このところ世界のあちこちでテロ事件が頻発している。アメリカ軍によるシリア攻撃前後から、サンクト・ペテルスブルグ地下鉄爆破事件、ストックホルム市内のデパートへトラック飛び込み、そして昨日はエジプト北部のコプト教会で連続爆発があり44人が死亡した。血なまぐさい事件ばかり起きているが、その犠牲者のほとんどはまったく罪もない庶民である。
他方、国内ではあれほど騒がれた森友学園スキャンダルが、解決の道筋が見えないままメディア報道は徐々にトーンダウンしている。これにはどう見ても安倍首相夫妻が絡んでいる状況と、首相は自分たちが連座していたら首相も国会議員も辞めると早まって大見得を切ったことが関係しているように思える。実際今日のNHK世論調査の発表によれば、疑問を持たれた安倍昭恵・首相夫人の国会証人喚問について、賛成42%、反対22%、どちらとも言えない36%だった。国民の間に安倍夫妻に対する不信感が消えない。森友学園問題は、自民党にとって今では疫病神なのである。一強多弱で思いのまま政局運営を図ろうとする自民党としては、ここで安倍首相が辞めるようなことがあっては一大事である。それ故一日も早く森友学園スキャンダルの修羅場から逃げ出したいのではないか。
そのため安倍首相と政府自民党には、このところその他の話題、特に国際問題に目を逸らせようとする言動が目についてきた。アメリカのシリア攻撃について、直ちにトランプ大統領に支持するメッセージを送った。引き続いて国連安保理事会で対立する米ロに対して、電話でトランプ大統領に同意のサインを送ったり、トランプ大統領が北朝鮮へ国際合意に違反し他国への脅威となるなら対抗措置を取ると圧力をかけると語るや、トランプ大統領に電話で同じ気持ちであるとアピールしている。これで安倍首相への取材が増えることによって首相はスポットライトを浴びるわけである。森友問題の印象が薄くなることになる。
国内では森友問題への関心が薄くなり、関心と注目は他の話題に移っている。昨日はオリンピック2連覇を成し遂げた体操競技の内村航平選手が、久しぶりに脚光を浴びた。何と全日本体操選手権で10連覇を達成したのである。リオから凱旋帰国してから体調を崩して今年ばかりは、若手の成長もあり苦戦の末の優勝だったらしい。得意の鉄棒で最終的に僅差により逆転優勝を飾ったが、競技終了後に苦しかったと率直に胸の内を語っていた。それにしても10年連続で日本一の座を獲得し続けるのは、並大抵以上の努力と実力が備わっていなければ不可能だと思う。改めて内村選手の努力と活躍に敬意を表し、拍手を贈りたい。
スポーツ選手の活躍はどんなスポーツであれ、全力投球した過程と結果が評価されるのであり、いつ見ても気持ちの好いものである。その辺は、政治の世界の出来事とは天地の差がある。最近とかく話題になっている金田総務相、稲田防衛相、今村復興相、義家文科副大臣らの言動を見ていると、政治家ももう少し正直な気持ちで国民のため虚心坦懐に政治を行うことが出来ないものだろうかと考えてしまう。