3611.2017年4月2日(日) 韓国国民にとって対日観の本心は?

 一昨日韓国で朴槿恵・前大統領が逮捕され収監された衝撃的な出来事から、過去同じように悲惨な晩年を送った歴代大統領の波乱万丈な人生を顧みて、韓国国民の間でも少し感じるところがあるようだ。そのひとつが現行憲法の改正である。わが国でも改憲論議が喧しいが、彼らの目指すところは日本の憲法改正とは大分趣が異なる。

 彼らが改憲を検討しようと言い出したのは、あまりにも集中し過ぎている大統領の権限をもう少し分散した方が良いのではないかと考えたようだ。現地メディアでも近く実施される新大統領選候補者に、新しい政治システムについて具体的なビジョンを披歴・公表させて国民の審判を仰ぐべきだと主張している。

 そもそも韓国憲法の前文は、驚くことに植民地支配からの脱出と日本への抵抗運動から書き起こされている。1919年3月1日に勃発した3.1反日事件を受け、抗日独立運動を進めていた活動家が同年4月に上海に結成した大韓民国臨時政府が、現韓国政府の前身と定めている。太平洋戦争終戦によって日本の支配から解放された1945年ではなく、1919年を臨時政府としたのは、北朝鮮に対して統一朝鮮国家の正統性をアピールする狙いがあるようだ。韓国憲法は制定後これまでに度々改定され、現在の憲法は1987年に第9次憲法として改正され、第6共和国憲法と言われている。改憲自体は国家にとって大改革であるが、日本の憲法改正のように再軍備を云々するような国論を二分するというほどの大論戦となるわけではないようだ。

 憲法前文冒頭から反日的表記が盛られていることが、ある意味では国民に反日感情を煽り現在の反日行動、反日デモが度々起こる下地ともなっているとも言える。

 だが、韓国人の対日観にも複雑な思いや情緒があるようで、そう単純にはいかないらしい。世論調査によれば、釜山の日本総領事館前に設置された従軍慰安婦像撤去については国民の8割がノーである。その一方で、昨年日本を訪れた韓国人旅行者は初めて500万人を超え、年々訪日客が増えている。韓国人が選ぶ最も魅力的な国民として、日本人はドイツ人に次ぐ2位だというから、最近の反日言動を考えると不思議な気がしてならない。日本人の魅力として挙げられるのは、「他人への配慮(配慮文化)」「順法精神」だというから、逆に言えば、韓国人には他人への配慮とか、順法精神が欠けているということにならないだろうか。そう言えば、一昨年12月に国家同士が締結した日韓合意を、国民はもちろん政権野党のほとんどの政治家らが、締結後に反対する行動は理解に苦しむ。

 それでも次期大統領の最有力候補の文在寅氏は、「日本統治時代の『親日派』が国内の不正・腐敗の元凶との信念を持ち、『親日清算』を成し遂げずに臨時政府百周年を迎えるわけにはいかない」と頑なに自説を主張している。これでは日韓友好は、未だ道遠しと言わざるを得ない。憲法前文に反日を表記する韓国と、同前文に平和主義を表現した日本が、誤解と行き違いの過程で相も変わらず間違った配慮をして、国家間に刺々しい空気が漂っているのは、お互いにとって不幸と思う。だが、それがいつの世になったらお互いの立場を理解し、お互いの誤解が解けるのだろうか。

2017年4月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com