4420.2019年6月19日(水) モルシ前エジプト大統領の死因は?

 昨日エジプトのムハンマド・モルシ前大統領が法廷で証言を行っている最中に突然倒れ、そのまま絶命した。モルシ前大統領は、2011年に北アフリカ諸国で吹き荒れた「アラブの春」により、長期政権を担っていたムバラク元大統領政権が崩壊した翌2012年エジプト初の民主的な選挙により大統領に選出された。だが、僅か1年でシーシ将軍の軍事クーデターにより追放され、身柄を拘束されて、以降収容所に収監されていた。終身刑を宣告され、拷問に近い厳しい獄窓だったようだ。

 エジプトは今後モルシ氏を擁護していたトルコとの外交が悪化する恐れがある。

 長い歴史を誇るエジプトは、王政から民主政治に脱皮した筈だが、どうも民主政治が思うように根付かないようだ。王政を倒して民主化への道を拓きながら早くに亡くなったナセル元大統領以外は、ほとんど独裁的長期政権を続けて、挙句にクーデターで崩壊している。シーシ政権も同じ轍を踏まないようよほど謙虚に反省しないと国内ばかりでなく、海外からも厳しい目で見られることになる。政治的混乱でエジプトの稼ぎ頭だった観光業も最近パッとしない。周辺の国々が騒がしいが、それには惑わされず腰を据えて社会の安定を図らないとこのまま世界から取り残されてしまうだろう。

 さて、久しぶりにロヒンギャ難民問題が今日の朝日新聞朝刊と夕刊に取り上げられていた。朝刊では、この問題は国連にも責任があることを国連が認めたのだ。国連職員の間でミヤンマー政府の態度を尊重するか、人権侵害の事態を重くみるか、戦略の相違があったという。しかし、これは問題の本質からみれば末梢的な問題である。イギリスの責任を見て見ぬフリをしていることにこそ問題の重大さがある。この点を精査しなければ根本的な解決は難しい。夕刊では、ロヒンギャへの迫害を許しているとしてアウンサンスーチー国家顧問に授与したノーベル平和賞を取り消すかどうかについて、ノルウェイ・ノーベル委員会が取り消さないと断言したとの記事が掲載された。当たり前である。イギリスが誘導する世論が、常識を狂わせている。アウンサンスーチー氏には責任はなく、イギリス政府に過失と責任があることを国連もはっきり明言するべきである。

2019年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com