3709.2017年7月9日(日) 福岡は豪雨の一方、「沖ノ島」世界遺産登録

 北海道、東日本は猛暑に襲われ、福島36.6℃、館林37℃、熊谷35.8℃、練馬34.3℃など軒並み真夏日を記録している。熱中症に罹った人も相当数に上っている。その一方で北九州地方には今日も大雨が罹災者の目を曇らせる。テレビ画面をよく見ると川の中に家々が何軒も孤立しているように見える。今日時点で20名が死亡したと伝えられているが、その他に有明海で5名の遺体が見つかっている。加えて今晩また激しい雨が降ると予想されているので、現地の人にはまだまだ心配で落ち着いた夜が過ごせないのではないだろうか。

 そんな中で一点の光明は、今日夕方ポーランドのクラクフで開かれたユネスコの世界遺産委員会が、福岡県宗像市沖合の「神宿る」沖ノ島と関連遺産群を世界文化遺産に登録することを決定したことである。沖ノ島からは8万点にのぼる国宝が出土され、「海の正倉院」として知られている。日本の世界遺産としては21番目である。この認定は福岡県民にとっては慶賀すべきことであり、少しは気持ちも慰められるのではないだろうか。今回の決定には、これまで諮問機関イコモスから疑問が呈されていた沖ノ島以外の4つの構成資産も併せて、8つがセットで世界遺産と認定されたことが地元民を一層喜ばせている。

 近年登録された日本の世界遺産は、古い歴史的建造物というより明治以降に日本の産業発展に貢献した機械や工場のような施設が多く認定されている。軍艦島や富岡製糸工場、官営八幡製鉄所、三池炭鉱などが良い例である。その点では、今回認定された沖ノ島は、ユニークで別の意味で一般の人がアプローチしにくい世界遺産である。そもそも「沖ノ島」は確か女性禁制の島で、上陸前に裸になって海水で禊を行わないと島に入ることが出来ない。仮に女性の入島が許された場合、伝統に則って海水で禊をする必要はあると思う。世界遺産は観光効果が高いが、女性が上陸出来ないからと言って伝統を曲げてまでして入島を許可し、女性に限って禊まで止めさせることまでは出来まい。世界遺産の保護に関して今問題となっている環境保護と同時に、固有の伝統や風習を守ることについて「沖ノ島」世界遺産登録はひとつの問題を提起していると思う。

2017年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com