3023.2015年8月23日(日) 大統領候補者トランプ氏の過激な発言

 来年のアメリカ大統領選を控え、すでに民主党及び共和党両党は大方の予想候補者が名乗りを挙げ、それぞれ選挙活動を始めている。今朝の新聞のあるコラムに目を奪われ早速ネットで検索してみると、6月に立候補宣言をした共和党の不動産王ドナルド・トランプ氏がこのところ他の既存候補者を圧倒し、その勢いが止まらない。それまで首位にいたジェフ・ブッシュ前フロリダ州知事の2倍近い支持率で抜き去って共和党候補者の中でトップに躍り出た。民主党候補者のヒラリー・クリントン前国務長官にも肉薄してきてヒラリーもうかうかできない状況だという。

 トランプ氏は最近テレビ出演して質問した女性アナに対し問題発言をして批判を浴びているが、これまで度々過激な発言で物議を醸した人らしく、その発言は我が強く刺激的である。だが、かなりアメリカ人の本音を言い当てていることも事実である。昨今アメリカの国力の低下が言われて久しいが、実はトランプ氏の考えは、世界の警察官の役割を果たしていると自負していたアメリカ人の気持ちを巧妙に汲み取り、彼らの鬱憤を晴らしているのである。

 トランプ氏の標的に遭っては堪ったものではない。中国、日本、メキシコに対する非難と攻撃は凄まじい。日本に対してトランプ氏の厳しい発言は、身勝手で公平でない点も見られる。その最たるものは米軍の海外における活動任務のうち、かなりの役割をわが自衛隊に肩代わりさせようとの目論見である。例えば次のような発言をして聴衆の喝采を浴びたそうだが、全体像を見ずしてアメリカの損得ばかり主張している。

 「どこかの国が日本を攻撃したら我々は助けなければならない。だが、我々が攻撃されても日本は助ける必要がない。それがよい協定だと思えるか」とか、「これまでで最大の船を見たが、日本の車を積んでいた。だが、日本は我々が牛肉を売ろうとしても受け取ろうとしない」と述べたそうだが、防衛問題のみならず、TPP交渉にも難癖をつけている。日本を良く知らず、反日的な立場からアメリカ人の不満を反日的な言動へすり替えているのだ。日本の憲法が軍隊を保有することを禁止していることなど全く眼中にないようだし、日米安保条約の条文も分かっていないようだ。こういう狭窄症のような人物がアメリカ合衆国のトップに座ったら、日米関係のみならず、国際的にもアメリカの信用度が低下することは明白であろう。

 元々アメリカ国内には戦地や海外紛争地で亡くなる若い兵士の数が多いことから海外に駐留する兵士の数を削減するべきだとの声が近年高まっていた。その世論を受けて米軍に代われる地域では、他国軍に代えるべきであるとの声を代弁して、南シナ海、東シナ海の洋上警備や、中東地域への軍隊派遣を日本とその他の外国軍隊に代わってもらおうとの意図がある。これによってアメリカは、若者の尊い生命を救うとともに、大幅な軍事費を削減することができるのである。

 それをどう受け取ったのかは定かではないが、物事を深く考えない安倍首相はこういうアメリカ人保守層の言い分に丸めこまれて、安保関連法案の集団的自衛権行使によってアメリカの任務を一部肩代わりしようと考えているように思えて仕方がない。日本憲法を守ることより、アメリカの言い分を貫こうとしている。それは自衛隊が常時海外派遣を行うということであり、明らかにわが国の憲法に違反している。この安保関連法案は、間違いなく日本にとって後顧に憂いを残すものであり、戦地派遣によって少子高齢化の日本にとって、アメリカの若者の代わりに日本の若者の生命を確実に失わせるものである。

 それでもなお安倍政権は安保関連法案を成案させようとしている。トランプ氏も望む通り法案成立となったら、本当にこれが日本にとって良いことだと思っているのだろうか。

 一方、仮にトランプ氏が大統領に就任となれば、日本のみならず、中国やメキシコにとっても難しい対応を迫られることになる。

 偶々今日ある人を介して、安保関連法案成立阻止のための集会の案内があった。「戦争法案廃案!安倍政権退陣!」の集会が30日国会前で開かれる。主催者「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は、国会前で10万人、全国で100万人の動員を目論んでいる。この廃案の声がお坊ちゃん・安倍首相には果たしてどこまで通じるだろうか。

2015年8月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com