4420.2019年6月20日(木) 箱根へ最後のドライブ

 長年愛用していた自家用車を近日友人に譲るのを前に、最後のドライブをしようと妻と箱根へ出かけた。今日、明日と曇り空という予報だったが、東名高速足柄IC周辺を走行中に突然激しい雨に襲われ、その後終始降ったり止んだりの天候に翻弄された。御殿場ICから乙女峠を通過して「箱根ハイランドホテル」で昼食を取り仙石原から桃源台へ出た。先月の大涌谷噴火の影響でロープウェイはまだ運休中である。

 滞在したのは、久しぶりに芦ノ湖畔の「山のホテル」である。旧岩崎別邸だっただけに環境も素晴らしい。5月ならつつじが咲き乱れているところだが、こればかりは時節柄止むを得ない。リニューアルされて一層落ち着いた格調高いホテルになったように感じた。ホテルから湖面に面した「サロン・ド・テ ロザーシュ」でケーキをサービスされた。初めてホテル内の掲示板で知ったのだが、1968年に今は亡きフランス人俳優、アラン・ドロンが滞在したそうである。

 夕方には晴れ間も見えたが、パッとしない天候で富士山を望むことは出来ない。しかし、レストラン‘Vert Bois’も以前に比べて一層高級感が増してお蔭でフランス料理のディナーを堪能することができた。車を処分することになるので、これから箱根を訪れる時は電車とバスを利用せざるを得ないが、それも決めたことだから割り切るより仕方がない。

 さて、アメリカのトランプ大統領が来年の大統領選への立候補を正式に表明した。相変わらず「アメリカ第1主義」を主張して‘MAKE AMERICA GREAT AGAIN’とか、‘KEEP AMERICA GREAT’と保守主義極まれりという感じである。現在支持率は44%、不支持率54%で本人が実績を強調する割には支持率が伸びない。それで焦りがあるのだろう。それでも共和党候補者としては、これという対抗馬が見当たらず決まりであろう。一方の民主党はジョー・バイデン前副大統領を始め、20名ほどが立候補に名乗りを上げている。

 トランプ大統領の過激な言動には、世界の各階層から批判されているが、こともあろうにグテーレス国連事務総長がヘイトスピーチに対処する行動計画を発表した一昨日、「自由民主主義体制下でも政治指導者がヘイトスピーチを広めている」と皮肉っぽく語った。その政治指導者がトランプ大統領であることは明白である。ここまで言われて大統領本人はもちろん、アメリカ人は何も感じていないのだろうか。

 世界の民主主義と自由主義が曲がり角にさしかかっているということだろうか。 

 

2019年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4419.2019年6月19日(水) モルシ前エジプト大統領の死因は?

 昨日エジプトのムハンマド・モルシ前大統領が法廷で証言を行っている最中に突然倒れ、そのまま絶命した。モルシ前大統領は、2011年に北アフリカ諸国で吹き荒れた「アラブの春」により、長期政権を担っていたムバラク元大統領政権が崩壊した翌2012年エジプト初の民主的な選挙により大統領に選出された。だが、僅か1年でシーシ将軍の軍事クーデターにより追放され、身柄を拘束されて、以降収容所に収監されていた。終身刑を宣告され、拷問に近い厳しい獄窓だったようだ。

 エジプトは今後モルシ氏を擁護していたトルコとの外交が悪化する恐れがある。

 長い歴史を誇るエジプトは、王政から民主政治に脱皮した筈だが、どうも民主政治が思うように根付かないようだ。王政を倒して民主化への道を拓きながら早くに亡くなったナセル元大統領以外は、ほとんど独裁的長期政権を続けて、挙句にクーデターで崩壊している。シーシ政権も同じ轍を踏まないようよほど謙虚に反省しないと国内ばかりでなく、海外からも厳しい目で見られることになる。政治的混乱でエジプトの稼ぎ頭だった観光業も最近パッとしない。周辺の国々が騒がしいが、それには惑わされず腰を据えて社会の安定を図らないとこのまま世界から取り残されてしまうだろう。

 さて、久しぶりにロヒンギャ難民問題が今日の朝日新聞朝刊と夕刊に取り上げられていた。朝刊では、この問題は国連にも責任があることを国連が認めたのだ。国連職員の間でミヤンマー政府の態度を尊重するか、人権侵害の事態を重くみるか、戦略の相違があったという。しかし、これは問題の本質からみれば末梢的な問題である。イギリスの責任を見て見ぬフリをしていることにこそ問題の重大さがある。この点を精査しなければ根本的な解決は難しい。夕刊では、ロヒンギャへの迫害を許しているとしてアウンサンスーチー国家顧問に授与したノーベル平和賞を取り消すかどうかについて、ノルウェイ・ノーベル委員会が取り消さないと断言したとの記事が掲載された。当たり前である。イギリスが誘導する世論が、常識を狂わせている。アウンサンスーチー氏には責任はなく、イギリス政府に過失と責任があることを国連もはっきり明言するべきである。

2019年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4418.2019年6月18日(火) 香港「逃亡犯条例」改正案審議延期

 香港のデモの影響が世界中で見られる。今日の朝日夕刊に依れば、デモで目立ったのは5年前の雨傘デモに参加しなかった世代、特に十代の若者たちが積極的に参加したことが注目されている。デモには多くの人が参加したが、ただ数だけ多いということではなく5年間の教訓が生かされていた。暴力に走らず、道路も占拠せず、デモは整然と行われた。

 昨日林鄭月娥・行政長官は「逃亡犯条例」改正案の審議を無期延期すると発表したが、今日事実上の撤回に等しいことを自身認めた。デモ隊は延期ではなく、あくまで撤回を求めていたが、これで市民は納得するだろうか。それにしても3.5人にひとりがデモに参加した今回のデモについては、世界中で注目され中国政府に対してプレッシャーを与えた。アメリカの主要3大紙が改正案撤回要求を突き付けている。今月大阪で開催されるG20首脳会議出席のため来日する習近平・国家主席にとっては、バツが悪くなり非難の矛先を避けるため一時避難ということで、香港行政府、中国政府が完全に撤回に同意したということではないかと思う。その習近平主席は、20日、21日に北朝鮮を訪問し、金正温朝鮮労働党委員長と首脳会談を行う。中朝両国の接近ポーズは、米中関係が悪化している中で、トランプ大統領へのメッセージでもある。我々夫婦は同じ日に箱根に行くが、妻と首脳会談はしない。

 それにしても香港で若者たちが立ち上がった背景には、中国の脅威があるが、昨今の日本の若者に比べて何と逞しいことだろうか。香港の若者は、雨傘運動の際、市民から苦情が出た道路占拠などを反省して時間が来ると解散した。そして「来る者は拒まず、去る者は追わず」の通り自由にデモに参加し、出ていくのも自由だった。それがこれほどまで参加者が膨れた理由だろう。日本では今では民主的アピールの集会に若者は集まらず、スマホに夢中で歓声を上げることもない。何か物足りないと思うのは、私だけではないだろう。

  さて、23時22分ごろ日本海沿岸の山形県、新潟県、石川県を中心に大きな地震が発生し、津波注意報が発令された。震源地は山形県沖でマグニチュード6.8と推定されている。すべてのテレビ局が地震中継へ番組を変更した。大きな被害が出なければ良いがと願う。

2019年6月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4417.2019年6月17日(月) どうなる?香港の将来

 昨日も香港では激しいデモ行進があった。その目的は13日付本ブログにも書いたように、刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改定に反対する意思表示である。9日のデモでは、103万人の参加者があったが、昨日はそれを遥かに上回る全香港人口の3割近い200万人近い市民が参加した。中学生も参加したようだ。中国政府が思い出したくもない30年前の天安門事件を上回る過去最大級のデモとなった。この騒ぎで交通渋滞を引き起こし、議会堂周辺をデモ隊が取り巻いたために、議会議員が建物に近寄ることが出来なくなり香港行政長官は、已むなく改正に向けた手続きを無期限に延期すると述べた。しかし、デモ隊は延期では収まらず、あくまでも法案の撤回を要求している。

 中国政府の介入と統制が強まる中で、香港の親中派行政長官は北京の意向を伺いながら政権運営しており、1997年香港返還の際、中国政府が約束した「1国2制度」と民主制度の順守が徐々に骨抜きにされている。そもそも香港の中国への返還に当たっては、香港は中国の特別行政区となることが保証された。同時に、鄧小平・中国国家主席は1国2制度を宗主国イギリスと香港に約束し、社会主義制度を2047年までの50年間採り入れないことを約束していた。その国同士の約束が守られていない現状に香港サイドには不信感と不安が募っている。

 この中国政府と香港行政府との関係を見て、一番気にしているのは台湾であろう。最近になって習近平主席は、意図的にしきりに台湾の1国2制度について触れている。台湾としては香港の二の舞だけは避けたい。台湾では中国政府の国民党への甘い囁きが親中派の気持ちを盛り上がらせている。2016年の総統選では、民進党の蔡英文党首の圧勝だった。しかし、来年の総統選を前に昨秋行われた統一地方選では民進党は敗れ、親中国派はほくそ笑んでいた。蔡英文総統は一時辞任を表明した。この蔡英文総統はアメリカ寄りで中国とは一線を画している。国民党の巻き返しなるか。中国を非難する香港のデモは蔡英文総統、及び民進党に流れを引き寄せたと見られている。

 一般的に中国が絡むと問題は複雑になる。果たして台湾総統選にこの香港のデモはどのような影響が及ぶだろうか。

2019年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4416.2019年6月16日(日) 姉孫たちは敗れ、妹孫たちがインターハイへ

 今日、6月第3日曜日は「父の日」である。「母の日」に比べるとやや影が薄いが、最近は商魂逞しい商業路線に乗ってメディアでもしきりに「父の日」をPRしている。そうこうしている内に次男夫婦からお祝いのプレゼントが送られてきた。2人の気持ちを有難く思っている。

 昨日長男の娘たちの2つの高校がハンドボールの奈良県大会準決勝でともに勝ち、今日決勝戦が行われたが、17-15の競ったスコアで妹の高校が姉の高校を破り、今秋熊本で開かれる全国大会へ妹が出場することになったと長男から知らせてきた。姉にとっては高校最後の年でもあり、どちらかと言えば彼女に勝たせてやりたかった。長男夫婦も娘たちの応援に出かけたようだが、果たしてどんな気分だっただろう。複雑な気持ちだったのではないだろうか。それでも妹の高校が優勝し、姉の高校が準優勝であり、そのうえ妹が全国大会に出場するので、おめでたいことである。

 夕食は「父の日」を妻と勝手に祝い、近所の鰻屋で久しぶりにうな重を美味しくいただいたが、「父の日」のせいだろうか家族連れが多く、父親らしい姿がかなり目立った。

 さて、安倍首相がイランでハメネイ師と会見していた時に、日本とノルウェイのタンカーがホルムズ海峡で何者かによって攻撃を受け、日本のタンカーは大きな傷跡を残したまま全船員は避難し、タンカーは曳航されている。一方のノルウェイ船は海上で黒煙を吹き上げたまま今日も彷徨っている。アメリカはイランの仕業であると証拠品の一つを挙げてイランを攻撃しているが、イランはまったく根拠がないと激しく反論している。

 専門家の間では、アメリカとイランの関係悪化をもくらんでいる国の仕業だとして、アメリカ寄りのイスラエルやサウジアラビアが関わっていると推測している。いずれもっとはっきりした証拠が示されることであろう。それにしてアメリカとイランの仲を取り持とうとイランを訪れ、ロウハニ大統領と最高実力者ハメネイ師と会談したこの時期に、予想だにしなかった両国間の関係を悪化させる事態に見舞われるとは、首相もついていない。当分国際社会はこの話題に注目が集まるだろう。

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4415.2019年6月15日(土) 孫娘がハンドボール・インターハイ出場へ

 今日嬉しいニュースがあった。奈良に住む長男の別々の高校に通っている2人の孫娘のひとりがインターハイに出場することが決まった。ともにハンドボール部に所属して全国大会予選を戦っているが、今日それぞれの高校がともに準決勝戦で勝ち、明日行われる奈良県予選決勝戦で姉妹が敵味方に別れて雌雄を決することになった。今日の結果により、2人の孫娘のうち、どちらかがインターハイ出場が決まったのだ。高3の孫は全国中学生大会にも出てハンドボール月刊誌に紹介されたくらい頑張っている。高1の孫はまだレギュラーではないが、姉より運動神経が優れているので、まもなくレギュラー入りすることだろう。どっちが勝とうと負けようと大いなる楽しみである。

 一方、国家レベルでは困ったことがある。かねてから気になっていたことだが、国が投資機関を設立して注ぎ込んだ資金が多額の損失を出していることである。これには税金が使われ国民の負担が増えることになる。国は賭けのようなことではなく、もっと堅実な投資方法が考えられなかったのだろうか。

 はっきりは覚えていないが、数年前にこの種の計画が発表された時、税金を投資資金として使うことに疑問を抱き、もし金融市場が思わしくなくなったら赤字になる恐れがあり、国家がこのような投機性の高い金融投資を行う必要があるのか、疑問を抱いていた。一時期利益があったとの報道もあったが、結局現在の株式市況から運用上プラスには働いていない。

 今朝の朝日新聞に投資機構のひとつ、農林業成長産業化支援機構(A-FIVE)の抜き差しならない実態が暴露されている。資金の元手は政府出資の319億円で、農産物の生産、加工、流通・販売などの産業を支援することが目的だった。ところが、2017年度末までに投資案件の3分の1を超える47件で減損処理に追い込まれ、損失拡大が止まらない。投資の失敗による赤字額は20億円を越える見込みである。民間ファンド経営者は、民間なら存続が許されない。損失が目に見えており解散させるべきだと厳しく批判している。

 財務省は、来年度末までに黒字化し、公的資金を完済する改善計画を作成するようA-FIVEに求めているが、A-FIVEから出てきた計画は、昨年度12億円だった投資額を今年度110億円に増額するというびっくりする話だ。それは過去6年間の投資額82億円を上回る額である。更に来年度以降も毎年80憶~95億円の投資を続けて2019~26年度で計700億円を注ぎ込む。この資金を来年度以降の農水省予算で要求するというから、機構を取り巻く当事者は税金の無駄遣いになりかねないこのような機構の存在に何の危機感も抱いていないようだ。赤字を出した機構がなぜそこまで拘って無駄な投資をするのだろうか。税金を使いこむことにまったく良心の呵責も感じないようだ。

 こういう底の抜けた樽に税金を注ぐようなやり方に疑問を感じないお役所的発想では何をやっても上手くいく筈がない。今の状態では税金をドブに捨てているようなものだ。農水省はこれを何とも思わなのだろうか。政官の恐るべき不感症であり、劣化である。呆れ果てるばかりである。

2019年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4414.2019年6月14日(金) 民間企業から官公庁へ「天上がり」

 上から目線の官僚の世界には、国民が与り知らぬ間に隠密的に行動しているとの陰の声があるが、いずれ判明しそうな事象についても官庁が大手民間企業と組んで不条理なことを冒していたとは、16日付「赤旗日曜版」に目を通すまでまったく知らなかった。

 いくつも同じような事例があるようだが、際立っているのは、中西宏明・経団連会長の出身企業である日立製作所社員が、「天下り」ならぬ「天上がり」で外務省に出向し、リトアニア日本大使館に勤務していたことである。2人の日立社員の目的が、リトアニアへの原発の売り込みであることは明白である。

 日立はリトアニアへの原発輸出の話を進めていたが、2011年東日本大震災による東電福島第1原発により商談は頓挫した。この原発事故によりリトアニアでは原発建設が問題になり、その是非が翌12年の国民投票で問われ、国民の63%が建設に反対した。しかし、安倍政権は原発輸出に固執して密かに16年リトアニアと原子力開発協力の覚書を交わしていた。安倍政権と日立の癒着はあまりにも露骨である。孫崎享・元イラン大使も「両国民の利益のために働くのが大使館の仕事。一企業の原発建設について、大使がここまではっきり推進姿勢を示していたとは・・・」と当時の白石和子・リトアニア大使の原発へのめり込む姿勢に呆れているほどである。

 一昨年リトアニアを訪れた時、「命のビザ」で知られる杉原千畝・元副領事が第2次世界大戦末期にユダヤ人6千人の生命を救った行為が、同国のレジェンドとして、国中から日本人への尊敬を集めるに至ったことを知った。そのリトアニアでこのような行為が行われていたとは驚愕であるが、国と民間企業の癒着以外の何物でもない。

 調べてみると他にも役所へ「天上がり」している例がいくつもあるようだ。「働き方改革」と称して高度プロフェッショナル制度を創設して、残業時間に上限を設けたことも「天上がり」に利用されている。ところが、その上限自体が過労死ラインを超えるものである。そこには、佐川運送から厚生労働省労働基準局労働条件政策課に「天上がり」して、役所の考え方に従って労働者の労働条件を考えている実例がある。厚労省と民間企業の癒着にしてはあまりにも酷いものである。

 この他にも大企業を中心に省庁への「天上がり」が急増して、昨年10月時点で「天上がり」に該当する民間社員兼国家公務員が5890人もいるというから驚きである。

 よほど目を凝らしていないと、安倍政権は何をやらかすのかまったく見当もつかない。

2019年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4413.2019年6月13日(水) 安倍首相、ロウハニ大統領・ハメネイ師と会談

 昨日までの寒さから一転して今日は夏らしい陽気となり、やや暑かった。午前中妻とお中元贈答品の買い物にデパートへ出かけ、ランチにホテルでステーキを食した。その帰り道で渋谷区富ヶ谷の安倍首相私邸近くを走行した時、いつものように私邸は警察の大型車両2台が警戒に当たっていた。今首相はイランを訪問中で留守にも拘わらずあのような厳しい警戒ぶりである。

 当の安倍首相であるが、昨日テヘランでロウハ二・イラン大統領と会談して、今日はハメネイ師と会見した。反米的なハメイニ師に対してどうやってトランプ大統領と会談するように話を仕向けるのか、意欲満々の安倍首相であるが下手をすると鼎の軽重を問われかねない。実は、安倍首相は長期に亘り首相の地位に留まっているが、これという目立った実績がない。首相としては何とかして在任中に手柄を立てたいところだろう。国内ではモリカケ事件でミソをつけたし、今以てこれという実績、成果を上げられず、この先もそのようなプラス案件は見つかりそうもない。そうなると外交で何とか成果を上げたいと考えるのも宜なるかなである。それがいま取り掛かっているトランプ・ロウハニ首脳会談の実現である。イランで絶対的な権力を握っているのは、政治家ではなく宗教家であるハメネイ師で、行政、立法、司法を統括している。その意味では私より1歳若く実力者であるハメネイ師が首を縦に振れば、安倍首相の功績となる。

 今日の会談では、ハメネイ師は核を生産せず、保有せず、使用しないと言いながら、アメリカとは話し合う気持ちがないと言っていた。このニュースを現地のテレビでも伝えていた。安倍首相はこの会談の内容をトランプ大統領に伝える筈だが、大統領は何と言うだろうか。これに対して首相はどう応じるだろうか。

 こんな時に、偶然というにはタイミングが悪かったのか、緊張状態のホルムズ海峡で日本へのメタノール荷を積んでいたタンカーが銃撃され、全船員が船から退避する騒ぎとなった。他にも周辺海域で襲われた外国船がある。相変わらず不安定な中東地域である。この安倍首相のイラン訪問の成否はどう出るだろうか。

2019年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4412.2019年6月12日(火) 香港のデモと安倍首相イラン訪問の意味

 3日前香港で103万人が参加した激しいデモがあった。香港の人口が約750万人であり、それを考えると7人にひとりが参加したことになる。香港のような狭い土地にこれほど多くの群衆が集まりデモを行うのはよほどのことである。きっかけは、香港政府立法議会が香港で拘束された刑事事件の容疑者を、中国政府の裁量次第で本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案を審議する動きに対して、若者を中心にそれを阻止しようとデモ隊が反対行動を起こしたことにある。改正案が通れば、香港滞在中に中国政府から訴追されれば捕らえられ、中国へ身柄を引き渡される可能性がある。

 そして「逃亡犯条例」を審議する予定だった今日、立法議会前にデモ隊が座り込んで警備隊との間で激しい争いとなり、立法議会開催は延期された。

 近年1国2制度の香港の国家体制が、中国共産党の必要以上の介入により揺らいでいる。中国は民主主義を装っているが、3権分立がほとんど機能していない。司法権は共産党政権行政下にあり、裁判は共産党の意向次第である。

 それにしても5年前に雨の中の民主化デモ「雨傘運動」に続き、今年も若者たちが中心となって反民主化運動で行動し世界にアピールした。彼らの民主主義擁護の信念と行動力には敬服している。それに引き換え、現在の日本の若者の社会運動への参加はずっと少なく、そのパワーも社会へのアピールも弱い。熱意もあまり感じられない。年寄りじみた考えで恐縮だが、60年安保世代として少々失望している。

 さて、今日安倍晋三首相は2泊3日の予定でイランへ飛び立った。父・晋太郎外相の秘書官として同行して以来2度目の訪問だそうである。このイラン訪問の目的は何か。中東地域の緊張緩和とされているが、巷間噂されるところでは、対立しているアメリカとイランの橋渡しという大役を担っているらしい。トランプ大統領が、昨年イラン核合意から一方的な離脱を宣言して、イランに対する経済制裁を復活させ、原子力空母まで中東に派遣してイランへ圧力を強めたことが、両国間の緊張の背景にある。

 イランは資源大国である。原油の埋蔵量は世界4位であり、天然ガスの埋蔵量は世界1位である。今ではイギリスのメイ首相、ドイツのメルケル首相らがやや精彩を欠く中で、アメリカとイラン両国と並行的に友好関係にあるのは、日本の安倍首相以外に見当たらなくなったと言われている。だが、そうそう甘いものでもあるまい。安倍首相は最高指導者ハメネイ師のご機嫌を取ってトランプ大統領との首脳会談へ結び付けられれば大成功で、世界的にも一段と知名度が高まるだろう。

 ところで僅か3日間のうちにロウハニ大統領とハメネイ師に会うだけでは、イランを広く2度訪れた私自身の経験から考えてみても、イランを知ったことにはならないし、ペルシア帝国以来3千年の歴史を誇るイランを訪れた意味はあまりないと思う。多忙な身ではあるが、地方都市、それも古代遺跡ペルセポリスなどを訪れて初めてイランという広大な国が分かってくるものである。今回も首相のような多忙な人には気の毒な海外出張である。

2019年6月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4411.2019年6月11日(火) たるみ切った麻生財務相、金融庁と防衛省

 いま国が国民に不信感を与えている出来事が2つある。ひとつは、金融庁が老後に月5万円、30年で約2千万円が必要であると国民に資産形成として貯金するよう勧める報告書が、参院決算委員会で野党から厳しい批判を浴びたことである。アベノミクスが成果を上げたと自画自賛していた自民党は、思わぬ反撃をされる事態となった。「100年安心」と言っていた年金が、担保されるのか、改めて課題を提起することになった。現役世代の負担で高齢者の生活を支える年金制度を持続的に可能ならしめてこのまま年金制度を維持するのか、或いは支給水準を下げて制度自体を守りながら、若い世代の過重負担を取り除くのか、今後の大きな問題である。

 国会討論の場で金融庁も担当する麻生太郎財務相の説得力のない答弁には最早呆れるしかない。件の報告書を読み通していないばかりか、記者会見ではこの報告書自体を受け取らなかったことにするという、無責任な答弁をしていた。これには与野党とも呆れていた。自分が統括する金融庁が作成した報告書が、問題になったからと言って受け取らなかったことにするとは前代未聞で呆れるばかりである。これまでも失言、方言など麻生語録の多い麻生大臣は、あまりにも大臣としての資質に欠ける。国家国民にとってマイナスをもたらす大臣は、その職に綿々とせず、潔く大臣職から身を退くべきではないか。安倍首相は思い切って更迭すべきではないか。なぜ出来ないのか。

 もうひとつ国民が困惑している問題は、防衛省が迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の設置場所について、予定地の地元・秋田市における住民説明会で防衛省の失態が続き秋田県と防衛省の間で、話がまとまらず振り出しに戻ったことである。

 そもそも防衛省が地元に提出した報告書が、「イージス・アショア」設置予定地を実測せずに、安易にデジタル地球儀「グーグルアース」を使用した際縮尺を間違えたという初歩的なミスを犯したことである。昨日開かれた住民説明会では、住民から防衛省側に厳しい声が浴びせられた。8日の説明会ではその最中に防衛省職員が居眠りをしたことが住民の怒りに拍車をかけ、昨日岩屋防衛相と菅官房長官が反省の意を表した。

 これでは秋田市に設置する予定の「イージス・アショア」問題は、当分まとまらないだろう。住民側には防衛省に対する不信感が強まっている。佐竹敬久・秋田県知事も「防衛省に真摯な姿勢が見られない現状では、県有地の提供について検討の段階には至らない」と防衛省を批判している。

 相も変わらず杜撰な国家のありようである。

2019年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com