調な32%のままである。もっと活路を開ける政策を考えることが出来ないものだろうか。

2025年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6607.2025年6月15日(日) 紛争好きな国と不祥事連発の日大

 今日は「父の日」である。毎年6月第3日曜日と決められているが、5月の「母の日」に比べて目立たない。私自身まったく気づかなかった。それでも朝日「天声人語」を読んでいて「おとうさんの木」という少学1年生が書いた詩が、父親を想う気持ちが溢れていると「父の日」と結びつけて思い出させてくれた。

 そんな幼児の気持ちとはかけ離れて、世界ではこのところ戦争が頻発し、安心出来ない状態である。特に悪質なのは、パレスチナ・ガザ地区を壊滅させようと休むことなく攻撃し続けているイスラエルである。そのイスラエルが一昨日イランの核施設を電撃空爆した。これに報復するイランの攻撃を知ると悲しい気持ちになる。更にイスラエルは、イラン南部の世界最大のガス田に攻撃を加え、イランが反撃した。今後イランがペルシャ湾の入り口ホルムズ海峡を閉鎖するようなことになったら、石油の輸送が滞り、石油価格の高騰が懸念される。両国を訪れたことがあり、それぞれに楽しかった思い出があるだけに、残念で仕方がない。

 イスラエルに輪をかけて悪質なのは、そのイスラエルの後ろ盾となっているアメリカである。事前にイスラエルからイラン空爆を耳打ちされ、それを止めようともしなかった。実に陰湿である。このまま戦火が拡大したら、アメリカの責任は重いと思う。

 そのアメリカのトランプ大統領の移民排除対策が、ロスアンゼルスを中心に各地でデモ騒ぎを起こし、鎮圧のために州兵を派遣して州知事との間に一悶着起こしている。その渦中に首都ワシントンで自らの誕生日である今日14日に大掛かりな軍事パレードを行った。軍事パレードは国家にとって何らかの祝典として行われるべきもので、自分個人の誕生祝に国家行事を行うなぞ常識外の公私混同である。しかも、これには65億円もの巨額の国費を必要とした。小池都政が、夜の東京の観光のためと称して都庁ビルの壁にプロジェクション・マッピングを照映して、電気代を含めて3年間に実に64億円も支出することになるが、これもトランプと小池の同じ思考力からであろう。

 さて、馬鹿々々しい話序に、大学の不祥事についても触れておきたい。

 それは、日本大学でまた学内の不祥事が明らかになったのである。8年前に日大アメリカン・フットボール部員が対関学戦中に、違法タックルで相手選手にケガをさせ、部は栄光ある伝統の部活動を一時解散させられ世間を騒がせた事件があった。その後2021年「日大のドン」と呼ばれた相撲部の監督でもあった故田中栄壽・前理事長の収賄・脱税事件などが発覚し、所得税法違反で逮捕されて前理事長は退任し、3年前作家で母校OGの直木賞受賞者である林真理子氏が「面白そうだから」と軽い気持ちで理事長に就任して改革を期待された。しかし、鳴り物入りで就任した林理事長に統治力なぞ期待できる筈もなく、その足元で、間もなく副学長との間にパワハラがあったと裁判沙汰まで起こされるようなぶざまな有様だった。就任3年目に入った林理事長だが、依然として改革は実行されず、日大入学受験者は減るばかりである。日大には、他の体育会運動部の間でも学費を不正に受け取り処理をしたとして、陸上競技部や、スケート部もやり玉に挙がっている。文部科学省の評価も悪く、田中元理事長の脱税事件以降、繰り返し表面化した不正事件により、2020年度約90億円を受領していた私学助成金の全額交付が21年度から停止され、大学運営にも影響を及ぼしている。

 そこへまたもや体育会の重量挙げ部の難波謙二・元監督による詐欺事件が明るみに出た。入部予定の高校生の保護者から現金をだまし取って逮捕されたものである。過去10年間に亘りおよそ3,800万円を不正に受け取ったとみられている。

 日大には、このような不正を冒すような土壌があり、見逃したり、少額なら騒ぎ立てない悪を容認する悪しき伝統が染みついているのではないだろうか。興味本位で理事長を引き受けるような真剣さに欠ける軽薄な理事長の姿勢では、とてもこのたるんだ学内の空気を排除することが出来ないのではないかと心配している。

2025年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6606.2025年6月14日(土) 東京都議会議員選挙、過去最多の立候補者

 昨日東京都議会議員選挙が告示された。早くも選挙カーから応援弁士の声が聞こえてくる。ウォーキングに出かけて候補者のポスター板を見たら、世田谷区と目黒区ともに候補者のポスターが掲示されていた。ある候補者事務所から電話も入った。投開票日は、来る22日(日)だが、それまで選挙カーのスピーカーに少々悩まされることだろう。定数127人の全42選挙区に295人が立候補したが、これは現在の定数制になって以降最多である。過疎地の村などでは、近年議員に成り手がなく、自治体でも苦慮しているようだが、人口最大の首都東京では、流石にその逆で成り手が多く選挙戦も白熱化する。

 都議選は日本の中心である首都の政治を動かす議員を選ぶ選挙だけに、国政にも影響を与えそうで、各政党の党首も都内の要所で自党の政策を訴えている。来る7月20日に投開票される参議院選にも少なからず影響を与えるであろう。だが、現勢力分布を見てみると、小池百合子知事が名誉顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が25議席でトップを占めている。同党と自民党、公明党の与党合わせて、過半数64議席を超える72議席を獲得している。野党で最も議席の多いのは、他府県では考えられないだろうが、意外にも共産党の19議席であり、次いで立憲民主党の13議席である。都民が真剣に考えているからであろう。両党とも小池都政を厳しく批判しており、形勢によっては小池都政も苦しい事態に追い込まれる可能性がある。意外なのは、前回の衆院選で議席を伸ばして政府にモノ申している国民民主党が議席ゼロで、大阪が地盤とは言え日本維新の会にしても僅か1議席であることである。他には無所属議員が17名いる。

 どうもすっきりしないのは、昨夏の都知事選で当選した小池知事を元側近が学歴詐称問題で告訴してそのままうやむやになっていることである。証拠は充分あり、都知事解職と考えていたところ、その後まったく話題にもならず、知事として勤務している。いつも事実を記事としてドラマチックな話題を提供している「週刊文春」を主に、各メディアもさっぱり報道しなくなった。小池知事のような人物が今以て知事の地位に留まり、与党のリーダーとして活動しているのが摩訶不思議でならない。

 また、もうひとつ気になるのは、昨年の都知事選で唐突に突然立候補し、小池都知事に善戦した石丸伸二・前安芸高田市長が地域政党「再生の道」を立ち上げ、今回の都議選に42名の候補者を挑戦させたことである。一騎当千の候補者は千名を超える応募者から選ばれたが、本人は選挙には出ない。「再生の道」の特徴は2つある。ひとつは、任期は2期8年である。もうひとつは、議決に関して党議拘束をかけないことである。議員自身が決断する。つまりすべての議案に対してそれぞれの価値観や判断基準で賛否を決めることである。従って、党として政策を掲げない。だが、これでは議会で議員として何をしようとするのかが都民にはまったく分からない。どれほど多くの選挙民が「再生の道」に投票するだろうか。そして、立候補した42人の内、果たして何人の都会議員を誕生させることが出来るだろうか。それにしてもこんな漠然とした戦法で石丸氏は、この都議選に勝てると思っているのだろうか。

 結果は1週間後にはっきりする。私は信ずる候補者の当選を願うだけである。

2025年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6605.2025年6月13日(金) 衝撃的な航空機墜落と核施設への空爆

 昨日インドのアーメダバード空港を離陸したばかりのエア・インディアB-787機が市街地へ墜落した。乗員乗客242名の内、1名の生存者以外全員死亡した。市街住宅地へ墜落したために、乗員の他に一般市民が巻き添えでかなり死者が出たようだ。最近10年間で最大の航空事故である。幸い日本人の犠牲者はいなかった。同機は、前日羽田空港からニューデリー空港へ到着した後に、アーメダバードへ飛びロンドンへ向かうところだった。

 奇しくも1972年6月14日には、日本航空機がニューデリーで墜落した。乗客90人が亡くなったが、3名が生存していた。残念ながら亡くなられた日本人の中に医師・宮崎松記博士がおられた。拙いエッセイに書いたことがあるが、博士は長年世界遺産「タージ・マハール」の近くアグラに住み、インド人のためのライ病院を建てインドのハンセン病撲滅とインド人のためのハンセン病治療に献身的に取り組んだ。インドでハンセン病患者を減らすことに貢献し、インドの人びとから幅広く尊敬を集めていた。タージ・マハールへ向かう道路は「マツキ・ミヤザキ博士通り」と名付けられ、道路に面して縦横2m大の石造りの案内板があるほどで、インド国民をも悲しませた事故だった。今も博士を慕うインド人は多い。宮崎博士が亡くなった1972年は、不思議なことに航空事故が多発した年である。今年がエア・インディアに続く航空機事故が起きない年であるよう祈っている。

 インドの航空機墜落に驚いていたところ、夕刻になって何とイスラエルがイランの核施設を空爆したとのショッキングなニュースに驚愕した。イスラエルのネタニヤフ首相は、「イスラエルの生存を脅かす明白な危機があり、脅威が取り除かれるまで続ける。標的はウラン濃縮施設や核兵器の製造や弾道ミサイルに関する拠点だ」と強気一辺倒に述べた。イラン国内では相当数の犠牲者が出たようである。このまま収まる筈がない。すぐさまイランはイスラエルに対して100機以上の無人機を発射したという。今後中東での軍事衝突の拡大が憂慮される。当事者以外に恐怖感を抱くのは、両国がともに核兵器を所有しているからであり、どちらかが核戦争を引き起こすことになれば、それは第3次世界大戦へと拡大し、世界が壊滅する恐れもある。

 イスラエルの支援国アメリカは、この唐突の攻撃にアメリカは攻撃に関与しておらずこのイスラエルの動きを指示していないと語ったが、昨日イランの隣国イラクのアメリカ大使館職員を退避させた行動を考えれば、事前にイスラエルの攻撃を知っていたのではないかとのキナ臭い疑念が残る。イスラエルは、ガザ地区に続き、また愚かな行為を冒したものである。こんな攻撃をして世界はどう思うかを考えなかったのだろうか。

 このイスラエルの空爆により世界にまた新たな紛争の種を撒いてしまった。ネットには早速こんなコメントが載っていた。「やり過ぎるとナチスが間違ってなかったことになるぞ」。然りだと思う。「ホロコースト」の被害者ユダヤ人への世界の同情が消えてしまうのではないだろうか。

 どうも世界が慌ただしく落ち着かなくなってきた。

2025年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6604.2025年6月12日(木) 2か国の身勝手さで絶望的なガザの惨状

 2023年10月にイスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区を空襲して以来、早くも1年半が経過したが、イスラエルはその後も攻撃の手を緩めることなく徹底的に攻撃し、多数の犠牲者を出している。その間他国のあっせんもあり、度々停戦合意があったが、直ぐに再戦する有様である。国際社会の非難を浴びながらもイスラエルは、ガザ地区に容赦のない仕打ちで民家と住民を破壊、殺戮しているが、それはガザ地区に本拠を置くイスラム原理主義「ハマス」が攻撃するからだと住民や難民の存在など意に介さない態度である。イスラエルは空軍力を持たないハマスに対して、圧倒的な軍事力優位を背景に一方的に攻撃している。特に、アメリカのイスラエルへの支援が大きく、この戦争を終戦へ向かわせない原因ともなっている。

 ガザ地区では、すでに5万5千人を超える死者、1万1千人もの行方不明者、それに加えて約10万人がパレスチナから避難して、人口は210万人となり、ガザ地区では人口が6%も減った。

 あまりに激しい攻撃に住民は食料も手に入らず、住民は1日にせいぜい1食がやっと食べられる食料不足と栄養失調状態に陥っているという。国連の人道支援団体が、食料を配布している最中にイスラエル空軍が空襲を行い、とても人道支援が出来ない。一方でアメリカ主導のガザ人道財団による食料の配給の現場に集まった住民が、イスラエル軍の発砲などで相次いで犠牲になっている。これにアメリカから何のコメントもない。現地で活動するユニセフは、財団による配給は危険なうえ、支援は行き渡っていないと批判し、イスラエルが制限している国連による支援物資の搬入を制限なく認めるよう求めている。惨禍が拡大するのは、アメリカとイスラエルが結託した無慈悲な行動のせいである。

 現在パレスチナを国家として承認している国速は約150か国あるが、G7で承認している国はない。このような渦中に、フランスはパレスチナを国家として承認する動きを示した。イギリスも承認に傾きつつある。ナチスによるホロコーストの罪を負い目にして、これまでイスラエルに同情的な姿勢を示してきたドイツも、最近スタンスが変わりつつある。10日には、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーの5か国が、イスラエルの極右閣僚に対して制裁を科すと公表した。これに対してイスラエルは報復すると声明、支援国アメリカもこの制裁を非難しており、イスラエルと批判する国々との溝が深まっている現状である。

 この惨状に西欧諸国のスタンスが変貌しつつある。フランスのマクロン大統領は、「私たちはガザを見捨て、イスラエルに自由があると考えるなら、私たちは自らの信頼性を失ってしまう」と述べた。イギリスのスターマー首相は、「イスラエルの最近の行動はゾッとし、逆効果かつ容認できないものだ。制裁を含めて、同盟国とともにさらなる行動を検討し続ける」とイスラエルの最近の行動に呆れている。ドイツについては上記のようにホロコーストによる心の傷を受け、ユダヤ人に対して遠慮がちの受け入れ対応を取ってきた。それは実際にホロコーストの現場であるアウシュヴィッツ収容所を訪れてみれば分かることである。ドイツのメルツ首相は、「イスラエル軍が今していることは、何が目的なのか、もはや理解できない」とこれまでのドイツの対イスラエル外交の転換を匂わせる言葉を発している。イスラエルはもはや四面楚歌である。

2025年6月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6603.2025年6月11日(水) 内科診察の結果とロス暴動に思う。

 一昨日かかりつけの内科で検査してもらった結果の説明を受けるために今朝医院を訪れた。ちょっとショックだったのは、これまで安定していた、蛋白質の量を示すと言われる数値「CRP」が大分上がったことである。それに尿の赤血球と白血球に薄い濁りのようなものがあるということだった。一昨日夜就寝中に右背中から上腹部に移った経験したことがないような痛みの状況から、内臓の皮膚の一部か血液が尿内に入り込んだのではないかということだった。しばらくは新しい薬を服用し、常時水分補給をしながら経過観察ということになった。

 ついては、毎朝NHKの朝ドラ「あんぱん」が、視聴率トップの人気ぶりである。絵本「アンパンマン」の作者・漫画家のやなせたかしを主人公「柳井嵩」としたドラマである。この数日来ドラマでは柳井が軍隊は大嫌いなのに徴兵されて小倉の部隊へ転属させられ、厳しい訓練を受けている姿が映されている。終戦直前のことでもあり、軍隊では下級兵士への苛めとも思える訓練が行われている場面である。私には小学校に入学直前のことでもあるが、同じような光景を見たことが度々あったので、改めて終戦前後の当時を思い出している。

 町から赤紙徴兵で戦地へ往かされる男性を近所の人びととともに駅まで見送りに行ったり、戦後しばらくして復員した元兵士を出迎えに行ったこともある。今でも酷いお仕置きだなぁと思うのは、上官による往復ビンタである。他にも戦時中の厳しい軍隊生活については、戦友会の人たちや、遺族会の方々から随分聞いたことがある。父も赤紙徴兵され、北朝鮮平壌へ派兵されたが、幸か不幸か病に罹り兵役解除除隊となった。当時深夜帰って来た父を祖父や母、兄と最寄り駅まで出迎えに行ったことがある。いずれにしろ今にして思えば、忌まわしい戦争の思い出であり、2度とあってはならないと身に染みて思っている。

 さて、昨日の本欄にも書いたが、ロスアンゼルス市内のデモ隊に対してトランプ大統領が、治安維持と称して州兵2千名を派遣した。すでに派遣された海兵隊700人に対してカリフォルニア州政府は合衆国憲法に違反すると提訴した。デモ隊と警察・州兵との衝突で治安悪化が懸念され、バス・ロス市長は市中心部を対象に夜間外出禁止令を出す事態にまで発展している。トランプ大統領が抗議デモは、平和と社会秩序に対する攻撃と非難したのに対し、ニューサム州知事は、大統領が状況を悪化させていると批判し、両者の対立は激化するばかりである。

 そもそもロス市内で人種間の暴動が起きたのは、1992年仮釈放中の黒人が市内で車を運転中にスピード違反が見つかり逃走したが、4人の白人警察官に捕まり、その時の彼らの乱暴な様子がビデオ映像により全米に流れ、警察に対する批判の声が高まった。裁判の結果4人の白人警察官に無罪判決が下され、それが黒人らを憤らせ暴動に繋がった。

 この時私は偶々黒人差別政策(アパルトヘイト)下の南アフリカに滞在していて、テレビ・ニュースでこの事件を知ったが、アパルトヘイトの南アではあっても比較的恵まれた黒人たちはあまり強い関心を示さなかったのがちょっと気になった。アパルトヘイトは1994年マンデラ大統領の就任によって漸く廃棄された。

 今度のロス暴動は、1992年4月以来実に33年ぶりである。民族問題、人種問題は異民族の間で生活してみなければ実態は分からないと思う。その点で日本人の間ではあまりそういう経験がないので、人種問題の本質は分かりにくいと思う。

 今や多民族国家になったアメリカでは、人種問題によるトラブルが絶えず、トランプ大統領はそれを差別的になくそうと考えている。その方法があまりにも露骨で、非人道的で良識に欠けるものだけに問題を大きくしている。人種差別的言動により問題を一層複雑にしているのは、むしろ大統領自身ではないのか。

2025年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com