3699.2017年6月29日(木) ブリューゲルの「バベルの塔」展鑑賞

 4月18日から上野の東京都美術館で展示中の「ブリューゲル『バベルの塔』展」が7月2日で終わりと知り、取るものも取りあえず急ぎ妻ともども見学に出かけた。この催しは朝日新聞が他企業と共催しており、朝日は前広に興味深い啓蒙記事を載せていた。「バベルの塔」については、私には格別拘りがある。そもそもこの絵画に関心を持ったのは、中学生か高校生の頃幼児向き絵本を通してこの絵を見て「人間の傲慢に対する神の怒り」とか、「世界中に多くの言語が生まれた理由」の説明に首を傾げながらも何となく納得が行ったことにある。その絵が「バベルの塔」であると知り、以来この絵を何とか見てみたかったのである。今から3~40年前に初めてオーストリアの首都ウィーンを訪れた時、美術史美術館でこの名画にお目にかかった。この絵を前にして、天を目指して上へ上へと傲慢な人間が登ったが、この絵ではまだ登り切っていないなと思ったものだ。

 実は、今日鑑賞した「バベルの塔」は、私がウィーンで見た絵とはほとんど同じ構図になっているが、似て非なる2枚目の「バベルの塔」で、絵画自体もやや小さい。「バベルの塔」が2作品あるとは寡聞にして知らなかった。これはオランダのロッテルダムのボイマンズ美術館に展示されているものを拝借したものだと知って当初は驚いた。

 もう一点特徴的だったのは、展示場近くに「INSIDE BABEL」と称して、漫画家にして映画監督でもある大友克洋氏が描いた繊細な「バベルの塔・内部図」が飾られていたことだった。これについて新聞では全面で微細に説明していたが、ここでは入場待ちの行列の前に2枚の「INSIDE BABEL」が置かれているだけだった。それにしても大友氏の発想が興味を惹く。原図に描かれた石工、煉瓦工、足場職人ら総勢1,400人の人物を始めとして当時の人々の生活を想像させる塔内部のスケッチを描いたものだという。しかし、これも興味深く面白かった。

 とにかく世界的な名画であるだけに、平日午前中にも拘わらず多くの見学者でいっぱいだった。見学者は皆熱心に並んで多くの絵画を楽しんで見ているようだった。 

 やはりそれなりに意味の深い世界的な絵画は、人の気持ちを豊かにさせてくれる。その意味では、好い機会を得られた。うっかりしていて見損なうところだった。

2017年6月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com