4775.2020年6月9日(火) 横田滋さん永眠。拉致問題はどうなった?

 去る5日、北朝鮮拉致被害者・横田めぐみさんの父滋さんが87歳で他界された。すでに葬儀を済ませて、今日2人の子息とともに妻早紀江さんが記者会見に臨んだ。滋さんはめぐみさんがいなくなった原因が分からない中で懸命に娘を探し回っていたようだが、見つからず、2002年になって金正日総書記が小泉首相に直接謝罪して拉致を認めた。だが、北朝鮮の説明ではめぐみさんはすでに死亡したと言い、遺骨まで届けられたが、DNA鑑定の結果別人のものと分かり、以後横田夫妻は娘の帰国を願い続けて、拉致被害者家族会の代表者として、全国を講演しながら娘の帰国を支援してもらえるよう訴え続けていた。

 その願いも空しく横田滋さんは逝った。滋さんの無念の気持ちはいかばかりであろうか。

 横田滋さん逝去の訃報を受けて、拉致被害者の帰国実現が政権の最重要課題と言い続けてきた安倍首相は、「(妻とともにめぐみさんを抱きしめる日が来るように努力してきたが実現できず)申し訳ない思いでいっぱいだ」と目に涙を浮かべながら述べたとされている。しかし、本当に安倍政権は他の拉致被害者救出に「努力」しただろうか。拉致被害者5人が帰国してから何らの成果もない。内閣官房内に拉致問題対策本部を設置して定期的な会合、セミナーを開き、情報を伝えているが、政治レベルで具体的に北朝鮮の渉外担当者と話し合いを進めている気配もない。

 知人の軍事アナリスト・小川和久氏から定期的にメール・ニュース「NEWSを疑え!」を送ってもらっているが、昨日のメールに拉致被害者救出について次のように具体的なアプローチを考えたコメントが書かれていた。

 「拉致問題に対する日本政府の姿勢は根本から改めなければならないと痛感させられています。まず、韓国にいる3万人以上とも言われる脱北者の一人一人に対して、徹底的に聞き取り調査を行うことが基本です。聞き取り調査は役人に任せず、新聞記者のOBなど取材(イコール情報収集)の実務経験者を「高給優遇」で3チームほど編成し、一人の脱北者に対して最低3回は粘り強く聞き取りを行うのです。新聞記者のOBらが執拗な聞き取りを行うことにより、脱北者がお金目当てで日本人が飛びつきそうな話をするのを、ふるいにかけてより分けることが可能になるでしょう。そこまでやっても、有力な情報が得られることは期待できないでしょう。しかし、拉致被害者の生存についての『期待できる情報』、あるいはまったく否定的な情報の輪郭だけは把握できるはずです。それをもとに、次なる情報収集のステップを計画することも、あるいは北朝鮮側を動かしながらの調査活動も可能になると考えるべきです。このような根気を要する取り組みは、日本人は得意ではないようですが、先進国の情報機関では常識なのです。韓国の情報機関・国家情報院の北朝鮮専門家も、なぜ日本政府は最も基本的な情報収集活動をしないで、『なにか手がかりになるような情報はありませんか』と聞いてくるのでしょうと首をかしげていました。新聞記者の世界では、担当している役所の中を『なにか(ネタは)ありませんか』と聞いて回るだけの記者は『御用聞き』と軽蔑されます。日本政府の姿勢には、それとダブる印象がつきまとうのは否めません。横田滋さんの旅立ちを機に、いま一度、本気で拉致問題解決への取り組みを考え直すべきではないかと思っています」。

 なるほどと納得した次第である。現場で軍事に携わっていたエキスパートには、それなりの具体的なアイディアが考えられるのだ。どうして安倍政権はこうした人たちの意見を素直に聴こうとしないのだろうか。こんな調子では、横田めぐみさんが帰って来る期待は、まず持てないだろう。

2020年6月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4774.2020年6月8日(月) 黒人暴動を大統領はどう切り抜けるか。

 アメリカ国内で黒人中心のデモが吹き荒れている。先月27日にミネアポリスでひとりの黒人男性が警察官に首を押さえつけられ、そのまま死亡したことが黒人蔑視・差別と受け取られ、黒人を中心に警察官の行動に対して抗議が起こり、それが全米に拡大していった。今では前代未聞の「抗議デモ」に発展しているが、一部が暴徒化して商店を壊し商品を略奪する輩まで出ている。

 アメリカ社会では過去において黒人の反体制デモがしばしば起きているが、目に見えないところで白人の黒人蔑視がエスカレートし、白人と黒人の対立が深く潜航しているからである。一旦きっかけがあれば、それがすぐ浮上し対立が表面化する構造になっているのだ。今回のデモには、トランプ大統領の対応の拙さがある。大統領は説得して話し合いをする姿勢は見せる気はなく、公権力によってデモを抑え込もうとの意思が強く、今回は州兵ではなく、連邦陸軍を無秩序にもデモ隊を弾圧するために利用しようとした浅はかさがある。

 アメリカの公民権運動の発端となった差別を解消するための運動は、知る限りでも1963年のワシントン大行進で後に暗殺されたマーチン・ルーサー・キング牧師が、‘I have a Dream’とスピーチしたことが強く印象に残っている。もうひとつ、1992年にロスアンゼルスで起きた黒人暴動は、過去最大級のデモ、暴動と言われているが、現在編集中の拙著「八十冒険爺の言いたい放題」の中で取り上げている。というのもちょうど暴動が発生した時、南アフリカではアパルトヘイト是非議論が終盤に差し掛かっていた。偶々南アフリカに滞在してロスアンゼルスの暴動をテレビ実況で観ていたからである。その時南アフリカの恵まれた黒人サラリーマンから、人種差別について思いがけないことを聞いた。黒人の彼が同じ黒人に対して同情の気持ちを示さず、アメリカでもアパルトヘイトをやっていれば、こんな不祥事は起こらなかったと驚くべきことを私に話したのだ。

 かつてのアメリカ大統領は黒人差別問題が騒ぎとなる度に、苦悶していたが、トランプ大統領は果たしてこの難局をどう乗り切っていけるだろうか。彼の頭の中は、人種差別感が充満しているように思える。黒人に対して端から話し合おうという気持ちがない。きれいごとを言っているが、差別主義者である。こういう人物が大統領として君臨していることが、現代アメリカの悲劇であると思う。幸か不幸か、11月の大統領選へ向けてトランプ大統領の評価はこのところ下がる一方である。出来得れば、それが現実となって、トランプ大統領が大統領選において敗れることを期待したい。

2020年6月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4773.2020年6月7日(日) 香港問題で中国非難に背を向ける政府

 中国政府の香港への国家安全法制の導入を巡っては、ロシアと北朝鮮が理解を示した以外ほとんどの国が中国を非難している。日本政府も全人代で法案が採択された直後に中国に対して批判的なコメントを発した。

 ところが、アメリカ、イギリスなどが中国を厳しく批判する共同声明を発表するに際して、日本も参加を打診されたが、これを日本政府が拒否していたことが明かされた。このことは何を意味しているのだろうか。国家安全法制は香港市民を中国の管理下に追い込む、返還協定「1国2制度」を無視する悪法であることは明確である。それ故日本政府も当初は中国政府を批判した。それにも拘わらず、この度英米からの要請には同意しなかった。これでは日本はロシア、北朝鮮と同じく中国が香港に強いる1国1制度を容認し、香港市民の自由を奪う強権を受け入れることである。どこで君子豹変したのだろうか。ネットのニュース解説を読むと、現在コロナウィルスの感染拡大で見送られている中国の習近平・国家主席の国賓としての訪日実現に向けて、中国政府を刺激しないよう配慮したからだと理解されている。こんなバカなことがあろうか。香港に中国の国家保全法制を導入することと、習近平主席の訪日とどちらが重要であるか、考えなくてもわかる筈である。どうも昨今の安倍政権は脱線が多い。

 対中外交は重要な政治課題であり、中国にとってもそれは同じことである。同時に対中国外交は世界各国にとっても重要課題であり、日本のそれは世界中から注目されている。その中で中国政府の自由への介入、妨害行為を容認することは国際外交上もマイナス面が多過ぎると思う。これは当然日本国民からも理解されないだろう。

 では、なぜこのような二枚舌とも受け取られかねない行動を日本政府は取ったのだろうか。一昨日北朝鮮拉致被害者、横田めぐみさんの父親が87歳で亡くなられた。この訃報に接して安倍首相は苦しい胸の内を語っていたが、首相は内閣の最重要課題は拉致問題解決であると常日頃から広言していた。結果的に拉致問題は2002年に5人が北朝鮮から帰って以来一向に前進していない。ロシアとの北方4島問題にしても、一時は好感触で受け取られていた。しかし、この北方問題も解決から遠ざかるばかりで、安倍首相としては歴代首相の中で最長在任を誇りながらほとんどこれという実績が見られない。政権の黄昏時を迎えている安倍首相はこれに焦りを感じて、習近平・国家主席の訪日を実現したことを手土産にしたかったのではないかと邪推したくなる。

 それにしても外交を一時の都合で変えてしまうとは、何たる無節操であろうか。安倍政権の余命も尽きたと言わざるを得ない。

2020年6月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4772.2020年6月6日(土) 東京都知事選はどうなるのか。

 新型コロナウィルスの猛威や、それによる東京オリンピック開催1年延期などによって話題としてはやや霞んでいるが、近々4年ぶりに東京都知事選挙が行われる。2週間内の今月18日に告示され、投票日は7月5日である。いつもなら全国で最も注目される知事選でもあり、中央政界の動きも慌ただしくなって、その動静も大きく伝えられるのだが、今回はコロナ旋風にかき消されたような雰囲気である。

 本命と目されている現職の小池百合子知事が、コロナ対策に追われて今以て出るとも出ないとも態度をはっきり示さないことから、全般的な見通しが立っていない。現時点で立候補者として名乗りを上げたのは、過去に2度立って敗れた宇都宮健児・元日弁連会長、立花孝志・NHKから国民を守る党党首、及び小野泰輔・熊本県副知事の3氏である。

 各党は今後の党運営や次期衆議院選をにらんで独自の候補者が敗れるリスクを避けるために候補者を立てないようだ。前回4年前は雨後の筍のように、後から後から候補者が乱立し、実に21人が立候補した。その時自民党は増田寛也・元総務相を独自候補者として立てたが、小池氏に敗れた。同じ轍を踏まないよう今回自民党は独自候補を断念し、党本部と都連との間でぎくしゃくした関係にありながらも公明党ともども小池知事を支援することになったようだ。一方、野党は前回、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏を共同で推薦したが敗れた。今回は野党の内部事情も複雑なようで、立憲民主党と共産党、社民党が宇都宮氏を支援する姿勢を打ち出したが、国民民主党は、小池氏寄りの姿勢を示しながらも、野党3党が共闘を呼び掛けている状態である。告示までどうなるか分からない。

 果たして現状で大過なく投票日を迎えられるかどうかという点が些か気になる。コロナ対策に取り組む小池知事の様子からは、知事選の雰囲気なんぞまったく伝わって来ない。告示日までには立候補の届をして、政策などもはっきり発表するであろうが、現状では態度を明確にせずどうも煮え切らない。

 今年はコロナウィルスもありいつもと様子が変わったので、やむを得ない点はあるが、有権者の立場からは、立候補する以上極力早めに有権者に選挙公約を発表してもらいたい。

2020年6月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4771.2020年6月5日(金) 初めて結婚の証人を務める。

 大学の後輩が再婚することになったが、結婚届書類に証人として署名、捺印をする必要があるとのことで、今日印鑑を持って三鷹まで出かけた。もう1人の証人が大学の先輩で、何と詩人北原白秋の甥御さんである。約束した駅前のカフェーで夫妻と北原さんに会い必要書類に署名、捺印をして、かなり高齢になってから結婚に至った経緯などを伺った。

 夫78歳、妻81歳の姉さん女房という高齢の再婚同士でもあり、年齢的にも敢えて入籍する必要はないのではないかと一部周囲の親族から声があったようだが、よく話したら皆賛成してくれたというのは、筋の通った結婚で本人がありのままの気持ちを親戚の人たちにきちんと説明したからこそ理解を得られたのだと思う。お互いひとりで暮らすより、気持ちの通い合うパートナーとひとつ屋根の下で暮らす方が、どれだけ楽しく充実した後半生になるかは言うまでもない。2人の今後の人生に幸多かれと祈る気持ちである。

 今日は別の意味でも私にも意義があった。左眼が見難くなったとお話ししたら奥様から、白内障なら名医をご紹介できると伺った。しかもその名医の務めておられる病院が我が家から比較的近所の東京医療センターと伺い、ラッキーと感じた。近々近くの眼科で手術する話はあるが、ここは極力早めに紹介していただき名医に手術をしてもらいたいと考えている。

 ところで今日は久しぶりの遠出で、電車に乗ったのも3月中旬以来である。ラッシュ・アワーを過ぎていたので、あまり混み合ってはいなかったが、それでも座席はほとんど乗客に占有されていた。しかし、マスクは全員が着けていた。

 東京都が緊急事態を解除してから感染者が増加する傾向にある。相変わらず、20代、30代の若者の感染者が増え続けている。その原因として考えられるのは、夜の歓楽街、しかも主に新宿地区のようである。営業妨害するようなことになるのは、都としても心苦しいが、今日から夜の繁華街に係員を出して3密環境を避けるよう呼びかけていた。外出自粛は遊びたい盛りの若者には大分窮屈で負担となっているようだ。

2020年6月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4770.2020年6月4日(木) 天安門事件から31年

 今日6月4日は、中国にとって歴史上に汚点を残した1日である。1989年北京の天安門広場で民主化を求めていたデモ隊に対して軍隊が武力を行使して多数の死傷者を出した。

 そのきっかけは、改革派の胡耀邦元総書記の死だった。中国共産党中央委員会総書記だった胡耀邦は、「百花斉放」として「言論の自由」を推進し、国民から政治改革への期待が高まった。これら一連の民主化に対して保守派から中国共産党一党独裁を揺るがすものであるとして胡耀邦総書記に対する批判が生まれ、長老グループから非難の矢面に立たされた。結局胡総書記は87年辞任を強要され失脚した。その2年後の89年4月胡耀邦は他界したが、その2か月足らずの間に無念やるかたなく辞めさせられた改革派胡耀邦・総書記を追悼するかの如く自然発生的に国家を揺るがせる大事件が勃発した。それが天安門事件である。それ以来今日まで中国には民主化を抑圧する動きはあれども、民主化を創生しようとの動きはまったく見られない。

 中国にはそれ以前の1966年から10年間文化大革命により国内が上へ下への大騒ぎがあった。歴史は繰り返されているのだ。文革に際して中国政府は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」ときれいごとを言っていたが、所詮民主化の空気はなく共産党内の権力闘争だった。58年毛沢東・国家主席の「大躍進運動」が失敗し、責任を取った毛沢東が国家主席を退いた。替わった劉少奇・国家主席と鄧小平・共産党総書記が権力を握った。これを快く思わなかった毛沢東が復権を試み、軍部の支援を得て劉少奇らを資本主義の道を歩む実権派として打倒を呼び掛けた。そして4人組(江青、王洪文、張春橋、姚文元)を追放し毛沢東は権力を取り戻した。毛沢東が亡くなった78年以降権力の座に就いた鄧小平は、改革開放を提唱し、その後の中国経済発展の礎を築いた。この鄧小平時代に中国は社会主義から離反した。発展著しい中国ではあるが、思想、モラル面で今も混乱の最中にある。

 しかし、天安門事件以降31年経った今日でも、最近香港で国家安全法案の実施を押し付けるなど中国にはリベラルな民主主義政治の空気はまったく感じられない。故胡耀邦は泉下で現代中国をどう見ているだろうか。

 さて、今日6月4日と言えば、かつては毎年靖国神社に参拝していた。ビルマへの戦跡巡拝団を他の旅行社に先駆けて取り扱い、お蔭で陸軍航空隊の巡拝団をほとんど取り扱うことになり、それが旧厚生省の太平洋戦争戦没者遺骨収集事業の指定業者として認められることになり、その後約20年間に亘り、同事業に携わることが出来た。

 実は「加藤隼戦闘隊」と呼ばれていた「飛行第64戦隊」戦友会が「六四会」と呼称され、毎年今日6月4日に全国に住んでいる戦友たちが靖国神社に集合し、「六四会戦友会」を開いた。戦友が揃って参拝した後九段会館で懇親会を開いて、宿泊もしていた。「六四会」の旅行、宿泊関係を手配したことから今日6月4日は靖国神社と九段会館とは切っても切れない1日となった。ビルマを主とする戦地への巡拝団は、1972年以後毎年続けられ、それは15年間に亘った。

 この日が来るとつい昔の「六四会」を想い出す。今では懐かしい皆さんは鬼籍に入られてしまった。思い出せば切りがないほどであるが、拙宅近くの三軒茶屋の地主だった怖い顔をしたお得意様が、献身的に支援してくれた。その方が他界されて18年になるが、いつも三軒茶屋を通るたびにあの怖い顔をしていたが優しかった思い出と姿が蘇ってくる。

2020年6月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4769.2020年6月3日(水) 遺産相続の第一歩

 かねてより自分の年齢を考え、大したものではないが、死後の財産相続についてある程度整理し道筋をつけておいた方が良いと考えていた。2月ごろからある銀行と本格的に話し合いを始めてはいたが、コロナウィルス旋風のため自粛していた。それが、緊急事態解除と「東京アラート」発動の間隙を縫って、今日銀行の担当者に自宅へ来ていただき話を詰めた。長男は奈良に住み、次男は横浜に住んでいるが、これまで相続について真剣に話し合ったことはない。妻と私が亡くなった場合の2つのケースの財産分与について、銀行にはパターン化された商品があり、それに加入することにした。基本的には2人の息子に等分に相続される。各地の旧居住地の戸籍謄本取得などの手続きは銀行が代行してくれる。これで息子たちも、我々両親の死後あまり悩むこともなく無駄なく相続出来る。いずれ近いうちに息子たちとも具体的に話そうと思っている。

 さて、今夕の朝日新聞に10年前に亡くなられた民族学者・梅棹忠夫先生が著されたベストセラー書「知的生産の技術」が取り上げられている。その中で私も半世紀近く会員である「知的生産の技術研究会」(知研)についても触れられ、知研会合の写真には八木哲郎会長のお顔も見える。最近知研へはすっかりご無沙汰しているが、懐かしく感じた。定期的な旬刊誌に八木会長から寄稿を催促されているが、現在取り掛かっている拙著が一段落したら寄稿するとご返事してお待ちいただいている。梅棹先生が1969年に出版された「知的生産の技術」は、「文明の生態史観」と並んで、私の知的好奇心を刺激してくれ、今も座右の書である。

 それにしても「知的生産の技術」は、学生を中心に若者層に好まれ大ヒット書となった。増刷に増刷を重ねて実に100刷、販売は145万部だというから驚異的である。今では本の販売数が年々減少して、出版社も書店も閉店しつつある現状では、夢のような話になってしまった。あのような好奇心をそそる書物を手がかりに、勉強好きな若者が寄り集まって勉強会を開いて切磋琢磨した向上心溢れた時代は、残念ながら今では遠ざかってしまったような気がしている。

 さて、この1週間アメリカが荒れている。きっかけは27日ミネアポリスでひとりの黒人男性が、警官に拘束された際地面に頭を押さえつけられ、死亡した事件である。これが黒人蔑視と差別行為と見做され、怒った黒人たちが警察に対してデモをかけ、それが全米中に拡大したことである。これに対してトランプ大統領がいつもの通り冷静さを欠いて、デモ隊と話し合おうとの気持ちがなく彼らを排除しようとして警官隊を煽るように弾圧に向けている。首都郊外には連邦陸軍まで待機させている。ここ数日はアメリカ全土に抗議の声が広がり、一部は暴徒化して、ついに首都ワシントンでもホワイトハウスを取り巻いてデモ隊がシュプレヒコールを上げている。

 これには民主党大統領候補にほぼ決まっているバイデン前副大統領が、「我々の国を怒りと恐怖で引き裂かれた戦場へと変えた」と厳しくトランプ大統領を非難した。中国に対して民主的な自治が行われていないと厳しく批判していた大統領が、国内では自らが自治を壊している有様である。大統領就任直後から常識外れの大統領だと思っていたが、益々エスカレートしている。アメリカ国民にとっても恥ずべき大統領には、もうそろそろ愛想尽かしをしても好いのではないだろうか。

2020年6月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4768.2020年6月2日(火) 感染者再増加に対応し「東京アラート」発動

 東京都は新型コロナウィルス緊急事態宣言解除以降、感染症を乗り越えるための都独自のロードマップを作成していたが、昨日第2ステップに入った。ところが、昨日自由が丘駅近くのパチンコ店前を通ったら開店していた。パチンコ店の再開は、「3密」の可能性が高いナイトクラブやライブハウスと同じ第3ステップに位置づけられており、開業と知って完全には要請が業者には守られていないと思った。やはり事業者にとっては背に腹は変えられないのか、役所に断るまでもなく勝手にオープンしてしまったのだろう。通勤電車も混み出し、繁華街にもかなりの人出が見られるようになった。

 折も折、昨日からまた感染者が増えだし、東京都では第2波がやってくるのではないか。昨日の感染者13名の内、7名が20代だというし、感染者の4割が夜の歓楽街から出ているというから、若者らが外出自粛に我慢出来ずに夜の街へ出てうっかりコロナウィルスを吸い込んでいるイメージが読み取れる。果たして今日の感染者は19日ぶりに30人超えの34人だった。どうも怪しい傾向になってきた。

 今日小池都知事は、警戒宣言である「東京アラート」を発動すべきかどうか専門家の知恵を拝借したいと述べていたが、観戦情報の悪化の傾向がみられるとの考えから午後9時半過ぎに初めて「東京アラート」が発動された。これにより少しは都民の行動が抑えられるだろうか。感染拡大が収まることを願うばかりである。こうなると来週予定されていた第3ステップへの移行は再検討されるのではないだろうか。まだまだ窮屈な自粛生活を強いられることになりそうである。

 一方で、急に感染者が増えだして慌てている北九州市北橋市長は、クラスターが発生し第2波に襲われていると広言している。比較的感染しにくいとされていた小学校で4人、中学校で2人の生徒が感染した。

 とにかく日本中がコロナ騒動で落ち着かない。経済面でも各企業の営業利益が低下したり、赤字へ転落している。特に観光業界へのしわ寄せが顕著で航空業、観光バス行、鉄道業、ホテル業界、飲食業などが直撃を受けている。これまで東日本大震災の時を除いて、毎年営業成績が上昇する一方だった東京ディズニーランドも、2月末から3か月間休業することによって大きな痛手を被っている。TDL施設自体もさることながら付属のホテル業なども休業状態が続いており、休業がいつまで続くか分からない現状では、悲観的な観測しか見えない。1か月の休業で120億円の赤字というから、今後再開の見通しが立たない現時点では手の打ちようがないようだ。

 世界中から早期終息を待たれている新型コロナウィルスが、このままいつまでも地球上に居座り続けていられては、まさに地獄である。

 あるジャーナリストのエッセイに目を通した。このコロナ騒ぎの中で、酒と本だけが道連れだとある。正月2日に横浜に住んでいる次男家族が新年の挨拶にやってきた。久しぶりに次男と酒を飲み交わした。今日は6月2日だから、あれから5か月になるが、あの日以来ついぞアルコールを口にしていない。5か月間も酒を飲んでいないことになる。普段呑んでも大量に呑むということはなかったが、昔は仕事上の付き合いもあり、ほとんど毎日酒を飲んでいた。今では夕食時に呑まなくなったせいもあり、アルコールとはほぼおさらばしている。絶対止めたと決めたわけではなく、ムードが盛り上がるような機会があれば再び呑むことはあると思うが、アルコールとは取り敢えず縁が切れたような気がしている昨今である。

2020年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4767.2020年6月1日(月) 拙著上梓へ向け出版社と打ち合わせ

 次作品「八十冒険爺の言いたい放題」の出版を進めている「はるかぜ書房」鈴木雄一社長とはすでに1度お会いしているが、今日は自由が丘まで来ていただき、喫茶店で初めて具体的な打ち合わせを行った。すでに拙稿は出版社に送って、その後も5回ばかり推敲して一応最終原稿となったものについて出版社の意向を聞いた。これまで4冊上梓したが、作品の中身について注文を付けられたことは1度もない。唯一の例外らしいものは、前著「南太平洋の剛腕投手」である。出版社から頁数が多いので削って欲しいと言われ、予定していた1章・小野田寛郎元少尉と横井庄一元軍曹の2人の異なる性格上のエピソードをバッサリ削除したことがあるくらいである。ところが、鈴木社長からは、最近の若者はあまり読書をしないので彼らを読者対象にするとあまり難しい話や専門的な内容は好まれないので、良い本で売れる本にするためには、拙著目次の順序を若干入れ替え、長れを変えた方が良いし、内容的には一部省略することも勧められた。但し、内容的には、とても興味深く面白いので、何とかして売れるようにしたいというのが出版社の一念である。一応鈴木社長にはどんな具合に変えたら良いか、原案を崩すことなく次回に考えを呈示してもらうことにした。

 表紙帯に推薦文をいただいた冒険作家の椎名誠氏の写真があれば、更に良いということなので、椎名氏に写真をお借り出来るようお願いすることにした。今日は関連の写真や、新聞記事などを提供して雰囲気を更に理解して欲しいとお願いしたところである。今後のスケジュール的な点も打ち合わせしたが、出版は10月を予定している。併せて、販促についても若干打ち合わせをした。販促活動はジュンク堂池袋本店をメインにして極力書店へ平積みしてもらえるよう通うことにし、ジュンク堂で読書会を企画することも話し合った。これまでの出版社とは異なり、かなり細かく専門的な点について考えてくれているという印象である。これなら安心してお任せ出来ると意を強くした次第である。

2020年6月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4766.2020年5月31日(日) トランプ大統領の狂気の沙汰

 朝刊を手に取るやトップ記事「トランプ氏『WHO脱退』」の大見出しが目に入って来た。かねがねトランプ大統領は中国が当初新型コロナウィルスの感染拡大を隠蔽していたと主張していたが、その背景にWHOの中国への忖度があったと指摘し、その一方でWHOの年間予算額の1割以上を支出しているアメリカには正しい情報が伝えられず、そのためアメリカが世界最大のコロナ感染国になったとも非難していた。更に、中国が香港への国家安全法制を導入することを決定したことに対して、「香港には最早自治はない。中国は1国2制度を1国1制度に置き換えた」と批判した。

 WHOにとってはつい最近までは思っても見なかったことであるが、今年1月にWHOがパンデミック宣言をした辺りから、アメリカが中国寄りだと厳しくWHOをやり玉に挙げるようになり、2週間前にはWHOは中国の操り人形だとまで言い出し、その発言に苦慮していたようだ。実際WHOは予算の11%をアメリカに頼っており、仮にアメリカから拠出されなくなったらWHOにとっては活動を制約され、組織の信頼が揺らぐことになる。それにしてもトランプ大統領は、思いついたら直ちに行動を起こすが、周囲への影響をまったく考えない点で問題である。トランプ氏の行動には、11月の大統領選へ向けた皮算用がある。世論調査に依れば、現状では大統領選でライバルのバイデン氏の後塵を拝している。

 香港問題では、トランプ大統領はアメリカ・中国貿易の中継地となっている香港の優遇措置を見直すと語った。香港からアメリカへの輸出は約4兆2千億円あるが、その77%は中国本土から香港を経由してアメリカへ輸出されるものであり、それら輸出品はすでに中国に対する制裁関税の対象になっているようで新たな打撃とはならないようだ。加えて、現在香港にはアメリカ企業1,300社が拠点を構えていてそれら企業への負担が大きいと予想される。

 中国の香港への国家安全法制の導入は、厳しく非難されるべきであるが、その一方でトランプ大統領も「アメリカ・ファースト!トランプ・ファースト!」を声高に叫んでいるが、ステップダウンさせて、もう少し周囲への影響を考えた行動を起こさないと、アメリカも自らも世界中の笑い者になることを知るべきだ。

 朝日新聞アメリカ総局長が、「冷戦とすら呼べない米中の茶番」と言い、「人類共通の敵に結束して立ち向かう力も気概もない大国同士がいがみあう茶番劇は、陳腐な冷戦とでも呼ぶべきか」と吐き捨てている。さもありなんと思う。

2020年5月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com