昨日梅雨が解消され、今日から真夏7月に入った。日本ばかりでなくヨーロッパでもかなり厳しい暑さのようで、フランスやスペイン、ポルトガルでは40℃前後だという。
国内各地も異常な高温である。東京都心でも今朝7時半時点で29.4℃、湿度は77%だった。結局今日の最高気温は、真夏日の34℃だったが、全国の真夏日は663カ所もあった。それを上回る猛暑日は全国で120カ所だそうだから、これから先が思いやられる。このため熱中症も心配され、新聞やテレビ・ニュースでもしきりに警戒を呼び掛けている。現実に熱中症警報アラートが今日全国の20都市で発せられた。この百年間に東京の気温は平均2.5℃上昇したという。今日から庭の植木の剪定のためにいつものように植木屋さんが来られたが、この炎天下でご苦労さまだと思っている。
ところで、昨日の当ブログに小学生が授業でタブレットを使って作文などを学んでいる違和感について取り上げたが、今の小学校1年生が検定教科書(光村図書版の例)で最初に読み書き習う文章が、
「これは、なんのつぼみでしょう。これは、あさがおの つぼみです」で始まる文である。「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つの柱を中心に言葉の基礎を学ぶようである。昭和10年代の戦時色が濃くなってきた当時の1年生の国定教科書は、「サイタ サイタ サクラ ガ サイタ」だったが、私が国民学校へ入学した終戦の年の初等科1年生時の国定教科書は、太平洋戦争末期で激しい空襲下でもあり、教科書も満足に入手出来ず、近所に住む上級生から譲り受けたものだった。上記ポイント4点というより、「暗記」に力を入れていたように思う。お陰で、今以て冒頭の文を空で言える。我々の時代はこういう出だしだった。
「アカイ アカイ アサヒ アサヒ ハト コイ コイ コマイネサン アッ コマイヌサン ウン」だった。戦時中だったので、晴天旭日などを考えると出だしの「アカイ アカイ アサヒ アサヒ」は何となく察しがつく。平和の象徴とも言われる「ハト」が現れたのは意外な感がする。狛犬は、近くの神社を訪れると石像の首に縄や紙が掛けられているのを見たので、時代を反映しているのだろうと想像がつく。
そして中学生になった時、初めて英語を必修科目として学ぶことになった。その出だしはあまりにも有名で今でも忘れることはない。曰く「I am a boy. You are a girl. I am Jack Jones. You are Betty Smith.」だった。実に新鮮な感じがしたものだった。海外文化との個人的なつながりは、この時から始まったと言っても良いかも知れない。
ところが、高校へ入学した際には、どの科目も何を最初に習ったのか、まったく記憶に残っていない。国民学校と中学校で新たに学習したことは、私の今日に至るまでの人生の中でもそれくらい目を見開かされるようなショッキングなことだったのではないかと思う。今後こういう新体験は、まずないと思うが、振り返って多くの珍しく危機一髪の体験を重ねてきたわが人生で、それは好奇心が強かったからだと思っている。未だに小学生の教科書を想い出すことが出来るのは、好奇心の強さにつながっていると思うし、海外で多くの国の人たちと交流を深めることが出来たのは、最初に学んだ英語がすんなりと私の脳を通して体内へ入り込んだせいであろう。
他愛ないことを書いてしまったが、幸いにも海外へ出かける機会が多かったお陰で、良きにつけ悪しきにつけ、終生の宝物を手にすることが出来たと思っている。幸い執筆活動と講演活動でその一部は何とかお返しすることが出来ているのではないか。3月に仲間たちと創刊した雑誌「イコール」には、今後拙稿を書き続けるつもりである。また、講演についても9月に2度ほどお引き受けしているので、私自身が旅を通して体験したことに臨場感を交えてお話しようと考えている。