七夕の今日も北九州地方には豪雨の影響が強く残っている。雨は概ね止んでいるようだが、テレビでは避難所の様子や、取り残された人を救助するシーンを度々観ることが出来る。局地的に災害を与える日本の自然界の現象は、災害地の人々を厳しく苦しみ痛みつける。この辺りの地形をよく見てみると小さな山が多く、その周辺に川が流れ、盆地のような台地がある。加えて日田は木材を産出する天領として森林地帯が多く、それらが雨で根こそぎ流され、道路は寸断され人々が孤立してしまったようだ。低い山々に影響されてヘリも思うように活動出来ず、それが益々孤立する人を増やしてしまっている。孤立して取り残された人が約500人もいるようだから、この人たちをどうやって無事救出することが出来るだろうか。死者は今日現在で15人であるが、行方不明者が多いので、これからまだまだ増えそうだ。
例え被害に遭わなくとも、同じ日本人としてつい同情の気持ちが湧いてくるのは自然な気持ちだと思う。
ところが、こういう悲惨な状況を前にして被災者や彼らの支援者に寄り添う気持ちが見られない、責任ある立場の関係者がいることは実に悲しいことである。
自衛隊が豪雨の行方不明者らの捜索救助に当たっていた昨日昼間、昨今すっかり評判を落とした稲田朋美・防衛相が約1時間防衛省に不在だったことが判った。大臣のみならず、副大臣と政務官も留守だったというから現場の自衛隊員の士気を削ぐこと夥しい。今日稲田大臣は、言い訳記者会見を行って15分くらいの距離の場にいたので、問題はないと考えていると突っぱねていたが、野党はもちろん自民党内や防衛省内にも疑問を呈する声が伝わってくる。石破元防衛相や中谷元防衛相辺りは、とてもあり得ない事態で稲田大臣の言動は理解出来ないと述べている。防衛大臣としての職責が判っていない稲田氏には、大臣失格として自ら辞表を提出してもらいたいものである。
政治家が狂っていると思っていたところ同じ6日に、学者の中にも変な人がいることを図らずも露呈してしまった。関西電力高浜原発のある高浜町で町民との意見交換会に出席した、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、北朝鮮のミサイルに対する原発対策の質問を受け不見識な回答をした。「小さな原子炉にミサイルを落とす精度があるかどうかよく分からない。私なら東京都のど真ん中に落としたほうがよっぽどいいと思う」と実に軽薄なことを述べたのである。田中委員長は東京都内に住んでいないのかも知れないが、原子力研究の第一人者として無責任によくも国民を愚弄するような発言が出来るものだ。今や政治家はもちろん、官僚、学者みんなが自分のことだけしか考えないほど不遜になっているのだ。こんな状態を考えると国民一人ひとりの気持ちを「忖度」している人は、どこにもいないのではないだろうか。日本人の本来の「思いやり」とか、「やさしさ」は、「安倍1強」と「原発」により残念ながら消えてしまったようだ。