3025.2015年8月25日(火) 日米地位協定をなぜ改定しようとしないのか。

 昨日夜中に米陸軍相模総合補給廠の倉庫で火災爆発があった。相模原市消防局は米軍の要請を受けて出動し、米軍の指揮下で消火活動に当たった。出火当初は米軍も保管物の詳細が分からず、天津の爆発の二の舞を演じないよう化学反応による二次爆発などを警戒して放水を見合わせた。

 大事故につながらなかったのは不幸中の幸いであるが、ここでも日本の消防署が現場でリーダーシップを取って活動することはできず、鎮火後も火災の状況や原因の調査については米軍が行い、日本側はそれにタッチすることもできない。所謂日米安保条約の日米地位協定に基づき、日本の警察や消防は捜査権を持たず、日本は米軍から要請がなければ一切手出しすることができない。日本における米軍の治外法権とも言える協定である。その後米軍側は昨晩の火災は医療用、溶接用として保管していた酸素、窒素などが爆発したと相模原市に報告した。しかし、相模原市長は「ひとつ間違えば大災害となる極めて遺憾な事態で、強く抗議する」と在日米陸軍司令官に文書を手渡した。

 これに関して一言コメントするなら、一昨日の本項に書いたように米大統領候補者ドナルド・トランプ氏は日米安保条約がアメリカにとって公平ではないと述べているが、その安保条約も条文をよく読むと日本にとって必ずしも有利になってはいない。費用だって日本は相当額を負担している。2004年8月に沖縄国際大学内へ墜落した米軍ヘリの際も日本の民有地内の事故であるにも拘わらず、米軍は規制線を敷き日本の警察や公安当局の立ち入りを制約して大きな問題となった。その後米軍基地を抱える日本の自治体が、日本国内の外国の現状について日米地位協定の見直しを訴えたが、現状は一歩も前進していない。

 もっと深刻な問題は、そんな施設の管理的なことより、住宅地帯に存在する米軍基地の中に、危険物があるかどうかも自治体や住民には知らされていないことである。アメリカ政府に何も言えない日本政府は、地位協定の改定に向けて積極的な行動を起こそうとしない。それでいて集団的自衛権行使により、主に同盟国アメリカ軍を支援し、その一方で相も変わらず国内の米軍基地は秘密のヴェールで覆われ、いざ主体的に手助けしようとしても指揮権はアメリカが掌握し、残した灰の始末は日本がするというのでは些か片手落ちではないだろうか。安倍政権のアメリカ外交には、日本は常に一歩退いてアメリカに従うというふうにしか見えないのである。

 これが真の意味で同盟国同士の提携と言えるだろうか。

2015年8月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com