3681.2017年6月11日(日) 国連特別報告者と日本政府の行き違い

 6日の本欄に2人の国連特別報告者の報告書について、日本政府が取り合わない姿勢を示したことについて書いたが、当事者と日本政府の間に意見の食い違いと誤解のわだかまりがあるようで、現在のところ大きな問題にならずとも、お互いに意見の食い違いは残ったままである。

 特別報告者の報告では、ケナタッチ・マルタ大学教授が「共謀罪」法案について、「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と懸念を表したことに対して、安倍首相は「政府の説明を聞くことなく、特別報告者が一方的に見解を表明した」と反論した。

 特定秘密保護法については、カリフォルニア大学のデービッド・ケイ教授が「ジャーナリストが委縮しないよう、秘密を開示しても処罰されない例外規定を設けるべきだ」と勧告する報告書を公表したことに対して、「多くが伝聞情報に基づき不正確であり、報道関係者の通常の取材は処罰対象にしていない」と菅官房長官が反論している。確かに政府としては不本意な報告内容であるかも知れないが、ことは国際的に言論の自由に関わる事象だけに、すぐ反論するのではなく、報告者に事前に直接尋ねてお互いに誤解のないよう言い分をすり合わせることが大切ではないだろうか。

 今や傲慢に陥りがちな安倍政権に対する質問や、批判は長期安定政権に胡坐を掻いた結果であるが、国際社会において信義を損ないかねないような不躾な対応は安倍政権に対するマイナス・イメージ以外の何物でもない。

 国内でも一昨日加計学園獣医学部新設計画について問題になった首相サイドへの忖度に関する発言について、安倍首相が漸く文部科学省内で再調査するよう命じた。首相周辺が文科省の職員に対して、最高レベルの話であるとか、首相の気持ちを「忖度」したとか、官邸スタッフの気持ちを斟酌するよう求めたというような「忖度」を強いるような発言があったと言われている。官邸サイドはあり得ないとか、そんな根拠がはっきりしない怪文書は取り合わないとか、はぐらかしていたが、文科省内部にそのような発言があったことが現役の職員の間で事実であると噂になり、ついに再調査するという発言に変わった。だが、それとて外部の、それも第三者が調査するのではなく、文科省内の再調査であり、これでは都合の悪い情報は表沙汰になりにくい。重要課題山積の今国会で、いつまでも自分たちにとって都合の悪い事柄から早く逃げ出したいとの虫の好い考えでは、益々日本の政治は堕落する一方である。

 国連に対してもきちんと考え方を述べ、是々非々をはっきり説明するべきである。その最大の責任は安倍首相以下政権にあると言いたい。

 すべて安定政権から生まれた油断と怠惰であり、まったく困ったことである。

 さて、今長男が出張を兼ねてわが家に滞在しているが、今日横浜の二男の孫1人を連れてお墓参りをした。多磨墓地から、中野の宝仙寺へ回ったが、半年以上お参りしていない間に宝仙寺の境内に新たに鐘楼が完成しているのにはびっくりした。木の香りも匂うような立派な鐘楼に大きな釣鐘がぶら下がっていたが、もう少し時間が経てば、鐘楼もそれなりの貫禄が出て来るだろう。いつも通りいずれの墓地でも家族の健康と、自分の仕事がよりスムーズに進むことを祈った。

2017年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com