5860.2023年5月30日(火) 岸田首相、長男の政務秘書官を更迭

 政治家に有りがちな後ろ向きの行動にはうんざりさせられる。昨日岸田首相は、長男の政務秘書官を6月1日付で交代させると発表した。野党からはもちろん、自民党内でもかなり批判的な声が強く、政権運営上首相自身が更迭を決断したようだ。長男が仕出かした不祥事とは、昨年末に首相官邸内の公的な場で、首相の長男をはじめ甥や姪ら親族が集まって忘年会を行い、長男の行動が、公的立場にある政務秘書官として不適切であったというものである。確かに公に公開された写真を見ると首を傾げるシーンが多い。こんな幼稚な行為ぐらい非常識だと息子は気がつかなかったのだろうか。

 今回の事件は、初めてではない。今年1月外遊する首相に同行してロンドンを訪れた際、大使館の公用車で市内観光を楽しんだり、ショッピングをしたと追及された。買い物は世話になった人へのお土産として購入したもので公的な業務だったと弁解していたが、今回ばかりは許されなかった。首相も前回は厳しく注意したということで乗り切ったが、今度ばかりは2度目のドジで前回の事件からまだそれほど時間も経過していない。結局岸田家三代に亘る世襲の挙句に、膿が出たということではないだろうか。

 つまり岸田世襲家の体質が行動に現れたと言っても好いのではないか。若いころから周囲が皆お膳立てをしてくれ、あまり考えることもなく行動出来る。今日本の政治家に世襲の割合が高くなった。そう簡単に政治家になれない中で、生まれつきの家系のお陰で苦労なく政治家になれる世襲政治家というのは、政治家としての努力や勉強もせず、ただ運が良いというだけだ。

 それにしても10年ほど以前のことであろうか、自民党が率先して選挙で世襲議員を認めないルールを作ったことがある。あれは親と同じ選挙区からはある一定の期間を置かなければ、立候補出来ないと決めたものだ。世襲議員にとっては不利益が多すぎて苦情が出たのだろう、あっという間に消えてしまった。しかし、いずれにせよこの世襲問題は国民にとってマイナス面が強すぎるので、遠からず世襲議員廃止の動きが現れることだろう。

 さて、今日はNPO法人「JAPAN NOW観光情報協会」定期総会が開催され、何年ぶりかで出席した。同NPOはコロナ渦で十分な活動は抑えられていたが、地道に活動を続けている。理事長が一身上の理由から急遽辞任されたので、今年度は暫定的に理事長を選出し、来年度改めて新理事長の選任を行う。総会後にJR東海顧問の須田寛氏が、「『産業観光』の位置と役割」のテーマで講演された。須田氏は今年92歳になられるが、相変わらずお元気で矍鑠としておられる。僭越だが、私的な質問と感想を述べさせていただいた。日本国内だけで活動する国鉄、JRに長年勤めておられた須田氏が、海外とも連携しなければならない「産業観光」にご執心で哲学を持っておられるのに敬服している。「産業観光」が「見る」「学ぶ」「体験する」であるということは、「触れる」「コミュニケートする」ことでもある。現在インバウンド需要は盛況であるが、海外旅行初期には、公的に国民が海外とコミュニケートすることを妨害されていたような印象を受けている。幸運にも役所の努力もなしにインバウンドが繁栄するや、観光業の発展に何もしなかった役所が、観光業繁栄を得意げに語っている。散々役所に痛めつけられた初期の海外旅行に携わっていた我々観光業者にとっては、頭を切り替えるべきだと役所を批判する話をした。須田氏も納得してくれたようだし、出席者からも理解してもらえたと考えている。

2023年5月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5859.2023年5月29日(月) エルドアン大統領、25年の長期政権へ

 昨日朝日新聞に掲載されなかった高校の同級生・中西準子さんに関する記事が今日掲載されていた。ホッとしてメールを送った友人らに改めて今日から14回に亘って連載されると連絡したところである。

 さて、今世界で注目されている事項を2つばかり取り上げてみたい。

 ひとつは、昨日行われたトルコ大統領選決選投票の結果である。エルドアン大統領が過去20年間政権を率いて積極的な外資導入などにより国民1人当たりのGDPは伸びたが、金利の引き上げなどで大幅なインフレを招き、通貨リラも2年間に半分の価値に下がり国民生活を追い詰めた結果となった。今年2月には大きな地震被害があり、その崩壊した建物の杜撰な建築基準を巡って国民から厳しい非難を浴びていた。

 だが、結果は、現職のエルドアン大統領が対抗馬の野党連合のクルチダルオール氏を52対47で破った。そのエルドアン大統領が、また5年間国のリーダーとなる。外交では、ロシアとウクライナの両国に平和交渉を訴え、両国に対して等間隔を保ちつつ仲介者たらんとする姿勢には、自らの名を売り込み国際的にも自らの立場を強めようとする意欲が垣間見える。それをどう受け取ったのか、早速ロシアのプーチン大統領から祝電が届けられたが、一方のゼレンスキー大統領からも祝電が届けられた。更にアメリカのバイデン大統領からも祝電が寄せられたというからトルコを取り巻くロシア・ウクライナ情勢とは良く分からないものだ。ロシア、ウクライナとバランス良く付き合い、それなりに評価を得ているようだが、ロシアの攻撃が一層強まった場合、どうバランス外交の舵取りをやっていくのだろうか。長年に亘って独裁政権を担っているプーチン、習近平、金正恩らは国民に圧制を強いているが、彼らと同じように長期政権に就くエルドアン氏は、果たして今後5年間国民にどう向き合っていくのだろうか。

 もうひとつ注目されているのは、アメリカの米債務上限問題である。昨日になってバイデン大統領は漸く共和党のマッカーシー下院議長と合意した。歳出に制限を加えるとの条件で2025年1月まで上限の効力を停止することでまとまり、反対する議員を説得することになったようだ。全面的に問題解決というわけではないが、嵐は通り過ぎたと言えよう。これを好感したのか、米ドルは上がり円は下がって1㌦=140円35銭まで下落した。その一方で輸出業が繁栄すると予想されたのか、日経平均株価は先週末比317円高となり、31,233円を記録してバブル景気だった1990年以来33年ぶりの最高値を記録した。ただ、これで輸入関連製品は益々値上げされるだろう。

 ところで、昨日の朝日「天声人語」に「シジュウガラは言葉を話す」と言ったシジュウガラを追い続けている人に、それを証明した論文があるという話が紹介されていた。我が家の庭にも時々シジュウガラの姿を見るが、どんな鳴き声かはっきりとは分からなかった。その鳴き声は「スキスキスキ~」というのだそうだ。それなら年中家で聞いている。今も庭で「スキスキスキ」とやっている。これがシジュウガラの鳴き声と初めて知った。急に鳴き声が変わった場合は敵が来たとの注意喚起だそうである。これからはこの鳴き声に耳を傾けてみようと思う。

2023年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5858.2023年5月28日(日) 同級生の文化功労者、環境学者・中西準子さん

 朝日新聞朝刊「文化」欄に著名人への連続インタビュー記事が定期的に掲載されていた。前回はドリフターズの高木ブーについて14回に亘って掲載された。その最終版に次回は中西準子さんと紹介された。中西さんは環境学者として広く知られ文化功労者でもあるが、彼女とは高校の同級生である。昭和29年に湘南高校へ入学した時、同じクラスになった。そんなこともあり、その情報をクラスの仲間や親しい卒業生らにその旨をメールで知らせた。連載は日曜日から始まると思い早速今日の朝刊に目を通したが、どこにもそれらしいインタビュー記事なんて載っていない。迂闊にもどうやら早トチリをやってしまったようだ。次回と書かれていたのを次週と早飲み込みしてしまったに違いない。期待をしていたであろう友人らには申し訳なく思ったので、慌ててお詫びと訂正のメールを送ったところである。

 中西さんと言えば、クラスの中でも優秀でひと際目立った存在だった。当時クラスには女生徒は僅か3人しかいなかった。他の2人の女性も優秀だった。中西さんは横浜国立大学工学部へ進み、東大大学院を卒業したと思う。その後学会で活躍され、長らく東京工業大学教授を務めていた。2011年に文化功労者に推薦されたが、前年にノーベル賞を受賞された根岸英一博士と世界的な交響楽団指揮者・大野和士氏と併せて母校から3人も選ばれた。全国から選ばれた17人の文化功労者のうち、偶々母校から3人選ばれたとは少々誇らしいことである。
 高校卒業後は彼女との接点はなくなったが、時折メディアに登場するので、その都度関心を持って気にしていた。近年はクラス会でしばしば会うようになり、再び言葉を交わすようになった。

 彼女の最初の印象は私には強烈なショックだった。高校入学直後の「生物」の授業で新人教師が時間を持て余したのか、誰か何でも好いから歌を唄うよう呼び掛けた。それに応えて中西さんと私が立って唄った。最初に私が当時流行していた俗っぽい流行歌、津村謙の♪上海帰りのリル♪を唄った。そして中西さんが唄った。ところが、彼女が唄ったのが♪第一インターナショナルの唄♪だった。当時私はまだこの曲を知らなかったが、そのころ彼女の父親は日本共産党選出の参議院議員だった影響もあるのだろうか、あの左翼的な労働歌を教室で堂々と唄ったのには驚いたものである。その後知ったことだが、彼女は戦前上海市内に住んでいた。偶々私が唄った♪上海帰りのリル♪は、正に♪上海帰りの中西さん♪だったのである。彼女が住んでいた上海の一角には、今病の床に伏している小中陽太郎さんも戦前住んでおられた。

 果たして朝日「文化」欄にどんな話題が掲載されるのか今から大変楽しみである。

 さて、今日大相撲夏場所千秋楽を迎えた。すでに昨日横綱照ノ富士が6場所ぶり8度目の優勝を決めていたが、先場所まで3場所連続で全休し、4度目の膝の手術の後で体調も万全ではなかった横綱が横綱の実力を発揮して優勝したのには敬服する。こんな例は明治以来3人しかいないという。今場所中にはかつて優勝をしたこともある外国人力士の元大関栃の心や逸ノ城が引退を決めた。相撲も国際的になり外国人力士も増えた。今ではモンゴルを中心に実力のある外国人力士が揃っているが、幕下上位で勝ち越した獅司というウクライナ出身の力士まで現れ、国際色が益々華やかになる。それはそれで楽しみでもある。

2023年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5857.2023年5月27日(土) 「異次元の」少子化対策案

 政府の予算案の大きな目玉である少子化対策が、今年の骨太の方針で正式に示された。少子化対策は「異次元の」と形容詞が付く。その事業費は年3兆円規模と想定されている。自民党内でも異論が出ているのは、その財源の内約1兆円を社会保障費の歳出削減で捻出しようとしているからである。当然ながら多くの反対意見が出ている。昨年10月以降歳出削減のあおりを食って高齢者医療割引率が10%も下げられた。再び減額される可能性が高い。引き続き65歳以上の高額所得者の介護保険料引き上げについても議論が行われるようだ。どうも財源はまずは高齢者への補助削減が狙われているようだ。

 「異次元の」少子化対策の原案を見ると、大きな改革のひとつに児童手当の支給対象をこれまでの中学生から高校生にまで拡大することである。そして高額所得の保護者の場合は対象外とされていたが、骨太では高校生までのすべてのこどもを対象に毎月1万円を支給する。加えて3番目以降の子どもにはこれまで毎月1万5千円だった支給額が、倍増の3万円になる。ざっと目を通して見ると仮に高校生を含む3人の子どもがいる家庭では、毎月5万円の補助をいただけるという非常に恵まれた恩恵を受けられる。羨ましい限りである。

 先の統一地方選で「日本維新の会」が派手な公約を掲げた大阪府では、私立校を含むすべての高校の完全無償化案の検討に入ったようである。但し、この案は私立学校側から経営上の圧迫になると反対の声が寄せられている。更に教育専門家らからも私立校の自由を奪う恐れがあると指摘されている。そもそもこんな苦情が湧くのも、中学生までは国・自治体から支給された授業料及び教育費を生徒が学校に収めているが、私立高校生については一律に大阪府が授業料として年60万円分を直接学校へ支給するため、もっと高い授業料の場合はその差額を学校が負うことになる。学校としてはその経費分が不足する。

 いずれにせよ大阪府は検討段階に入ったようだが、大阪私立中学校高等学校連合会は今後、府とどうやって解決の糸口を見つけることが出来るだろうか。吉村知事の腕の見せ所でもある。

 さて、G7もまずまずの評価を得て、ホッとしていた岸田首相に思いも寄らぬプライベート上の低次元の問題が引っかかっている。それは、とかくの批判があった政務秘書官の長男が、また軽率な行動によって自民党内ばかりでなく、世論の批判も浴びている。普通の大人の立場から考えれば、分かりそうなものだが、この世襲の息子には常識と非常識の境界が分からないようだ。昨年12月に岸田家の従弟同士が首相公邸内で忘年会を開いて、中には赤じゅうたんの階段上に横になっている若者がいた。昨年10月に首相の訪英に随行した際には、公用車で観光、買い物をしたと非難されたばかりである。流石に今度は言い訳も出来ない首相は、謝罪し息子に厳重に注意したというが、野党、自民党内からも秘書官を更迭すべしとの声も上がっている。その背景には、世襲政治があると厳しく指摘されている。こうした声が出ないよう政治家は、そろそろ世襲政治と縁を切るべき時期に来ているのではないだろうか。

2023年5月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5856.2023年5月26日(金) 凶悪事件頻発と自民・公明東京支部対立

 最近都市、地方を問わず罪もない人が殺害される残虐な事件が頻発している。海外まで出かけて高額な特殊詐欺事件を起こしたり、若い女性を殺害して不動産業を経営する叔母まで殺害しようとその資産を狙ったり、タワーマンションの駐車場に連続放火のような不審な事件も相次いでいる。1週間前には、現代の歌舞伎界で実力、人気ともに断然横綱の座にあった市川猿之助が、両親とともに無理心中を図って猿之助だけが命を取り留めるような、原因が分からない事件も起きている。そこへ昨日午後長野県中野市で若い男が猟銃とサバイバルナイフを振り回す事件が起きて夜通しテレビで報道していたが、今朝4時過ぎ12時間ぶりに犯人が身柄を拘束された。結局2人の女性と警官2人が殺害された。捕らえてみれば、市議会議長の31歳の息子だと判明した。これから事件の全体像が解明されるだろうが、かつてはあまり目にしなかったような事件の頻発は、世の中が不安定で国民に落ち着きのない証拠であろう。

 そういえば、政界でも何だか妙な動きが伝えられている。ひとつは、10増10減に伴う次の衆議院選で新たに設けられる東京28区で、自民党が公明党の立候補を認めず、これを止むを得ず受け入れた公明党が立候補しない代わりに、他の東京選挙区における自民党立候補者の推薦を見送ると言い出したのだ。公明党は、①東京29区で自民の推薦を求めない、②他の東京選挙区で自民候補者を推薦しない、③都内の各種選挙で協力しない、④都議会での協力関係解消、などを自民党に伝えたのである。公明党は与党として自民党と組んですでに24年が経つが、石井公明党幹事長は、東京における自公の信頼関係は地に落ちたとまで述べた。両党内の陰の声では、これ以上の争いは止めようとの声がある一方で、自民党はこれまで公明党に配慮してきたが、今後は遠慮をせず、自民党の姿勢を貫くとの声も強いようだ。

 今関西を中心に日本維新の会の伸張が著しく、自民、公明ともにこれに危機感を抱いている。特に公明党は、近年比例区の集票力が落ち参議院では、2004年の862万票から、昨年は618万票にまで減り、対応策として新たな選挙区への進出が考えられている。

 一方自民党サイドとしては、今回の10増10減では有利だった地方区が減る。10減はほとんど自民党が被るが、10増は課題が多い。自民・公明の話し合いがこじれれば、連立与党も危うくなる。実際に両党共存でウィンウィンの関係だったが、東京新聞の予測では、仮に今衆院選が行われれば、前回25選挙区の内自民候補が勝ち、次点が立憲民主党候補の7選挙区は、公明党の票を得られなければ自民は立憲民主党に議席を奪われるだろうと予想している。

 G7の好評価で岸田政権の支持率も若干上がり、来る選挙では順当な勝利を得られるのではないかと皮算用をしていたが、現状ではむしろ当選者は減ると予想されている。東京支部だけの争いが、全国の自民党支部と公明党支部の対立にまで発展しないとも限らない。天下泰平なる出来事と割り切ればそれまでであるが、両党にとっては正念場と言えるかもしれない。

2023年5月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5855.2023年5月25日(木) コロナ渦は再び拡大しないか?

 新型コロナウィルス新規感染者が減ったと厚生労働省が判断し、今月8日コロナ対策を緩和し始めた。ところが、以後新規感染者が公表されなくなった中で、実は新規感染者は密かに増えているとの危なっかしい情報が流れている。ゼロ・コロナ対策を解除した中国でも大分再拡大しているようだ。しかし、戸外でもマスクを着ける人の数が大分少なくなってきた。現在大相撲夏場所が開催されているが、観客を見るとマスク姿が随分減ったように思える。再びぶり返されないことを切に願っている。
 コロナの話題に合わせて、14世紀ヨーロッパで人口の3分の1が亡くなって黒死病と呼ばれたペストの流行が取り上げられた。ペストについては、2013年に世界で783人の患者が報告され、その内126人が亡くなったとの報告があるが、今では一部の国を除いてほとんどペストは消滅しつつあると言っても好い。

 一方、かつて難病と言われたマラリアが、依然として今も世界では途上国を主に発病が見られるとの情報は些かショックである。驚いたのは、1945年終戦の年に沖縄の八重山諸島でそのマラリアが流行ったことである。旧日本軍の命令により山間部に強制疎開させられた多くの住民がマラリアに感染して命を落とした。今では日本国内ではマラリアの感染はないが、終戦時には八重山諸島全体で3,600人超の島民が亡くなった。

 そこで思い出すのは、1967年に初めてアフリカへ旅した時のことである。伝染病感染防止の衛生的観点から現在と異なり予防接種が厳しく、特に医療施設や治療薬不足など感染対策が遅れているアフリカ方面への旅行ではいくつかの予防接種を義務付けられた。種痘、コレラの他に黄熱病の予防接種まで必要だった。特に黄熱病は海外旅行専門の医療所でも接種出来ず、羽田空港内の医療所だけしか接種出来なかった。それも1週間後に決められた日時に2度目の接種を受けなければならなくて、随分不便だと感じたものである。今では、アフリカへ出かけるのでも余程の不衛生な地域ならともかく、普通ではこんな面倒な予防接種を受ける必要もなくなった。蚊が多かったアジアの戦地で罹ったことがある戦友会の方々からは、度々蚊から感染するマラリアの怖さについて伺ったことがある。

 そのマラリアも衛生観念が普及した今日ではほとんど発症は消えかかっているかと思いきや、今でもアフリカやアジア、中南米の一部で流行しているという。世界保健機関(WHO)によると、2021年に世界でマラリアにより亡くなった人の数は61万9千人もいたというから、まだ地球上からウィルスは消えていないのだ。コロナ感染についても流行は去ったと油断していると「一難去ってまた一難」ということになりかねないと思う。
 さて、今日夕刻になって宅急便で一冊の書籍が発行した出版社から送られて来た。セルビアの友人・山崎ブケリッチ洋著「山崎洋仕事集―丘を越えて海を越えて」で、著者が贈ってくれたものである。来月15日にセルビア大使館で著者による出版記念イベントが開かれるが、大使館から招待状をいただいているので当日彼と話し合えることが楽しみである。これまで彼が雑誌や新聞に書いた幾多の文をまとめたものである。その中に私について書いてくれた一文を見つけた。「ベオグラードに響く塾歌」というテーマで、私との出会いについて母校の「三田評論」に掲載された玉稿である。これまでに読んだ文章もかなり載っているようだが、600頁を超え、価格も4,500円という大書である。読みやすそうに編集されているので、これから楽しみに読もうと思っている。

2023年5月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5854.2023年5月24日(水) 終戦前米爆撃機による再三の都内空襲

 終戦の年1945年の明日夜、東京渋谷地区は400機ものB‐29 による無差別の「山の手大空襲」により3,600余人が亡くなり、罹災者は約56万人、焼失家屋16万6千戸の多大な犠牲と被害を被った。3月10日に下町を襲った東京大空襲は広く知られているが、その他の空襲はあまり伝えられていない。4月にも米軍機による大空襲もあり、5月には前日の24日にも品川区周辺の城南大空襲により520機のB‐29が襲来し762人が命を失った。これら5月の2度に亘る大空襲は、残念ながらほとんど知られていない。私自身もこれまで寡聞にして知らなかった。実はもっと知られていない事実は、それらの大空襲により多くのアメリカ軍兵士が犠牲になったことである。彼らは日本の捕虜収容所に収監されていた兵士たちだったので、結果的に米軍機による身内への攻撃となってしまった。原爆を含む日本空襲の犠牲になった米軍捕虜は179人に上がるとされている。

 しかし、間もなく78年目の終戦記念日がやって来るが、日本政府は外国人捕虜について軍事裁判に備えて多くの資料が焼却されたと言っている。アメリカ政府は徹底して調べ捕虜に関する記録をまとめたが、公表はしていない。

 終戦の年と言えば、国民学校初等科に入学した年で、房州の自宅の2階の窓越しに夜になると東京方面にピカッと夜空が真っ赤に染まったことをぼんやり思い出す。あの明かりの下で日米たくさんの人々が亡くなったのである。あの終戦直前の米軍の空襲は激しく、疎開先でサイレンの音とともに急いで近くの防空壕に逃げ込んだものである。

 国民の間ではもう戦争はこりごりという一般的な声が聞こえる。原爆被爆地の広島、長崎ではもう2度と過ちは繰り返しませんとの言葉が慰霊碑に書き込まれている。それでも日本は年々戦争に前のめりになっている気がしてならない。今年度の防衛費予算額は、過去最大の6兆8千億円に決め、防衛力整備計画とやらで今年度から5年間で現在の計画の1.6倍にあたる43兆円と考えている。戦争の怖さを知らず、戦争をゲーム感覚で眺めているような政治家たちが、アメリカの望むままにいとも容易に机上で多額の防衛予算を決めるからである。

 ひとつ明るい話題を取り上げてみよう。IQ判定のサイト‘Worldwide IQ Test’によると日本がそのトップに選ばれたのである。そのひとつの課題に「早くから読書」という一項がある。当然という気もするが、今読書離れの進んだ若者たちが大人になった頃にはIQ順位も相当低下するのではないだろうか。

 ベスト15を拾ってみると、1位日本の次は、2位台湾、3位韓国、4位ハンガリー、5位イタリア、6位イラン、7位香港、8位セルビア、9位フィンランド、10位ベトナム、11位スロベニア、12位モンテネグロ、13位トルコ、14位チェコ、15位クロアチアである。ベスト3を含めアジアから5か国も入っている一方で、G7からはイタリアだけしかランクインしていない。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどがランクインしていない点でやや首を傾げたくなる点もある。まあそれでも日本のトップを素直に自慢しても良いのではないだろうか。

2023年5月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5853.2023年5月23日(火) 日本維新の会の伸展と裏の顔

 このところ日本維新の会が国選、地方選を問わず選挙の度ごとに勝利を収め、反面自民党がやや精彩を失っている。一昨日投票が行われた東京足立区議選(定数45)では、自民党は17議席から12議席へ議席を減らし、13議席の公明党に第1党の座を譲る結果となった。

 3月に行われた大阪府議選では、大阪を地盤とする日本維新の会が圧倒的な勝利を収めた。全政党が議席数を減らす中で、定数79の内過半数を超える55議席を占め、ここでも自民党を16議席から半減以下の7議席にして2位から3位に突き落とした。今や大阪ばかりではなく、全国各地に維新旋風が吹き荒れている。そのとばっちりを受けた自民党が苦境に喘いでいる。自民大阪府連は、知事選、市長選の自民党候補者が大差で落選し、府議会で9議席、市議会で3議席を失い、府連、府議団、市議団の各幹事長も轡を並べて落選する完敗ぶりだった。だが、懸念していた思い上がったような一面が露出し始めた。梅村みずほ参院議員がスリランカ人の入管施設内での死亡について非常識にもハンストの影響の可能性があると述べ、非難を浴び、維新は処分を課した。また、府議団代表がパワハラの件で代表を辞した。

 こういう中で自民党は何とかして維新のご機嫌を取ろうとあれこれ画策しているが、その最たるものが、4月に政府が大阪の人工島「夢洲」への誘致を目指すカジノの統合型リゾート(IR)の整備計画を認めたことである。これは維新が当初から乗り気で計画、実施に積極的だった。このカジノについてはかねてより住民の間で反対論が強く、住民投票を求める声が上がっていた。昨年6月には市民団体が住民投票条例制定を求める署名21万筆を集め大阪府内の選挙管理委員会に提出した。
 しかし、よく考えてみると大阪府民、及び市民が選んだ議員がカジノに賛成したのである。カジノを作ろうとしているのは、他ならぬ彼ら住民自身ということになる。そのカジノについては不動産鑑定評価についても不正があると取り沙汰されている。その他にも大阪都民構想についても府議会が提案した案について住民投票では1度否決されたにも拘らず、再び提案して府議会は再起を図るべく勝てるタイミングを狙っている。

 どうしてこうも議会の意見、方針と住民の考えの間に選挙では同意、しかし、その政策については反対というギャップが生まれるのだろうか。一時的な熱気とか、雰囲気に吞まれる習性、或いは付和雷同する住民気質というようなことがあるのではないか。厳しく言うなら大阪府民は社会的に大人として独り立ちしていない印象を受ける。ただ、これは大阪だけの問題だろうか。

 さて、G7広島サミットが閉幕となるや直ちに帰国したアメリカのバイデン大統領が、早速共和党のマッカーシー下院議長と債務上限の引き上げを巡って3度目の直接協議を行った。結果的に話はまとまってはいない。大統領の主張としては、国債の発行が上限に達したので引き上げないと債務不履行、つまりデフォルトに陥る恐れがあると主張している。大統領は1兆㌦以上の支出削減を提案した。最悪のケースでは、6月1日にデフォルトに陥るという。今後も引き続き、大統領と下院議長の話し合いは行われるようだが、さあ世界経済にも大きな影響を与えるこの結末は果たしてどうなるだろうか。

2023年5月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5852.2023年5月22日(月) 核廃絶か、核兵器廃絶か。

 鳴り物入りで幕を開けたG7広島サミットには、G7の首脳の他にG20の首脳らも来日した。被爆地広島から発信する核廃絶の声はどこから発するよりも世界へ響いた筈である。昨晩はウクライナから緊急来日したゼレンスキー大統領が国際会議場でスピーチを行った。今ロシアによる核の使用が懸念されている中で、大統領は平和記念資料館で数々の悲惨な資料を見学し、同時に被爆者の代表と会い話を聞いたことで原爆被災地と自国の惨状が重なって胸に迫ったようである。

 ただ、G7として議長の岸田首相はその成果について国際秩序の重要性や、核軍縮に向けた国際社会の機運について語ったが、カナダ在住のICANの被爆者サーロー節子氏は、核抑止が前提になっているとして、これでは広島で開いた意味がないと批判している。また、核拡散防止運動を進めている民間団体の反応も今ひとつのようである。

 今日の朝日朝刊の一面「視点」欄に佐藤武嗣編集委員が、前回イタリアのタオルミーナで開催されたG7におけるG7の亀裂について書いている。アメリカのトランプ大統領が「AMERICA! First!」を振りかざし、自由貿易や気候変動問題でヨーロッパと対立し、その後クリミア併合で除外したロシアを呼び戻し、G8の復活まで主張した。G7内で亀裂を生み、世界で分断を広げた反省を踏まえ、その意味では、岸田首相は、①法の支配の結束、②グルーバルサウスとの連携、③「核なき世界」に道をつける、を主たる課題に掲げた。ウクライナ侵攻を続け、核使用をちらつかせて威嚇するロシアを批判し、ロシア制裁はそれなりの効果を上げつつある。

 広島で開催した目的のひとつである「核なき世界」への足取りが今後本当に進めることが出来るのか、依然として課題として残されたままである。この広島へ世界で最初に原爆を投下したアメリカのバイデン大統領は、平和記念資料館を訪れ「核戦争がもたらした破壊的な現実を力強く思い出させるものだった」「G7が『核兵器のない世界』の実現に向けた取り組みを続けることを確認した」と苦しいアメリカ人の気持ちを代弁したが、そこから一歩踏み出すような発言はなかった。

 今朝の「天声人語」には、こんなエピソードも紹介されていた。原爆の印象について日本人と韓国人被爆者の受け止め方がこうも違うものだったのかという比較論である。日本人は、あの閃光の記憶から自らの体験を語り始める人が少なくないが、朝鮮半島出身の被爆者はそれよりも、「なぜ日本に来たのか?」と話し始めるそうである。彼らはなぜ広島にいたのか。日本の植民地支配なしには語れない。確かに広島には朝鮮半島出身者が少なくない。31年前に樺太(サハリン)を訪れ大泊(現コルサコフ)へ立ち寄った時、そこで知り合った朝鮮人のおばあさんも広島に住んでいたと言っていた。朝鮮の人たちが日本の占領下という過酷な運命に委ねられて想像もつかない放浪の旅を続けた挙句に辿り着いたのが、広島だったということなのだろうか。核がなくならない内は、世界平和は夢でしかないだろうし、旧朝鮮半島出身者にとっては日本人と同じ体験や思い出を持ちたいに違いない。

2023年5月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5851.2023年5月21日(日) G7に盛り上がる広島、経済界は地盤沈下

 今日は早くもG7広島サミットが3日目・最終日を迎えることになった。国内はもとより海外でも被爆地広島は注目され、岸田首相の思惑はある程度効果を上げたのではないかと思える。連日各国首脳が訪れ、正に世界中の要人が広島へやって来たような印象である。警備にエラーはなかったようだ。警察関係者のその労苦には頭が下がる思いである。

 この機会とばかり、広島の名産品として牡蠣、もみじ饅頭などをPRしているが、広島の経済界は今低空飛行を続けていて、下手をすれば墜落しかねないほど広島県内の産業はパッとしないようだ。広島市はほぼ半世紀前には肩を並べていた札幌市と福岡市に今では大きく水を開けられ、仙台市にも追い抜かれかねない。中でも広島の2大看板である中国電力とマツダの営業成績が苦境に喘いでいるようだ。中国電力は、2023年度決算が過去最悪の1,740億円の大赤字になった。そのうえ関西電力、九州電力とのカルテル問題で公正取引委員会から課徴金を命じられ、更に顧客情報への不正アクセスが発覚して自治体から入札排除処分を受けている有様である。更に困ったことには、中国電力が石炭火力発電へ依存し過ぎていることである。それも理由はある。島根原発2号機の再稼働が進まないところへ3号機は完成済みながら10年以上も運転を開始出来ない。電源不足からやむなく石炭火力への依存度を強める形になり火力発電の運転を開始した。今では先進国の脱石炭の動きにただひとり逆行しているのが、中国電力である。広島出身をことさら吹聴する岸田首相としては、批判の集中砲火を浴びても中国電力への配慮を止めるわけにはいかないようだ。

 もうひとつ苦境のマツダも状況は厳しい。23年度の決算では、売上高が25%、営業利益は44%も上昇して一見好調そうに見えるが、それは円安効果のお陰で、過去15年間成長どころではなく縮小でしかない。トヨタはこの間大きく業績を伸ばしている。特に懸念されているのは、マツダは電気自動車(EV)への対応が遅れていることである。

 この他にも日本製鉄㈱が呉市内に持っている製鉄所を閉鎖する。三菱重工業㈱も生産を縮小し、造船業は今治造船のある四国側へ重心が移った。広島経済の地盤沈下は、まったく予想出来ないことでもなかったようだ。私自身はJR広島駅で乗り降りしたことはないが、その根本的な象徴として広島駅周辺の開発が遅れて雰囲気にみすぼらしさが感じられるそうだ。繁華街は広島駅から離れたエリアにあり、広島空港も市中心部からバスで1時間もかかる辺鄙な一角にある。開発が遅れていたことが最大の理由である。大きな商業施設はなくホテルだけが目立って、駅から徒歩圏にマツダスタジアムがある。都市計画のバランスが取れていないのである。どうも発展する都市としては形が良くないようだ。

 カルビーやユニクロは、元々広島が地盤だった。ああいう意気の好い地元企業が出た土地柄だけに、これでクシュンとはしないだろう。かつては弱小球団だった広島カープが、今では強豪にのし上がった。被爆地広島に第2のユニクロが輩出されることを期待している。

2023年5月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com