3672.2017年6月2日(金) アメリカがパリ協定離脱とは!

 日本時間今朝4時半、アメリカのトランプ大統領が、地球温暖化対策のための「パリ協定」からの離脱を発表した。ホワイト・ハウスの前には、多くの人々がシュプレヒコールを上げてパリ協定離脱に反対していた。パリ協定離脱は大統領選中のトランプ氏の公約ではあったが、アメリカの国際的立場を考えれば撤回すべきものであると思う。

 先日のG7でアメリカの主張は他の6カ国と折り合いがつかず、そのうえ最大の温暖化ガス排出国である中国が、昨日残留を公表していただけに、いかにも「アメリカにとって不公平」とするアメリカのパリ協定離脱は、アメリカの独善的な対応ではぐれ狼的行動に見える。トランプ氏はかねがね「地球温暖化の原因は二酸化酸素排出によるものとの説はでっち上げ」であると言い、パリ協定はアメリカ経済にとってマイナスで不公平であると述べていた。だがその言い分は、あまりにも身勝手で‘America First, Abandon the Others’ではないだろうか。自分さえ良ければすべてオーライなのである。このことを普通のアメリカ国民は本当のところどう思っているのだろうか、知りたいものである。

 アメリカ離脱を耳にしたヨーロッパの首脳は、申し合わせたように遺憾の意を表明した。同時に協定から離脱して再交渉すると言ったが、ドイツ、イタリア、フランスは再交渉は出来ないとする共同声明を発表した。わが麻生副首相は所詮アメリカというのはその程度の国と厳しく切り捨てた。麻生氏は、アメリカは第1次大戦後に発足した国際連盟の主導者だったにも拘らず、当初加盟を見合わせたことを今回の離脱表明と重ね合わせて皮肉っているのである。記者会見で山本公一環境大臣は、人類の英知に背を向けたアメリカの離脱に失望するとともに、怒りすら憶えるとまで言っている。

 アメリカ国内にも賛否両論がある。だが、パリ協定は、一昨年12月にパリで開いた第21回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP21)で採択され、昨年11月に発効したばかりである。途上国を含む195の国・地域が加盟した。これに不参加の国はシリアとニカラグアだけである。世界が排出する温暖化ガスの16%、世界第2位の排出国アメリカが、この協定から手を引いたら、地球温暖化現象は益々進み、海面は上昇し、島国は水没する危険性がある。

 一体全体どうしてアメリカ、否トランプ大統領は世界に多大な迷惑をかけてまでしても、パリ協定離脱を推し進めようとしているのか。

 最大の理由は、パリ協定の二酸化炭素の厳しい規制が自国経済に悪影響を与えるという利己的な理由から、協定離脱をトランプ大統領の選挙公約に挙げていたからである。娘のイヴァンカ・クシュナー氏夫妻や、ティラーソン国務長官らが反対していたし、共和党内にも反対する議員が多くいた。経済界の有力者も離脱に反対していた。それ故離脱表明はしないだろうとの楽観論も一部にあったが、トランプ氏は持論を押し通した。そこには、ガスを排出する石炭産業を保護し、炭鉱を復活させ雇用拡大を図りアメリカ経済を復活させたいとの強い意向があったからである。

 しかし、自国の経済や雇用を守るために、他国、特に貧しい国の人々に目を向けないというのは、とても民主主義国アメリカのなすべき行為とは思えない。あまりにも身勝手に過ぎるのではないか。

 トランプ大統領は、中国をやり玉に挙げている。途上国の温暖化対策を支援する緑の気候基金に、アメリカが30億$(約3300億円)を拠出するとの約束も白紙に戻すと語っている。中国が最も多くの温暖化ガスを排出しているにも拘わらず、中国は未だに途上国との理由でビタ一文拠出していないのは、確かに筋が通らない。更にこのところ中国に気を遣いながら北朝鮮に対する圧力を強く行使するよう求めているにも拘わらず、その効果が一向に上がっていないことに不満を募らせたことも原因のひとつではないだろうか。

 それにしてもアメリカはこれでも世界に冠たるリーダーと言える行動を取っているつもりだろうか。後世になって、罪もないアメリカ人が、彼らの先輩たちが地球を破壊したとして世界中から後ろ指を差されるようなことになるのではないだろうか。

 アメリカの後ろ向きの政策に拘わらず、昨日NY株式市場は史上最高値をつけ、それに引っ張られたか日経平均株価も1年半ぶりに2万円の大台に乗せた。

2017年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com