722.2009年5月5日(祭) アタリ氏が考える超民主主義

 昨日に続いてジャック・アタリ氏に対する2度目のインタビューが放映された。アタリ氏は思索的にも、実践的にも「超民主主義」を自分自身で実行している。

 まだ読んでいないが、著書「21世紀の歴史」(作品社発行)の中でアタリ氏は「世界を襲う5つの波」について説明している。それが今日のテーマだった。

 アタリ氏の思考する5つの波とは、

   1)アメリカ支配の崩壊

   現在のアメリカ型資本主義の終焉である。これはアメリカの国際舞台からの消滅ではなく、一時撤退であり、20~30年間続くだろう。大英帝国がアメリカに取って替わられたり、ローマ帝国がこの世から消えてしまったのとは異なる。

 2)多極型秩序

   現在の先進国だけではなく、G20のような形でインドネシア、トルコ、ナイジェリア、アラブ諸国などが参加するような形であるが、国家の存在は厳然として残る。

 3)超帝国

   強力な資本主義市場に立ち向かうグローバルな統治が求められる。金融制度の確立と自由の規制を考える。物に対する監視は必要であるが、人に対して監視することは許容出来ない。

 4)超紛争

超帝国になると軍事面で競争が起きる。貧困層の割合が増加する。結局ノマド(遊牧民)が増える。どこにも移動出来る「超ノマド」、普通の人間「バーチャル・ノマド」、生き延びるために移動せざるを得ない「下層ノマド」に分けられるが、「バーチャル・ノマド」が減り下層ノマドは増え、40年後には30億人にもなるだろう。両極端に分かれる。

 5)超民主主義 = 利他主義

   他人のために尽くす「博愛」が大切である。合理的博愛と云われるもので、その一環としてアタリ氏自身NPO「マイクロファイナンス」を設立して、チュニジアやセネガルで融資を受けられない人々のために無担保、低金利の融資業を実践している。

である。

 時代はこのままの経済体制が続けば人類の生存にかかわってくる。21、22世紀に人類が生き残れるか。それは、経済、軍事、環境による崩壊を抑えることであり、行動するのは今しかない。これがアタリ氏の大筋で言わんとしていることだったと思う。

2009年5月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

721.2009年5月4日(月) ジャック・アタリ氏の資本主義経済論

 午前中フランスの経済学者であり、歴史学者であり、思想家でもあるジャック・アタリ氏に対する長崎泰裕・NHKヨーロッパ総支局長による45分間のインタビュー番組「危機の中で未来を考える」シリーズの第1回「危機の核心は何か?」を見た。

 すでに2005年時点でアメリカの金融危機の徴候を感じていたと言われている人物である。アタリ氏は単に象牙の塔に篭った学者ではなく、ヨーロッパ復興銀行総裁、更にミッテラン大統領の経済顧問も務めて実態経済をつぶさに実体験しているだけにその主張には説得力がある。

 アメリカの金融危機については、グローバルな資本主義にルールや規制がなかったことと、アメリカ金融業界が「何でも解決出来る」と予想出来るリスクを軽視したことが原因であると指摘された。グローバルな市場はできたが、グローバルな民主主義とグローバルなルールがなかったことが致命傷と指摘されたのである。更に金融業界には過去のバブルの反省もないと手厳しい。

 改めて学んだことは、資本主義市場最初の市場となった、14世紀ブルージュ(ベルギー)では、国家や教会から離れて商業ルールの下に商人中心の市場が栄えたことである。以降ベネチア、アントワープ、アムステルダムも国家や教会の壁を越えて市場が繁栄した。市場の拠点というのは、時代ごとに移り変わるものであると持論を展開される。18世紀のイギリス、19世紀のアメリカ東部、そして20世紀のロスアンゼルスも同じように市場は移動している。

 今後グローバル市場の候補地として期待されるのは、中国であり、インドであるが、問題は中国には国内問題と官僚社会があり、インドにも国内問題がある。1970年代に日本市場はアメリカに次ぐ世界市場になるとの期待があったが、その可能性が消滅したのは日本の政治状況と国際市場への準備を怠ったことであると辛辣である。

 今後アメリカがこれまでのように世界をリードすることは難しいだろうが、やはり世界のリーダーとして存在感はあるだろうし牽引車となるだろう。しかし、これまでに比べて連邦政府が大きな政府となり、保護主義が強まり内向きになるだろう。従って日本を含めて外国への関与も少なくなるだろう。

 これからは資本主義の中に民主主義が配慮され、社会的支出と公的支出のバランスが重要になると結論づけた。早速自由が丘の書店に著書「21世紀の歴史」を求めに行ったが、置いてなく夕食に妻と出かけた玉川高島屋内の紀伊国屋書店にもなかった。発行元・作品社の書物は取り扱っていないらしい。近くの書店に注文するより方法はない。

 世界中を席捲している豚インフルエンザだが、メキシコで感染したカナダ人の豚舎従業員が帰国後仕事中飼育している豚に感染させて相当数の豚が豚インフルエンザに感染した。人間を介して豚インフルエンザを豚に感染させたという、まるで漫画のような話である。

2009年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

720.2009年5月3日(日) 憲法記念日に民放は憲法論議なし

 今日は憲法記念日で、今朝の新聞を見るとそれなりに憲法論を取り上げている。その中で朝日新聞の全面「意見広告」掲載が目を引いた。一時流行った市民の意見を訴える手法で、ニューヨーク・タイムズへ載せたベトナム反戦意見広告で有名になった。

 意見広告は、「市民意見広告運動事務局」が8,395件の賛成を得て掲載したもので、「戦争をとめよう!人間らしく生きたい」と訴えている。その根幹は日本国憲法9条「戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認」と、第25条「生存権―人間らしく生きる権利」を強く打ち出している。反改憲歌も4つばかり発表されている。

 「地球村の大人等愚か武器購う隣で飢えし児明日死にゆくに」

 「爆音のとどろく吾子の部屋にいて九条切に守らんとぞす」

 「七割は餓死と知らさる『英霊』の夏」

 「九条に羽つけガザの子包みたし」

それぞれ反戦の気持ちが表れている。

 テレビではNHKだけがスペシャル番組を流した。「天皇と帝国憲法『万世一系』はこう書かれた」で天皇機関説について評論家・立花隆と御厨貴・東大教授がそれぞれ分かりやすく解説してくれた。特に、政党政治の始まりから軍部と右翼の台頭、2.26事件、満州事変、大東亜戦争への流れをフィルムを交えて紹介していた。その中で印象に残ったのは、天皇機関説を主張した美濃部達吉教授とそれに反対した上杉慎吉教授の対立論争と、上杉教授の右傾化思想に浮かされた東大生、更に上杉教授の取り巻き学生によって引き起こされた連続的テロ事件等々である。昭和初期の一連の危険な動きを分かりやすく教えてくれた。こういう番組はやはり劣化している民放テレビでは期待出来ないことを感じさせられた。どこのテレビ局にも硬派の憲法番組がまったくなかったからである。

 朝日の世論調査によると九条改正に反対する人が64%だという。しかし、これも条件付きなので実際にどの程度の国民が現在の憲法に賛成しているのか、反対しているのか分かりにくい。そこで以前から一部に改憲論争が浮上していたが、このところそれは下火になってしまった。目先の経済対策が先決で憲法まで手が廻らないというのが本音だろう。しかし、いつまでも憲法論議を放っておくことは出来ないだろう。実際に現憲法下で自衛隊の海外派遣も行われている。イラク特措法のように、時限立法もあったが、海賊対策のための海上自衛隊ソマリア沖派遣は恒久法の匂いがする。そろそろ期限を定めて憲法と正面から向かい合って議論を進め、結論を出すべき時に来ているのではないか。

 安倍首相時に憲法改正の動きが出た時は、安倍シンパが動きかかったが、今は動くのはあまり得策でないと悟ったのか、利に敏い政治家は相変わらず動こうとしない。一体日本憲法は誰のものなんだ。

2009年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

719.2009年5月2日(土) ビルマのサイクロンから早や1年

 昨年ビルマでサイクロンにより多くの犠牲者が出たが、早いもので今日でちょうど1年になる。予想されていたことであるが、一向に原状回復の兆候がない。国際人権団体が軍事政権は被災者の復興に主導的役割を果たしていないと批判した。被災直後に軍政が国際的な人道支援を拒んだことと、被災者や貧困層への食糧や健康、教育支援より軍事費を優先させているとして重ねて非難した。ビルマ人の心の優しさとビルマの貧困を知るだけに、現在伝えられる悲惨な状態はあまりにも切なく悲しい。しかし、今の軍政が続く限り、悲しいかな、ビルマに平和で安定した生活は訪れないだろう。

 昨日アメリカでクライスラー社の経営破綻が公表されたが、4月のアメリカにおける新車販売台数は前年同月比34.4%減という惨憺たる数字だった。クライスラーに至っては、48.1%減で昨年に比べて半分しか売れなかったということになる。アメリカ自動車産業の凋落ぶりが数字的に証明されたことになる。クライスラーはイタリア・フィアット社と提携してアメリカ連邦政府の支援を受けて再建を期することになる。いずれにしろこの様子では当分自動車産業はもちろん、アメリカ経済全体の復調は望めない。

 さて、先日に続いて今日もITコンサルタントの小糸さんに自宅へ来てもらい、‘SKYPE’の説明をしてもらって使用で出来ようになった。今はそれほど緊急性を感じていないが、もし‘SKYPE’が使えるようになったら会議もできる。今後知研の出版プロジェクトの定期会議なんかを開催できるのではないかと考えている。編集スタッフはみんなITに詳しいので、今度提案してみようかとも思っている。

2009年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

718.2009 年5月1日(金) 今日も日本中がインフルエンザの虜

 今日も新聞とテレビは新型インフルエンザ感染の話題で持ちきりである。昨晩成田空港へ帰ってきた若い女性が感染の疑いありとして隔離されたが、今朝になり検査の結果新型インフルエンザではなく、通常のインフルエンザということが分かった。ところが、25日にカナダから帰ってきた横浜の高校生が今朝1時過ぎに新型インフルエンザ感染者第1号と診断され、隔離されたと舛添大臣が発表した。しかし、この高校生も疑いが晴れ、大臣が言うように新型インフルエンザではなく、一応通常のインフルエンザと分かった。

 この後の舛添大臣と中田横浜市長の鞘当てがお笑いである。まったくこんな時に誤報道の責任は相手方にあると言わんばかりの言い争いを見せ見苦しいことおびただしい。

 笑っちゃうと言えば、新型インフルエンザの疑いから解放された高校生の通う高校長が、涙を流しながら「嬉しい。万歳ですよ。ヤッターという感じです」と述べた。この無邪気な喜び方のパフォーマンスは、些か常軌を逸しており、果たしてこれが高校の校長先生かと思った。事柄を間違えているのではないか。どこもかしこも知的レベルが下がっているのではないかと心配になってくる。

 ついにというべきか、アメリカ自動車産業ビッグ3のひとつ、クライスラー社が経営破綻した。この後経営再建を目指し政府の支援を受け、同時にイタリアのフィアットとの資本・業務提携を目指す。クライスラーといえば「ジープ」や「ダッジ」が有名だし、マンハッタンのクライスラービルは、ニューヨーク摩天楼街の中でも抜きん出て格好のよいビルで、最も好きなビルのひとつだった。

 さて、昨日で連載が終った日経紙「私の履歴書」の筆者、近藤道生氏の自伝は興味があり、久しぶりに印象深いものだった。今年傘寿にしてなお博報堂最高顧問として矍鑠と活動されておられる。第1回から戦争体験を書き、半分の15回分を戦争記述に費やした。戦争の悲劇を実体験から淡々と書いており、しかも生死の境をさまよい終戦をシンガポールで迎えた。その間南方で中学時代の同級生と出会いながら、その友を失うなど、随分苦労を重ねた苦しみを余すところなく描いていた。後に国税庁長官にまで栄達しながら、民間会社で力量を発揮して人間的にも中々の魅力のある人物であることが分かる。

 昔はこういう肝っ玉の据わった人がかなりいたものだ。

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717.2009年4月30日(木) 「フェーズ」って何だ?

 豚インフルエンザが猛威を振るいだした。新聞、テレビのニュースのトップ記事はすべてこの新型インフルエンザに関するものである。世界保健機構(WHO)は警戒水準を一昨日「フェーズ3」から「フェーズ4」へ上げたが、今日更にその一段階上の「フェーズ5」へ引き上げた。WHOの「フェーズ」分類は6つに分けられており、上から2番目の警戒水準になったのは、WHOの一地域に属する2ヶ国以上で新型による感染が継続している状態になったからである。一昨日メキシコにしか死者が出ていなかったのに、昨日ニューヨークで1歳児が亡くなったのを受けて水準を上げたわけである。世界中を挙げて大騒ぎである。

 ところでどうしてマス・メディアはこの「フェーズ」という言葉の詳しい解説をしてくれないのだろう。「フェーズ」なんて言葉の語源を知っている人がどのくらいいるだろう。もう一週間近く話題になっていながら、この期に及んでまだどの新聞でも、テレビでも解説してくれない。マス・メディアの人たちはその意味を知っているのだろうか。そんな言葉ぐらい誰でも知っていると思っているのだろう。こういう好い加減で思い上がったところが、メディアの頼りにならず許せない点である。止むを得ず、昨日インターネットで調べたら‘PHASE’というスペルだった。時期とか、段階だとか、或いは相というような意味で、これなら分かるが、これまで頭はPHAではなくFAから始まると思っていたのでまったく見当がつかなかった。マス・メディアの報道の役割というのはどうなっているのだろうか。

 先日グーグル社の書籍検索に関する諾否のアンケートが日本文芸家協会から送られ回答を郵送したが、これについて日本の作家や出版社も戸惑っている。昨日日経紙の記事や、今日のNHKニュースを見るとデジタル化の対象になっている4,300人の作家に送ったアンケートで、8割強の人が完全削除を求めたとあった。僅か293人がデジタル化と表示を容認して収益の分配を受けるという。私はその293人の中のひとりに入っている。若干和解を勧める協会の誘導質問に乗ってしまった形だが、私の場合は必ずしも文筆で食べているのではないので、真剣味が足りない回答になっていたようだ。大江健三郎のごときは、150冊もの著作があるので、当然グーグルへ削除を求めるのは頷ける。それにしてもグーグルの知的暴力には憤懣やる方ないが、判断が難しい問題である。

2009年4月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

716.2009年4月29日(水) 「昭和の日」が静かになった。

 「昭和の日」であるが、かつての天皇誕生日はとっくに卒業して平凡な祭日となった。しかし、それにしても昭和天皇の誕生日にその天皇に関するニュースがまったく聞こえてこないのは、ちょっと奇妙な感じである。2,3年前までは、どんな小さなものであれ、何か昭和天皇に関する情報を伝えたと思う。しかも今年は昭和天皇が亡くなってちょうど20年という節目の年でもある。

 最近一部のマス・メディアが昭和天皇の戦争責任について肯定的に触れた。天皇に関してはあまり干渉しないことがこれまで暗黙の了解となっていたと思う。特に、右寄りの人たちは、天皇の戦争責任に触れること自体を避けたいために、敢えて昭和天皇が話題になることを避けようとしている節がある。原寿雄著「ジャーナリズムの可能性」では、はっきり昭和天皇に戦争責任ありと断定している。存命中にうやむやにしてしまった昭和天皇の戦争責任は、今や時間的に取り返しはつかないが、やはりきちんと決着はつけるべきだというのが原氏の持論である。原氏の講義の際にも昭和天皇には戦争責任があると明言していた。徐々に天皇の戦争責任を追及する空気が盛り上がるのを避けようと、敢えてマス・メディアがニュースとして取り上げるのを避けたとするなら、これは右傾化の流れではないか。

 昨日本稿で補正予算のてんこ盛りについて触れたが、今朝の朝日「天声人語」でも黙っていられないと厳しい「天の声」を突きつけている。今年度国家予算は合わせて100兆円を超えて過去最高額となった。新規国債も44兆円で税収に匹敵する。「天の声」が批判しているのは、「100年に一度」の不況を政府の護符として、何でもありの政策決定は許せないというのである。ところが、今日からゴールデンウィークで日本の2大巨悪、政治家と官僚は仕事をしない。マス・メディアでこれだけ批判されても政治家は自分勝手にしかものを考えないのだろう。

 それに引き比べ、今日観たNHK「にっぽん紀行・高知93歳カツオ漁師支える89歳妻」には感動した。強欲な政治家と比べるのもどうかと思うが、この高齢で一艘のカツオ船に2人で乗船して、夫はカツオ釣りの様子を、妻は最近になって心配だからとただ傍で夫のやることを黙って見て支えている。息子や周囲からも船を降りるよう説得されるが、受け入れない。そのうえで、「年老いて船を降り船を売った漁師が次の年に亡くなった例が多い」と頑固に沖へ出る。結婚して70年の夫婦がお互いに支えあう姿は美しく見えた。政治家もこういう美しく支えあって仕事に夢中になる夫婦愛を見て少しは見習ってはどうか。

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715.2009年4月28日(火) バラマキ予算のツケをどうするのか。

 急速に豚インフルエンザの影響と警戒が広まっている。メキシコでは、すでに死者が149名に達したという。水際で食い止めようと日本も対策に動き出し、メキシコからの直行便の機内検査を入念に行ったように、俄然警戒度を高めてきた。メキシコでこれだけ短期間に感染者が広がったのは、衛生観念の甘さが原因との指摘があった。

 世界規模の警戒と予防で各国とも感染防止に懸命である。世界保健機構(WHO)の見方も「フェーズ3」から「フェーズ4」というカテゴリーに引き上げられた。日本国内でも今日は厚生労働省から市町村の保健衛生担当部署に至るまでてんやわんやの大騒ぎである。

 この騒ぎの陰で大切な国会審議にスポットライトが当らない。これも心配である。今年度の補正予算(13兆9千億円)が昨日提出された。今月10日に追加経済対策(15兆4千億円)を決めたばかりである。本年度全体予算の内、国債新規発行が44兆円に達するという。不況対策として財政出動はある面で止むを得ないが、この金額はあまりにも突出していて些か異常と言わざるを得ない。税収比率が45%と過去最低だそうである。支出予算の内、半分以上を借金に頼るわけである。毎度のことながら緊急性を訴えているが、どうもそれだけではなさそうだ。あくまで景気を刺激するための緊急対策であるべきであるが、近づいている総選挙対策のためのバラマキになっているのがミエミエである。

 1兆円の予算がついた農林漁業では即効性があるとは思えない諸々の支出項目満載にうんざりである。教育予算にしても一般会計でなく緊急経済対策として学校教室の電子黒板なんて必要なのかどうか、間に合っているのに小中高にパソコンを購入させるのが緊急経済対策なのかどうか、トンチンカンな支出ばかりをてんこ盛りで経済不況を理由にして何でもかんでもばらまく神経は確かにおかしい。就任当初は期待していた与謝野財務相が、うも自民党幹部に追い詰められて、否応なく予算の大盤振る舞いをやったと思えてしようがない。しかし、このツケをどうするのか。国の借金はどんどん溜っていく。これを健全財政にしようとする意欲もビジョンもまったく見られないのだ。改善しようとの気持すら、政治家のパフォーマンスには見られないのが寂しい。一体全体国の行く末はどうなるのか。どうにも虚しい話である。

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714.2009年4月27日(月) 出版2ヶ月で古書とは?

 今夕新宿で知研出版プロジェクトの主要スタッフが集まり定期的な打ち合わせを行った。私以外の6人は仕事を終えてから集まってくれた。取材の撮影、記録を担当している幅健一さんから鮮明なDVDを送ってもらい大助かりだったので、お礼の気持を込めて先日拙著「停年オヤジの海外武者修行」をお送りした。ところが幅さんはすでにアマゾンを通して拙著を申し込んでくれたので、私が送ったものとアマゾン本と2冊同時に届いたとメールをもらった。それでは別の拙著と取り替えてあげようと「新・現代海外武者修行のすすめ」に署名して持参した。幅さんからアマゾン本を受け取って裏表紙を見た途端びっくりした。何とそこには「恵存『向上心と好奇心』近藤節夫」と手渡して贈呈する場合と同じように墨書してあるではないか。差し上げた人の名が書いていない点から、すぐピンときた。これは、2月の出版記念会の際出席していただいたゲストに差し上げたものだ。自分の手元を離れた自著と再会するとは考えてもみなかった。差し上げてから僅か2ヶ月である。可能性はあるが、実際こうも簡単に、かつ偶然に手元を離れた著書と出会うなんてことがあるなんて考えてもみなかった。同じような経験がおありなのかどうか、今度小中陽太郎さんにお会いしたら聞いてみたい。

 しかし、珍しいことを知った反面ちょっとばかりショックでもある。せっかく差し上げた拙著をこうも簡単に手放されたことが何とも残念である。自分の思い込みもあるが、いつまでも大切に持っていただければ幸いであるとの気持を込めた「恵存」と書いたのもそういう願いだったからである。幅さんに聞いてみると古書の扱いだったようだ。購入価格は1,000円だったというから、定価1,400円から考えて、まだ価値はそれほど下がっていなかったことになる。それにしてもちょっとばかり悔しい。

 今日のプロジェクト会議は、主インタビューアが取材の原稿を書くことを確認したことと、原稿内容の方向性とまとめ方がはっきり決まっていないので、最初にインタビューした私が、取りあえず取材記録を文章化してモデル文を書こうということになっており、もうじき脱稿出来る。勿論久恒理事長と八木会長からアドバイスをいただいて推敲し、ひとつの形を作りあげるのである。責任重大である。

2009年4月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

713.2009年4月26日(日) ジョン万次郎記念館はいずこに?

 ジョン万次郎がマサチューセッツ州フェアヘヴン市に到着したのは、5月7日ということになっている。今年はその到着日にこれまで改装して休館していたジョン万次郎記念館がオープンするという記事が載っていた。ジョン万次郎は妻の遠戚に当るので、関心は人一倍あるし、1976年に文部省教員海外派遣団の添乗員としてジョン万次郎記念館を訪れた時、記念館館長から歓迎されたことがあるので懐かしい気がする。

 いつも思うのだが、記念館のある場所がフェアヘヴンと書かれているが、正確には隣町の捕鯨の町ニュー・ベッドフォードである。マサチューセッツ湾に望む小さな漁師町で、海辺の漁師の家の屋上には突き出たような見張台がついていた。そこから遠洋へ出漁する夫が乗る捕鯨船を妻が手を振って見送ったと説明を受けた。万次郎が救助された捕鯨船のホイットフィールド船長の自宅が記念館になっている。ニュー・ベッドフォード市教育委員会のお世話で同市に約1週間滞在して、その間に学校訪問をしながら近郊を観光させてもらったことを思い出す。その時隣町のフェアヘヴン市へも行った。記念館の館長さんから遠戚の奥さんとまた一緒にお出でくださいと言っていただいたが、残念ながらその機会は未だに訪れない。その後しばらくして、当時皇太子だった現天皇・皇后両陛下が訪れた。中々静かな環境の中にある、瀟洒な2階建て木造住宅だった。

 昨日からメキシコの豚インフルエンザのニュースが流れている。どうやら拡大しそうな勢いである。昨日はメキシコ国内だけで60名の死者が発生したと言っていたが、今日になってその数は81名にまで増えた。アメリカでも11名が感染している。これまで日本国内では鳥インフルエンザは随分騒がれたが、豚というのは初めてではないだろうか。こうなると困るのは旅行者と旅行業者である。メキシコ方面のツアーをキャンセルしている旅行業者が多い。運が悪いとしか言いようがない。しかし、旅行業者の立場なら、敢えて火中の栗を拾う必要もあるまい。ツアーをキャンセルして、豚インフルエンザが頭上を通り過ぎるのをじっと待つだけである。それにしてもこの種のニュースは旅行業者泣かせであるばかりでなく、多くの人を悩ませる。

2009年4月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com