急速に豚インフルエンザの影響と警戒が広まっている。メキシコでは、すでに死者が149名に達したという。水際で食い止めようと日本も対策に動き出し、メキシコからの直行便の機内検査を入念に行ったように、俄然警戒度を高めてきた。メキシコでこれだけ短期間に感染者が広がったのは、衛生観念の甘さが原因との指摘があった。
世界規模の警戒と予防で各国とも感染防止に懸命である。世界保健機構(WHO)の見方も「フェーズ3」から「フェーズ4」というカテゴリーに引き上げられた。日本国内でも今日は厚生労働省から市町村の保健衛生担当部署に至るまでてんやわんやの大騒ぎである。
この騒ぎの陰で大切な国会審議にスポットライトが当らない。これも心配である。今年度の補正予算(13兆9千億円)が昨日提出された。今月10日に追加経済対策(15兆4千億円)を決めたばかりである。本年度全体予算の内、国債新規発行が44兆円に達するという。不況対策として財政出動はある面で止むを得ないが、この金額はあまりにも突出していて些か異常と言わざるを得ない。税収比率が45%と過去最低だそうである。支出予算の内、半分以上を借金に頼るわけである。毎度のことながら緊急性を訴えているが、どうもそれだけではなさそうだ。あくまで景気を刺激するための緊急対策であるべきであるが、近づいている総選挙対策のためのバラマキになっているのがミエミエである。
1兆円の予算がついた農林漁業では即効性があるとは思えない諸々の支出項目満載にうんざりである。教育予算にしても一般会計でなく緊急経済対策として学校教室の電子黒板なんて必要なのかどうか、間に合っているのに小中高にパソコンを購入させるのが緊急経済対策なのかどうか、トンチンカンな支出ばかりをてんこ盛りで経済不況を理由にして何でもかんでもばらまく神経は確かにおかしい。就任当初は期待していた与謝野財務相が、うも自民党幹部に追い詰められて、否応なく予算の大盤振る舞いをやったと思えてしようがない。しかし、このツケをどうするのか。国の借金はどんどん溜っていく。これを健全財政にしようとする意欲もビジョンもまったく見られないのだ。改善しようとの気持すら、政治家のパフォーマンスには見られないのが寂しい。一体全体国の行く末はどうなるのか。どうにも虚しい話である。