一般市民の行動を監視していると受け取られかねない共謀法案が衆議院を通過して、これから参議院の議論を待っているところだが、幸か不幸か、加計学園獣医学部新設問題が次から次へと新たな疑念が表面化した影響ですんなり行きそうもない。
その共謀法であるが、言論の自由を束縛しかねない問題点を含んでいるため、日本ペンクラブとしてもすでに浅田次郎会長名で反対声明を出している。
これについては海外からも厳しい批判が出ている。国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ・マルタ大学教授が共謀法の内容について、プライバシーや表現の自由を制約する恐れがあると懸念を表明した書簡を安倍首相宛に送付したところ、安倍首相が書簡は誤解に基づきバランスを欠くもので、客観的であるべき専門家の考え方とは思えないと憤然と反論し非難した。加計学園問題を含め、思い通りでないと突っぱねる首相は、国連ともつながった組織の専門家の批判を許すまじと、表現の自由を大上段に否定しているが、国際問題化する可能性があることを考えるべきではないだろうか。
同じ国連特別報告者で、昨年来日したカリフォルニア大学デービッド・ケイ教授も特定秘密保護法や政府の圧力により、日本の報道の独立性は重大な脅威に直面していると指摘している。ケイ教授の報告書には、政府関係者の直接、間接のメディアへの圧力や自民党の改憲草案の内容に懸念が示されている。特に、報道機関の独立性、歴史の伝え方や表現に対する干渉、差別とヘイトスピーチなどについて報告している。そしてその内容が、今日からジュネーブで始まる国連人権理事会に提出される予定である。誤解だとか、間違っているとか、相手の言い分をよく確かめることもせず、首相の立場上一方的に反対して突き返すことで済むことだろうか。
国会答弁で国民の意見をよく聞くという発言を繰り返す首相だが、実際にはほとんど国民の声を聞かず、むしろ抑圧する強引さは、すでに共謀法成立前に自らが法律の先導者となって実施しているのではないかとの印象を受ける。
一強多弱に背を押された安倍首相の傲慢な言動をしっかりチェックする必要があると思う。
さて、負け続けているプロ野球の読売巨人軍が、今日も交流試合の対西武ライオンズ戦でエースの菅野が打ち込まれ、逆転負けしてついに42年ぶりに11連敗の屈辱を味あわされた。長嶋監督時代に11連敗を喫してそのシーズン最下位に沈んだが、それ以来の不名誉な記録となってしまった。明日こそ勝って欲しい。