3698.2017年6月28日(水) 稲田防衛大臣の軽薄な発言

 東京都議選の応援弁士の動向を見てみると、これまでとは大分様子が違う。国政に一番近く、最も大事な地方選の中でも東京都知事選と都議選は中央政府としても最も気になり、何はさて措いても党幹部が応援に駆け付けるのが今までの習わしだった。それがどうだろう。本来なら都庁のある新宿で各党党首が、自党のPRと自党候補者への得票を期待して第一声を挙げるのが通例だった。今回は一番危機感を感じなければならない自民党が、安倍首相、菅官房長官らが裏ではともかく表立って姿を現さないのである。

 森友学園と加計学園の不透明な説明と事実隠蔽で支持率を落とし、応援は反ってマイナスだと候補者から忌避されていることもあるらしい。なんとまあ情けないことか。

 そこへ昨日稲田防衛相が板橋区の自民党候補者の応援で、「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」などと自衛隊の政治利用と受け取られかねないとんでもない呼びかけを行ったのである。稲田大臣は板橋区からは自衛隊練馬駐屯地が近く、自衛隊の活動にあたって地元に理解と支援をいただいているから感謝の気持ちを表したそうだが、ちょっと感覚がずれているのではないだろうか。自衛隊法第61条では選挙権の行使以外の自衛隊員の政治的行為を制限しており、特定の政党などを支持する目的で職権を行使出来ない。そもそも大臣が発言したことは、完全に自衛隊法に抵触している。こんなことは弁護士たる大臣には当然分かっている筈である。その点では、稲田防衛相は防衛大臣の資質に欠けているということになる。大体この稲田大臣はこれまでも言動において常軌を逸するようなことが多かった。

 これら大臣の発言に対して野党から強い非難の声が挙がっている。安倍首相の任命責任も問われると強く批判している。稲田大臣を罷免すべきであるとの強い要求も出されている。稲田大臣は、当初なぜ問題になったのかよく分からなかったようだ。発言は撤回するが、辞任はせず、職務を全うすると述べただけである。菅官房長官は、大臣は発言を撤回したので辞任の必要はないと各党の辞任要求を突っぱねている。政府首脳も、防衛相自身もことを少々甘く見ているのではないだろうか。この暴言が板橋区の立候補者の足を引っ張ることになるような気がするし、全般的に自民党の地盤沈下に繋がり、次の総選挙に影響するようになるのではないかと思っている。

2017年6月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com