2428.2014年1月5日(日) 中島敦の秀作「李陵」

 今朝の日経紙読書欄の「読書人の部屋」で青柳正規・文化庁長官がインタビューに応じている。私のノン・フィクションに推薦文をお願いした前文化庁長官・近藤誠一氏の後任の方でもある。今年69歳の青柳氏は元々古代ローマ史の専門家で、これまでも国立西洋美術館館長としてテレビを通して度々お目にかかっている。

 その青柳長官のインタビュー記事の中で、興味を惹かれたのは、座右の書として中島敦の小説「李陵」を挙げていることである。高校時代に漢文の先生に薦められ心酔して以来ローマ美術史の研究生活に入っても影響を受け続けたという。漢語の良さを生かしながら、ぎりぎりまで言葉が削られている、圧倒的な文章の端正さに引かれ、全文を書き写したというから確かに相当刺激を受けたようだ。

 恥ずかしながら私が昨年同書を読んだのは、ノン・フィクションを書いていて、太平洋戦争勃発時にパラオの南洋政庁に勤務していた頃の体験記「南洋通信」を読み、ぜひこの天才作家の書を他にも読んでみたいと思ったからである。確かに文章は34歳で夭折した人の書いたものとは思えないくらい、磨かれた流麗な書きっぷりに感銘を受けたものである。

 ごく最近になって中島敦が一部で話題になり高校教師・佐野幹著「『山月記』はなぜ国民教材となったのか」が朝日紙の書評に取り上げられた。それほど眩しい脚光を浴びている。私も佐野書を始め、最近になって中島関係書を買い求め少しずつ読んでいるが、ノン・フィクションを書いていて資料として随分参考になった。

 それにしても若くして亡くなったこの中島敦が、どうしてこれほどまでの名文を書くことができるのか感心するばかりである。精々これからも中島の作品を読んで文章力を磨きたいと思っている。

 さて、年始に当り国際政治について多くの論者がメディアで卓見を披瀝している。

その中で目に留まったのは、1976年にソ連の崩壊を予言した、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏が「2014年、世界秩序の行方は」と題して今朝の日経紙に開陳した持論である。その中で中国の影響力について、影響力が増すとは思わないと語っていることが意外である。その根拠は中国の人口低下のスピードが早過ぎることだという。更に人口学者で中国の輝かしい未来を信じる人はいないとまで断言している。一人っ子政策の転換も手遅れと指摘し、あまりにも多い人口のせいで、移民で人口構成の不均衡を調整することは無理と断罪している。また、中国は国内の不満を鎮めるために外との摩擦を使っている。共産主義の崩壊も進んでいる。日本とアメリカが緊密に協力すれば問題はない。中国の軍事力を恐れるのはばかげているとまで述べている。危惧されるのは昨日の本欄にも指摘したように、協力すべきアメリカとの外交関係が、安倍首相らの靖国参拝によってアメリカの日本に対する不信感を増幅させ思わしくないことである。

 つまるところ、中国問題より日本国内問題が日米両国の間に不安を掻き立てているということだ。

2014年1月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2427.2014年1月4日(土) 安倍首相に続く愚か者大臣

 新年早々また愚かな大臣が馬鹿なことをやってくれたものだ。年末に靖国神社参拝を強行して中韓両国を始め、欧米諸国やロシアから痛烈な批判を浴び日本外交を大きく躓かせた安倍首相のチョンボに困惑し、今後日本の取るべき方策を考えるべき時に、この批判、非難に上塗りする大愚か者が現れた。

 常識も善悪の判断力もないこの大愚か者とは、新藤義孝総務相である。新藤氏は昨年終戦記念日にも参拝している。新藤氏は靖国参拝が本当に国家のために大切だと信じているのかどうか怪しいものだが、いまでは自らの信念となっているようだ。これまでにも尖閣諸島周辺を視察したり、どうも右翼的な言動は危なっかしくて危険分子と呼んでも好い。55歳と言えば、分別はある筈であるが、勿論戦争体験はなく、国民的運動に携わった経験もなく、国のために立派な提言をしたこともないような一地方の元市役所職員が、何ゆえ38歳の若さで国会議員になれたのか、どうしてこういう人物が大臣になれたのか摩訶不思議でさえある。

 この新藤氏の行動に対して、アメリカ政府は首相の靖国参拝に続いて不快感を表明している。首相の行動に対して初めてアメリカ政府は辛口のコメントとして「失望している」と述べたが、それに火に油を注ぐような行為である。安倍政権としては首相自ら日本への信頼感を損ねていながら1人よがりに、話せば分る風な口をきいているが、現状は一向に改善される兆しが見えない。首相は国を劣化させたリーダーとして責任を問われるべきであると考えている。しかし、お坊ちゃん首相には、いずれ自分の考え通りなると夢みたいなことを妄想しているに過ぎない。元旦に靖国を参拝した新藤氏も、自分の間違った信念をことさら表面に押し出そうとしている。結局この2人の行動によって、日本の立場は益々窮地に追い込まれる。もっと怖いのは、閣僚の中には他にも右翼志向の古屋圭司・国家公安委員長や稲田朋美・行政改革担当相のような時限爆弾を抱えていることである。この2人は一時韓国側から竹島へ入国を図ったことがある。この2人もいつ同じような行動に走るか予測ができない心配がある。 政界も1強多弱となって自民党の専横は民主主義のセオリーをもあざ笑うかの如き横暴ぶりであるが、首相の靖国参拝を全党員が支持しているわけではない。にも拘らず首相の独走を阻止しようとの良識派がひとりとして現れないのが悲しい。いまの状態で日本外交を更に過激に進めるなら、日本は確実に世界の孤児となるであろう。そんなことも分らず、その流れを止めようとの行動も見られない。

 古屋、稲田両大臣が近い将来靖国参拝を行うようだと、日本はどこからの信頼も支持も得られない正真正銘の世界の爪弾き者とされるだろう。自民党内には良識派と称される党員はいないのだろうか。

2014年1月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2426.2014年1月3日(金) 「少数と狭く深く」付き合う。

 関東大学対抗箱根駅伝は昨日のゴールの結果のまま2日目のゴールへ飛び込み優勝東洋大、2位に駒沢大とほとんどデッドヒートの争いがないまま、抜きつ抜かれつのない、昨日と同じつまらない結果に終わった。選手たちは精一杯健闘したが、外野席としては何か物足りないものを感じた。東洋大は往路、復路とも優勝で2年ぶり4回目の総合優勝を飾り、6年ぶりの覇権を目指していた駒沢大は結局昨年と同じ2位に甘んじた。

 それにしてもこの駅伝の実況中継放送をテレビで観ていると、かつて住んでいた湘南海岸界隈が映し出され、また仕事で箱根へしばしば出かけていたので、あの辺りのお正月の雰囲気も久しぶりに見せてもらって懐かしむことができた。

 さて、今年もたくさん年賀状をいただいた。これを拝見するのを毎年楽しみにしている。最近はPC技術が発達したので、きれいな図柄の楽しい年賀状をいただくことが多い。

 今朝の日経コラム「春秋」に年賀状と友だちとの関係について書かれている。それによれば、一般に友人と思う人の数は年々増えているそうだ。ただ、それがネットのつながりだけで、顔を合わせない友人が増えている。それでいながら人間関係で「多数と広く浅く」より「少数と狭く深く」を望む人が増えているそうだ。

 加齢とともに交友関係が狭まり、生活上あまり必要でないと思って自分から交遊関係を狭めようとする傾向も顕著のようだ。面倒だということがあるかも知れないが、友だちから得る心の通った意思の疎通とか、悩みごとの相談なぞは何事にも変えがたいと思うのだが、今の世相はそうでもないようだ。

 例えば、昨年辺りから現在75歳前後の友人たちの中で今後年賀状の交換を辞退したいと最後通牒をしてきた友人が何人かいる。80歳を超えたので、年賀状を辞退したいというなら分るが、私より若い人でそういうフェイドアウトを通告してくるのは、勝手かも知れないが少々考えてしまう。

 よく考えてみると世間と普通の付き合いをするのは、人によっては大変な苦労なのだとも思う。だが、世間や友人から距離を置いて人間関係を狭くして、自分の殻の中に閉じこもってはこれから残り少なくなった人生がつまらなくならないだろうかと他人事ながら気になる。今年いただいた年賀状の中にも来年以降の年賀状の交換を辞退してきた友人が4名もいる。ひとりは私より5歳も若い。押しかけ女房のように、もう少し付き合えとも言えないので、ご要望にお応えすることにするが、これも「少数と狭く深い」付き合いを望む友人が増えて、私は少数派の中に加えてもらえなくなったという現象の現われだろうか。

2014年1月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2425.2014年1月2日(木) 関東大学対抗箱根駅伝往優勝は東洋大

 昨日はやや疲れ気味だったので、早いところ床に就いた。今朝からずっと関東大学対抗箱根駅伝のテレビ中継を楽しんでいた。3区からゴールの箱根までの道はかなり知っているので、興味深く沿道風景を楽しむことができた。2区で後方順位にいた山梨学院大のケニア人選手が何人抜きかをやって快走を続けていたが、突然右足ふくらはぎを痛めて歩けない状態になり、棄権する羽目になってしまった。勢いが良かっただけに残念だったろう。

 かつては優勝争いの常連は、中央、日大、早大、順天堂、教育大などだったが、いまでは駒沢、東洋、日体大、山梨学院大など多くの新興勢力が現れてすっかり様変わりしてしまった。結局往路ゴールへ飛び込んだのは、東洋大だった。優勝候補の駒沢大は1分差で2位となった。明日の復路の両校の決戦が面白そうだ。

 昼過ぎからラグビー大学選手権の準決勝戦を観るとはなしに観ていた。準決勝へ進出はしたが、今年の母校慶應の対抗戦における試合ぶりはあまり芳しいものではなかった。それでも全国大学ベスト4に勝ちあがったのは強運とも言えるものである。秋の関東大学対抗戦で、明治や筑波には勝っていたが、ライバルの早大に69-7で完敗し、優勝した帝京大には何と75-0と恥ずかしくなるようなスコアでこてんぱんにやられてしまったからである。あまり期待していなかったが、それでも前半はよく戦っていた。まあ14-45で負けたからそんなに恥ずかしい負けっぷりではなかった。大学3位と思えば、まあ良いだろう。

 今日は新聞が配達されず、テレビは娯楽中心であまりぱっとしない。会社が休みで家族揃っている家庭が多くなると、観る番組としてはどうしてこれという特徴のない娯楽番組ばかりになってしまうのだろうか。あまりにも退屈である。

 今日も相変わらずノン・フィクションの推敲を繰り返している。出版社については、業界事情に精通している出版ニュース社の清田社長に内容に適した出版社を紹介してもらうことになっているので、正月休み明けにもう一度コンタクトしたいと考えている。ある中堅出版社の編集部長から何かあれば、相談に乗ると年賀状をいただいたので、その辺りも勘案してそろそろ出版社を決める頃ではないかと思っている。

2014年1月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2424.2014年1月1日(水) 湘南ラグビー祭に参加

 無風快晴の元旦である。1年の肇として頗る良い日照りである。今日は湘南ラグビー祭が母校湘南高校で行われる。9時半に車で近所の和田先輩をピックアップして第三京浜から国道1号線を下る。元旦のせいで、トラックがほとんど走っていない。道路も空いていてほんの40分ばかりで母校へ到着した。

 現役チームと若手OBチームの練習ゲームだが、やはり大学でも部活動を続けているOBが中心のチームの方が勝る。結局OBが5本のトライをあげたのに対して、現役は良いところまで迫りながらトライを奪えず、結局ノートライに終わった。その後総会を開催し、例年通り活動報告、予決算報告、役員改選など一通りの議事を進行させた。私は6年前に会長を退いてから一会員のままだったが、この場で「参与」を引き受けることになった。役員とは別で、気のついたことを提言する程度の閑職なので引き受けることにした。

 文武両道の浦和高校が花園に出場したことが世間的にも大きな話題になったが、かつては浦和と定期戦を行っていた湘南としては祝意を表しOB会長名で花園の浦和高へ宛てて激励電報を送ったとの報告がなされた。浦和との定期戦復活とはならないが、近年は毎年のように静岡高と定期戦のような試合を行っているので、今後はこの静岡高戦を定期戦へつなげていけるようにしたいという話があった。

 総会が終わるといつも通り現役・OB入り混じって懇親会だ。アルコールはご法度なのが、一部のOB にとっては不満のようだが、学校教育の現場であるから止むを得ない。賄いは現役選手のお母さんたちのお手料理である。100名ほどが一緒になって懇親の場となる。私の役割は乾杯の発声で、生徒へ靴の脱ぎ方が悪いとしつけ係りのような苦情もひとつ言ってやった。

 もうプレイはとてもできないが、久しぶりにグランドで若い選手たちが走り回っているのを観るのは、かつての自分の姿を思い出して楽しいものだ。1年上級だった武智さんのように、年寄りの冷や水と言われようと普段から練習している人らしく、僅か5分程度だったが、OBチームに加わってプレイしたのは、本人はもちろん、観ている我々としても力づけられる。

 やはり屋外スポーツは気持ちが良い。

 さて、夜はNHKで毎年恒例のウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートを楽しんだ。今年はダニュエル・バレンボイム指揮によって多くのヨハン・シュトラウスの名曲を演奏したが、いままであまり紹介されなかった曲が多かった。最後のラデツキー行進曲で締めとなったが、さぁ今年もいよいよ始まるなという気持ちである。

2014年1月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com