3651.2017年5月12日(金) 内外ともに波高し

 このところ国内外で無責任や大失態の事象がやたらに目につく。国内では、まず共謀罪法案の取り扱いである。政府・自民党は同法案を18日までに衆議院を通そうとして躍起になっている。日本ペンクラブも同法案には強く反対し、浅田次郎会長名の声明を発している。同法案には言論の自由を侵犯しかねない危険性が看て取れる。この法律の最も怖いのは、罪もない一般人が捜査の対象になる恐れがあるという点である。他に危険なのは、共謀罪の要件に「実行準備行為」を付け加えた点である。準備行為と疑われれば任意捜査が行われる可能性が高い。

 例えば、最近岐阜県警が、風力発電施設の建設に反対していた市民や、その知り合いというだけで活動には関わっていない市民の名前、学歴、病歴、健康状態まで集め、電力会社に伝えていたという驚くべき事実があった。

 そもそもこの「準備」というのが、捜査当局の判断次第だそうだから油断がならない。毎日の行動が警察によって監視され、任意捜査の対象になりかねないのである。これでは、まるで戦前の治安維持法とまったく変わらないのではないだろうか。

 かつて何度も立案されながら、実施されなかったこんな危険な法律を今改めて与党自民党・公明党が保守の「日本維新の会」と協力しながら、国会審議も充分尽くさず、メディアの間でも批判が高まっている中で一気に通してしまおうという恐ろしい空気が世の中に醸成されようとしているのだ。

 また、安倍首相とはとても無関係とは思えない森友学園問題も後から後へと新しい証拠が出され、それらの中心人物として悉く昭恵夫人が絡んでいるのである。野党やメディアは不透明な疑念を解明するためには、昭恵夫人の証人喚問しかないと追及しているが、首相は以前疑問が明かになれば、総理の地位も議員の職も潔く辞めると公言した以上簡単に夫人の証人喚問を認める気はなく、何とか森友問題から逃げようとしている。そのような事情もあって、安倍首相は憲法改正問題と共謀罪に照準を合わせようとしているように思えて仕方がない。

 一方で安倍首相は、唐突に2020年までに改憲を実施したいとか、第9条の2項に加えて、それらに矛盾する自衛隊の存在を第3項として付け加えると言う大胆なことまで言い出した。それは、自民党内でも広く了解を得られたわけではない。

 他方、海外でもアメリカのコニーFBI長官の電撃的な解任が大きな問題になっている。解任直前にコニー長官が司法省に対して、トランプ政権が大統領選へのロシア介入問題の捜査体制強化を要請して、それがトランプ政権の捜査妨害であるとの疑惑が深まったことがトランプ政権の危機感につながり、トランプ大統領の怒りとなりFBI長官解任となったようだ。野党の民主党は、独立性の高い「特別検査官」の任命を求めるべきだとして批判を高めている。第2のウォーターゲート事件に発展するようなことにならなければ好いがと思う。

 今や内外ともに波高しである。

2017年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com