3655.2017年5月16日(火) 北朝鮮・金正恩独裁にこんな見方

 何を考えているのか見当もつかない北朝鮮の傍若無人ぶりに世界中が振り回されているが、その世界の嫌われ者・北朝鮮についてこんな論評を読んだ。

 毎号厳しい指摘の論稿を掲載する月刊「選択」誌の今5月号では、巻頭インタビューはアメリカのランド研究所上級研究員ブルース・ベネット氏への取材である。

 ベネット氏は、日本人ジャーナリストがあまり取り上げない論点や、関心事をさらりと語ってくれる。朝鮮半島の緊張状態の中で、戦争の可能性や、万一戦争が起きた場合について以下の通りコメントしている。

 1.トランプ政権の北朝鮮への先制攻撃について、北朝鮮には弾道ミサイル関連施設は100~200もあり、特定の標的を狙う外科手術的攻撃は無意味である。その場合対する北朝鮮は韓国や日本への全面的報復攻撃に踏み切る。

 2.トランプ政権は軍事介入を行う意思が強い。

 3.THAAD(高高度防衛ミサイル)は北朝鮮の膨大なミサイルを防げない。日本もイージス艦を増やしミサイル迎撃態勢を向上させる必要がある。

 4.金正恩委員長は強迫観念が強く軍最高指導者も安心出来ない。北朝鮮には、有能で手広く事業をして金儲けするエリート層が育っている。彼らは中国型の改革開放を望んでいる。彼らが中国の協力を得て、金委員長一族排除に動く可能性があり、それにより体制はがらりと変わる。

 5.中国は本気で動いている。金正男の殺害に怒り、北朝鮮のミサイルの射程が中国主要都市に到達することにも苛立ち、北朝鮮の混乱が拡大するなら、地上軍投入も考えている。

 6.北朝鮮は朝鮮半島で戦争が起きれば、日本攻撃用に開発した中距離弾道ミサイルを使う。対韓国には使用しない生物兵器使用も実行する。現体制は日本が嫌いだが、後継体制は企業家層で、彼らは中韓よりも日本をモデルにして、復興支援や取引などでもまず日本とやりたがる。金体制崩壊で日本は最も得をする立場にいる。

 この限りでは、一旦動乱が起きれば、日本が最初に火の粉を被り、しかも生物兵器などという後遺症を残す武器を使用される。だが、体制が転覆すれば、日本にとっては好都合である。その点で4に指摘されているように、独裁体制の中で目を開いた若者層がいることに希望が持てる。このベネット氏の見解では、戦争にならずに金体制が崩壊することが、周辺国、とりわけ日本にとって望むところだと語っている。是非ともそう願いたいものである。

2017年5月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com