中国・天津の倉庫爆発事故が多面的な問題を提供している。114名の犠牲者に加えて、なお60数名の行方不明者が見つからないままだが、爆発の詳しい原因がまだはっきり発表されてない。そこへ今日新華社通信から現場で高度の神経ガスが検出されたと報道された。ところが、しばらくしてこのニュースがすべてのメディアから削除された。いつもながらの中国政府による報道統制である。そのうえ天津市が神経ガスの存在を否定したのである。その一方で、消火作業に当たった消防隊員がいかに献身的に消火活動に努めていたかというPRビデオを頻りに流している。遺族や被害者からは、情報非公開と被害に対する怒りが燃え上がっているので、この矛先を避けようとの腹の内が透けて見える。中国当局が都合良く責任逃れと批判をかわすための、お決まりの強圧的な報道管理である。
バンコックの爆発事件も、防犯カメラに映った容疑者らしき人物が賞金付きで指名手配された。それにしても国籍も不明の容疑者を今後どうやって追い詰めるのだろうか。こちらも大変だと思う。
さて、ケチがつき始めた2020年東京オリンピック・パラリンピック関連事象のうち、新国立競技場建設計画は頓挫して、新計画の下に仕切り直しとなったが、同時に東京大会で使用委されるロゴがアイディア盗用などで問題になっている。実際に盗用かどうかは、何とも言えないが、大会組織本部はIOCも了解しているので、ベルギーの劇場の提訴を無視するようだ。ところが、このロゴをデザインしたデザイナー佐野研二郎氏がサントリーへ提案し採用されたデザイン30種のうち、8種は他人のデザインの盗用であると自主的に提案を取り下げたという。盗用されたアメリカ人デザイナーは当然ながら烈火の如く怒っている。この人にはデザイナーとしてのモラルなんかないのではないかと疑ってしまう。これで佐野氏に対する印象がかなり悪くなった。
そこへまた新たな疑惑が生じた。佐野氏がデザインした名古屋市の東山動植物園と、群馬県太田市美術館のロゴが、他の施設で使用されているものと酷似しているとその証拠写真も添えて表沙汰になった。ロゴのようなデザインは、アイディアが勝負であるだけに盗用と決めつけるのは難しいが、それでも佐野氏が関与したケースを全体的に考えてみると、どうも似た例が多過ぎるように思う。疑うわけではないが、これだけ類似性のある作品をそれぞれ並べてみると佐野氏のアイディアをパクリだと言うことではないが、信用するのもまた難しくなってくる。
あるテレビ局で東京大会のロゴについて見直しか、このまま使用するべきかとアンケートを採ったところ、70%の人が新しいロゴを決定した方が良いと言っている。いつまでもぐずぐずしていると時間切れになるのではないだろうか。どうも2020年大会については予想外にドジが多い。こんなにいろいろ問題が浮上するようだとオリンピック開催自体が大丈夫だろうか心配になって来る。